なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・人工知能は人の夢

「ど、どういうことなの凛ちゃん!さっきまでの説明で、なにがわかったの!?」

「そうだぞ凛!君が私の知る彼女とは別人なのはわかっているが、先程までの話でなにがわかったと言うのかね!?」*1

「ああもう、うるさい近い静かにしなさい!ちゃんと説明してあげるから、大人しく座るっ!」

 

 

 呆れたような凛ちゃんの言葉に、たまらず詰め寄っていく知り合い二人。

 そんな二人の勢いに押されながら、凛ちゃんは落ち着けと大声をあげるのであった。

 

 なお、突撃しなかった琥珀さんはというと、先ほどまでの自身の発言を思い返しているのか、顎に手を置きながらむむむと唸っており。

 

 

「──ああ、なるほど。そういうパターンですか」

「おっ、気付いた感じ?」

「盲点でした。いや、有り得ない話ではないのですが、少し考慮の外に外していたと言いますか……」

 

 

 暫くしたのち、答えにたどり着いたのか少し疲れたように息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

「で、落ち着いた?二人とも」

「う、うむ……」

「はーい……」

 

 

 暫くして、大騒ぎしていた二人を物理的に静かにさせた凛ちゃんは、そんな彼らに呆れたようにため息をついたあと、どこからかホワイトボードを引っ張り出してくるのだった。

 

 

「……そのホワイトボードは、どこから?」

「今それを気にする必要性ある?……心配しなくても、別にどこかの月のお姫様だとか、エミヤお兄さんみたいに()()()()()()()ってわけじゃなく、しまっていたものを出したってだけよ」*2

「あっ、それってもしかしてアイテムボックス(異次元収納)!?ずるいよ凛ちゃん、いつの間に実用化したのー!?」

「ああもう、なのはうるさい!あとで起動式は教えたげるから、静かにしてなさい!」

「はぁい……」

 

 

 なお、その時の凛ちゃんが()()()()()()()()()()()ホワイトボードを出したことで、先ほどとはまた別の騒ぎになるが……それすらも黙らせて、ようやく話は本題に戻るのだった。

 ……どうでもいいけど、みんな私の知らないところで色々やってるよね、意外と。いやまぁ、別に私が全部を知ってる必要はないけどさ?

 

 

「……いや、なんで貴女まで拗ねてるのよ」

「いえ別に?みんな密かに訓練とかして、門外不出の技術とかを磨いてるんだろなー……って思ったら、そういうのとは無縁な我が身のなんとも言えなさに、思わず『ふっ……』と淡い笑みを浮かべたくなっただけですしおすし」

「いや、意味わかんないわよ……とりあえず、話してもいいのかしら?」

「ああはい、どうぞどうぞ」

 

 

 ちょっとばかり、置いて行かれているような寂しさを覚えた、というだけのこと。

 まぁ、置いていかれるのには慣れっこなので、特に問題はないのだけど。……と勝手に納得して、凛ちゃんに続きを促す私である。

 

 

「ええと、なんの話だったかしら?……ああそうそう、なんでここが崩壊するようなことに発展するのか、って話よね?」

「そうなの。今のところ、あの指輪が理由ということはわかってるけど……」

「単純に滅亡と言っても、あの指輪を使う人間が原因なのか、はたまたあの指輪そのものが原因なのか?……などと言った疑問が、それこそ星の数ほどある。今のところ、我々にはその取っ掛かりすら不明な状況だ、その最中君は『理由がわかった』と述べたのだから──」

「ああもう、回りくどいわねー。根拠と理由を示せってんでしょ?長々と話をしないっ」

「む?……あ、ああ。すまない」

 

 

 戻ってきた話題は、何故なりきり郷が滅ぶのか。

 ……まぁ、どこぞの愉快な人理継続保障機関みたく、わりとどうでもいいような理由から滅びの因果が導かれる、と言うことが頻繁に起きる場所なので、正直『またかー』みたいな感想もなくはないのだが、それはそれ。

 黙って滅ぶ気なんて更々ない以上、目の前の問題達には対処する気満々の私達なので、理由がわかるのであれば早急に聞いておきたい、となるのは当たり前のことなのである。

 

 

「さて、まずあの指輪についてだけど──特定の魔法を使用()()()()()アイテム、ということで間違いはないわよね?」

「……ああ、そうだな。上手く行かなかったのであれこれと間に合わせだが、基本的には『星に願いを』を使用してくれるもの、ということで間違いないだろう」

「そう、そこよ」

「……む?」

「一つ目の問題点は、『結局大本が変わってない』ってこと。機能の縮小が行われているとはいえ、それはキチンと整理すると『本来膨大な機能を持つ装置を、別の装置を使って制御し、単純作業のために利用している』とも言い換えられるってわけ」

 

 

 そこで彼女が挙げた第一の問題点は、あの指輪が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だという点。

 無論、実証試験などもキチンと行っていると言っていた以上、安全装置などは確りと設けられているだろう。

 だが、だからと言って──、

 

 

「そこに『星に願いを』という魔法が込められていない、ってわけではない。……でしょ?」

「そうですねー。材料を用意して似たような形に整えた、という品物ですが、『流れ星の指輪』を再現しようとしたモノである、という事実は不変ですので、そこは変えようがないですねー」

 

 

 その指輪が『流れ星の指輪』の模倣品である、という事実は変わらない。

 言い方を変えれば、『運気を上げる願い(プログラム)』をどうにかすれば、元の『星に願いを』を利用するための道筋は開ける、ということである。

 

 

「二つ目は、なのはが関わっていること」

「にゃっ!?わ、私っ!?私のせいなのっ!?名指しするほどっ!?」

「あー、言い方が悪かったわね。貴女、レイジングハートの参考になるかも、って理由でこれを手伝ったでしょ?」

「う、うん。それに関しては、私が最初にそう言ったから、凛ちゃんも知ってるよね?」

「ええ、知ってるわよ。……ところで、なんだけど。その時、他に人が居たこと覚えてる?」

「その時に、他に居た人……あー、そういえばBBさんも一緒に聞いてたような……?」

「なにっ、BBが!?」

「……勘違いする前に釘指しておくけど、別にBBはなにもしてないわよ」

「そ、そうか……」

 

 

 次いで理由に挙げたのは、この話になのはちゃんが関わっている、という事実。

 とはいえ、これは彼女がとんでもないミスをした、とかいうことではなく。

 彼女がこの話に参加した理由が、彼女の行動に()()()()()()()()()()()ということに問題がある、という形である。

 

 

「……ええと、どういうことなの?」

「突然だけど、レイジングハートに求められることってなにかしら?」

「え?えーと、こっちの言葉に対して、ちゃんと受け答えしてくれること……?」

「そうね、でもレイジングハートレベルのAIを再現するというのは、並大抵のことじゃないわ。それこそ、現在の科学レベルでは何年・何十年・何百年掛かるか分からないって感じでね」

 

 

 まぁ、デジタル関連の技術発展はこっちの度肝を抜くくらい、唐突に加速したりするものだけど……などとホワイトボードに色々書きながら述べる凛ちゃんの姿に、エミヤさんが頻りに首を捻っていたが……いい加減に慣れよう、マジで。

 

 ともかく、件の指輪の制御プログラム構築のために参加したなのはちゃんは、流石に今すぐには無理だとしても、いつか相棒を自分の手で作って見せる、という気炎を上げていたわけで。

 実際、『指輪に使わせる』という形式にする場合、指輪自体に人工知能(AI)を搭載する、というのは確実かつ安定性の高い手段でもあったことから、彼女の協力を願ったという部分も無くはないのだろう。

 

 だがしかし、自我を擁立するレベルのAIというのは、少なくとも現行の科学では再現の難しい存在である。

 

 その最たる理由の一つに、AIには『合理的でない選択を取ることが難しい』というものがある。

 例えば、選択肢を例示された時にAIが行える行動とは、それらの選択肢を選ぶことと、()()()()()()()()()()()

 なので、一見非合理的な選択ができているように思えるのだが……その実、その『選ばない』という選択は、内部処理的には『それが最適であるから』という、非常に合理的な判断で選択されたモノであることが分かる。

 

 言うなれば、その選択肢に価値があるからこそ選べるということ。

 例えば目の前に殺人犯が居たとして、現行のAIでは問答無用で射殺してしまうが、空想上のAIならば相手の言葉によって騙されることもある、というわけである。*3

 

 

「でも、魔法の使用者が指輪の方である、と認知できるレベルでないと行けないわけでしょ?今回の場合」

「そうですねー。自我を持つこと──そこに魂があると誤認できるほどでなければ、魔法の使用権が主張しきれませんので」

「で、そこで一度詰まって──」

「……あ、そうだったの。その時、BBさんにデータの提供を受けたの」

「……なに?」

 

 

 そうして手詰まりになりかけた時に──以前彼女達の話を小耳に挟んでいたBBちゃんが、()()()()()()()()()自身のパーソナルデータを提出した、というわけである。

 なにせ、彼女は『逆憑依』ではあるものの──同時に月の上級AIでもあるのだから。

 無論、仮に文字の羅列として彼女のデータを出力できたとしても──それを改良したり、解析したりすることはほぼ不可能。

 そのため、提出されたデータは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ……おおっと、雲行きが怪しくなってきたぞー。

 

 

「で、でもでも!ここのBBさんは、別に悪い人じゃないの!」

「ああうん、そこは間違いないわ。あのBBは──時々露悪的だけど、()()()()()()()()()()()()()()()だってことは、疑いようのない事実だもの」

 

 

 慌ててBBちゃんを擁護するなのはちゃんだが、凛ちゃんの言う通り、『逆憑依』の方のBBちゃんが(比較的)良い子である、ということは間違いない。

 

 

「──ところで。彼女の出身作『fate/extra_CCC』において、彼女は話が進むに連れ、徐々におかしくなっていくのだけれど……その理由、知ってる?」

「……聖杯と同じとされる、ムーンセル・オートマトンとの接続による変質……いや、それだけが理由と言うわけでもないが……これは……」

 

 

 さて、そこで問題です。

 元々、BBちゃんとは作中のAI・間桐桜が、自身の想いをバックアップに封印したことで変質したモノなのですが。

 今のこの状況、その再現のように見えてきませんか?

 

 

「……つまり、これは」

「人類悪番外編、というわけですね☆」

「ふざけるなぁっ!!」(涙目)

 

 

 ……うん、尽きぬリソース、というわけではないけれど……聖杯っぽいことができる魔法に、それができるだけの魔力の器。

 こんなん、聖杯扱いでええやんけ、と思わず声を荒げる私達なのでありました。

 

 

*1
言外に元の凛が機械音痴であることを述べている

*2
アルクェイド(某月のお姫様)とか。意外と状況説明において、ホワイトボードなどの視覚に訴えかけるものは強かったりする

*3
現状では、AIに利のない行動をさせようとすると、『利がないことが利である』みたいな感じでプログラムする必要がある

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