なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……我の言葉一つで、そこまであれこれと考えられる貴様達に、少しばかり困惑していただけのことだ」
「はぁ、なるほど?」
どうやらズァーク君は、こちらの豊かな想像力に困惑していた様子。
……って言われても、『逆憑依』関連の話はともすればこっちの常識をぶっちぎるのが普通、想定が甘いことなんて日常茶飯事なわけで。
「……その繰り返しが、その被害妄想めいた思考に繋がるというわけか……」
「なにを言うか、単に慎重なだけですぅー!」
そっちは今回が初だから、色々と経験が足りていないんですぅー!……というようなやり取りを行いつつ、変わらずゴンさん達を追っている私達である。
ゴンさん追っかけツアーという、追う者と追われる者がひっくり返った途端に、ホラーと化すようなおぞましいおっかけっこを続けて早数十分。
私達は当初の予感──ゴンさん達がやけに下を見ているような──通り、電気屋の地下まで降りてきたのち、そのまま駐車場の出口を通って外に出てしまっていた。
無論、このゴンさん集団を衆目に晒すことは(色んな意味で)危険であるため、私達は大いに慌てたのだが……。
ゴンさん達を追って飛び出した駐車場の外は、私達が思っていたような風景ではなかったのだった。
「……も、森?」
そう、私達が出てきた場所は森の中だったのである。
それも、周囲に木々が鬱蒼と繁った、
「……まさか、精霊世界……?」*1
この場所が、正常な場所ではないということを示すもの、だと言えるだろう。
思わずとばかりに呟いた私の言葉に、榊君が耳聡く反応する。
「精霊世界って言うと……デュエルモンスターズの精霊達が住んでいるとか言う、あの?」
「確証はないけどね。でもまぁ、このタイミングで出てきそうな場所なんて、そこくらいじゃない?」
「……言われてみれば、空気が澄みすぎておるような気がするのぅ。……しかしはて?どこかで見たような気もするのじゃが……」
周囲は見渡す限りの木に囲まれ、その先を見通すことはできない。
私達がいる場所は、比較的開けた位置にあるが……ここから森の中に入れば、太陽すら遮られて薄暗い森の中を彷徨うこととなるだろう。
辺りを見回していたミラちゃんからは、この場所の空気が異常に澄んでいる、ということが情報としてもたらされる。……異様に澄んだ空気とか、もろにアレな情報じゃん……などと空笑いを浮かべていた私だが、続けて彼女が述べた内容に引っ掛かりを覚える羽目となる。
……見覚えがある場所?
そんな言葉を聞いた上で、改めて周囲を眺めて見ると……ふむ、確かに。なんとなくだけど、既視感があるような気がしてくる。それも、わりと最近見たことがあるような?……という既視感だ。
はて、最近見た森林と言えば、ナルト君と出会ったあの森、ということになるわけだが……。
そうして思考に耽っていたのが悪かったのか、はたまた単なる偶然か。
「ぬおわっ!?」
「……ってあれ?サイトの声?」
「っていうか、ゴンさんボイスじゃなくなってる!?」
「なぬ!?もう時間切れか!?」
いつの間にか森の中に入ってしまっていたらしいゴンさん達。
その内の一人であるサイトが、
……いやまぁ、正確には本当に元の声ってわけではなく、いわゆるベクターの声音だったわけだが……ともあれ、さっきまでの「
理由がわからず、かつ現在地もわからない以上、悲鳴をあげた彼を無視するという選択肢は存在しない。
ゆえに私達は、彼が悲鳴をあげた方角に向けて、急いで走り始めたのだけれど……。
「待て!待ってくれ!俺だ、サイトだ!怪しいもんじゃあない!!だから攻撃を止めてくれ
「信用できない。胡散臭すぎる、とりあえずこてんぱんにしてから捕まえる」
「きゅいきゅい!きゅきゅきゅい!!?」*2
……え、なにこの状況?
真月の姿に戻ったサイトが慌てて逃げているわけだが、彼をそんな風にしているのは、
刺さったら死なないそれ?……みたいな氷柱の
「なるほど呪い。胡散臭くなる呪いなんて、とても珍しい」
「……わかってくれてなによりだよ、全く」
真月やベクターの喋り方だと信じて貰えない、と彼が思ったかどうかは不明だが、意識してナポレオンっぽい喋り方になるように四苦八苦していたサイトは、現在服をボロボロにした状態で引っくり返っている。
……満身創痍、というのが正解だと思われるその姿で、タバサの言葉に空笑いを向ける彼の姿は、なんというかお疲れさま、という言葉しか浮かんでこない憐れさなのであった。
まぁ、そういうのええから、と言われて彼を立ち上がらせる手伝いをさせられることにもなったりしたわけなのだが。
ともあれ、落ち着いて話を聞ける、というのはとてもありがたいことである。
先ほどの予想が間違っていたことも含め、私達は理解できていないことが多い。ゆえに、まずはタバサへとあれこれ聞いてみることになったのだが……。
「……ふむ、なるほど?キュルケのフレイムがいつの間にか居なくなった、と?」
「そう。それを探して、私達はこの森まで来た」
彼女の言葉に、サイトがむぅと小さく唸る。
色々とあった結果、こちらの地球と繋がったこのハルケギニアであるが、それを知っている者・それによって影響を受けた者というのは実はそこまで多くない。
基本的には『虚無』に関わりのある者達に限られるそれは、逆に言えば普通の人々には関係がないということ。
タバサはポジション的には、知っていてもおかしく無さそうだが……とりあえずは知らない、というスタンスのようなのでこちらから突っ込むことはしない。
まぁ、彼女が知っているか否かの話は置いておくとして。
ともかく、地球とハルケギニアが繋がった影響、というものを受けている人間は少ないというのは確かな話。
それゆえ、大半の人々は今までと同じ暮らしを過ごしている。
それはタバサやキュルケ達も同じであり、色々あって王城に引っ張られっぱなしの
それが今の状況とどう関係するのか、って?
……ハルケギニアにだって
つまりはこうである。
いつもの四人組のうち、二人が欠員となってしまった彼女達は、夏季休暇に当たってタバサの家に遊びに行くことを提案。
そうして家に帰る途中、ちょっと休憩……と立ち寄った村で、いつの間にか
……ふむ、ってことはやはり、ここはハルケギニアに間違いない、ということになるわけなのだが……。
「……いや、勿体ぶることはせずに答えを言おう。恐らくはこの森、
「あちら……って言うと、ナルトを見付けた、あの?」
「そう、あれだよ。……つまり、今回の一件に関しては、ハルケギニアにその首謀者が居た……ということになるのだろうね」
恐らく、既視感を覚えたあの森は、この森と対となる場所──天然のゲートだったのだろう、という結論をみんなに聞かせる私である。
なお、その姿は現在
あとは、一応こっちの姿でもタバサとは面識があったため、真月姿のサイトの疑いを晴らすためのモノだった、というのも間違いではなかったり。
「……よくわからないけど、なにか問題が?」
「ああ、ちょっとね。……それでモノは相談なんだけど、そのフレイム探し、私達も一つ手伝わせて貰えないかな?」
「……?それは構わない。でも、貴方達にも用事があるのでは?」
ともあれ、この場でするべきことがなんなのか、なんとなく察した私はタバサに同行の許可を取る。
無論、彼女は私のことをシュヴァリエ──騎士だと思っているため、困惑を浮かべていたわけなのだが……それに関しては問題ない。
「いやなに。……困っている人がいるのなら助ける、というのは騎士として当然のこと、だからね」
ここの彼女は、確かに北花壇騎士団に所属こそしているが──それは正式に認められた場所、というわけではない。
原作と違い、ここのタバサは別に王女で無くなった訳でもなく、別に復讐のために生きてもいない。
単なる父や伯父への憧れから、騎士の真似事をしているだけであり、別に騎士としての爵位を持っていない彼女にとって──、
「か、かっこいい……!!」
「ははは。では、宜しく頼む」
「──了解、こちらこそ宜しくお願いする」
(……子供の真似っこにしか見えぬのぅ)
騎士然とした私の姿というのは、彼女にとっては憧れの対象になりうるのである。
こいつはまたいい子を騙すようなまねを……というようなミラちゃんの視線を受け流しつつ、私達は彼女のあとを追うことになるのだった。
……恐らくは、その先に他の