なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「気が高まる……溢れるぅ……」
「……いや、開口一番なにを仰っているのですか貴方は」
「す、すいませんつい……。でもこの全能感、ちょっと癖になってしまいそうですの……」
「後遺症のないドラッグみたいなものなので、ほどほどにしときましょうねー」
「ドラッグ扱いの時点で、わりと大概ではないかの」
とりあえず黒子ちゃんに【
時間経過で能力が倍加する、という性質の魔法であるため、必要なステータスになるまで暫く待機させているわけなのだが……まぁうん、その間ずっと(RPG的な方の)レベルアップ時の高揚感、みたいなものを味わい続けることにもなるので、癖になるみたいな感想はわからないでもない。
無論、あくまでもこれは時間制限付きのレベルアップでしかないし、同時に依存性はないと言っても多用が禁物なモノなのも確かなので、改めて釘を刺しておく私なのではあるが。
すみませんですの、といった感じにしょんぼりする黒子ちゃんにため息を吐きつつ、今度は相変わらず椅子に座らせ……もとい、立て置かれているとしか言い様のない状況のミラちゃんの状態を確かめていく。
……脈拍は、弱々しいけども正常。青白くなった顔は、されど恍惚の笑みで固定されている。
典型的な尊死状態に呆れのため息を再度吐いて、とりあえず放置して脈を計るために持ち上げていた左手を下ろす。
そうして綺麗な座り方に直していたら、ダンブルドア氏から「まるで死化粧のようじゃのう」*1などという言葉が、苦笑と共に降ってくるのだった。……いやまぁ、この状態で固定してるのも私なので、ある意味間違っちゃぁいないんだけども、ねぇ?
ともあれ、今のところはまだ現状維持。
動き出すにしても、黒子ちゃんが仕上がるまで待たなければならないので、仕方なしに席に座って紅茶を飲む私なのだった。
「これがスーパー能力者一、そしてこれがスーパー能力者二、そしてこれが、今の私の最高峰……スーパー能力者三、ですの!」*2
「……いや、だからなんで例え方がサイヤ人風なんですか、毎度毎度」
まぁ多分、内から溢れてくるパワー……というシチュエーションがそうさせるんだろうけど。
……なんて感想を溢しつつ、ようやく黒子ちゃんの準備が終わったので、持っていた紅茶と茶菓子をテーブルに置く私である。
「調子はどうですか?身に余るパワーで自滅する、ということは無いはずですが」
「それはもう、好調も好調・絶好調ですの!これならば、例えお姉さまが超電磁加速を行っていらっしゃったとしても、軽々と並走することができそうですの!」
「……いまいちわかり辛い例えをどうも」
魔法の使用感的に失敗などはないはずだが、この前の超短期コースとは違い、じっくり長期コースの今回は被験者にどんな影響をもたらすのか、今一わからないところがあるので、一応簡単な口頭診断くらいは行っておく。
……え?なんでそこがわからないのか、って?いやほら、この魔法を使う時って、基本短期決戦仕掛ける時だからさ。
レベル差が有りすぎて、どう足掻いても勝てないような相手と戦う時とか、はたまた相手の
そういう、まともに取り合ってられない手合いに対し、『うっせーそんなの知るか』とばかりに
それが、【
まぁつまり、なにが言いたいのかと言うと。
魔法の初期構想的に、そもそも長時間掛けっぱなしにすることを想定していないので、思わぬ不具合が隠れ潜んでいる可能性がある、ということである。
実際、本来なら精神に影響は無いはずなのにも関わらず、黒子ちゃんはどこか悪酔いしているような状態になっているわけで。……そりゃまぁ、ある程度の診断は必要に見えてくる、というか。
「……?でも、おかしくはありませんこと?そもそもこの魔法とやら、
そんな私の説明に、黒子ちゃんからは反論が飛んでくる。
曰く、指数関数的とはいえ、結局のところは時間経過での倍々ゲームなのだから、元の数値が低ければ求める値に持っていくのに相応の時間が掛かるのではないか、とのこと。
確かに、幾ら百倍だの千倍だのしたところで、元の数値が一とか二とかであれば、
……が、それには一つ、簡単な対処法があるのである。
「……ふむ?」
「この魔法、実は参照先が
「……ひょ?」
どこの虫野郎だ、というツッコミは一先ず脇に置くとして。
この魔法、倍々にしていくのは
なので、元が一とか二とかの相手でも、先に強化魔法などを掛けておけば、百とか千とかを倍加する、という形になっていく。
また、途中で掛けた強化魔法に関しては、現在の能力値を元々の能力値扱いで効果を計算する、なんて意☆味☆不☆明な追加効果まで持ち合わせている。
なのでもし、
システム的な限界のようなものである『バフの重ね掛けの制限』も、この魔法で倍加したあとはさらにバフをかけ直せるので、短期間で相手の戦力を上回ることができるという寸法だ。*6
「……では何故、私は長期間コースになったんですの?その説明ですと、幾らでも融通は利かせられるように思われるのですが……」
「……ええとですね?【
「ええ、はい。でなければ、今回の作戦に使うということにはなりませんでしょうし。……それで?」
「ああはい。で、ですね?……これは、
「……はい?」
無論、ここまで説明すれば一つの疑問が浮かび上がってくる。
そんな風に短期間に仕上げられるのなら、今回は何故長時間コースになってしまったのか?……という疑問だ。
それには、この魔法の特異性が関係してくる。
まず、普通のバフ系の技能というのは、特定のステータスに対して付与させるモノ、というのが一般的である。
例えば『バイキルト』なら、『攻撃力』を二倍にする処理となっているし、『ガード・レインフォース』ならば、『
無論、全ステータスを上昇させるような強力なバフも存在するが……往々にして、これらのバフスキルはなにか一つのステータスを補強する、といった形式になっていることが多い。
ところが【
言うなれば、本人の精巧な分身を作り、それを元の本人に統合する、といった感じのもの。
無論、あくまでそう考えるのが近いというだけで、本当に本人の分身を作っているわけではないのだが……ともあれ、これによって
……つまりは、だ。
この魔法、実のところ
例えばポケモンであるならば、本来はレベルアップなどでしか変動しない
例えばスパロボであるならば、本来はカスタムボーナスでしか変動しないパーツスロットを倍加させられる、といったように。
「つまり、今回の場合ですと……超能力そのものを強化できるバフがないので、言うなれば初期値一で五十三万を目指すという状態に近いのです、実際」
「なるほどのう。どのようなものであれ補助できる……ということは、その補助が
私の説明を静かに聞いていたダンブルドア氏が、得心したように頷いている。
この魔法以外に、対応するバフ系スキルが無い状態のもの。それに該当したのが、黒子ちゃんの超能力だったという結論を聞いて、黒子ちゃんはなるほどと小さく頷いて。
「……やっぱり人型『
などと、今一どう受け取っていいのかわからない言葉を投げ掛けてくるのだった。