なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「こ、
飛び出してきた瞳の、あまりの規格外さに思わず戦いてしまう私達。
ペガサス氏にもヒータもといヒトカゲにも、相手を惑わすような技能はなかったはずだから、恐らくは幻術を使えるようななにかを持ちあわせている・または構成要素として誰かが居るのだろうとは思っていたが……よもや、ここでこの瞳が現れるとは思わなかった。
──『別天神』。天地開闢の時、イザナギやイザナミなどが属する
「と、言うことは──最後の一人はうちはシスイ?」*2
「いえいえ、違いマース!私たち
「……はい?」
それを自在に扱うというのであれば、最後の一人はその瞳の持ち主・うちはシスイか、はたまたそれを奪った
いやまぁ、確かにその二人が最後の一人だとすると『Y』の意味がわからないので、違うと言われれば納得はするわけなのだが。
ただ……『一人ではない』ってのは、どういうことなんです?
そんな風に困惑する私に、彼は微笑みながら左目を手で隠し……
なにかに気付きそうになったが気付けない……そんなもどかしさを抱えた私の前で、彼は朗々と自身の真名を読み上げるのだった。
「私の名前は、ペガサス・J・ヒータ・
「……か、カラスぅ!?」
そうして現れたのは──左目が万華鏡写輪眼になっている、一羽の
「え、は、え?か、カラスぅ~!?」
その姿を一目見た時の、皆の驚きは幾ばくのものか。
……いや、てっきり出てくるのは人だとばかり思っていたから、よもやさっきの『一人ではない』という言葉が
そんな風に驚愕する私達の前に現れたカラスは、しかして普通のカラスとは言い辛い風貌をしている。
左目が万華鏡写輪眼になっている、というところもそうなのだが……三つの足を持ち、燃え盛る炎を身に纏う姿は──確かに彼の告げた名前の通り、日本神話の神使・
「我 天馬 火霊使 統合」
「……え、なんかこのカラス喋ってるんだけど」
「しかも口調が凄く堅苦しい!?」
そんな八咫烏であるが、なんと普通に喋る。……いやなんでや!確かにカラスって結構頭がいいから、覚えさせれば普通に会話できるとは聞くけど!
……こちらの驚愕とか納得できない感は置いといて、彼の話を纏めると次のようになる。
彼の原型となっているのは、そのまま見た通りに『NARUTO』における『別天神』の万華鏡写輪眼を埋め込まれたカラスである。
で、なんでそんなことになったのかと言うと……、先ほど私が感じた違和感──左目そのものに理由がある。
そう、うちはシスイが
──そして、ペガサス氏の所持していた『千年眼』もまた、左目に埋め込まれた義眼である。
……つまり、すさまじく端的に言ってしまえば──鬼太郎君と目玉のおやじのような間柄が二人の関係、ということ。
ペガサス氏の伽藍の眼窩を埋めるもの。それが今はこのカラス君そのものである、というだけのことらしいのだ。
正直なに言ってんだこいつ感が凄いが、【複合憑依】に合理性を求めてはいけない。
同一事例のCP君を見ていればわかるが、切り替え可能ながらも他の要素との混成部分が存在する……というタイプも居ることは、最初から判明していた事実なのだし。
で、今の彼の姿──八咫烏のような姿もまた、その『他の構成要素の発露』によるもの、ということになるようで。
なので、元々のスレでの彼は普通のカラス──ポジション的には相槌を打つオウムのようなもの、だったのだとか。
ついでにさっきのペガサスさんに関しても、左目の万華鏡写輪眼とトゥーンと化した二人のカードという形で発露している、という解釈でいいらしい。
じゃあ、ヒータちゃんの時はどうなってるの?というと……、
「……まさか、今回の事件の主体がヒータちゃんの方だとは思わなかった」
「どういう意味さ!?」
再びヒータに戻った彼女の側に、侍るように寄り添う二匹の獣達。
特に捻りもなく、カラスとペガサスなわけだが。……うん、まんまこれが他二人の発露の仕方、ということのようで。
先ほどこのヒータちゃんはヒトカゲが『へんしん』したもの、という話をしたが、ヒータちゃん主体だと他の二名の疑獣化?みたいなものであるこの二匹に、自身の技を『自分扱いで付与できる』のだそうで。
ついでに言うと、カラスの方は──今は八咫烏状態ではないため、他の生き物の瞳に融合する……という形での変化ができるとかで。
……結果、巷の幽霊騒ぎの根幹である精霊達。
それは、左目が万華鏡写輪眼になった天馬が『かげぶんしん』して賄っていた、ということになるらしいのだった。……すっげぇ力業!
で、霊達の動きや力が小さい云々の話は、こっち側のミラちゃんが白黒騎士達を召喚する時に掛かっている制限と同じようなもの、ということになるようで。
「……なるほど、本体はここにいて、他は全部分身だったのか」
「ついでに言えば、捜索範囲を広げ過ぎてるもんだから、精々『別天神』での姿の偽装ぐらいしかまともに働いてなかった、と」
「……仕方ないでしょ、とにかく手数が欲しかったんだもん」
幻想種である天馬、そしてその瞳に宿る万華鏡写輪眼。
……これらを保ったまま複数に分身する、というのがよっぽど負担を強いるモノであったためか、結果としてその負担を軽減するために姿形がどんどん小さくなってしまった……というのが、日本各地で
……思わずなんだそれ、と呻いた私はきっと悪くない、はずだ。
「まぁ、どうやって騒動を起こしていたのか、ってことはわかったよ。……けど、どうやってここ・ハルケギニアから、地球に対して干渉を行っていたのか……ってところがわからないんだけど?」
驚愕を通り越して頭が痛くなってきたものの、話を止める意味もないので引き続き事情聴取の続きである。
代表してヒータちゃんに問い掛けた榊君。その内容は、このハルケギニアから地球まで、如何なる手段を以て干渉していたのか?……ということ。
確かに、『別天神』は強力な幻術である。……が、あくまでも幻術であるため、これが使えたからと言って移動が楽になったり、今まで行けなかった場所に行けるようになったりするわけではない。
例えばこれが『神威』の方の万華鏡写輪眼であったのならば、時空間を越えて別の場所に行くことも、もしかしたら可能だったのかもしれないが……それこそ、この状況下では無い物ねだり以外の何物でもないだろう。
とはいえ、この疑問については、私はなんとなく理由に目星が付いている。
「え、そうなの?」
「そうなの。……タバサはわかるかな、もしかして?」
「ん。恐らくは国が未確認のゲート」
ココアちゃんから疑問の声があがったため、そのまま(若干空気になっていた)タバサに投げる私。……かなり砕けた口調で突き進んでしまったが、とりあえずなにかを聞いてくる様子は無さそうである。
ともあれ、彼女が一国の姫君であることに変わりはなく。そして先ほどスルーした──地球とハルケギニア間を繋ぐゲートのことについても、知っていない方がおかしいということもあり。
答えはすんなりと……特に隠すこともなく告げられる。それに疑問の声をあげるのは、はるかさんだった。
「ええと、又聞きになるのでなんとも言えませんが……天然のゲート、というのはあの電気屋と繋がっていたもののこと、というわけではないのですか?」
「それだけだと、あの電気屋にしか繋がらないだろう?……UFO騒ぎの正体が空飛ぶ天馬だとしても、あそこから日本各地に送り出すだけでは時間が足りるまい。ゆえに、ゲートは一つだけではないのさ」
その疑問は、私達がここにやって来た時のゲート、あれはこの小屋からは遠いという事実。
……とはいえ、これに関しても答えは簡単。そもそもこの森自体が、次元境界線が不安定なのである。つまり、ゲートがとてもできやすい状態、ということ。
そして恐らく、この小屋は──それらのゲートを隠すためのもの、ということで間違いないだろう。
そう告げれば、ヒータちゃんは観念したように肩を竦めていたのだった。