なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「というわけで、と!言うわけでぇ!この通り、余であるぅ!いや、水着と言えば余、夏と言えば余!余が顔見せをしない夏祭りなど、りんご飴の無い屋台と同じようなもの!いきなりの余の美貌に皆が溺れるとも、余は元気に楽しむぞ!まさにぃー、余!」
「すいませーん、皇帝陛下はお帰りでーす」
「なぜだっ!?」
行きのバスに乗り込む前に、自己主張が激しい皇帝陛下は絶版です(真顔)。*1
そんな感じで彼女に自重をお願いしたら、渋々と頷いてくれた。
……外に出られる機会は意外と少ないので、その少ない機会をふいにしたくない、といったところだろうか?
まぁ、向こうに着いたら存分にはしゃいで貰って構わないので、それまで我慢して頂きたい。
折角【
「ならば余が主張するのは当然であろう!余が楽しければみんな楽しい!まさにwin-winではないか!」
「それ以上
「横暴にもほどがあろうっ!!?」
大袈裟に泣き声を上げた皇帝陛下の背を押して、バスの中に進ませる。
……いやだってねぇ?
ネロちゃまってば、根本的に唯我独尊なんですもの。*3
貴方
ほら、トランプとかありますよ?なんて風にあやしながら、バスの内部を覗き見る。
三階建てのバスの中では、今回海へと向かうにあたり召集されたメンバー達が、思い思いに話をしているのが見えた。
元となった【夜の騎士バス】とちょっと違って、このバスは外と
なので、見た目よりも遥かに中は広くなっているし、その大きさに反して、細い場所や狭い場所だって通ることができる。
正直、調整をミスると、内部と外部がねじれて壊れそうな感じさえあるこのバスを、こうして見事に一つのバスとして仕上げてみせた職人には、素直に称賛の声を送る以外に無いと思う。*4
つまり、今回の小旅行は、そんなもの凄いものを借りて行われているのである。
なので団体行動である事を心掛けて、他者の模範になるように努めて頂きたい……というのが、今回の私の偽らざる素直な気持ちなのだ。
「なーのーでー、今日の私は風紀委員キーア!おふざけは、許しません!」*5
「せ、せんぱいがいつになく燃えていらっしゃいます……!」
『元々わりと仕切り屋気質というか、規範に煩いところとかありますからねぇせんぱいは。最近はちょっとなりを潜めていたみたいですけど』
「へぇ、キーアって普段はそんな感じなのか。……まぁ、風紀委員も悪かねぇよな」
「ほうほう、なるほど銀ちゃんはまじめな人がお好き、と。いやー、すみにおけませんなー」
「ちげーよ、単純に眼鏡でポニテなのがいいんだよ、似合ってるし」
「……それ、微妙に中の人ネタ混じってねーか?」*6
おっと、早速わちゃわちゃしている組が。
ここに居るのはマシュとBBちゃん、それから銀さんにしんちゃんとハセヲ君である。
男女のバランスがいいですね、向こうに着いたら私も合流するのでそのように。
みたいな事を言い置いて、ネロちゃまを参加させる組を探してあっちこっち。*7
「おお、なんと美しい!余に勝るとも劣らぬ美しき女神が二人も!それとそこに居る可憐な二人、そなたらも実に愛らしい。余のハレムに、今すぐ加えたいくらいだぞっ!」
「おいこら皇帝、そこには絶対に参加させないから、さっさと次行きますよー」
「なぜだっ!?余のハレムぅー!!」
「……え、なんだったんだい今の子?」
「今のはネロちゃんね。あの子はいつもあんな風に元気いっぱいですから、わたくしもあの子を見ていると、思わず笑みを浮かべてしまうのです」
「んー、私にはエウロペさんが危なっかしい人だ、ってことくらいしかわかんないや!」
「なんだその感想は……はぁ。何故俺が引率のような真似をせねばならん。こういうのは同じ声の別の奴*8に……いや、それはそれで問題か」
「あ!……んもー、ジャックちゃんってば、また眉間にシワ!よくないよー、そういうのよくないんだー!」
「ええ、ええ。ココアちゃんの言うとおりですよ、ジャックちゃん?子はいつでも笑顔が一番、ですよ?」
「……大の大人がちゃん付け呼びだとは、中々大変そうだねぇキング?」
「ええい、他人事だと思って楽しそうにしおってからに……!」
次に出会ったのは、ラットハウス組とギリシャ組を束ねるジャックさん、というメンバーだ。
近付いた途端にネロちゃまが女性陣を口説きに行ったので、ぴしゃりと叱ってそのまま次へ向かわざるを得なかったけど。
まぁ、ジャックさんにはめげずに頑張って頂きたい。
ライネス以外は、決して悪気があっての事じゃないのだから。
……ところで、エウロペさんに関しては
え、
……それどこのゼウスだよ、つーかピカチュウ経由で話しかけてくるのも大概おかしいだろうがよ……。なんだ、雷繋がりなのか?
いちいちツッコんでると終わらないので、更にバスの奥へ。
階段を上って二階に上がると、そこでは五条さんと
軽く手を上げて挨拶しつつ、とりあえず五条さんの元へ。
「お久しぶりキーアさん。今回はお誘いいただきどーも」
「いやホント、久しぶりね五条さん。元気してた?」
「元気元気。まぁ、相変わらずもどきのまんまだけどね」
「まぁ、その分は悠々自適に暮らせているのだからいいでしょう?」
「だねぇ」
「なるほど、紫さんと五条さんのお二人は仲が良いのですね。……ところで、私もご一緒して宜しかったのでしょうか?」
「いいのいいの。ゆかり同盟としては貴方を誘わないとか、選択肢としてナイナイ!って感じだったしね」
「なるほど、それはそれは……ゆかり同盟?」
「ははは、紫様のいつもの小粋なジョークです。余りお気になさらず」
「は、はぁ……?」
「……なんか、すっげぇ場違い感が……」
「どうしたのコナン君?それとも、新一って呼んだ方がいい?」
「……コナンで頼む」
「ふふっ、はいはい」
和気藹々と話すみんなを見つつ、なんか聞き逃せない物があった気がするけど意図的にスルー。
まさかコナン君が新一だとか、そんなのあるわけナイナイ(棒)*10
「………はっ!?なんと、そこな少年の正体とはまさか、『令和のシャーロック・ホームズ』*11であったか?!」
「え、なに言ってるんですか皇帝陛下。世迷い言はいいですから次行きますよ」
「何故そなたは、余に対するあたりが強いのだっ!?泣くぞっ!?余は泣いてしまうぞっ!?」
そんな中、
ここはシャナとアルフォンス君、それからブラック・ジャック先生とパイセン、赤城さんとハーミーズさんの集まりだ。
……気のせいじゃなければ、車内でデュエルしてますねこの人達。
主にやってるのは後半の二人で、他の人達は観戦してるって感じだけど。
「たまにはテーブルに座って普通にデュエル*12、というのも乙なものですね」
「そうだな、私もディスクなしでの決闘は久しぶりな気がするよ」
「……私としては、カードを置くだけでモンスターが実体化してる、ってことの方が気になるんだけど」
「「……え?当然
「……えーと、そう言えばデュエルモンスターズって、錬金術の要素もあるんだったっけ……?」*14
「おい落ち着けアルフォンス、君まで異常に染まろうとするな」
「懐かしいわねそれ、昔は私も決闘を挑まれたものよ。大体返り討ちにしてきたけど」*15
「!?」
……なんか今、変なカミングアウトがあったような?
いやだよ半生が謎である虞美人に、実は決闘者だった時期があったのだ、とか言う謎の新事実は……。
とりあえずそこの深掘りは、余計な地雷を炸裂させる予感がバリバリだったので、彼等は置いて三階──最後のグループの元へ。
最後は黒咲君にサンジ君、それと謎のヒロインX1.5さんのグループだ。
連絡先を知っていたのなら、ほたるさんとかスピードワゴンさんとかも誘いたかったのだけれど。
生憎と彼等の連絡先は知らなかったので、人数的に若干余り物みたいになってしまっている。
……が、だからこそネロちゃまも、そうそう好き勝手に暴走しないだろうと思う。
なので、ある意味では誂えたような面子でもあったりするのだった。
「む、そこな貴方は赤いセイバー!業務的に処理……え?今はキャスターなんです?」
「待てキーア!何故こやつと一緒なのだ!?確かに余のハレムに加えたくなるような逸材ではあるが、余の話をろくに聞かぬのだぞこやつは!?」
「だからですよー」
「ええい、このはくじょうものぉーっ!!」
「そう言うわけなんで……サンジ君、彼女のお守りお願いね?」
「レディの頼みでしたら喜んで。ほらネロちゃん、こっちにケーキがあるからお一つどうだい?」
「む?!そなたはサンジではないか!そなたの作った甘味はまさに天上の銘菓。それに舌鼓を打てると言うのであれば、余に二言はあろうはずもないぞっ」
「ほう、なるほど。そこまで言われるとなると、俺にも些か興味と言うものが出てくる。……すまないが、俺にも一つ頼めるか?」
「はいよ、クレープで構わねぇか?」
「ああ、問題ない」
「あ、それじゃあサンジ君、私にはパフェお願いしますパフェ、おっきい奴を」
「はいよー。それとキーアさん、他の奴等にも注文、聞いて来て貰っても構わないかい?」
「お安いご用よー、ちょっと待っててねー」
調理を始めたサンジ君達にネロちゃまを預けて、そのまま下の階へ。
さて、今回のメンバーはこれで全員。私も含めると三十人近くと、凄まじい大所帯となっている。
まぁ、どうせ遊ぶなら可能な限り人を誘いたい、というココアちゃんの要望に答えた結果、なのだけれど。
…………………うん。
「ば~~~~っかじゃねぇの!?」*16
書き分けぇ!!……思わず叫んでしまった。
いや別に、私が何か書くわけでもないけどさ!
どこかの誰かが、もし私達の事を書いていたりするのだとしたら、声を大にして教えたい。
──どー考えてもキャパオーバーだよ、止めとけ!……って。
「意外にも男性陣が、結構喋り方とか被ってる面子が居るという……」
丁寧語だとキャラ被りしやすい、みたいな話をいつかしてたような気がするけれど、ぶっきらぼうな喋り方も、意外とバリエーションが少ないと言うか……。
あと普段から思ってるけど、私とゆかりんとかも大概区別付き辛いでしょこれ?
一応私の方が彼女の喋り方よりちょっと崩れている、という違いはあるけれど!そんなん誤差やんけ!
「なんだか知らないけど、胃が痛くなって来たわ……」
別に私が被害を被るわけでも無いのに、どうにも胃が痛くて仕方ない。
初っぱなから前途多難だなぁ、なんて思いながら、バスの中を上に下に走り回る私なのだった。
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