なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
その変化の発端がどこにあるのか、と問われれば──恐らくはコナン君がここに現れた時、ということになるのだろう。
彼はなにかを追っていた最中、突然現れたゲートによってこの場所に飛ばされてきた、ということだったが……それはすなわち、そのタイミングでわずか一瞬のこととはいえ、この施設が
「なんなんでしょうかねー、このパラメーターの異常。あはははー、琥珀ちゃんもうお手上げでーす☆」
「ちょっ、頑張って琥珀ちゃん!?貴方が匙を投げたら、誰がこの異常事態を解決するのよ!?」
「やりました……やったんですよ!必死に!その結果がこれなんですよ!コンソールを叩いて、データとにらめっこをして、今はこうしてプログラムの海を泳いでいる。これ以上何をどうしろって言うんです?何を治せって言うんですか!」*1
「……実は余裕ある?」
「ないですー!!思わずバナージ君みたいに叫んでしまいましたけど、完全に原因不明でお手上げですー!!!」
結果として、先ほどまでの設備は謎の巨大森林に変化。
その巨大さに合わせたかのような、巨大な生き物達が跋扈する中を、被験者二人組はぴょんぴょんと飛び跳ねながら、実験をこなしているのでありました。……いやなんで?(真顔)
とりあえずこの森林に住まう巨大生物達は、こちらに敵意を向けたりはしていないようなのだけれど……だからといって近寄られても怖くないか?……と言われればノーと答えるしかないと言うか。
いや寧ろ逆に聞くのだけど、なんであの二人平気な顔して実験続けてるの……?
いやまぁ、巨大カブトムシが
「し、死ぬかと思た……これがユニバースの洗礼、ちゅーやつなんやろか……?!」
「え、ユニバース?……タマモお姉さん、ユニバースってなに……?」
「あー?……えーと、ユニバースっちゅーのはなー……?」
(なんかいつものこと、みたいな雰囲気で流されてる……!?)
でも、周囲が突然大きくなったことに関しては、いつものことやろ……みたいな感じで流してしまっている辺り、彼女も色々毒されてるんじゃないかなー、とキリアさんは思ってしまうのでしたとさ、まる。
「え、あれって演出っちゅーか、そういう実験やったんとちゃうんか?」
「この
「いやー……流石の私でも、いきなり生き物達を巨大化ー、とかはできないですねー。……いやあの、マシュさん?何故そのような疑わしげな視線を、私に向けていらっしゃるのでしょうか……?」
(……『琥珀さん』という括りですと、あり得ないとも言い切れないのが怖いところですね)*2
一先ずこちら側に呼び戻した二人は、わりとけろっとした表情で先ほどまでの実験内容を述懐していた。
……突然巨大な虫とか目の当たりにしたら、普通はビビり散らしそうなものだけれど……この二人はわりと虫とか平気な方みたい。強い(確信)
ともあれあれが正常な処理ではない……と聞かされれば、流石に実験に戻る気も起きなかったようで。素直にセーフハウス*3……もとい管制室に戻ることにした二人である。
そんな二人の決断に胸を撫で下ろしながら、琥珀ちゃんは腕組みをして、うむむと唸り始めたのでした。……疑われた件について?それはマシュちゃんが口に出さなかったからスルーですね()
「ふぅむ、どうやらこの設備に備えられた機能の一つ・フィールドチェンジの部分が、なんらかのハッキングを受けた……ということで間違いないと思っていいみたいですねー」
「フィールドチェンジ……?」
「はい、フィールドチェンジ──大雑把に言うと、
「まさかのデュエリスト案件だった!?」
彼女の説明を要約すると……設備の用意と言っても、毎度毎度人員を湯水のように投入して準備する……というのでは、予算が幾つあっても足りやしない。
それを解消するために、デュエリスト技術の一つである『リアルソリッドビジョンシステム』の解析を進めていたとかで……今回の施設の用意にも、一部その機能が使われているのだそうな。
先ほどのお手伝い君達が入れ換え作業を行っていたのも、そうした『システムを利用していない基幹部分の入れ換え』が主目的だったのだとか。
……まぁ要するに、現代のAR分野でよく使われている手法──オブジェクトは実際に用意し、その上に映像を貼り付けるというやり方に準拠したモノが、現状でのリアルソリッドビジョンシステムの使い方……ということになるわけだ。*4
「ですから本来ならこんな風に、元の設備とはかけ離れたわけのわかんないモノになんて、変化するはずがないのですが……」
「実際問題、実験室の中は古代林状態になってしまっている……ってわけね?」
紫ちゃんの言葉に、こくりと頷く琥珀ちゃん。
現在、強化ガラスを挟んだ向こう側に広がっているのは、ともすれば恐竜とかが闊歩していそうな感じの大森林。
……キャラさえ存在するのであれば、巨人とかが走り回っていてもおかしくなさそうな風景とも言えるそれ*5は、見た目だけを再現しているというには、明らかに変化が大きすぎるもので。
そのためこの現状は何者かが、こちらが装置に設けていたリミッターを意図的に解除して、システムを最大稼働で悪用しているの結果なのではないか?……というのが、琥珀ちゃんの予想となるのであった。
……まぁ要するに、
結局デュエリスト案件じゃないか、とか言ってはいけない。
「つまりこれは、相手に装置を悪用された結果だから、それを停止させれば元に戻るはず……ってこと?」
「恐らくはー。……ですがですね?こっちもその対処法については早々に思い付いて、現在試している真っ最中なのですがー……」
「その様子だと、電力を落とそうにもこっちの操作を受け付けない……みたいな感じかしら?」
「その通りなんですよシャナさん。現在ソリッドビジョンシステムは独立稼働中、こちらの操作を全て弾いてしまっているのですよー……」
とはいえ、所詮は装置を介しての行動。大本の機械を止めてしまえば、この変化も止まるだろう……と思っていたのだけれど。
現状はこの通り、電力供給をカットしようにも、その辺りのコントロールは向こうに完全に掌握されてしまっており、もはや管制室からの操作では止めることどころか地上に助けを求めることすら儘ならない……なんてことになってしまっているらしい。
……それって遠回しに、主電源を
「あっはっはっはっ。……気分はジュラシックパークですね☆」
「言外に『森の中へ突撃してね』って宣言したわこの子……!?」
空笑いを浮かべながら、てへぺろして見せる琥珀ちゃん。
その言葉の内に秘められた思いを、正確に察してみせた紫ちゃんはというと、思わずとばかりに驚愕していたのでした……。