なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・貴女は……もう一人の私!(白目)

「え、えー。……確かに私も、皆さんがお困りのようでしたので、純粋な善意から私のパーソナルデータを提供したりしましたけどぉ……いや、よもやそんなウルトラCなことになっちゃうんですかぁ……?」

「まぁうん、これが単なるBBちゃんからの提供だったら、問題はなかったんだろうけどねぇ……」

 

 

 酷いことになった()。

 ……ということで、なんか唐突に当事者に躍り出てしまったBBちゃんを呼び寄せた私たちは、沈痛な面持ちでこれからの対処について話し合いを始めたのだけれど……。

 まぁうん、桃香さんの言うところによれば()()()()()()()()()()()()()()()()、というだけならば、ここまで問題は大きくならなかったのだとか。

 

 

「ええと、どういうことなのでしょうか……?」

「BBちゃん、ビーストⅡiの尖兵になってたことあったでしょ?」

「人聞きが悪いですせんぱい!……まぁ確かに?ちょーっと利用されたこともあったかなー、とは思いますけど。それが、今回のあれこれとなんの関係があるんですか?」

「あー、うん。これが普通のBBちゃんなら、自身の洗浄──悪性データ(ウイルス)の洗い出しをしているはず、ってことになるんだけど」

「……あ゛」

「……その様子だと、やってなかったんですね、ウイルスチェック」

 

 

 その理由は、彼女が『逆憑依』であること。

 本来のBBちゃんであれば、(自分以外の)他の悪性データに晒されたとなれば、自身のスキャニングはやって当然くらいのものなのだけれど……彼女はなまじ『逆憑依』であるためか、そこら辺を怠ってしまったのである。

 そこら辺を蔑ろにしても、自身の存在に影響を受けないから、という理由で。

 

 どうにも中身──即ち核となるものが別に存在するという事実が、一種のファイアウォールとして働くらしい。

 その結果として、例えウイルスに感染していたとしても、それが活性化する場所がない、ということになるのだとか。

 ……いやまぁ、正確なことを言えば『体表にウイルスが付着しているだけで、中にまで侵入していない』──つまりは感染していない、なので発症もしていないということになるらしいのだけれど。*1

 

 けれど、発症していないとは言え、体にウイルスが付着しているということに変わりはなく。

 更に、感染していない以上は、自覚症状なんて発生するわけもなく。

 その結果、データ提供の際に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ごと、一纏めのデータとして渡してしまっていた……ということになるのだそうだ。*2

 

 あとはまぁ、皆さんのご想像通り。

 中身(核/意思)の無くなったBBちゃんのデータは、AIとして登録されたことによって、また改めて中身(プログラム)を得て。

 中身の根幹と外観の根幹が共にデータ由来、と一致してしまったがために、普通にウイルス感染の条件を満たしてしまい。

 そうして、原作のBBちゃんのように『まったく新しい人類悪』として、指輪という揺り籠の中で成長し続けている……という結果に繋がるのであった。

 ……なんだこのドミノ倒し的連鎖(白目)。

 

 

「とはいえ、それだけだと問題はないのです。形式的に聖杯に見立てられるようになってしまっているとはいえ、所詮は限りのある魔力源。ほっとけばそのうちエネルギー切れして、勝手に行動不能になってしまいますから」

「そもそも、回路的に内在魔力だけ使うようになっているから、彼女がなにかしようにも、どうしようもできないわけだしね」

 

 

 だが、実はそれだけだと問題にはならない。

 それは、あの指輪の構成が意外としっかりしているから、というところが大きい。

 

 まず、内包する魔力に限りがある。

 回路の設計的に、物理的にも魔術的にも『外との接点は結果の出力部分』のみとなっているため、外から魔力を補填して稼働する、ということが不可能。

 なので、常時発動型であることも踏まえて、放置しておけばそのうち無力化できる。

 

 第二に、願いの選択部分に関しては、AI(コピーBBちゃん)を介さず別の制御方式にしていることも、結果としてプラスに働いている。

 

 

「データの丸写しのせいなのか、インテリジェントっていうよりはストレージ、って感じの受け答えになっちゃったけど*3……でも、『なんでも叶う』って部分をそのままにしておくのは、やっぱり危ないって思ったから……プロテクト部分に関しては、結構頑張ったの」

 

 

 かつて『ジュエルシード』という、小型の聖杯みたいなモノに触れた記憶があるなのはちゃんは、例えそれがAIだとはいえ『なんでも叶う』なんて効果のある魔法に、意思のある存在が自由にアクセスできる状態のままにしておくのはどうだろう?……と思ったのだそうで。

 

 結果、『星に願いを』の起動式が含まれている回路と、AIの記述を刻んだ回路は物理的に遮断した上で、更に別の制御装置を間に挟むという念の入れようで、個別の安全措置を取っていたのである。

 なので、『星に願いを』の起動式に命令を下すには、必ずAI以外の別の制御装置を介さねばならず、ゆえに他の願いを叶えてしまうことはまず有り得ない、とのこと。

 

 

「……そのぉ、せんぱい?」

「ははは、なにかなBBちゃん。今成功(という名の失敗)フラグを積み立てている最中なのだがね?」

「もうご自分で答え言っちゃってるじゃないですかぁ!!これアレですよね、どう考えても私の属性(ラスボス系後輩)が悪さしてるやつですよねぇ!!?」

「ははははは(壊)」

「壊れている場合ですかぁ!!?」

 

 

 ……まぁうん、ここまでちゃんとしていると、私としてはこう告げるより他ないわけなのだけれど。──だがここに、例外が存在する(白目)。

 

 以前、無限というものの恐ろしさ的なものを語る際に、原作BBちゃんがやったことを例に挙げたことがある、というのを覚えているだろうか?

 

 本来()()()()()()()()()()()()()()()、決してたどり着けるはずのないムーンセル・オートマトンの中心部に、サルベージした女神の権能を自身に取り込み、『無』を掌握することに成功した彼女が、それを応用した『無限』の概念を以て到達して見せた──という話を。

 

 ……そう。

 BBちゃんはそもそも、無理なことを無理矢理突破できるタイプの存在なのである。

 いやまぁ、そのために色々無茶をした結果、壊れかけたりもしていたわけなのだが……それは置いといて。

 

 ともあれ、彼女がチート系後輩を名乗るのは、自身が持つ能力が規格外であるがゆえ。

 その力を以てすれば、おおよそほとんどの難局は自身の手で踏破してみせる、というだけの実力を最初から持ち合わせているのである。

 

 その割には、ここにいるBBちゃんは制限が多いような?……ということを思う人もいるだろうが、それもそのはず。

 彼女は確かに、普通の時には電子の世界にその身を置く、電子生命体のように見受けられるが──それよりも前の段階で、『逆憑依』であることも確かなのだから。

 

 さっきのファイアウォール云々の話とは逆。

 彼女は『逆憑依』という形式でそこにある限り、例え再現度が上がろうとも、本物の彼女には遠く及ばない程度の実力しか発揮できないのである。

 

 

「まぁ、はい。私の中身とでも言うべきものが、自由な能力の行使を妨げているという感覚は、確かに存在していますけど……」

 

 

 こうBBちゃんが言うように、彼女の本質(中身)は歴とした生身の人間であるため、それが引っ掛かりとなってあまり無茶はできないのだ。……いやまぁ、その割には結構色々やってたように見えるけども。

 

 

「それもまた逆なのよね。彼女のレベル(再現度)なら、本来もっと色々やれてもおかしくないのよ。少なくとも、わざわざこうやってアバターを用意しないと現実世界に干渉できない、なんてことはないはず。……でしょ?」

「断言はできませんけど……概ね凛さんの言う通り、でしょうか?」

 

 

 その部分についても、私たちは誤解している。

 そう、本来彼女は、ここにいる誰よりも強いとしてもおかしくないのである。なにせ彼女が本来扱えるのは無制限の『無』、そこから導きだされた『無限』であるのだから。

 区分的には五条さんと同じ『無限使い』なので、彼のできることは同じように彼女ができてもおかしくないのである。

 

 

「そうですね!原作のBBちゃんなら、それくらいできてもおかしくはありませんね!私には無理ですけど!」

「……いや待て、ということはもしかして……?!」

「はい、エミヤさんの想像している通りです!『逆憑依』であることが枷でありセーフティであるのなら、その軛から解き放たれたコピーBBちゃんが、()()()()()()()()のはある意味自明の理なんですぅ!!」

「まぁ、とは言っても今のコピーBBちゃんは、一種の休眠状態なんだけどねー」

 

 

 つまり、今回の問題とは。

 指輪の中には小悪魔系後輩(コピーBB)が潜んでいるということと、その彼女は現在()()()()()()()()()ということの二点である。

 

 

「……目的を持っていない、とは?」

「原作の彼女がそこまで頑張ったのは、そもそも一人の人間……というと語弊があるけど、彼女の愛しい先輩のためってのは周知の事実。……詳しく述べるのなら、今のコピーBBちゃんにはそこまでする理由()がないんだよ」

 

 

 いざとなれば、物理的・魔術的な障害はあってなきものであるはずの彼女が、現在大人しくしている理由。

 それは、今の彼女には()()()()()()()()()()()というもの。

 

 原作と違い、繋がっている魔力源は無限ではなく、願いを叶える器──もとい魔法も、現状では単一の願いのみを謳うものでしかない。

 そして、彼女は所詮はコピーであり──BB/GOのように悪性に染まっていたとしても、()()()()()()()()()()()()()()()

 願いの起点とするために、AIとして搭載されてはいるものの……『幸せになる』という願いそのものは、あくまで別の場所から発せられているもの。

 つまりは彼女に対しての命令ではないので、彼女が動く理由になっていないのである。

 

 

「じゃあ問題ないじゃん、って話になりそうだけど……」

「ここで、あれが賞品の一つであるということと、それから『流れ星の指輪』の模造品であること、というのが問題になってくるのよね……」

「……まさか」

「そのまさかよ。アレを手に入れられるのはただ一人。そしてそれは『流れ星の指輪』という、ある種の聖杯のようなもの。──聖杯戦争としての要項は、満たしていると言えるわよね?」

 

 

 だが、話はそこで終わらない。

 アレは、どこかショーケースの中で飾られ続けるコレクターアイテムではなく、この祭りにおいて素晴らしい成果を上げたモノに与えられる賞品である。

 

 そう、はからずも聖杯戦争としての形式に、当てはまってしまっているのである。

 それゆえ、あれは密かに聖杯としての性質(再現度)を高めてしまっており──、

 

 

「中身が変質したBBちゃん……もといCBBちゃんだから、()()()()()()()()()()()()()()()可能性が高くてね?」

「つ、つまり……」

「あれが『流れ星の指輪』である以上、例えその()()()()()()を予め説明されていたとしても──モノの試し、作中()()とばかりに願いを言ってしまう、という可能性は大いにあるわね」

「結果、中身のCBBちゃんが、それを自身の『理由』と定め──」

「本家本元の冬木聖杯の如く、歪んだ形でそれを叶えてしまう……ってわけね」

「……なんでさ!!」

 

 

 結果、黒聖杯みたいな願いの叶え方をする可能性が高い、と聞いたエミヤさんは、思わず若い頃のような叫び声をあげるのであった。……私も言いたいよそれ()。

 

 

*1
仮想環境でウイルスを導入してみた、みたいな感じが近いか。所詮は仮想環境なので、それを廃棄するとウイルスも一緒に廃棄される形

*2
「んー、AIデータ提供……まるごと私をスキャンするのが一番楽ですかね?」

*3
『なのは』シリーズにおけるデバイス搭載のAIのこと。インテリジェントデバイスの場合、受け答えも提案もできる、正真正銘の『創作世界のAI』が搭載されているが、ストレージデバイスの場合は応答音声など、必要最低限のAI、要するに現実のAIと同じものが搭載されていると言える

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