なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「くっ、泳ぎでは負けたがデュエルでは負けんぞ!」
「いやいや、
「なっ、貴様まさかリアリスト*1かっ!」
「そーかもねー♪」
泳ぎ対決は五条さんが勝ったようで、煽る様に去っていく彼の背中に、ジャックさんが悔しげに歯軋りをしていた。
……眼鏡を渡したからなのかなんなのか、やけに五条さんはご機嫌のようで。なんというか、トラブルメイカーの気配がひしひしと……。
「だが私は謝らない。何故なら眼鏡が似合う人物は、男女に関係なく尊ぶべきものだからだ」
「む、キーアか。……いや、お前はいきなり何を言い出しているのだ?」
元気に去っていく五条さんの背中を眺めつつ、ジャックさんの隣に向かえば。
こちらの台詞に怪訝そうな顔をした彼が、息を整えつつ姿勢を正した。
「何って、決まってるじゃない。──まぁまぁ眼鏡どうぞ」*2
「その台詞は……まさか全員にそれをやっていくつもりなのか……!?」
「UV*3カットグラスなので、夏には持ってこいなのです」
「伊達眼鏡は教義違いだろう!?」
「甘いなジャックさん、
「なにぃっ!!?」
そんな彼に渡すのは
何故なら彼もまた、
「いや後輩、アンタ何やってんの?」
「パイセン!?グラサン派のパイセンじゃないか!まぁまぁ眼鏡どうぞ」
「いやグラサンあるし」
「グラサンだと奥の瞳が見えないでしょーがっ!それじゃあダメなんだよっ、グラサンずらして覗く瞳ってのも素晴らしいと思うけどっ」
「……マシュー?どこにいるのよマシュー?これアンタの管轄でしょー?ちゃんと見てなさいよー」
「マシュなら眼鏡似合ってるねー、からの褒め殺しに沈みましたが何か?」
「既に討伐済み、だと……っ!?」
たまたま通り掛かったパイセンにマシュはどうしたのか、と聞かれたが。……そもそも眼鏡スキーな私が、可愛い後輩を真っ先に褒めぬはずもなく。
なので彼女は一足先に旅館に戻って、顔を真っ赤にして潰れている。……うちのこうはいがかわいい。
「ちょっと待ちなさい、アンタ熱暴走してるわね?!」
「何を失礼なっ!私は常にれいせせせせせせ」
「ぬおっ!?頭から湯気だと!?」
あははははー、眼鏡が一つ眼鏡が二つ、全ては宇宙に流れる星の如く!
あー、でも流れ星ならもっとこう……パーって動くよね!*5
─────きゅう。
「ぬわっ!?キーア、おいしっかりしろキーア!」
「マジ面目ねぇ」
「貴方ねぇ……水分補給とか色々言われてたし自分でも言ってたのに、そこを疎かにするとかなに考えてるのよ?」
「私のスペック的にどうにかなると思ったんや……」
「はぁ?」
パラソルの下に運び込まれた私は、先生からスポーツ飲料を貰って喉を潤しつつ、こちらを戒めるように声を掛けてくるゆかりんに、
……まぁその、普通に熱中症になってたというか。
これだけ日が高いと、注意してなきゃ普通に熱にやられるということである。
「いや、私たちが元の彼らと違う、だなんて口を酸っぱくするくらいに言われて、言われ……貴方?」
「……ちょっと確認の意味も無くはなかったというか」
「あー……、つまり?」
「私も貴方達と変わんないってこと」
「それは──よかった、って返すべき?」
「そうしてくれる?……ちょっと肩の荷を下ろせた感じあるし」
互いにしかわからない台詞で、確認をし合う。
……正直、自分の体について一番悩んでいたのは私……
こうして普通に
「はぁ……それで体調を悪くしてちゃ意味ないでしょうに、とは言えないわね」
「ホント面目ない」
「いつか貴方の奢りで飲みに行く、って事で」
「高いところは止めてよー」
軽く小突き合いながら、休むこと暫し。
……ん、体調も戻ってきたかな?
「……タイチョウ、オカラダノホウハ……」*6
「それだと私イレギュラー*7になるから止めてくれない?」
「おっと聞こえてた?」
なので上半身を起こして体の調子を確かめていたのだけれど、ゆかりんがぼそっと呟いた言葉がちょっとあれだったので、思わずツッコミを入れてしまった。……一部の人が過剰反応しそうよね、その台詞。
「あまり無理はするなよ、君の体が特別治りの早いモノなのは見ていればわかるが」
「はーい、風紀委員長は暫く休みまーす」
「お、じゃあパフェでも食うかい?」
「サンジ君のお手製パフェとな?」
起き上がると先生からの厳重注意が。
……心配を掛けたのは確かなので素直に頷けば、横合いからサンジ君がデザートの案内をしてくる。
ふむ、彼の作るパフェとなれば、絶対美味しいに決まっている。なので傍らのゆかりんに視線を向ければ、彼女もニコニコとしていて。
「じゃあ、女子らしく甘いものでも楽しみに行きましょうか?」
「別に女子じゃなくても、甘いもの好きでいいと思うけどねー」
なんて風に言い合いながら、サンジ君の用意した席に向かって、パラソルの下から出ていく私達なのだった。
「それで?みんなと会話してるから、今度は私達の番ってこと?」
「話が早くていいと思うけど、もうちょっとオブラートに包んで下さいませんかね……」
「……?拙速を尊ぶのは、戦士として当然の行動だと思うんだけど」
「別に危なっかしいわけじゃないのが、ちょっと反応に困るんだよね彼女」
所変わって今度はサンジ君の出張店舗。
浜辺にパラソルと白いテーブルと椅子が並べられたそこで、三人ほどの先客が甘いものに舌鼓を打っていた。
「ぴーか、ぴかぴか」*8
おっとすまない。じゃあ三人と一匹……かな?
まぁ、あくまでなりきり組が彼らだけであって、他の席には一般のお客さんも普通に居るんだけど。
……キャラクターに対しての違和感はBBちゃんが消してるはずだから、これは単純にサンジ君の料理の腕に皆が集まっている、という事だろう。流石としか言えねぇ……。
「うん、彼の料理はどれもすごく美味しいね!幾らでも食べられる気がするよ!」
「だからといって、口元に食べかすを付けているのは、神様的にもはしたないんじゃないのかい?」
「むぁっ!?ちょっ、止めておくれよ、自分で拭けるってば!?」
「……私としては、左右からほぼ同じ声がサラウンドしてくる事に、ちょっと目眩を覚えているのだけど」
「あー、どっちも水瀬いのりボイス……」
で、その三人と一匹の内訳が、シャナとヘスティア様・ライネスとピカチュウである。
ヘスティア様がエウロペさんと別行動なのは、わりと珍しいかも?
「僕もエウロペも、別に子供ってわけでもないしね。たまには別行動でも……って話になったのさ」
「まぁ、何をしたら良いのかと右往左往してる様は、どこからどう見てもお子様だったのだけどね?」
「うぉおいライネスぅっ!?それ言わないでって言ったよね僕!?」
「なぁに、嘘は良くないというのは、君達神様的にも同意できる話だろう?」
「そ、それは、そう、だけども……」
「……さっきからずっとあんな感じ。ヘスティアがライネスに弄られ続けてるの」
「あー、ライネス的には弄りやすい相手、なのかも?」
「ぴーか、ぴぴぴーか」*9
なお、ヘスティア様はご覧の通り、ライネスにおちょくられている感じである。
……嘘は見抜けるはずだから、単にからかわれるのに慣れていない感じ?いやでもロキ様とは、わりと口喧嘩的なことしてなかったっけ?
「
「だからなのか、反応が一々面白いんだよね。私のこれも親愛の現れだから、彼女にとっても無下には出来ないみたいだしねぇ?」
「あ、悪魔や、ここに悪魔がおる……」
ヘスティア様の言葉になるほど、と一つ頷く。
原作においての彼女の立場はファミリアの主神。
……同格である他の神々からの扱いならいざ知らず、子供である人間達からの扱いは、基本敬意を持ったものである。
なので、ライネスみたいに「親しいからこそからかってくる」相手は意外と対面したことがない、ということのようだ。
「つまり、気の置けない友人ができた……ということ?」
「はっ?え、いや、そういうことを話していたわけじゃなくてだね?」
「そ、そうそう!ライネス
「…息ぴったりじゃない、貴方達」
わいきゃいと言い争う?二人と、それを呆れたように眺めながら、トロピカルジュースをストローから一口飲んでいるシャナ。
……彼すらも関わらない、本当の平時での彼女はなんというか、うん。
「流石と言うかなんというか、シャナが一番大人っぽいね」
「そう?……褒め言葉として受け取っておくわ、ありがと」
「いやちょっと待ちたまえキーア!結論を出すには、些か早急に過ぎるのではないかな?!」
「そうだそうだー!僕が子供、みたいな扱いには断固抗議するぞー!」
「……なんだこれ」
いやー、シャナって案外淑女だよなー、なんて思いながら声を掛けたら、残り二名から猛抗議を受けてしまった。
……正直、ライネスに関しては見た目がまんま子供なんだから、そこまで気にする必要もないと思うのだけど。
「おっと流石キーアは鋭いね。大人の私も良いと思うけど、今の自分も嫌いではないよ?」
「あれー!?ライネス何某おかしくない?!今嘘言ってなかったよねキミ!?」
「ああ、君は嘘が見抜けるだけなんだろう?元の彼女ならいざ知らず、今の君になら嘘を言わずに騙すくらいわけないよ」
「なっ、なっ」
「ま、親しい友人からのちょっとしたスキンシップだと思って、笑って流してくれると嬉しいね?」
「なっ、まっ、キミなーっ!!?」
「……今のは友達だって思ってるのは嘘じゃなかったから叫んでる、ってことよね?」
「だねー。いやー、なんかまた変な繋がりができたもんだねー」
逃げるライネスを追いかけ回すヘスティア様、なんていう変なものを眺めつつ、ゆかりんが戻ってくるのを待つ私とシャナなのでした。