なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・人数多いと文字数増える

「んもー!キーアお姉さんってば、先々行っちゃダメなんだゾ!」

「あー、ごめんごめん。なにかお菓子とか奢ってあげるから、許して頂戴な」

「オラ、お菓子でかいじゅーされるほど単純なお子さまじゃないぞ!チョコビ十個で手を打つゾ」

「……颯爽と懐柔されておるではないか!」

「お?サウザーおじさんもいる?」

「いらんわ!」

 

 

 騒々しい追加メンバーを加え、祭りの活気に溢れた街を歩く私達。……いや、正確には街ではないけども、広さとかで言うのなら街って表現した方がいいよね、みたいな?

 ともあれ、これから一月の間イベントが連続し続ける、ある意味では地獄のような祭りが始まったわけで。

 一月後の死屍累々の様を想像しつつも、参加者達は皆テンションアゲアゲで進行中である。

 

 

「……冷静に考えずとも、一ヶ月間ずっと祭りってなに考えてるんだろう案件だよね……」

『常に顔見せできるわけでもない、ネット上でのお祭りを元にしたものだもの。多少の無茶は承知の上、でしょう?』

「見てるだけだからって適当言ってぇ……」

 

 

 まぁ、その気力がいつまで持つものやら、みたいな心配も同時にしてしまうわけだが。

 一応、日時を分けてイベントごとが連続するため、飽きが来て疲れるということはないだろうけども。

 

 でもやっぱり無茶苦茶だよなぁという思いを込めて小さくぼやきを溢せば、私の右斜め上辺りを飛んでいる小型のドローンから、クスクスと声が返ってくる。

 これは、BBちゃんがひいこら言いながら今日の日に間に合わせたモノで、そのカメラの向こうには侑子が──恐らくは酒盛りしながらこちらを覗き込んでいるはずだ。

 

 

「せんぱい、いいですかよく聞いてくださいね?……無理でーす!!幾らBBちゃんがウルトラスーパー頼りになるエクセレント後輩だったとしても、この地雷まみれの園を綺麗に除染するのは、骨が折れるどころの話ではありませーん!」

 

 

 ……とかなんとか言いながら泣きついてきたBBちゃんによれば、以前からチマチマと進めていた侑子のサルベージ作戦は、暗礁どころか地雷源に乗り上げていたらしく。

 引けばドカン、進めばドカン……という、にっちもさっちも行かない状況に陥ってしまったため、諦めて現状維持に舵を取り直したのだとか。

 

 少なくとも、あの浮遊城が真の完成を見るまで、触らない方が無難だと思いまーす……とかなんとか彼女は言っていたが、ともかく侑子の実体を現実世界に持ってくるには、例えて言うのなら源氏装備を盗むような困難が待ち受けているのだそうで。*1

 ……まぁ要するに、現状ではゴールが用意されてないのでやるだけ無駄、みたいな感じである。

 

 で、サルベージを諦めた彼女は琥珀さんにとある機械の製作を依頼。

 快く了承した彼女によって出来上がったのが、この物質転送装置付きのドローンだというわけなのだった。

 

 侑子を現世に引っ張ってくるのは無理なので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいなコンセプトで製作されたこのドローンは、下部に備えられた転送装置に物品を翳すことで、それを電子的・霊子的に分解して電脳空間内に転送し、そちらでデータを再構築して消費できるアイテムとしてアウトプットする、という機能を備えている。

 

 ……まぁ、ぶっちゃけてしまえば以前からあった装置を小型化して移動機能を付けた、というだけなのだが。

 画像の投影機能と感触の同期機能も付随しているため、それらを使うと……。

 

 

「……どうかしら?映像の解れとか、大丈夫?」

「んー、大丈夫じゃない?疑似触感であって実際に触れる訳じゃない、ってとこに気を付ければ移動も問題ないでしょうし」

「そ、ならいいわ。……でも、結局のところ直接お酒を呑めない、っていうのは変わってないのよね……」

「転送すればそっちで幾らでも楽しめるでしょ。そもそも、気分だけでもって言ったのはそっちだし」

「むー、貴方が手を貸してくれれば、もうちょっとどうにかできるんじゃないの?」

「じょーだん。幾ら私でも確率が完全に0ならお手上げだっての」

「そう、それは残念ね……」

 

 

 このように、ホログラムの体ではあるものの、現実にその姿を見せることもできる。……まぁホログラムなので、モノを持ったりはできないわけなんだけど。冷たいとか暑いとかの触覚に関しては、多少はフィードバックできるんだけどねー。

 折角のお祭りなのだから、現地の空気を味わいたい……という彼女の言葉を叶えた形だが、ここまでできると欲が沸くということなのか、普通にお酒が呑めないことに対してわがままを言い始めたため、それとなく嗜める羽目になる私である。

 

 

「いやー、美人のお姉さんが増えると嬉しいですなー」

「次元の魔女、だったか?……まぁ確かに美人ではあるな」

「お?サウザーおじさんもイケる口?」

「いやおやじかその聞き方!寧ろ見惚れぬ男の方が珍しいだろうがそもそも」

「んもー、サウザーおじさんは()()()()()なんだから~」*2

「んー、それを言うならー、()()()()()()じゃないかにぃ?」

「おー、そーともゆー」

 

 

 なお、他の面々は彼女と初対面、という者も多かったが……特に変な反応はされなかった。

 事前にある程度説明をしていたことが、功を奏した形である。……まぁ、ルリちゃんがドローンのプログラムやら構造やらに興味を示していたので、あとでBBちゃんを紹介しとこうかなー、みたいな気付きはあったが。

 

 ともあれ、騒々しいメンバーが更に増えたわけだが……。

 

 

「そういえば、アグモン君は?彼も祭りのことを聞いたらこっちに来たがると思うんだけど」

「あら、聞いてないの?」

「……その言いぶりからすると、もしかして」

 

 

 侑子と言えば、居候のアグモン君。

 彼も電子の世界に閉じ込められた存在であり、なおかつ祭りの話を聞けば、いの一番に遊びたがること間違いなしだと思うのだが。

 ……みたいなことを聞いたところ、彼女から返ってきたのは意味深な態度。

 そういえば先程からスピーカー越しに彼の声が聞こえる、なんてこともなかった辺り、向こうにいる侑子の近くに彼の姿はない、ということはなんとなく察せられるわけだが……と、そこまで考えてピンと来る。

 BBちゃんは、()()()()()()()()は無理だと言っていた。……言っていたが、()()()()()()()()()()()についてはなにも言っていなかった、ということを。

 

 と、いうことはだ。

 恐らくはアグモン君は既にこちらにいて、祭りの屋台を回っているのだろうということになるのだけれど……。

 

 

「……んー、騒ぎにはなってない、かな?」

 

 

 多分もう近くに居るのだろう、と思いながら周囲を見渡すも、予想されるような騒ぎが起こっている気配はない。

 あくまでも常識の範囲内で、祭りらしい喧騒に包まれているだけである。

 ……いや、一部だけちょっと違う熱気に包まれている場所があるような……?

 

 周囲を見渡した際、少し気になった場所。

 恐らくはお面屋の屋台の辺りが、少しだけ周囲と違う熱気を纏っているような気がする。

 なんとなくそこが目的地だろうと感じた私は、皆に促してそのお面屋に近付いて。

 

 

「あ、キーア。こんにちわ」

「……こん、こんにち、こんにちわ……???」

「あらあら、予想通りの反応ごちそうさま」

「……え、えー。なにがどうなってんのこれ」

「おー、なかなかのカッコよさですなー」

「ふむ、武人の立ち姿、というやつだな」

「わー☆とーってもかわゆーい!」

「かわいい……?」

 

 

 そこで何故か店の手伝いをしている()()()()()()()()*3を見付け、思わず宇宙猫状態になる私なのであった。……なんで?

 

 

 

 

 

 

「いや聞いてくださいせんぱい!事故、事故なんですこれは!」

「いや、別に責めてはないけど……」

 

 

 近くにいたBBちゃん(こちらもさっきのドローンを使ってホログラムを投影していた。なおBBちゃん的裏技で物理的に触れるようになっていたので、礼儀として頬を引っ張っておいた)に話を聞くところによれば、侑子用のサルベージプログラムは完成しなかったものの、アグモン君相手のプログラムについては、比較的簡単に作成することができたらしい。

 

 

「無論、このグレートデビルなBBちゃんのウデマエあってのこと、他の方には早々真似もできるモノではないのですが……」

「そう、じゃあルリちゃんの紹介はいらない?」

「それとこれとは話が別ですぅー!そうでなくても最近なんだかよくわかりませんけど、冤罪受けたあとバックドロップされたりだとか、夢に沈むルーラーの皆さんにクリティカルとか宝具とかぶっぱされたりとか、周囲の環境ごと星の内海に引っ張られて鎖責めされたりだとか、そんな感じのよくわからない悪夢に苛まれていてBBちゃん夜も眠れていないんですよぉ!?」

節子(BB)、それ悪夢ちゃう、現実や」*4

 

 

 こういう時記憶がフィードバックされるの大変だなー、などと他人事ながら可哀想に思いつつ、彼女の話を聞くところによると。

 

 BBちゃんの能力があってこそのギガパッチであるそれをアグモン君に投与すれば、はれて彼は電子と現実を行き来することのできる究極生命体として新生する……っていうと大袈裟だけど、まぁ自由に両界を行き来できる存在になるのは間違いなかったわけなのだが。

 ……結果としてはご覧の通り、何故かアグモン君は現実に再構築される際にワープ進化し、究極体であるウォーグレイモンになってしまったのであった。

 これには近くにいたエーくんもびっくり驚きもんじゃ焼き。

 

 

「ネタが古いわよー」

「いいのよ別にそこは気にしなくても!……で?BBちゃんはもうどうしてこうなったのか、っていう理由については分かってるんでしょ?わざわざ侑子と同じものを使ってる辺り、ね」

「ぎくぅ!……いえその、別にBBちゃんが暗躍しようと思ったとか、そういうわけではなくてですね?……そのぉー、現状の物質化(マテリアライズ)にはちょっとした問題点がありましてー……」

 

 

 侑子のツッコミをスルーしつつ、更に話を聞くところによれば。

 この物質化システム、対象にパッチを付与することで成立するモノなのだが、それがどうにも進化素材的な扱いになってしまっているようで。

 ……簡単に説明すると、パッチ後に本体データが肥大化するため、その状態で現世に投影すると、結果の方が肥大化したデータ量に見合ったモノに置換されてしまうらしい。

 

 ……それならアグモン・バーストモード*5とかでも良かったんじゃ?みたいな気分も沸いてこないでもないのだが、どうやらその辺りは複雑にして怪奇な法則があるとかないとかで。

 ともあれ、このウォーグレイモンがアグモン君である、ということに間違いはないらしい。……それから、BBちゃんがこのギガパッチを試さなかったのも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということが大きいようで。

 

 

「今さらビースト化とか、二番煎じ過ぎて全然笑えませーん!そもそも今の私は……こほん。ともかく、ビーストになる気なんて更々ありませんので、パッチを試すのは急遽取り止めになったというわけなのです。よよよ……」

 

 

 みたいな感じで、どう考えても悪影響ありありなので別の手段を取った、というわけなのであった。

 ……そのデータを侑子の方にも反映すれば、酒とかご飯とか楽しめるんじゃないの?……みたいな熱い視線がBBちゃんに送られていたが、「元々電子生命体である私に適用するのと、元々は普通の人間である壱原さんに応用するのでは、色々と勝手が違うのです!」ということで、あえなく否定されてしまうのであった。

 

 ……その後、本気でガチ凹みした侑子を慰めるのに、それなりの時間を使うことになったのは言うまでもない。

 

 

*1
『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する装備群の名前。和風な感じの装備であり、性能が高いことがほとんどである為こぞって装備される。ここで言及しているのは『ファイナルファンタジータクティクス』での源氏装備のこと。同作の敵キャラクターエルムドアに対して『ぬすむ』を使用すると、成功確率が0%となっており盗めないことが確認できる(そもそも所持スキルの仕様上絶対盗めない)のだが、とある攻略本では『このゲームでは小数点以下を切り捨てているため、実際は小数点以下の確率で盗める』とか書かれていた為、無意味な行動を何時かは成功すると繰り返す羽目になる者が続出したのだとか。なお、海外版では盗めない理由である所持スキル(メンテナンス)を所持していないので、実際に盗めてしまったりする。なお、実は結構ややこしい裏事情があるとかないとか(適当なことを書く編集部に嘘のデータを渡した結果、データでは盗めるはずなのに盗めないので『このゲームでは~』の文面が生まれた可能性がある、と示された)

*2
『ヒモQ』とは、お菓子の一つ。ヒモのような長ーいグミ。二つの味が楽しめるほか、ちょっとしたヒモ遊びもできた。なお、現在は工場の老朽化などにより、2019年に生産は終了されている

*3
アグモンの進化形態の一つ、究極体。竜人型・ワクチン種が基本型だが、人気デジモンである為派生がとても多い

*4
『fate/grand_order』のイベント、『ぶっちぎり茶の湯バトル ぐだぐだ新邪馬台国 地獄から帰ってきた男』における周回クエストの一番難易度が高いところでの惨事。特攻もないイベントで体力100万と、基本的に周回するには向かないような構成に見えるのだが、なんと通常と違い2waveである為、大抵のバフが効果の切れる3ターン以内なら意外と倒せること・副産物の『忘れじの灰』の需要が大きい上、ほぼ確定でドロップすること・実は意外と100万くらいの体力なら吹っ飛ばせることにマスターが気付いた、などの要因によりBBちゃんはイベントが終わるまでの三週間、ひたすら酷い目にあうことになるのだった。ちょっと前にもぼこぼこにやられていたこともあって、まさに泣きっ面に蜂である

*5
『デジモンセイバーズ』に登場したアグモンの進化形態の一つ。どちらかと言えばパワーアップ形態。超究極体だと目されるほどの戦闘力を誇るが、見た目はオーラを纏ったアグモン。『妖怪ウォッチ』のジバニャンSなどが類例か

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