なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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サブカル家族なので順応は早い

「なるほどー、そりゃ止めるよねー。なぁんで楯さん、今さら一緒に入るの恥ずかしがってるんだろうなーって思ってたから」

「妹から実は知り合いと混浴してた、みたいな話が飛び出してきた件」

「あ、ちゃんと水着は着てたよー。そういうの一応礼儀だから、って楯さんがうるさくって」

「そういう問題なん……?」

 

 

 あれからなし崩し的に、他の兄弟達を加えた宴会へと派生したわけなのだけれど、私の中身が俺であることを知った家族達はといえば、先程までとは違って色々と遠慮がなくなってしまっていたのだった。

 私の胡座の上に陣取り、こちらを覗き込んでくる美希(下の妹)などが良い例である。……いやまぁ、さっきもやってたけどね?

 

 

「ついに楯さんにもツキが回ってきたか、なぁんて思ってたのに……まさかホントは兄ちゃんだったとはねぇ」

「……適当なこと言いながら、人の顔を撫でくり回すの止めなさいよ亜希。っていうか、なんでちょっと悔しげなのよ」

「いやだって、兄が突然姉になったってだけでもアレなのに、あまつさえこーんな美少女になってるとか、最早ギャグみたいなもんじゃん」

「なに一つ答えになってねぇ!!」

 

 

 で、バレてしまったのだから、もはや偽る必要もねぇ……とばかりに、今の私の姿はキーアの(小さい)方となっている。

 なんでかって?……必要性もないのに変身していられるほど、体調が戻りきっていない……もとい普通に疲れるので止めたかったから、である。

 

 私の基本形態はあくまで()()()()()なので、そこから外れた形態でいるのには、それなりに労力というものが必要なのだ。具体的には魔力(MP)とか精神力(SP)とか。

 ……あとはまぁ、母に『なんだか貴方疲れてなぁい?』と気付かれた(声を掛けられた)、というのも理由の一つだったりする。

 

 

「うーん、創作の登場人物(アニメキャラ)みたいに……じゃなくて、彼ら(アニメキャラ)そのものがいる……っていう話は、にわかには信じがたいんだけど……」

「本人そのものっていうよりは、どっちかというと鏡映点とかサーヴァントとか、そういった『元の彼らを写し取った』存在……って考えた方が正解に近いとは思うけどね」*1

「んー、リアルにフィクション(ハチャメチャ)が押し寄せて来てるわ~」*2

 

 

 そんな母はと言うと、こちらの説明を受けたあと、こめかみを軽く押さえて唸っていたのだった。

 基本的にのほほんとした感じの人だが、流石に事態の意味不明さまでスルーするほどののほほんさ、というわけではなかったらしい。……すっかり酔いも覚めた、とばかりに眉を顰めている。

 

 説明当初は、色々と疑っていたのだけれど……こうして実際に小さくなった姿を見せれば、流石に信じる気になったようで。

 ただそうなってくると、件の病気とやらがヤバい……というのが、別の意味にも繋がることに連鎖的に気付いてしまい、結果こうして唸っているというわけなのであった。

 ……まぁうん、見た目が似ているだけならまだしも、その能力が使えるとなれば、話は別だよね。

 

 

「……ええと、もしかしてだけど。こっちの方、マジで爆発できたり……?」

「なによ、見たいの?『グビグビの花火』」*3

「遠慮しておきます止めてくださいスプラッタはノー!!」

「……お前、ここに私達が来た時のことを思い出してから喋りなさいよ……」

 

 

 パイセンに対して、いの一番に尋ねるのがそれでいいの?……的な母の質問は、彼女から遠回しに肯定されたわけなのだけれど……それで出てくる反応が『グロいのはダメ』という辺り、色々とツッコミどころが多すぎる。

 パイセンの言葉を借りるのなら、『いや、お出迎えの時に死体ごっこしとったやんけ』というやつだ。

 まぁ、『リアルとフィクションじゃ色々と勝手が違うの!』などと言われれば、こちらとしても口を噤む他ないのだが。

 

 

「ちょっと?お前はどっちの味方なのよ?」

「いやだって、パイセンの爆発って大概グロテスクですし……」

「文字通りの血の雨、ところにより臓物も降ってくる」 

「うっわこわっ!!完全にバイオでロケットランチャーぶっぱした時の絵面じゃん!!」*4

「……それ以上ぐだぐだ言うんなら、今ここで実演してやってもいいのよ?」

「ひぇっ」

 

 

 なお、パイセンはどことなくご機嫌斜めだが……ホラーとは視聴者が画面の『向こう』にいるのか『手前』にいるのか、その差異こそが特に重要なジャンル。

 気安く画面の向こうからこっちにやって来るパイセンは、区分的には貞子とかその辺りと同ラインなので、こういう反応は仕方がないのであった。……特に一般人相手ならなおのこと、というやつである。

 

 

「……ん?兄ちゃん……姉ちゃん?が『マジカル聖裁キリアちゃん』のキャラで、芥さんが『FGO』のキャラなのはわかったけど……アスカちゃんは?エヴァなん?」

 

 

 そうやってわいきゃいはしゃいでる集団の輪から、一つ外れた位置で私達を眺めていた譲二(上の弟)より、一つの疑問が投下される。

 それは、アスカちゃんだけ原作がよく分からない、というもの。名前と容姿を鑑みるに、幼少期の惣流か式波のどちらかのアスカ、という風に予想するのはおかしな話ではないが……。

 

 

「でもお母さんが聞いた時は、エヴァはよく分からないって言ってたわよ?」

「見た目小さいんだし、まだエヴァのことはよく知らんってだけかもよ?」

「んー……その辺りどっちなの?」

「さてどっちでしょう?」

「……あー、どっちでもないな、これ」

「なんでわかったし」

 

 

 無論、皆様ご存じの通り、彼女はエヴァとはなんの関係もな……いやなくはないか。()()()にエヴァはいるわけだし。*5

 

 ともあれ、どちらにせよこの背格好の彼女とは関わりがない、ということに変わりはない。

 彼女の名前は偽名であり、本来の彼女からは微妙にずれたモノとなっているのだから。……まぁ、あんまり長々とその名前で呼び続けると変なこと(【継ぎ接ぎ】)になりかねないので、そろそろ止めておくべきなのも確かなのだが。

 

 ……ところで、なんでこっちの提示した選択肢に答えがない、って気付かれたんです?……と問い返したところ、『昔から兄ちゃんがそうやって聞き返してくる時は、こっちが見当違いのことを言っている時』と言われ、ちょっと唸ることになるのだった。

 

 

「……まぁそれはおいとくとして。彼女の本名はアスナって言えば、なにが原作なのかもわかるんじゃない?」

「……ソードアート・オンライン?」

「あー……そっちもいるけど違うかなー」

「いるんだ……」

 

 

 で、とりあえず彼女の本当の名前を教えたわけなのだけれど……あーうん、そういえばアスナさんも同じ『アスナ』って名前だし、なんなら髪の色も近いと言えば近いのか……と、遠い目になる私である。

 まぁ、アスナ()()()の方は赤髪と言ってもオレンジに近い髪の色だし、アスナ()()の方はどちらかといえば明るい茶色という方が近いので、一応見た目で区別を付けることは出来なくもないわけだが。

 

 ……でも確かに、この二人を並べると親戚か姉妹か……って勘違いしそうというのは、強ち笑い話とも言えないのかもしれない。

 世の中には同じ名前の兄弟っていうのも、時々存在するわけなのだし。*6

 名前と容姿が似通っているのも、そこまで気にする要素でもないっていうか?まぁ近すぎるとクローンかドッペルゲンガーか、って疑惑に飛び火していくわけだけど。

 

 ……話を戻して。

 名前が同じキャラクターというのは、創作を広く嗜んでいればそれなりに出くわす事態である。

 アスナ、アオイ、サキ、ショウタ、タロウ……被りやすい名前と言うのは、挙げていけばキリがない。

 なので、こういう時にはきちんと正式名称──フルネームを教えるに限る。

 

 

「アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア……って言えばわかる?」

「あー、ネギまだっけ?」

「脱がされ魔?」

「いや間違ってないけど、その呼び方はどうなん……?」

 

 

 と、言うわけで。

 アスナちゃんのちゃんとした名前を教えた結果、兄弟達は彼女がなんの作品のキャラクターなのか、ということを正確に把握したわけなのだけれど……いや脱がされ魔って。確かに作中(特に前期)では、ことあるごとにネギ君に服を吹っ飛ばされていたけれども。

 それはその、あれだ。今のこの、見た目だけなら無愛想な無口っ子、みたいな状態のアスナちゃんからしてみれば、未だ見えぬ遠き未来の他人事……みたいなもんというか、直接的に言うのならばわりと失礼な物言いというか。

 

 

「なるほど、譲二は脱がすのが好き。メモメモ……」

「……はいっ!?」

「いたいけなしょうじょにてをだすあっかん……(棒)、いやん、いけず」

「……えー、お(にぃ)ってばロリコンだったのー、ふけつー(棒)」

「イヤだきもーい(棒)服は分けて洗ってねー」

「なんでいきなり俺が責められる流れに?!」

 

 

 ……などと思っていたのだけれど。

 よく分からないなにかが混じっているアスナちゃんは、そのまま譲二の発言を逆手にとって彼を手玉に取る(意味深)ことにしたようで。

 やっぱりこの子如何わしい……なんて渋い目をする私の前で、他の姉妹達を味方に付けた(悪ノリさせた)彼女は、思う存分譲二弄りを楽しんでいるのだった。……なんなんすかねこれ。

 

 

*1
『鏡映点』は、『テイルズ オブ ザ レイズ』での用語。世界の具現化の際、その核・起点となっている人のこと。なお、世界の具現化を含まず、自身のみが具現化している『ストレンジャー』と呼ばれるタイプも存在している。『鏡映点』である場合、原作での自身の記憶を保持している為、それを元に違う選択肢を選べる存在ともなっている(例:原作では敵対関係だが、原作での結末などを知っているが為に、ザレイズの世界では仲間として一緒に戦えるようになっている、など。ラスボス系のキャラクターに多い)

*2
『ドラゴンボールZ』の主題歌『WE GOTTA POWER』の歌詞の一文『ハチャメチャが押し寄せてくる』から。泣いてる場合じゃないらしい

*3
『ONE PIECE』より、悪魔の実のネーミング法則、およびルフィの技の一つ『ゴムゴムの花火』から。虞美人が花火のようにふっ飛ぶ、とてもスプラッタな光景

*4
『バイオハザード』シリーズにおいて、ロケットランチャーは最強の武器とされていることがほとんど。隠し武器の無限ロケットランチャーともなれば、文字通り全てを粉々にふっ飛ばしながら進むことも可能だったり(※作品によります)

*5
『魔法先生ネギま!』のキャラクター、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルのこと。『闇の福音』『不死の魔法使い』などの異名を持つ、見た目はロリっ子な吸血鬼。なお見た目は可愛らしいが、その実力は折り紙つきなので、舐めて掛かると酷い目にあう

*6
法として決められているわけではないらしいが、原則として『同一戸籍内に現在いる人と、同じ名前を付けることは出来ない』とされている。……逆を言えば、命名時点で同一戸籍内にいなければ問題はない為、結婚などをして戸籍内から出ている兄弟だとか、出生前に死んだ家族と同じ名前を付けるだとか、再婚した相手の連れ子が同じ名前だとか、色々と回避手段はあったりする

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