なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「結局我輩が話さねばならぬ辺り、世の中というものは些か窮屈というか。やはり我輩蜂起するべきなのでは?」
「しなくていいです……」
「うむ残念。とはいえトリニティきっての常識人であるこの我輩が、率先して態度で示さねばならぬのもまた事実……。
「いらないです……」
結局この人と会話せなあかんのか、みたいな気分でどんよりする私達。
パイセンはあくまでもカヤバーンモードでなければ興味が無いらしく、現在は素直に帰っている。……後でニュースに赤い竜巻がうんぬんみたいなのが無いか確認しとかないと……。
なにはともあれ、話は再開された。
まぁ、ゲームについてはある程度聞きたいことは聞けているので、ここからは彼等自身についての話になるんだけれど。
「ふむ、さっきカヤバーンも言っていたが、『
「……BBちゃーん」
『効くとは思えませんけどぉ……えーい、フィクサービーム!!』*1
「あばばばばばばばっ!?」
「博士がゲーミングし始めた!?」*2
「誰が頭を回す鳥であるか!!……ん?反逆の翼翻したのだから我輩は鳥……?」*3
「……効いてるのかなこれ」
『反逆のロボが翼に戻っているので、ある程度は効いているのではないかと……』*4
うるさい博士にBBちゃんビームを撃って貰ったのだが……、うーん、ゲーミング博士は視覚にダメージを与えてくるな。これはこれで鬱陶しいと言うか……。
仕方ないのでもう一回BBちゃんビームを試したところ、とりあえず七色に光るのは収まったのでこれで良しとする。
「さて、どこまで話したのであったかな?」
「せんぱい!!どう反応していいのかわかりませんせんぱい!!」
「落ち着いてマシュ、もう我慢だ、私達は我慢するしか無いんだ……っ」
代わりになんかこう、無駄に爽やかな感じの緑色になってしまったけど。
……そのうち戻るだろうし、聞きたいこと聞いていこう、うん!!(現実逃避)
「クロの話であったか?であればきゃつは表に出てこぬと言っておこう」
「そりゃまたなんで?」
「自身の作りたかったゲームではなく、勝手に成長するゲームになってしまったからであるな。プライドとか刺激されまくって、出るに出られんという奴だ」
「なるほど……まぁ、ゲームに対してはわりと真摯に向き合ってたイメージもなくはない、か」
あくまでもゲームそのものに対しては真剣に取り組んでいたようだから、そこを利用されるのは我慢ができなかったのだろう。
……もっとも、彼を自由にさせるほうがあとあと問題になりかねないので、これがベスト?というのも間違いではないとは思うけど。
「大本を語れば、都合よく我ら三人を演じるものが居たから成立したわけではあるが、同時に『アレ』が
「……んー、そこまでする理由ってなんなんだろう?」
彼の言葉に唸る私。
……知識の違いとか見えないものとか、ちょくちょく平行世界から集められてるような気がするのは確かだったけど、そこまでする理由が見えてこない。
「我輩達が思うほど『アレ』は全能でも万能でもない、と言うことは確かであろう。それと、憑依そのものは隠れ蓑かも知れんであるな」
「隠れ蓑?」
「もしくは副産物か。いずれにせよ、布石か欠片かはそこらに転がっていよう、地道に拾い集める事である」
そこまで言って、彼は固まってしまった。
……もう言うことはない、ということだろうか?
まぁ、
「うむ、お帰りであるな?緊急脱出装置のおかわりはいかが?」
「いらないです……」
部屋を出る前のキャットからの申し出を丁寧にお断りして、そのままエレベーターへ。
一階に着いて外に出ようとした時、受付のお姉さんが小さく頭を下げているのが見えた。……普通なら、見送りの礼なんだろうけど……。
「『社長と秘書がご迷惑をおかけしました』、ってか?」
「そんな気がするよねー……」
なんとなーく申し訳無さそうだったな、なんて思いつつ視線を前に戻して。
「遅いわよ後輩」
「……なんで居るんですかパイセン」
何故か仁王立ちでこちらを待っていた
「いや、財布も携帯も無いってパイセン……」
「仕方ないでしょ、行きも帰りも吹っ飛んでいくつもりだったんだから。アンタが文句を付けなければ、何の問題も無かったのよ」
新幹線を待つ傍ら、合流したパイセンとあれこれと話す。
このパイセン、なりきり郷から赤い竜巻になって、直接ここまでやって来ていたらしい。
……普通にニュースになっていたので、BBちゃんに頼んで裏工作して貰うことになってしまった。
こうしてBBちゃんに頼りきりになるのも問題なので、パイセンには帰りは普通に帰って貰えるようにお願いしていたのだが……まぁ、まさかの無一文だったわけで。
それゆえ、彼女は私達が出てくるのを待っていたのである。
でもまぁ考えてみれば当たり前の話だった。
所構わず爆散する系先輩であるパイセンが、人の常識で語れる筈もなかったのだ(遠い目)。
「いや、そもそもだな?爆散して大丈夫なのかコイツ……?」
「そういえば後輩、コイツ誰?花の魔術師?異界の騎士王*5?」
「適当に櫻井ボイスのサーヴァント上げても、かすりもしませんよパイセン……」
ハセヲ君のもっともな心配と、今気付いたかのようにハセヲ君を怪訝そうに見るパイセン。
……なんだろうなぁ、この状況。
とりあえずハセヲ君の家に行って、彼の荷物をゆかりんに引き取って貰おうとしてるところなんだけど、パイセンが合流したことで地味にめんど……ややこしい事になっているような気がする……。
だってさぁ?
「ふーん、死の恐怖ねぇ……」
「おっ、ばっ、離せっってのっ!?」
二人の要素が変な化学反応を起こしたのか、やけにパイセンがハセヲ君に興味津々なんだもの。
……二人共人たらしだし、相性そのものはいいみたい、なんだけど。
いやー、年頃の少年にはあの姿のパイセンはちょっと刺激がキツいよなー。
傍から見てる分には仲のいい姉弟にも思えるけど、やられてる側からしたらまぁアレだよねー。
「わけのわかんねぇ納得してなくていいから!助けっもがもが」
「ふーん、随分と面白いものに好かれてるのね、お前」
……まぁ、パイセン色々無頓着なので、ハセヲ君は現在ラッキーで済むかどうかよくわからない目に合っているんだけど。羨ましいような、可哀想なような。
「まぁいいや。パイセン、新幹線来たんで乗りますよー」
「ん。行くわよニュー後輩」
「ニュー後輩ってなんだよ!?いいから離せーっ!!」
「はわわ、せんぱいこれでいいんでしょうか?!」
「パイセンの機嫌が直ったからいいんじゃない?ハセヲ君は犠牲になって貰いましょう」
「えええ………」
余程気に入ったのか、頭を抱え込まれたまま引っ張られていくハセヲ君に合掌しつつ、ちょっと引いてるマシュと一緒に車内へ。
なお、ここまでの変な行動は全て、事前にBBちゃんによって目立たないようにされているので悪しからず。
「?せんぱい、それは?」
「
「??????」
疑問符を浮かべるマシュに笑みを返して、そのまま座席へ。
流石に食い合わせ的な問題でりんごオ・レは後回しだけど、幕の内の方はお昼なのだしササッと頂いてしまうに限る。
「乗り物の中で食事?うるさいんじゃないの、そういうの」
「だからなのか、最近は車内の空調が結構高性能になってるみたいですよ?」
「へぇ……?」
匂いが気になるのなら、周囲に匂いを届かせなかったらいいじゃない、みたいな感じで車内の空調が進化したらしい。
まぁ、流石に匂いのキツいものはまだ無理があるみたいだけど、購買で売っている弁当くらいなら問題はないようだ。
……なんとなーく、弁当云々がなくても空調設備は発展していた気がするけど、それはまぁ置いておいて。
「ハセヲ君の家は確か大阪の方だっけ?」
「……そうだ」
食べなくてもなんとでもなるらしいパイセンを置いて、皆で弁当を突付きながらこれからの話をする。
とりあえず、今から向かうのはハセヲ君の家。
ゆかりんのスキマは原作ほど万能でもなく、知っている物や知っている人の近くにしか出せないのだそうで。
ネット上でアバターを見ただけだと『知っている人』判定にならないらしく、こうして私達がビーコン*7代わりに現地に向かっている次第である。
なので、向こうに付いたらゆかりんに連絡して、荷物を受け取ってもらった後、郷に直帰する予定だ。
……そのはずだったのだけど。
「パイセンがスキマ通れないので、人の方はそのまま電車でGO!*8です」
「……私のせいじゃないわよ、アイツの能力と私が噛み合せが悪いってだけなんだから」
なんでかわからないけど、パイセンがスキマに触れるとスキマが保てなくなるという怪奇現象が起きる為、私達はそのまま電車旅続行である。
……どうせ電車に乗るなら、時の列車*9とか銀河鉄道*10とか乗ってみたいものだ。
『せんぱいはどこに行こうとしているんですか?』
「時間の波を捕まえて遥か彼方のイスカンダル*11まで。……とか?」
『いや、聞き返されても困るんですけどぉ?』
BBちゃんの疑問に正直に答えたら、首を捻られてしまった。
……いやまぁ、ノリで言ってみただけであって、本当にイスカンダルに行って、その先で大量の戦艦達に迎えられるなんてことになっても嫌だなぁ……って後から思ったと言うか?
そんな事を至極真面目に答えたら、今度は呆れられてしまった。
ちゃうねん、私口は災いの元だって知ってるから、常に逃げ道残してるだけやねん。
「端から逃げ道用意してる時点で、言うほどわかってねーだろそれ」
「正論は人を傷付けるだけだぜハセヲ君」
横合いからのツッコミに澄まし顔で答える私。
……逃げられるなら逃げたほうがいいんだよ、なんて言葉は皆の苦笑を誘うだけだったのでしたとさ。