なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「いやしかしまぁなんというか……BBちゃんありがとね、ホントに」
『まぁ、今回のBBちゃんは基本裏方ですので。せんぱいにこうして気にして頂けるだけで、わりと満足だったりしますよ?……ふふふ、安い女だと思いますか?』
「いやー、安いとは思わんかなー。BBちゃんが居なきゃ、こうして浜辺でゆっくりみんなが泳いでるのを眺めるー、とか無理だっただろうし」
『おやお上手。……せんぱい、
「そりゃBBちゃんもでしょ。……中の人、って言うべきかも知れないけれど」
浜辺に腰を下ろし、みんなが遊んでいるのを眺めながら、BBちゃんとお喋り。
……前々からわかっていたけれど、彼女はやはり、私の後輩の一人だったようだ。
彼女がなりきりをしていた、みたいな話は聞いた覚えが無いけれど、どうやら隠れなりきり勢だったらしい。
『変身願望なんて、誰しもが大なり小なり持っているもの。なりきり・コスプレ・夢想・転移・転生。……今の自分から逃れたい、今の自分から変わりたい、今の自分に納得できない──だなんて、酷く人間らし過ぎて、BBちゃん的にはちゃんちゃらおかしーい!……という感じではありますが。──
「……なるほど、ねぇ」
今のままでは居られない、という焦り。
そんな物は誰だって持っているもので、殊更に論議するような物でもない。
……
『ま、そんな事はBBちゃんには関係ないのでした!……それより、楽しんでますか?せ・ん・ぱ・い?』
「──そうだね、うん。楽しいって、そう思うよ」
降って湧いたようなトラブルたちだが、振り回されるのも悪くないと思える。
何気ない毎日を噛みしめるのも嫌いではないけれど。
こうして、面白おかしいみんなとわいわいできるのは、とても恵まれたことなのだと思う。
──こうして、永遠に続けばいいのにな、なんて戯言を口にしそうになるくらいには。
「ま、ほんとに戯言だけどね」*1
『……せんぱい、その口癖は止めたほうが良いですよ』
「おおっと」*2
十四番に行かされては堪ったもんじゃない。*3
口は災いの元、特に私みたいなのは気にするべきなのだから、せいぜい注意しなければ。
なんとなくこっちに飛んできている気がする、BBちゃんからの呆れの混じった視線を意図的にスルーしつつ。
こちらに手を振って呼んでいる一団に向かって、さっと立ち上がる私なのでした。
「フッフッフッ」*4
「…………え、笑っただけ!?なんで!?」
「その答えは、デュエルの中に見付けるしかありません!!」*5
「その言葉、貴様遊星かっ!!」
「おのれ融合次元*6、この次元にも侵略の手を広げていたかっ!!」
「やめろー!こんなのデュエルじゃないっ!!私が信じるデュエルは、みんなを幸せに……!」*7
「なぁにこれぇ」*8
思わずAIBO*9になってしまったのは、目の前でデュエリスト共が謎の争いをしていたからである。
……えっと、見た限りビーチバレーをしようとしたら、何故かネロちゃまが意味深に笑顔だけ浮かべて。
それにココアちゃんがなんで?!という疑問を発したら、何故か赤城さんが絡みつく時間を振り切りそうな声を上げて。*10
それにジャックさんが過剰な反応を返した結果、黒咲さんが融合次元と勘違いして。
最期にハーミーズさんが今日は遊矢の気分なのか、彼の台詞でみんなを仲裁しようとして今に至る……という形だろうか?
……改めて整理しても何のことだかまるで意味がわからんぞ!*11
「せんぱいも落ち着いてください!結局思考が決闘者になってます!」
「まーまままままままずはこここーこここれでも飲んでおとおとおとおとお落ち着きなさい、心が鎮まるハーブティーよぉ」*12
「キーアちゃんそれシャロちゃんだよぉ!」
おおっと、動揺しすぎて空のティーカップを差し出しそうな感じになってしまった。
ちょっと深呼吸して心を落ち着かせて、改めてみんなの話を聞くことにする。
「で、ネロちゃまは何故に社長のモノマネを?」
「うむ!*13最初は単にいつものように上機嫌に始めるつもりだったのだが、途中でデュエリストの血が騒いでしまったのだ!うむ、すまぬ!」
「ええ……?」
ことの発端であるネロちゃまに事情を聞いたら、まさかのノリであった。
……なんと言うか、デュエリストはノリと反射で生きているのだと思い知らされる次第である。
え、そもそも私らもわりとノリで生きてるだろうって?……そうだな!()
「すいません、わからないことがあればデュエルで確かめろ、と教わっていましたので……」
「俺も、その言葉は遊星のものだと思っていたからな、すまん」
「ユーゴだとシンクロだからな*14、すまない」
「みんなに笑顔を思い出させなければと思ったんだ、申し訳ない……」
「なんだろう、謝られてるはずなのに微妙に残るこのもやもやは……」
各々が謝罪を述べてくるのだけど、なんと言うか反省してるはずなのに反省って何だっけ?感が後から溢れてくるんだけどなんだろねこれ?
いやまぁ、変に諍いとか起こさなければ別にいいんだけどさ?
「どうしたのキーアさん?」
「あーアル君。いや、デュエリストってどうしたら落ち
「ほっほーい、オラ達のじしんさくぅ~♪」
「チェイテピラミッド姫路カンタムの扉、だと……!?」
うーん、という感じに頭を痛めていたら
……チェイテ城*15の上に逆さまのピラミッド*16が突き刺さり、その上に向いた底面に姫路城が乗っかる、という名状しがたき建造物、『チェイテピラミッド姫路城』。*17
今回はその背後に渾身の力作であるカンタムロボ*18が、さながら守護神のようにそびえ立ち*19。
彼等の足元には、まるで隙を見せればすぐにでも呑み込んでやるぞ、とばかりに真理の扉*20が鎮座している。
……うん、敢えて言おう、意味がわからないと!
「お、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲*21じゃねーか、完成度たけーなオイ」
「何をどう見てあの卑猥大砲と同じものだと思ったの銀ちゃん!?」
「おっと違った、ネオギガドリルスターライトジェット天然理心流~愛・おぼえていますか~だったわ」
「なんかいっぱい混ざってる上に何一つかすりもしてねぇっ!!?」
「いえせんぱい、ギガドリルと愛・おぼえていますかの二つはちょっとかすっています」
「うそだぁっ!!?」
「考えようによっては、ジェット天然理心流の方もかすっているかも知れません……」
「え、ええええ……?!」
唐突に現れた銀ちゃんが自分のところの建造物に例えていたが、どう考えてもかすりもしない感じだったのでツッコミを入れた結果、彼から飛び出した言葉。
……『ギガドリルブレイク』*22と『スターライトブレイカー』*23、それから『ジェット天然理心流』*24と『超時空要塞マクロス~愛・おぼえていますか~』*25が混ざったものだと思うんだけど、どれも何一つ関係ないじゃん!
と思っていたのだが、マシュからの指摘により、実際は関係のある単語の羅列である事が示唆されて、思わず困惑してしまった。*26
……この場合、スターライトブレイカーだけ引っ掛かってないのは、何か理由があるのだろうか……?
いや違う!銀ちゃんが冷や汗垂らしながら目を逸してる!
これあれだ、適当ぶっこいたのになんか偶然絡められる要素が見付かったせいで、にっちもさっちもいかなくなったやつだ!?
「そそそそそそんなことあああああるわけないないないないだろろろろろ」
「うわぁ!?銀さんがシャロちゃんみたいになっちゃったっ!?」
「収拾がつかねぇ……」
こちらの視線に挙動不審になる銀ちゃんを見て、思わず額に手を当ててため息を吐いてしまう私なのだった。
「お、キーアさんも泳いでるんだ?」
「この姿になる前はカナヅチだったんだけど、今では普通に泳げるようになったからねー」
海の上でバナナボートに寝そべって日差しを浴びている五条さんを見付け、泳いで近付いた私。
……こんがり肌が焼けるタイプにも見えないんだけど、実際その辺りどうなんだろう?
「うーん、どうかな?
「『一方通行』*27とは違うって?」
「そうそう。まぁ、
「全部反射じゃなくて全部無限遅延?それはゾッとしないなぁ」
毒とかアルコールとかは弾いていなかったりするんだっけ?
細かい制御をオートメーション化したり、という意味ではまだまだ伸びしろがある、ということなのかも。
なんてことを言っていたら、彼はニッと笑って肩を竦めた。
「ま、その辺り
「無下限の出力すっごい低いもんね。……ん?一応無下限なんだから、六眼は使えてるの?」
「おおっとそこはノーコメント……といきたい所だけど、まぁマシュちゃんとキーアさんには見せてるし今更か。──うん、六眼はしっかり使えてるよ。『見る』って呪術的にも結構重要な筈*28なんだけど、再現度的にはここが一番リソース割り振られてる……って感じになるのかな?」
ふと気付いた事があったので尋ねてみたら、見事に正解だった。
いっつも目隠ししてるからある程度予想はしてたけど、その眼自体はしっかりと六眼なのね。
五条さんが、いつもは隠しているその碧い眼をこちらに向けているのを見て、ふむと一つ頷き。
「うわっと、え、なにキーアさ、いや近い!!つーか怖い!!いきなり何っ!?」
「ちょっと動かないで、今
彼の頭を両手で掴んで固定し、その眼を視る。
……ふーむ、なるほどなるほど。つまりここはこうして、と。
数分ほど彼の眼をじっくりと観察した私は、虚空から一つの物品を取り出す。
「え、今どっから」
「いいからいいから。テレレレッテレー、眼精疲労軽減メガネー」
「ええ、なんでドラえもん……?」
彼に渡したのは、一つのメガネだった。
デザイン的には、彼が原作で掛けていた横長の方のサングラスを、度と色の入っていないグラスに変えたもの……という感じだろうか?
「無下限の出力不足で、眼精疲労とか目隠ししてても直しきれてないんでしょ?それあげるから、掛けときなさいな」
「え、今のでそこまでバレたの?……ひゃー、キーアさんの事、ちょっと甘く見てたかも」
「そうそう、恐れ慄きなさい。……海の上で一人でぷかぷかしてたのも、そもそも周囲を視界に入れない為でしょ?」
「うっへ、そこまでバレるか。……いや、ホントに油断してたかな。悟らせるつもりは無かったんだけど」
五条さんが眼鏡を掛けながら苦笑している。
……まぁ、多分他の人は気付いていないだろう。彼の性格的に、単独行動は別におかしいものでもないし。
実際、私も近くで彼を視て気付いたようなものだから、あんまり威張れるようなものでもない。
「なんでまぁ、善意の押し売りだとでも思っといて。あ、その眼鏡『外そう』と思って触んないと外れないから、激しい運動とかしても大丈夫よ?」
「いや、わりとわけわかんない性能してるねこの眼鏡?……まぁいいや。サンキュ-キーアさん、恩に着るよ」
「押し売りだから気にしないでってば……ってああ、行っちゃった」
基本的に自己満足の為に動いているから、感謝とか必要ないんだけど……みたいな事を言い終わる前に、彼はバナナボートの上から海に飛び込んでいった。
……なんと綺麗なバタフライか、そのまま泳ぎの競争している男性陣の方に突っ込んでいったし。
まぁ、楽しそうならいいか。
「で、ゆかりんはなーんでスキマから、ニヨニヨとこっちを覗き見してるんで?BBちゃんの負担が鰻登りだから止めようね?」
「んー?んふふふ、で・ば・が・め♡」
「……誤解を生んでるみたいだから一応訂正しておくけど、あのイケメンが素顔も晒せないのは、全人類の損益だと思ったってだけだからね?」
「はい、せんぱいはFGOでも推しキャラがアルジュナ*29さんだったりしました。エミヤ先輩*30もお好きでしたし、男性以外にもえっちゃんさん*31や、メルトさん*32等にも熱を上げていらっしゃいましたね。なので恋愛的な意味での『好き』ではないかと思われます」
「うわぁっ!?マシュなんでここに……っていうか人のカルデア事情バラすの酷くないっ!?」
「なぁんだ、ラブじゃなかったわけね。てっしゅー」
「ちょっと待てェ、撤収すんじゃねぇ!!?」*33
いきなり現れたゆかりんとマシュ。
なんだかよくわからないことになっている気がして、ちょっと目眩がしてくるのでした。