なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……つまり、どういうことなの?」
「難しく考えなくてもいいよ。
タバサの背を追って森を歩く傍ら、事情がよく飲み込めていない榊君から疑問の声があがる。
現状の私達は、いつの間にかサイト以外のゴンさん達の姿を見失った状態で、それを探すでもなくタバサの手伝いをしている……という風に見える。
無論、なんの考えもなしに彼女の手伝いをしているわけではないのだが……彼らに説明もせずに話を進めてしまったため、不満が出るというのもわからないでもない。
とはいえこれに関しては、タバサ達が探しているものについての仔細を知れば、自ずと理由は見えてくるだろう。
「キュルケさんの使い魔、だっけ?確か──」
「サラマンダー、じゃろう?火竜山脈原産とかなんとかの」
「あー、それは間違っちゃいないんだが……」
そんな私の言葉に、こちらの事情についてさほど詳しくない二人は、原作での彼女の使い魔──普通の
だが、それは隣のサイトがツッコミを入れているように、間違った知識である。
「彼女の使い魔はね、
「……ポケモン?」
「その通り」
そう、彼女の使い魔であるサラマンダーとは、
あの時は詳しく調べることも、調べるための時間や能力も制限されていたため、深く考えることもなく流していたが……そもそもの話、彼が『逆憑依』関連の存在であるということ自体は、あの状況でも確信はしていたわけで。
そんな彼が、いつの間にか逃げ出した。
それと時を同じくして、地球では幽霊騒動が起き始めた。
些かこじつけに近いが、両者になんらかの関係性がある……と考えるのは、『逆憑依』関連の事件の斜め上に飛んでいく方向性を思えばそうおかしな話でもない、となるわけなのだ。
「いやでも、ペガサスさんなんでしょ?この事件の首謀者って」
「協力者も居る、って言っただろう?」
「じゃが、ヒトカゲじゃろう?……ごまかしには役に立たぬと思うのじゃが……」
「考え方が間違ってるよ、彼は恐らく
「は?」
それでも、榊君達からは疑うような言葉が飛び出してくる。
確かに、一連の事件に関係性があるとするのであれば……ペガサス氏の関与は確定的である。
だが、だからと言ってポケモンが協力者だとダメ、という話にはなるまい。──なりきりは自由なのだから。
ヒトカゲでは、精霊達に偽装を施すことは叶わない。
確かに、ヒトカゲはあくまでもヒトカゲ、そういった偽装手段なんて……精々
エスパータイプでもないのだから、そこから自身になにかしらの偽装を加える……というのは不可能とまでは言わずとも、難しいと言うのは正解だと言える。
しかし、それらの答えが
「──『
「……あ、あー?もしかして……」
ここまで言えば、流石にみんなも察するというもの。……まぁ、
ともあれ、今回の相手が何者なのか。その答えは、もう半分以上出てきているということになる。
「最後の一人がなんなのか、わからないが……まぁ、ほぼ間違いないのだろうからこう言おう。──ペガサス氏とヒトカゲは、恐らく【複合憑依】だ」
「なんじゃと……?」
そう、三つの存在が重なりあい、生まれた存在。
いわゆる三人【継ぎ接ぎ】した時との違いは──それらの関係性が、まったく無くても構わないというところにある。……いや、先述した通り正確には
三つを束ね、一つとなった異端の存在、【複合憑依】。
それこそが、今回私達が追っている首謀者の正体なのだと、私は確信を持って口にするのだった。
「【複合憑依】、のぅ?……わしはあまりその実態について知らぬのじゃが、どういったものなのかのぅ?」
「私達もそこまで詳しいわけではないけど……【継ぎ接ぎ】とは違って、それぞれの存在の要素を保ったまま、人格の切り替えのように姿を変えられる存在……って感じかな」
変わらずタバサの背を追いながら、【複合憑依】について話をしていく私達。
実際、【複合憑依】は【継ぎ接ぎ】に比べると発見例が少なく、その実態にはまだまだ不明な点が多い。……いやまぁ、【継ぎ接ぎ】や『逆憑依』に関しても、まだまだわからないことは多いわけだが……それを考えてもなお、【複合憑依】にはわからないことがまだまだ残っているのである。
なにせ、こちら側で把握している【複合憑依】は例の社長・西博士と、今頃郷でカブト君やシャドフォ君とゴロゴロしているだろうCP君の二者くらいのもの。
噂では、西博士の個人的なあれこれで、何人か【複合憑依】を囲っている……みたいな話もあるが、確証はなく。……あともう一人ほどその可能性のある人物は居るものの、そちらも実際にそれを確かめてはいない。
要するに、その実態を把握するにあたって、あまりにもサンプルが少なすぎるのである。
っていうかほぼ唯一、そこら辺を自由に検査できるCP君にしたって、出会った当初自身を『失敗作』と言っていた通り、実は研究対象としては微妙だったりするため、実際はサンプルが少ないどころか絶無……って感じだったりするわけで。
……だったら西博士を調べればいいだろう、ですって?
あの人がこっちの思惑通りに動いてくれるわけ、ないじゃないですか(諦め)。
まぁそんなわけなので、【複合憑依】に関する情報というのは、ほぼほぼ
「それでもまぁ、なんとなくわかることはあるわけだけれどね。──彼らは恐らく、『掛け合い形式』と呼ばれるものの具現化だ」
「掛け合い形式、というと……」
「なりきりのやり方の一つ、ってやつだね。一人の人が、複数人を纏めてやる……って感じの」
そんな数少ない【複合憑依】についての情報。
その内の一つが、彼らは掛け合い形式と呼ばれるなりきりが、そのまま形になったものだろう……というもの。
掛け合い形式とは、その名の通り
掛け合い形式において、掛け合いをするのは
一人で二人以上のキャラをやるメリットは、主に望む空気を作りやすいことにある。
通常のなりきりでは、どうしても名無しに質問を投げて貰う必要があるわけだが、掛け合い形式においてはある程度自分だけで話を作ることができる。
名無しも別に一人しかいない、というわけではなく。人によっては意地悪な質問や、不快になるような質問を投げることで、場の空気を悪いモノに変えてしまおうとする者もいるだろう。
そういった、望まない方向への空気の変化を抑える、という面で掛け合い形式は優れているのである。……が、無論それは
そうでなくとも掛け合い形式は、中の人の存在を露呈するものである。……多重人格、かつ自由にそれを切り替えられるとかでもない限り、人格とは一人に一つきり。
つまり、掛け合いという形式そのものが、中の人がいなければ成立しないものなのである。──普通のなりきりが、ある意味では名無しにとって
……例としてあげるのは些かあれなのだが、いわゆるコスプレモノ、*3みたいなやつということである。
まぁ、なりきりという遊びをどう受け取っているのか、というのは個々人によって違うだろうから、あまり大きなことは言えないわけだが……大枠として、
なので、勘違いすらさせてくれない掛け合い形式は──やってる本人はいいのだが、名無し達からはわりと不評だったりするのである。
無論、本人の技量如何によっては、普通に人気になることもあるわけだが。……そこまでできるのであれば、普通に小説でも書いた方がいいのでは?……という気にもなるわけで。*4
ともあれ、【複合憑依】がそんな『掛け合い形式』が現実になったものである、とするのであれば。
同時に一つ、わかってくることがある。それが、
「キャラクターの選出基準は、やっている本人に委ねられるということ。……言うなれば、なにがでてきてもおかしくないということさ」
「……あー、じゃから
「そういうこと」
選ばれるキャラクターは、
すなわち、端から見れば選出基準が意味不明でも罷り通る、ということである。
西博士達のような、どことなく香る『創る者』としての共通点や。
CP君達のような、糸や虫・契約関連であるという共通点。
そういう、どことなく納得できるようなモノではなく、本当に突飛な──ともすればやっている本人が好きだから、というような雑すぎる共通点で選出されることもある。
それが、掛け合い形式におけるキャラの選出基準
「あー、クロスオーバーできるところじゃないと許されないもんね、そういう選び方」
「普通なら、仮にやれたとしても、選ぶキャラクターは同作品間に絞られるだろう。……今までの【複合憑依】達を見る限り、どうにもクロスオーバースレから来たのだろうな、という者達ばかりだけどね」
榊君の言う通り、そういう選出が許されるのは、それが許される場所でだけ。……言ってしまえば作品不問のなんでもありな場所でしか許されないため、基本的にはなりきり界隈でもかなり辺境となるわけで。
前例である【複合憑依】達の要素を見るに、数が少ないのはそのせいもあるのではないか?……なんてことを思ってしまう私なのであった。
「……静かに。気配がある、恐らくここ」
「おっと、続きは終わってから、かな?」
そうして話しているうちに、どうやら目的の場所にたどり着いたらしい。
こちらに静かにするように、と伝えてくるタバサに
そうして静かに、音を立てぬように彼女の背を追って飛び出した私達は。
「あー!!止めろお前らこっち来んなー!!」
「
「
「
「……確保ーーーーっ!!!!?」
そこにいた