なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
『うー、うまだっち!』
『うー、うまぴょいうまぴょい!』
「……あの電波力にも関わらず、
「『うまぴょい』という単語についてはよく話題に上がりますが、そのほかの『うまだっち』や『うまぽい』に関しても、正直意味がわかりませんよね……」*2
「ダンケとか夜戦とかと同じ意味にされるうまぴょいさんに哀しき過去……」*3
「風評被害の歴史ですね……」
月日は流れて十月の一日。
いよいよ始まったもみじ狩り……もといなりきり郷設立記念祭は、そのオープニングセレモニーとして、ついに
「行くぞタマ、この日のために磨き上げたスペシャルマニューバだ!」
「いやなんで編隊飛行やねん!確かにウチら跳べるけども!……っていや待てオグリ、人の話を聞
「そうだ、私達の歌を聴けーっ!」*4
「……あ、あのー?お二方だけでそうして盛り上がられるのは、私どうかと思うのですけどー!?」
純粋にウマ娘単体の存在としてここにいるのは、実はマッキーもといメジロマックイーン一人だけ。
残りの二人──タマモクロスとオグリキャップについては、それぞれがサーヴァントユニヴァースと
……そのため、張りきったオグリに引っ張られる形で、大空のキャンパスにアクロバット飛行でできた飛行機雲を残しつつ、遥か彼方へと飛び去っていくタマモの声が、こちらにドップラー効果を実感させながら遠く遠く離れていくのを、ポカンとした表情で眺めさせられる羽目になっていたのだった。
こんなの見せられて、
ここに集まった人々は、どうやら精神的に寛大な人が多いようで。それらの奇行は、拍手をもって迎えられていたのだった。
……まぁ、単純に元ネタと同じキャラが見たいのであれば、素直に原作をやればいいだけの話か。……などと納得する私である。
それって私、とても不利なのではありませんことー!?……なんてマッキーの泣き言を聞き流しつつ、広場の中心をあとにする私とマシュなのであった。
あれだ、マッキーにはウマ娘組唯一の常識人として、なにかと頑張って頂きたい所存である。
……え?どこからか『ウチは普通なんやー!』って声が聞こえた?そこからじゃ聞こえるはずのないこっちの台詞に、そうやってツッコミをいれてる時点でおかしいのは明白だからほっときなさい。
ともあれ、祭りの開幕・その掴みについてはバッチリだったと言えるだろう。
スペちゃんとかリッキーとかカフェとか*6、他のウマ娘キャラも居たのであればもう少し盛り上がったかもしれないが……無い物ねだりもほとほどに、というやつである。
「そう。じゃあなんで私に、このウィッグとウマの付け耳を?」
「あーうん、原作者に聞いて?」*7
「?」
なお、ふと思い付いてしまった結果、遊びに来ていた綾波さんに茶髪のウィッグを渡すことになった私だったのだが……なんか微妙に違う気がする、という感想が一番に浮かんできたため、みんなへのお披露目はお流れとなった。
……声は同じなんだけどねー、なーんか雰囲気がねー。
「せんぱい?その言い方だと、他の方に勘違いされてしまうのではないでしょうか?」
「綾波さんの中の人がソシャゲに出てたら、それはそれは大騒ぎ間違いなしだから。そこが分かってる人なら、こっちの発言の意味を間違えたりはしないから大丈夫大丈夫」*8
「……貴方達がなにを言っているのか、よく理解できない」
「この二人の会話については、無理に理解しなくてもいいやつだと思いますよ、レイ」
「そう……」
そんな台詞に対してマシュから飛んできたツッコミには、綾波さんの中の人がコラボ以外でソシャゲに出ていたら、そりゃあもう大騒ぎも大騒ぎ間違いなしだろうから、勘違いなんてあるわけナイナイ!……と返す私である。
いやまぁ、コラボでいいんならわりとあるんだけどね、中の人の出演。
コラボ王・エヴァ出身の綾波さん自体もそうだし、
なお、綾波さんはこちらの発言に更に首を傾げていたが、横のルリちゃんからこの二人は異常者だから気にしないように(要約)と言われ、小さく頷いていたのだった。……その発言、何気に失礼じゃない?
「相手が知らないことまで、平気でネタに組み込んでくるような人が、一般人面している方がどうかと思いますが?」
「うへぇ辛辣!そこまで鋭いツッコミじゃなくて、普通に『バカばっか』でいいじゃん!ルリちゃんの十八番でしょ!?」
「……バカばっか?」
「いや覚えなくていいからね綾波さん!?」
などと言う抗議は、鋭い言葉のナイフであっさりと切り捨てられるのであった。……マシュも苦笑いしているし、侮れないわねルリちゃん!
……あと綾波さん、口調的に似合うけどその罵倒を覚えるのは止めようね?
なんかこう、色々と変な気分になるからそれ。具体的には死神の足音が聞こえるというか。
「……噂をすれば影、とでも挨拶すればいいのか?」
「おおっと、あの声で『バカばっか』って言いそうなキャラと言えば誰ランキング一位、灰原哀ちゃんの出ている原作の主人公・江戸川コナン君ではあーりませんか!」
「いや、なんなんだよその説明口調……」
「そのうち西博士も遊びに来るから予行練習?」
「いや知らねーよなんだよその理由、っていうかいきなり爆弾発言してんじゃねーよ、どう考えても『デモンペイン』とかでカチ込んで来るフラグじゃねーかそれ」*9
などと言っているうちに、実は待ち合わせしていたコナン君ご一行様が合流。……いやまぁ、ご一行様って言ってもいつぞやかの特急乗車組なんだけども(なおライネス除く)。
なお、話題にされていたコナン君からの冷たい眼差しに、思わずボケを吹っ掛けてしまう私なのであった。
「ごめんねー、ルリちゃん。この人の相手、大変だったでしょー」
「それなり、ですね。どうにもここには、この方と大差無いような方も大勢いらっしゃるみたいですから」
「あ、あははは……その、普段はあんなにはしゃいではいないんだよ、オグリちゃんも。……今日はその、お祭りだから羽目を外してるみたい、っていうか……」
「
「…………」
「そこで目を逸らすくらいなら、最初から擁護しない方がいいのではないでしょうか……」
そんなご一行様の中では保護者枠に当たる毛利さんが、ルリちゃんに対して謝罪の言葉を入れていたわけなのだけれど……いや、ナチュラルに私を問題児枠に入れるなし。
さっきまでの私、特に問題行動は起こしていないはずなんだが?……え、存在そのものが問題の塊みたいなもん?
ククク……酷い言われようだな、まぁ事実だからしょうがないけど。*10
そこで認めるんだ、みたいなコナン君のジト目を受け流しつつ、空に消えてったオグリに視線を向けるルリちゃんと、毛利さんとの会話を眺める私である。
「やぁ、何時ぶりかなキーア嬢。ウィッグいる?」
「はいはいお久しぶりねバソ君。それとそのウィッグはそのまましまって頂戴な」
「うーむ、相変わらずつれないねぇ」
「寧ろその文句でなにを釣る気なの貴方?」
次に声を掛けてきたのは、保護者の片割れ・バソ氏。
お決まりの挨拶には辟易するが、そこさえなければ意外と常識人なので保護者としては適当だろう。無論正しい意味で。*11
……まぁ冷静に考えると、仮にも海賊なのに保護者として適当、というのも変な話なのだが。
とはいえ彼の異名は海賊紳士、船の上で荒くれもの達に鉄の掟を強いていた人物なので然もありなん。
「そうなんだよ。バソは普通にしていれば、意外と頼りになるんだ」
「おや、鬼太郎のデレとは珍しい。明日は雨かな?雪かな?」
「……そこでデレだのなんだの発言がでなければ、もっと完璧なんだけどなー……」
「んんん……メカクレの奥から覗く冷たい眼差し……いい……!」
「キーア、変態ってこういう人のことを言うのね」
「だから覚えなくていいって言ってるじゃん綾波さん……」
まぁご覧の通り?ちょっとメカクレが関わってくるだけで、ここまでキモくなるのでやっぱりアレなのだが。……綾波さんの教育に悪いので隔離するべきでは?
と、ここまで話したところで、ある意味問題児である某嵐を呼ぶ幼稚園児の姿が見当たらない、ということに気が付く私達。
なりきり防衛隊云々ということで、彼も同行者の一人に数えられていたはずなのだが……と、思っていると。
「にょわ~☆しんちゃんは、正義の味方なんだにぃ~?」
「そうなんだゾ。オラがこうして頑張ってるのに、みーんな勝手にどっか行っちゃったんだゾ」
「……話を聞くに、貴様の方が迷子のような気がするのだがな」
「もー、
「ほ、ホーホー?……いや、そもそも俺はおじさんではないわ、このじゃがいも小僧*12!……ってどうした、もしかして言い過ぎたか……?」
「いや、違うんだゾ。
「お、おう……それはまたなんとも言い難い話だが……」
件の人物、しんちゃんはと言えば、きらりんとサウザーさんという、これまた濃ゆい面々と一緒に人波の向こうから歩いてくる姿が見えるのだった。
……これは、波乱の予感じゃな?