なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「おや、これは珍しい。こんにちわですキリアさん」
「はい、こんにちわ琥珀ちゃん。今日はどういう実験をする予定なのかしら?」<ワクワク
「……なんで私よりもワクワクしてるんです?この人」
「キリアさんからしてみれば、世界の全てが楽しいのだそうで……」
「なんて生きやすい
紫ちゃんのスキマによる移動は、琥珀ちゃんの居住区である隔離塔や凍結塔のある
なんでお前がそれを知ってるの?という疑問に関しては『私だから』と答えるとして……ともあれ、今回の主役である琥珀ちゃんとのご対面である。
基本的に人には鬱陶しがられる私だけれど、琥珀ちゃんにはそういうところが少ないので、実はちょっと悲しいキリアさんだったり。……それを口に出したら、「この人めんどくさいです」と真顔で返されたのだけれど。
「なにをしても堪えないんですけどー!なんなんですかこの人、無敵なんですかー!?」
「失礼な。私よりも強い人なんて、それこそ掃いて捨てるほど居ると言うのに。無敵なんて称号、烏滸がましすぎない?」
「……自信満々で自身の弱さを主張する人、って中々意味わかんないわよね」
まぁ、最近はそういうキャラクターも増えたけど、とため息を吐くシャナちゃんである。……失礼な、私はそんじょそこらの最弱には勝てないほどに最弱なんだぞぅ、と返せば「はいはい」と雑にあしらわれてしまう始末。解せぬ。
……こうして遊んでいると、いつまで経っても話が進まないので、いい加減自重する私なのでしたとさ。
いやさ、別に私としては話が進もうが進むまいが、一向に構わないのだけれどね?
「だーめーでーすー!!」
「紫ちゃんにこう言われてしまえば、私としてはこう返すしかないわけなのです。──だが断る」
「用法違いでしょ、それ」*1
いいえ、
……ともあれ、大人しく琥珀ちゃんの案内に付いていった私達は、そこで別の人達と邂逅することになるのでした。
「ええと確か……かようちゃん、で間違いなかったかしら?」
「そうですよー、こんにちわキリアさん。……ええと、キーアさんのお母さん、でいいんだっけ?」
「んまっ!この子よーくわかってるわねいい子ね!ねぇねぇマシュちゃん、この子うちの子にしてもいーい?」
「いやダメですよ!?というかいきなりなにを仰ってるんですか?!」
「ダメよと言われれば隙のうち*3、私はそれを止めません!母ビーム!母ビーム!」
「うわぁっ!?いきなりハジケリストめいたテンションになるの止めて貰えるー!?」
そのうちの一人は、かようちゃん。
見た目は黒い宮内れんげ……みたいな彼女は、
その時色々と聞かせていたからなのか、彼女の私への認識は『キーアの母親』というイメージで、なんとなく固まっている様子。……つまりは英才教育完了、というわけね!
まぁそれは裏を返せば、彼女は他の面々よりも遥かに
ともあれ、彼女が実験のお手伝いというか、実験の被験者であるというのは間違いないとのこと。……と、言うのも。
「荷葉さんは『逆憑依』という事象の根幹に、一番近い位置に居らっしゃる存在ですからねぇ」
「まぁ、そもそもそれをした時の
「えーと……『第二形態』ってやつの話をしてる、ってことで間違いないかしら?」
──彼女という存在は、色々な無茶の上に成り立っているものであるから、というのがその理由。
色々な条件──必要な力や、現世への依り代を捻出するためのあれこれ、それから場所の選定と、前例となりうるマシュちゃんの存在に……と言った感じで、本来であれば満たすことはまずできないだろう条件をクリアし。
それでも足りない分を『第二形態』──その時使ったのは正確には『
……私はまぁ、又聞きでしかその辺りのことを知らないわけだけれど。
そのあと更に『
「……?でもキリアさんがこっちに来たの、一番の理由はビーストとのあれこれでキーアさんが『第二形態』を使ったから……なんだよね?」
「そうねぇ、それが一番の理由なんだけど……そもそもの話、
「は?」
「ええと、恐らくはですが……キリアさんの出現条件には、『世界が滅びかけている時』と言うものが含まれていました。【星の欠片】は錬金術の理論──全と一の関係を転用しているともお聞きしましたし、それを踏まえるのであれば……せんぱいという個人の衰弱を、せんぱいという
「んー、解答としては五十点だけど……まぁ、まるっきり間違いというわけでもないわねぇ」
なお、かようちゃんからは結局『第二形態』──自身を生け贄にしての、
……まぁ、それが理由の全てなら、私はもっとお手軽にこっちに出てこられるわよ、としか言いようがなく。
言うなれば、段階を踏まなきゃ召喚できないモンスター、というのが私なのである。
遊戯王で言うところの『スピリッツ・オブ・ファラオ』とか、ユベル最終形態こと『ユベル─
とにもかくにも、私という存在が周囲に与える影響というのは甚大。正規に召喚されうる状況ならば、それはすなわち世界の終わりの時と等価でなければならないわけで。
それを別口で──いわば抜け道的に召喚したのが、今の私。……すなわち、段階的に慣らすことで世界に拒絶反応を起こさせないためのアリバイ作りをした結果、ということになる。
そういう意味で、『一と五分の一』に『一と半分』という段階を踏んだ彼女は、期せずして私が不正規召喚されうる状況を築き上げていた、というわけなのでしたとさ。……まぁ、その辺りの話は色々ややこしいので、ここで語ることはしないけれど。
なお、ここまで語った結果、周囲のみんなは微妙な顔をしていた。……まぁ、言うなればオリジナルキャラのオリジナルな設定を流し聞かされていた……みたいなモノなのだから、その反応も仕方ないのでしょうけど。
「……あとでレポートにでも纏めて貰える?」
「あの子のノートでいいなら渡すけど?」
「気軽に黒歴史を開帳しようとしないでください!!?」
それでも、この場所の長として理解しよう、という気概を見せる紫ちゃんに、私は
案の定というかなんというか、途中でマシュちゃんにインターセプトされてしまうのでしたとさ。……せんぱいの名誉を守る、ということなのかもしれないけれど。その気持ち、実際にモノを前にした時、いつまで保っていられるかしらねぇ……?
「未だかつてないくらい、魔王めいた顔してるわよ貴方」
「おおっと、ついよだれが」
「この人、本当に無敵なのではー?!」
なお、そんな考えが顔に出てしまっていたのか、シャナちゃんからは呆れたようなツッコミを入れられてしまうのでしたとさ。しょんぼり。
「……うち、もう帰ってええか?」
「おおっと!すみませんでしたタマモクロスさん、いいえ謎のウマドルタマモ
「なんで言い直した!?なぁ、なんでわざわざ言い直したんや琥珀ぅーっ!!?」
「あはははー☆軽いジョークですよー、ジョークゥー」
「おっと」
なお、そうして好き勝手に話を続けていた結果、ここにいた被験者の片割れ──タマモクロスちゃんが、心底疲れたような顔をしてこの場を去ろうとしていたのだけれど。
それを目敏く見付けた琥珀ちゃんに絡まれて、自身の属性の解消を行う機会が損なわれる可能性、というものに改めて気付かされ、渋々といった表情で元の場所に戻ってきたのでした。
まぁそんなわけで、今回の琥珀ちゃんの実験。
それは、【継ぎ接ぎ】という現象についての解明、ないしそれに近付けるように研究を重ねる……というものになるようだ。
「そもそもの話、キーアさん達が外に出た理由の一つに、【継ぎ接ぎ】をひっぺがすのに失敗したから……というのもあります」
「ええと確か……サイトさんのナポレオン分の分離を行おうとした結果、何故か真月さんに変じてしまった……のでしたよね?」
何故今その実験を行おうとしたのか?
その理由の一つに、先んじて別の実験が失敗していたから、というものがある。
いわゆる『変身』と【継ぎ接ぎ】が相性がよい、というのはそこのタマモちゃんの例からわかることでもある。……実際紫ちゃんだとかキーアちゃんだとか、他の成功例も多数存在している、いわばポピュラーにしてベストな対処法だったわけで。
それが失敗した、となれば原因の究明を行わなければならない、というのは道理。
その為、特に【継ぎ接ぎ】と深い関わりのあるこの二名が、今回の被験者として選ばれたのだそう。
「アルトリアさんも、言うなれば【継ぎ接ぎ】の申し子のようなモノですが……あの方の場合は、それ以前に【顕象】であるということの方が大きいですから」
「あー、確か【顕象】相手だと【継ぎ接ぎ】が馴染みやすすぎるんだっけ?」
それならば、存在そのものに【継ぎ接ぎ】が深く関わっているアルトリアちゃんや、ハクちゃん達も呼べば良かったのでは?……という疑問には、彼女達は実験結果がそのまま定着する可能性があるため、迂闊なことはできないとの返答。
……まぁ、【継ぎ接ぎ】は後から設定を付け加えるモノであるけれど、彼女達は存在が不安定だから、与えられたモノを全て自分のモノにしてしまうかも?……という不安は、決して行き過ぎたものだとは言えないでしょうね。
ともあれ、今回の実験──【継ぎ接ぎ臨床試験】において、この二名がベストな人材である、ということは琥珀ちゃんが調べた限りでは間違いなく。
そんなこんなで、実験はいっそ和やかな空気のまま、緩やかに始まるのでしたとさ。
そういえばこの話で一周年となりました、ありがとうございます(?)