なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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これを追うもの、その一切を諦めよ

「さて、今回の騒動のやり方のほうについては、ほとんど全貌が判明したわけだけど……」

「これをやろうと思ったっていう動機については、まるでさっぱり……ってやつだな」

 

 

 肩を竦めるヒータちゃんの前で、榊君とサイトが言葉を交わしているが……まさしくその通り。

 ここまでの話によって、どうやって(How done it?)この事件を起こしたのか?という部分については、大まかに知ることができた。

 ……そうなれば、あとは彼女達が何故(Why done it?)この事件を起こしたのか?……というところが、これからの話の焦点となってくるわけで。

 

 ──全国各地で起きた、些細にして小さな幽霊騒動。

 されどそれらは、騒動によって世を乱そうとしたわけではない……ということはなんとなく知れている。

 幽霊騒動は起きていた範囲こそ広く、その発生数もまた多かったものの、結局その中身は……悪戯にすら満たないような、あまりにもお粗末な現象ばかりであった。

 もしもこの程度の規模のモノを使って、なにかを起こそうとしていたと言うのであれば──それこそ、それぞれの事件達がなにかしらの意図で繋がり、結果として巨大ななにかを構成していた・もしくは別の儀式の下準備*1だった……くらいの話でなければおかしいことになるだろう。

 そして今のところ、それらの騒動が別の大きな騒動を引き起こした、もしくはその導線だった……というような話も聞いてはいない。*2

 

 ゆえに、彼女達はこの事件の首謀者ではあれど、決して悪意を以てこれらの騒動を起こしたわけではない、と言うことは簡単に想像が付くのであった。

 ……と、言うような感じに彼女に問い掛けてみたところ、返ってきた答えは──これまた、こちらの想像を斜め上方向に振り切ったようなものだったのである。

 

 

「……エリアを探してるぅ?」

 

 

 こちらの聞き返すために放った言葉に、不承不承といった風に頷くヒータちゃん。

 

 彼女が説明した『今回の事件を引き起こした理由』とは、私が今しがた口にした通り()()()()()()()()()、というものだったわけなのだが……。

 ええと、この場合の『エリア』っていうのは、場所(area)とかの意味の言葉*3、ってわけではなく……?

 

 

「それって()()使()()()()()のことを指してる、ってことでいいんだよね?」*4

「……そうだよ、私()はエリアのことを、ずっと探してたんだ」

 

 

 ──彼女達、霊使いのカテゴリに含まれるカードの一つ。

 その中でも()属性を担当しているキャラクター、『水霊使いエリア』のことで間違いない……と、彼女は榊君の問い掛けに対して答えていたのであった。

 

 水霊使いエリアと言えば、リンク版の20thシクの店売り価格が八十万くらいになることもあると噂の、かなり人気のキャラクターのはずである。*5

 

 実際、霊使い系列の中でも光と闇を除く──俗に言う『四霊使い』の中において、トップを争う人気カード*6が『エリア』を名前に含むカード達であり、更には彼女と『風霊使いウィン』の二人だけが、リメイクというか派生というか……ともあれ、そういった感じの()()()()()()()が存在していることでも有名だったりする。*7

 

 ……まぁその辺りは、逆になんでヒータとアウスはリメイクカードが作られなかったんだろう?……とか。*8

 リメイク元とその相手である『ウィン』と『ウィンダ』は、関係性としては姉妹らしいという話があるが、同じような立場の『エリア』と『エリアル』の関係はどうなっているのか?……とか、色々とツッコミたいところは山ほどあるのだが……とりあえず、その辺りは脇に置くとして。

 

 ともあれ、彼女の口振りから察するに、他の二名──アウスとウィンに関しては、既に見付かっているようにも聞こえるわけで。

 そのことを私が疑問に思っていると、それを察した彼女が『今思い出した』とばかりに説明を付け加えてくる。それによると、なんとこの二人の所在は……。

 

 

「……ヴェルダンデとシルフィードがその二人ぃ!?」*9

「えっと、シルフィードって言うと……?」

「──びっくり。貴方、私に隠し事してたの?」

「きゅい、きゅいきゅい」*10

 

 

 ──()()()()()()()()()使()()()

 この二匹が、彼女の言う『他の霊使い』であるらしいとの言葉が、まるでそんなの当たり前でしょ?……と言わんばかりに返ってきたのだった。

 

 ……そういえば、この二匹についてもあまりちゃんと確認をしたことはなかったはずだし、シルフィードについては変身しても原作と同じ姿になるだけだろうと思っていたから、余計のこと特に気にもしてなかったような気がしますネ?

 

 思わずうっそだぁ、なんて言葉を呟いてしまう私の前で、これ見よがしにシルフィードが人型に変身してみせてくれたのだが……その姿は確かに、『四霊使い』の内の一人にして人気キャラの片割れ・『風霊使いウィン』のになっていたのだった。

 ……いや、原作のキャラ(イルククゥ)の雰囲気と違いすぎやしないこれ?*11なんてことを私がぼやけば、失礼しちゃうのね!という風に憤慨されてしまったのだった。

 あ、性格付けはシルフィードの方なのね、君……。ええと、【継ぎ接ぎ】系ってことなのかな、これ。

 

 そんな風に混乱していた私だが……ここで、とあることに気が付いてしまう。

 実際にシルフィードが『ウィン』だったことを見るに、ギーシュの連れているあのモグラが、変身したら意外とナイスバデー(死語)なアウスちゃんの姿になる……というのは、半ば確定事項となってしまったということに。

 

 ええ……?もしかしてあの子(ここのギーシュ)、使い魔さえもハーレム要員になってるというの……?

 どんだけラブコメ体質やねん、と思わず呆れ返ってしまう私であった。

 

 そんなことを考えたところで、確かに『ゼロの使い魔』において目立つ使い魔達と言えば、その三匹とあとはサイトくらいのものである、ということを思い出してしまう私である。

 

 ……いやまぁ、正確には()の使い魔がまだいるのだから、視点を世界全体に向ければもう少し目立っている対象、というものは増えるわけなのだけれど……それでも、非人型の使い魔において目立っているのはその三匹、という事実に変わりはない。

 一応、ギーシュの恋人であるモンモンの使い魔が、確かカエルでかつ彼女の属性的に『エリア()』のポジションに当てはめられなくもない存在なわけなのだが……。

 

 

「女の子にカエルは……ねぇ?」

「OCGだとガエルデッキとかもあるし、『美少女×カエル』って括りでも閃乱カグラとかあるけどな」

「そこははっきりと『モンモンの影が薄い』って言ってやれよ」

「……真月化してるからって、なんでもかんでも許されると思ったら間違いだよサイト」

「……オーケー、口が滑ったってことで見逃してくれないか?」

「帰ったらなにか奢りで」

「……りょーかい」

 

 

 女の子にカエル……という絵面が、一部のキャラクターを除いて不適切みたいなものであるということに気付いた私は、思わず天を仰ぐ羽目になったわけなのでしたとさ。

 ……モンモンって、原作でもあんまり扱いよくないよね……なんてことを思わなかったわけでもないが、口に出すか否かは雲泥の差。……というわけで、迂闊にも口を滑らせたサイトはあとで罰ゲームである。

 

 まぁ、ここのモンモンに関しては『ギーシュラブコメ編』のメインヒロインと化しているので、目立たないなんて評とは無縁も無縁なのだが。

 ……え?メインヒロインの金髪枠は、読者人気微妙な予感がする?いや、どこのヤクザラブコメですかねそれ。キムチはノーセンキューですよ?*12

 

 ともあれ、ここでも『四』という数字が絡んでいる辺り、どうにも『四』という数字はこのハルケギニアにおいて、治安や特定のグループにおける構成人数など、様々な場所で活用されている数字……ということになるらしい。

 

 それゆえ『四天の竜』『四つの四』『霊使い』などのように、色んな『四』を呼び寄せ、呼び寄せ……?

 突然不自然に動きを止めた私に、周囲のみんなが困惑する中。

 私は『四つの四』、というワードに意識を持っていかれていた。

 

 この『四つの四』という言葉、『ゼロの使い魔』においてはグループ内の構成アイテム・人が『四』になる項目が、四つ揃っている(4×4)……ということを示す言葉である。

 国宝である『始祖の祈祷書』などを指す『始祖の秘宝』に、『ガンダールヴ』などを含む『始祖の使い魔』。

 様々な色を持った『始祖のルビー』に、それから四人の『虚無の担い手』。

 これらの『四つの四』が揃う時、虚無は真の力を発揮する……みたいな話があるわけなのだが、わけなのだが……?

 

 

「……四天の龍、四霊使い。一つ欠けた『覇王龍』に、一人欠けた霊使い。……いやいや、いやいやいや……?」

「……え、どうしたのこの人?」

「あー、気にしないで。とりあえず色々考えている、ってだけだろうし」

 

 

 外野があれこれ言っているが、私としてはそれどころではない。

 

 以前、私が冗談めかして「私も『我らが一つに』する羽目になるんじゃ?」みたいなことを言ったことがある、ということを覚えているだろうか?

 それを踏まえて、私の周りのことを見てみると。……今の私はシルファなので現状としては外れているけれど、本来ならばキーア・ビジュー・キリアと、私と同じ顔の人物……というのは()()()()()()()()()、ということになるわけで。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()──。

 この状況の不可解さが、私の脳裏に警鐘を鳴らしている気がしてならないのである。なにか、なにかを見逃しているのではないかと。

 

 ──そう、本人に悪意はなくとも。

 それを悪用する誰かが居るのであれば、善意もまた人に牙を剥くこともある……という、一つの真理を見逃しているような──。

 

 

「えっと……シルファ、ちゃん?でいいのかな?……んもー!一人で唸ってちゃわからないよー!」

「あ、ああ。ごめんねココアちゃ」

「え、また固まっちゃった!?」

 

 

 そんな私を心配したように、ココアちゃんがこちらに声を掛けてくるのだが……私はここで、とあることに気が付いてしまうのだった。

 そう、それは。

 

 

「──ヒータちゃんっ、ペガサスさんには変身しないで」

「はい?」

 

 

 ──今この場に居る()()()()()()が、丁度三人と四人の狭間にある、ということに。

 

 

*1
『このカード名のカードは一ターンに一枚しか発動できない。①:デッキから儀式魔法カード一枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター一体(いったい)を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード二枚を手札に加える』……え、違う?

*2
作品の作り方の一つ。小さな物事が大きな物事に発展していくという点で『セカイ系』などが近いか

*3
もしくは地域・範囲。広さに関係なく特定の区域を示す言葉、としてはもっとも一般的な語なのだとか。また、面積の意味も持っている

*4
『遊戯王OCG』のカードの一つ。いわゆる『霊使い』と呼ばれるカードの中でも、特に初期に登場した『四霊使い』(光と闇を除く、地・火・風・水の霊使いのこと)に含まれるカードの一枚で、青髪ロングの女の子。基本的には自身の属性や効果の及ぶ属性が違うだけで、効果そのものはほぼ共通というカードが多い。……多い、というように微妙に効果の違うカードも存在する(『霊媒師』系。なお2022年07月現在、風と地しか存在しておらず、そもそも風と地の登場時期におよそ二年半近いずれがある(2020年01月/2022年4月)。一番最初の『四霊使い』が同じパック出身なだけに、随分とずれたなぁと思わざるをえない。……まぁ、それに関してはリンク版の方も同じなのだが)。なお、名前の由来は『水瓶座(Aquarius)』(アク『エリア』ス。他が『ヒート(ヒータ)』『アース(アウス)』『ウインド(ウィン)』とわかりやすいのに比べて、ちょっとお洒落な感じ)

*5
347話参照。なお次点は同じ品質区分(極美品)かつ同じサイトでの『蒼翠の風霊使いウィン』で、価格は50万円ほど

*6
販売価格で見るに、人気順はエリア≒ウィン>ヒータ>アウス、と言った感じだと思われる。闇担当のダルクは男の子なので判定が難しく、光担当のライナは更に難しい(なんとなくエリアとウィンの間くらい?)。……最近地霊媒師となり、ナイスバディなスパッツ眼鏡っ娘であることが注目されたアウスも、もうちょっと人気になってもいいんじゃないかと思わないでもない

*7
『ガスタの巫女ウィンダ』及び『リチュア・エリアル』のこと。この内『エリアル』の方は、エリアとの関係がどうなっているのか、説明がされたことがない(ウィンダの方はウィンとは姉妹である、と明言されている。……それはそれで『四霊使い』達の世界が、あのとにかく滅びかけることで有名なデュエルターミナル世界と同一かも……ということを示唆することになるので、色々紛糾したみたいだが)

*8
一応、同時期の担当属性のモンスターが異形系に近い『ラヴァル』と『ジェムナイト』であった為、人型の彼らを出し辛かったという面も有るのかもしれない。……え?『ラヴァル』側は三姉妹とか普通の人っぽいのも居た?

*9
『ヴェルダンデ』はギーシュの使い魔の『ジャイアントモール(巨大モグラ)』。効果な宝石の匂いが好きなのだとか。……食べるのだろうか?

*10
別に聞かれなかったし、あの時のお姉さまにそのお話をしても、多分意味がわからないだろうと思ったから特に言わなかったのねー

*11
『ウィン』にはどことなく大人しそうなのイメージがあり、天然かつ破天荒気味なシルフィードには似合わないような、の意味。逆にいうとちょっと破天荒なウィンが生まれてしまった、ということでもある。……ん?破天荒……吹き荒れる……うっ、頭が!

*12
『ニセコイ』のこと。『キスしてもいい?』を『キムチでもいい?』と聞き間違えたという主人公の鈍感さは、これからも語り継がれていくことであろう……

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