なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「それで?次はどうするの?」
「んー?そりゃもう、ここからやるべきことはわかってるからねー、とりあえず向かうのは下……だね」
「下?」
「そ。具体的には一キロ以上下、ってことになるけど」
「……一キロ以上……?」
上条君の『幻想殺し』が、本来の『問答無用で異能を殺す』性能ではなくなっている……。
千階と言葉にした以上、気付いている人は気付いていると思うけど……現在の目的地とは、すなわち琥珀さんのところ。
最近ひっきりなしに働かせている感じがしなくもない琥珀さんだが、ともあれ
必然、出番も仕事も増えていくのは仕方のない話なのであった。……誰かの悲鳴が聞こえる?いやー、嬉しい悲鳴じゃない?わりとマッドなところあるし、琥珀さん。
あとはまぁ、普通の医療・異能混じりの医療について、それぞれの効き目を確認するためにも、ブラックジャック先生の所とかにも顔を出しておきたい……といったところか。
そんな感じの予定を伝えれば、上条君はまずそもそもの『地下千階』という立地について、うまく理解できなかったのか見事な宇宙猫顔を晒していたのだった。
……まぁうん、普通ならそんな立地、まともに往復するのも一苦労だからね……。
地下千階には、転移技能での直行は厳禁……という話をしたことがあると思う。
それが禁止されている理由は、偏にその立地と防護しているモノに理由がある。
空もあるし、雨も降る。川もあるし、森だってある……。
そんな自然豊かな環境である地下千階は、されど本来は人が住むことを考慮したものではない。
それもそのはず、元々地下千階とは
この辺りについては、まさに空間拡張系技術様々と言ったところなわけだが……ともあれ、そういう技術がふんだんに使われているなりきり郷において、上条当麻という存在の危険性と言うのは最早語るまでもない、ということにもなるわけで。
……話がずれたので元に戻すと、地下千階への転移禁止・その理由には一つ
様々な理由で、現状の郷の中心には置いておけない者達を、納得尽くで隔離するための場所……それが、元々の地下千階である。
そういう意味で、本来の地下千階の象徴とは──以前シャナが封印されていたあの場所、凍結塔だということがわかるだろう。
事実、地下千階内にある建造物の内、一番最初に建造されたのは凍結塔だったというのだから、元々のこの場所が一種の忌み場所だった、ということに相違はあるまい。
……まぁ、現状では二つ目の禁止理由にも繋がるであろう、
「その二つ目の理由、ってのは?」
「封じ込めておくべきものと同じくらい、特定の場所から動かす必要のないものってあるでしょ?」
「あ?……えーと、それは一体?」
「
その二つ目の理由と言うのが、いわゆるアーティファクトのような遺物や、琥珀さんやブラックジャック先生のような、あまりにも重要すぎる人間の保護……ということになるわけで。
こちらについてはまぁ、人間に関してはそこまで厳しく行き来を制限している、というわけではないようだが……それは逆に言うと、特に用もないのであれば
それもこれも、彼ら彼女らの能力が希少・貴重・重要であり、迂闊に外に漏らせるモノではない……というところが大きいだろう。
地下千階という立地は、物理的な誘拐をほぼ確実に防ぐことができる位置であるとも言える。*3
……すぐ横に
だからこそ、そういった人物達の居住区として、長い地下生活にストレスを感じないように……という配慮のために、地下世界は拡張を続けていったのだった。
まぁ拡張部分に関しては、隔離塔内の人々からの『景色が殺風景過ぎる』などの嘆願を聞き入れた、という部分も過分にあるのだろうけど。
ともあれ、地下千階に対しての転移が禁止されている理由、というのはなんのことはない、
そしてその子細とは、危険物と宝物が共に眠る場所であるから……という、盗掘者に対する脅しのような面が強い、ということなのでもあった。
……あ、あと一つ。
地下千階部分は次元境界面が不安定なので、外から内への転移の際に着地点となる座標が凄くぶれる、というのも理由に含まれるんじゃないかな?
言うなれば『※いしのなかにいる※』状態になるので止めておけ、というか。……もしくは14へ行け、みたいな?
「な、なんでそんなことに……」
「地下千階って言うけど、実際にはその辺りに相当する物理的位置に、空間を仮留めしてる……みたいな感じで成立してるんだって。『ネギま』の
なお、そんなことになっている理由は、そもそも地下千階とは本当に地下千階なのではなく、『凍結塔がある場所の座標が、便宜上地下千階と呼ばれていた』からなのだとか。
そもそもの成立時点で、郷としては付随物の扱いであったため、現世への明確な楔を持たないのだそうな。
……まぁ、そのせいでハルケギニアと繋がったりしていたようなので、いい加減ちゃんとどこかに紐付けするべきかも?……とゆかりんが嘆いていたわけなのだが。
話を戻して。
まぁ要するに、地下千階という場所が重要な地点である、ということはなんとなくわかって貰えたと思う。
ついでに言うのなら、そこへの移動もそれなりにめんどくさいモノになっている、ということも。
地下千階への直通通路であるこのエレベーター、実は重力制御技術が使用されている。
内部への転移が難しくなる前に使っていた通路を、そのままエレベーターの通り道に改造した、というのが真実らしいが……ともあれ、あれこれと階層を増やすうちに距離が物理的に伸びた、というのも確かなようで。
下手に空間を弄ると通路が壊れてしまうかもしれない……という懸念から、実際にそこまでの距離を踏破するしかなくなってしまった、そんな地下千階。
幸いにして、そんなことになったのは地下千階が拡張されたあと──アーコロジー内のアーコロジーとして確立してからのことであったため、別に千階が孤立してもすぐにすぐ問題になる、ということはなかったようだが。
それでも、色々重要なモノが多く眠る場所であるがゆえに、連絡や確認ができなくなるのは困る……ということで、通路を歪めてしまうような交通手段は忌避され。
……結果、新幹線くらいの速度でかっ飛んでいくエレベーター、というなにか間違っているとしか言えないモノが出来上がったのであった。
「……危ねぇ!!?」
「実際最初のうちは、体が頑丈な人()しか乗れなかったらしいからねぇ。……今ではまぁ、内部の重力を制御することで、乗っている人には負担の無いようになったらしいけど」
……まぁ、ここまで聞けばわかると思うけど。
わざわざ地下千階にまで降りている理由、琥珀さんに会いに行くという目的もあるけれど、それと同時に
良いものは受けられるように……なんて変化が、かの『幻想殺し』にどのような影響を与えているかわかったモノではない……というところもあり、あれこれと考え付くモノは全部試している私なのであった。
……科学っつっても、重力制御装置とか
まぁこの論理で行くと、科学の産物ながら神の叡知に手を伸ばしている『リーディング・シュタイナー』とか、『幻想殺し』的にはどっち区分なんだろうか?……みたいな疑問も浮かびかねないのだけれど。
記憶操作は受け付けるけど、右手で触れると打ち消せる……という辺り、わりと消せてしまいそうな感じがある気もするし、記憶操作は水流操作の区分になる*5からどうにかなるだけで、そこから外れている『リーディング・シュタイナー』は対象外、なんて可能性もなくもないわけなのだけれど。
ともあれ、その辺りも含めて、詳細は向こうに付いてから。
よもや落下とかしないよな?なんて戦々恐々している上条君の様子に苦笑……しようとして、彼と一緒だとあり得なくもないな、なんて風に考え直したりしつつ。
私達は、どうにか五体無事に千階に降り立つのだった。