なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「まぁ、こっちはそんな感じだったわけなんだけど……顔真っ青になってるわよ、キーアちゃん?」
「──そりゃこんなの聞かされたら、顔面蒼白になるに決まってるんだよなぁ!?」
ダンブルドア氏に呼ばれ、魔法学院へと向かった私達を待ち受けていたのは、何故か郷に居るはずのキリアで。
そんな彼女から、そちらで起こっていたことを聞かされた私はといえば。……シルファとしての口調を意識するのも忘れ、思わずとばかりに叫んでいたのでありました。
でも仕方ないのです、これ聞いて叫ばないとかありえねーのです。
「ええとせんぱい、一体どういう……?」
「……勝手に自滅するだろうから放置、とかなに考えてんのこの人、ってなるに決まってるでしょ!?っていうかマジで言ってるこいつ?!『あの人』のとこ行っちゃったのこの子?!大丈夫?!なんか変なスキルとか生えてない?!」
「は、生えるのか?!スキルが?!」
「自分から言い出してなんだけど、それだけだったらマシな方かなー!!」
「途端に怖くなってきたのだがー!!?」
キリアがいる時の、今の私の姿……いわゆる小人サイズのそれと同じ大きさな相手である一寸法師君に話しかけながら、あれこれと思考する私である。
今回の一件、どこまで行っても『ハルケギニアが悪用されていた』という話に落ち着くわけなのだが……これもう、逆に地球との繋がりを公表して、こっちはこっちである程度警戒してもらう……とかして頂かないとヤバいのかもしれない。
だって、ねぇ?……よもやよもやのビーストⅣiですもの。しかもこちらの知らぬ場所での顕現、と来たもんだ。
「……しかもご丁寧に、やられ方まで元のそれに準拠してるし……」
「むぅ?先ほどまでの話を聞いておると、とてもではないが
額を押さえて唸る私に、横合いで同じ話を聞いていたミラちゃんが、頭に疑問符を浮かばせつつこちらに問い掛けてくる。
まぁ確かに、子細についてはぼかされていたけど……かのスクナヒコナは、『あの人』にこてんぱん*2にやられたのだ……という風に聞こえなくもない。ただ──、
「……『あの人』はまぁ、決まりに従ってちょっと
「ええ……?」
なんとも理不尽な話だが、そもそも『あの人』はこちらから勝負を挑めるような相手ではない。……主に勝敗が(『あの人』の敗けで)決まりきっているから、的な意味で。
そして今回のこれに関しては、弟子入りに向かったら採用試験の段階で心折れた……みたいなものだと考える方が近いものなので、最初から戦闘になんかなってないのである。
……まぁ、普通の人なら『こんなのブラック企業じゃ!』ってツッコミたくなるような採用試験なので、そういう意味ではとても可哀想なのだが。
あと、彼の姿が変わってしまったのは、心折れた結果別の道を志すよう薦められたのだ……なんて風に説明できなくもないのが、余計アレだったりもする。
そんな私の言葉に『なに言ってんのこいつ』みたいな顔をするミラちゃんはほっといて、次の話に。
それは、なんでキリアまで
「そりゃ勿論、彼がフィールドカードに偽装してまであの研究室に展開していたのは、
「やっぱりかー!」
要するに、彼女達もゲートを通ってきてしまっていた、というものだった。……また
「しかしまぁ、シャドフォ君がねぇ……」
説明会が終わり、現在は地球に戻るまでの自由時間……ということで、各々が解散した結果、何故か私は一寸法師君と一緒に行動することになっていたのでした。
他の面々は、と言うと……。
「わし、感激!」
「ふぉっふぉっ。……儂が言うのもなんじゃけど、よく飽きぬのぅお主」
「そりゃもう、憧れじゃからのぅ!」
ダンブルドアの元へと走ったミラちゃんは、彼の姿を拝みながら虹色に光輝く『ゲーミングミラちゃん』と化していた*5し。
「マシュ!お久しぶりね!」
「あ、えと、お久しぶりですビジューさん……」
城での缶詰状態から解放されていたらしいビジューちゃんが、マシュとの再会をとても喜んでいたり(マシュ側はどう対応していいものかちょっと迷っていたけど。暫くして普通に友人として対応することにしたようだった)。
「……な、なに?」
「んー、なんていうかこう……どうにも放っておけない気がするのは、一体なんでなのかしらねぇ……?」
「いや、知らないけど……」
まぁ、各々そんな感じで、適当にここでの時間を過ごしているわけなのだった。
……私?私はまぁ、単純に散歩に出ただけ、というか。
一寸法師君がなにか話したそうにしていたから、そのための時間を取っただけ……というか?
まぁともかく、特にあてもなく外に出た、ということに間違いはないわけで。
「……うむ、迷った!」
「お主、なにか目的があったから早足で進んでいた……というわけではないのか!?」
「はははは。……無性に歩きたくなる時と言うのもあるのだよ、ワトソン君」
「……う、うむ?わとそん?」
あまりにも適当に歩きすぎて、道に迷ってしまうのも仕方のないこと、だったりするのであった。
……まぁ、周囲に人影もないし、聞かれたくない話をするのであればこういうところで良いと思う、みたいな?
そんな感じのことを口に出せば、当の一寸法師君は頭を掻きつつ「見抜かれておったか」と溢すのだった。
「まずは……すまぬ。私ではない
「いやまぁ、実際に対処に追われたというか、対峙したのはキリアの方だし、特に私にそういう実感は無いというか……」
「そちらの騒動の首謀者・ヒトカゲ殿を誑かしたのは、他ならぬ
「……今の貴方には、関係なくない?」
最初の言葉は、謝罪からであった。
今の彼に『スクナヒコナ』としての自意識はなく、自分ではない自分がなにかをやらかした、みたいな感じになっているようだが……ともあれ、それを『二重人格みたいなもの』と認識して、自身の咎だと述べる彼は、なんとも生き辛い性格をしていると思う。
特に、今ここにいる彼自体が、
なんと言えば良いのか……今の彼・一寸法師は、確かにスクナヒコナからの縁で【顕象】になった存在ではあるが……同時にあくまでも
言ってしまえば生まれ変わりのようなものなので、前世の咎まで背負おうとするのは、些か責任感が強すぎるとしか言いようがない……と、思っていたのだが。
「ふぉう、ふぉうふぉう」
「……あー、なるほど。【複合憑依】も混じってるのね……」
今目の前に居る彼は、小人ではなく
ともあれ、ここにいる彼は純粋な『一寸法師』ではなく。
件のビーストⅣi──スクナヒコナ神のスクナヒコナ成分が一寸法師に入れ替わったような存在、ということになるようだ。……そりゃまぁ、かの神の所業を自分の咎としてしまうのも宜なるかな、というか。
こちらの微妙な空気を察したのか、彼は「ふぉう」と一鳴きして元の彼──小人の姿に戻る。
神から人に生まれ変わった、という辺りに『アバター』という名前の持つ意味が存分に発揮されているなぁ、なんて戯れ言を考えながら、私は彼に声を掛ける。
「でもやっぱり、貴方が気に病む必要はないわよ。……なんだかんだ言って、事態は収束したわけだし。他の元ビーストな人々も、普通に暮らしてるし」
「ぬぅ?他にも居るのか、私みたいな者が?」
「うん、結構ね。……その内紹介するから、親睦を深めるといいわさ」
変に罪悪感に苛まれていても、周囲に余計な気を使わせるだけだし。……なんてことを呟けば、彼は小さく苦笑いを浮かべていた。
まぁ、当の誑かされた側であるヒータちゃんも、実はスクナヒコナ神による干渉の結果だったナルト君も、今回のことを特にあれこれ言うつもりは無いようだし、ならば特に問題はない……と言い換えてもいいわけで。
「あーでも、ヒータちゃんの話はどうしたものか」
「ああ、仲間を探しているのであったか。……ならば、地球に移って貰えば良いのでは?『四』が特別なのは、どうにもこの星の上だけのことのようであるし」
「……え゛、そうなの?」
「私が獣ではない以上、過剰に強調されていた分も元に戻ったであろうしな」
「……それも
地球に比べて、ハルケギニアでは『四』は特別……。
そんな『比較』がこの一件に絡んでいた、という事実を知らされた私は、マジかよという気分を押さえながら空を見上げる。
夏休みである魔法学院では、とある先生が東方の技術を得て、とあるモノを再現するのに躍起になっているのだという。
──それは、火の技術を平和利用したもの。
魔法というモノがあるハルケギニアにおいて、発展し辛かった『火薬』の技術が生み出した空の花。
夕暮れを迎え、戻ってきたビジューちゃんを歓迎するため、急遽用意された催し物。
「まぁとりあえず、今日はゆっくり休むとしよう。難しいことは後回しで、花火でも見ながらゆっくりと……ね?」
そろそろ始まるぞ、という空砲の音を聞きながら。
私は一寸法師君を連れて、皆が集まっているだろう広場へと歩を進めるのだった……。
幕間終わりですのー。