なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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へぇ、○○○かよ

「ふむ、それで何故こちらにまで来ているのか、という疑問も無くはないが……」

「口ではああ言いましたが、一応どうなっているのか気になった、という感じでして」

「──なるほど。意外と面倒見がいいのだな、君は」

(……な、何故せんぱいはキリアちゃんモードなのでしょうか……可愛らしくてとても良いとは思いましゅが……)

 

 

 ところ変わって、互助会。

 さっきはあんなこと言いながら逃げ出したものの、トップ達がてんやわんやしていたのは確かなので、一応こちらに確認に来た私とマシュである。

 

 ……マシュを連れてきた理由?そういえば彼女はこっちについて、ほぼ話としてしか知らなかったなー、と思い出したからですがなにか?

 いやまぁ、ストレスとか抱えてそうな気もするし、気分転換させたかったって面もなくはないのだけれど。

 

 ともあれ、こっちの食堂に直行したのち、エミヤさんに『最近どうです?』的な確認を取った私は、今のところ大きな問題にはなってなさそうだということを確認し、小さく胸を撫で下ろしたというわけなのである。

 

 ……ところで、マシュがなんかチラチラ見てくるんですが、私なにかしましたかね?

 

 

「……あー、ところでつかぬことを窺うのだが。何故君は、そちらの姿なのかね?最早元の姿も知れ渡り、普通に行動するになんの支障もないはずだが……」

(流石ですエミヤ先輩!ナイスアシスト!)<ガッツポ

 

 

 背後から感じる視線に、微妙な顔をする私に対し、エミヤさんが不思議なことを問い掛けてくる。

 ええと、私がキーアではなくキリアの姿になっている理由?

 それはまぁ、このあと会おうと思っている人のことを思えば当たり前というか、いい加減慣れてくれと言うか……。

 

 そう言葉を返せば、エミヤさんは怪訝そうな顔になり、更に質問を重ねてくる。……なんか背後を気にしながら。

 

 

「……他人に出会う用事があるのかね?今?」

「明確にアポなどを取ったわけではなく、こちらに来たのでついでに……という形ですが。それがなにか問題でも?」

「……あー、うん。気にしないでくれ。君も大概()()なのだな、と思い至っただけだからな」

「???」

 

 

 そうして、最終的には何故か匙を投げられた*1。……いや、何故に?

 

 

 

 

 

 

「……先ほどのエミヤさんはどうしたのでしょうか……?」

「さぁ?わかりかねます」

「……ええと、マシュ?どうかしましたか?少し言葉が固いような気がしますが」

「なんでもありませんキリアさん。私はマシュ・キリエライト。どんな時でも頼れる貴方の後輩ですのでっ」

(滅茶苦茶なんでもありますよね、この態度……)

 

 

 次の目的地へと歩を進めつつ、チラリと視線を横に向ける。

 こちらと並走するマシュは、笑顔を浮かべてはいるもののなんだかぎこちない。

 ほんのり強張っている、とでも言えばいいのか。

 そのせいでちょっと威嚇しているみたいなことになってしまっており、結果としてすれ違う人々が「ひっ!?」って感じで左右に避けていくのである。

 

 ちょっとしたモーセ気分で楽しくないこともないのだが、代わりにこちらに近寄ろうとしていた幾人かが逃げてしまうことにも繋がっているため、そろそろなにか対策をするべきかなー、なんて風に思わなくもない。

 マッキーなんか、「あ、今日はこちらにいらしたんですのn()ほげえええ!!?」みたいな感じで逃げてったし。……いやまぁ、ほげえとは言ってなかったと思うけど。○神が負けたんでもあるまいし。*2

 

 まぁともかく、このままだと横に威嚇しまくる大型犬を連れて散歩しているようなもの。

 目的の人物にこんな状態で会いに行くと、折角相手が逃げ出さないようにこっちの姿(キリア)になったというのに、結局逃げられてしまう……という本末転倒しか起きないので、急遽予定を変更してマシュのご機嫌取りをすることになるのだった。

 

 

「……そもそものお話としまして、一体誰にお逢いになろうとしていらっしゃるのですか?」

「えーと、予定では……友達と弟子、でしょうか?」

「と、友達と弟子……?」

 

 

 そうして目的地を変更してすぐ、マシュから質問が飛んでくる。

 それを聞いて、私は目的の人物を挙げたわけだけど……うん、これで済めばいいなー、という願望もなくはない。

 弟子の方に会うのにこの姿になった、という面が強いわけだけど──こっちが良い、って人もいるわけで。

 できればそっちとは今会いたくないので、なんとか回避できないかなーと模索している最中である。……まぁ、マシュには教えないけど。余計に拗れそうだし。

 

 そんなことを話しながら、急遽設定した目的地──トレーニングルームにたどり着いた私は、早速その扉を開き。

 

 

「お待ちしておりました、我が華よ」

 

 

 そのまま扉を閉じたのだった。……空気を!読め!!

 

 

 

 

 

 

「……ええとせんぱい、今のは……?」

「見間違いでしょう。本来の目的地に向かいましょう」

「ふっ、我が華は私の扱いをよく心得ていらっしゃる。すなわち艱難辛苦を耐え忍び、乾きに乾いた私に一滴の甘露を与えればそれで全て済む、とよーくわかっているのだ。──おお、時よ止まれ、お前は美しべふっ」

「だからっ!貴方は一度怒られなさいと言っているでしょうが!!」

 

 

 会いたくない、と思っている相手ほどエンカウントしやすいのは、なにかの呪いなのか。

 

 そんな疑問がつい口をついて出てきそうな今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私はご覧の通り、コズミック変態を折檻するのに忙しい状態にございます。……まぁ、「構ってくれてる!」みたいな恍惚の笑みを浮かべているので、はたしてこの行為に意味があるのか否か、と問われるとちょっと疑問に思わないでもないのだが。

 

 なお、何度か匂わせている通り、会いに来たのは彼、水銀さんではない。ないったらない。……いやまぁ、この姿をしていたらそのうち寄ってくるだろうなー、とは思っていたけども。

 

 

「ふふふ、よくわかっていらっしゃる。少なくとも貴方に傅くことを咎められることはない以上、これこそが私に与えられた自由と言っても過言ではない。──すなわち、我が世の春が来たぁぁああっ!!!」

「ええぃ、興奮しないで下さい!」

「これが燃えずにいられましょうか!いいや否!我が華よ、我が愛は今こそ燃え上がりましょ、」

「ひぇっ」

 

 

 このままでは、マシュの機嫌取りなぞ夢のまた夢。

 なので、どうにかして彼をこの場から立ち去らせなければならないのだけれど……なに言っても喜ぶから帰る気配がねぇ!!

 わりとマジでどうしよう、マシュ怒ってないかな……的な焦りが少しずつ私にのし掛かり始めたその時。

 なんと、水銀さんの頭が三百六十度回転したのである。こきゃっ、という嫌な音を立てながら。*3

 

 思わず素で悲鳴をあげる私の前で、恍惚の表情のまま倒れていく水銀さん。その背後から現れたのは……。

 

 

「……済まぬな、目を離した隙にここまで来てしまったようだ」

「ま、マステリさん……!?」

「卿にはよく言って聞かせておく。……まぁ、この邂逅を糧とすれば、あと五年は戦える……と暫くは大人しくしているだろうが、な」

「それ遠回しに絶対じっとしてないって言ってませんか?」

「……ふむ?思ったよりも卿は鈍感ではないのだな?」

「何故いきなりディスって来るんですか!?」

 

 

 そう、倒れ伏した彼の背後から現れたのは、彼の相方みたいなポジションであるマステリさん。

 どうやら背後から音もなく近付き、彼の首をこう……こきゃっ?とやったらしい。

 やだ、アサシン……みたいな感想を抱く私を適度にディスりながら、彼は相変わらず幸せそうな水銀さんを引き摺って、何処かへと去っていくのだった。

 

 

「……ええと、せんぱい?さっきの人がお逢いする予定の」

「いいですかマシュ、私たちは道中変態に襲われただけなのです。オーケー?」

「あ、はい」

 

 

 おずおず、といった風に蚊帳の外だったマシュが声を掛けてくるが……犬に噛まれたみたいなものだと思ってスルーして欲しい、と返しておく私である。

 ……冷静に考えると、この『犬に噛まれたと思って』って慣用句、海外だと通用しない気がするね?

 

 

「え?……えーと、確かにそうですね……日本は野犬はほとんど居ませんから」

「野良犬はいますけどね」

 

 

 こちらが話題を振ったことに気がついたマシュが、多少戸惑いながらも話に乗ってくる。

 野犬と野良犬の違い、というのは一般的に曖昧だが……完全に野生化した犬を野犬と呼ぶことが多いそうだ。

 そういう意味で、日本には野犬はほとんどいない。居るのは基本的に野良犬──エサなどの面で、人間に依存する部分のあるタイプだ。

 

 で、なんでそんなことになったのかと言えば──野犬が人にとって害となるから、というところが大きい。

 野犬とは野生化した犬のことを指す、と述べたが。それはつまり、狼に先祖返りしているようなもの、ということでもある。

 ……要するに、家畜や時に人をも襲うのだ、彼らは。*4

 

 問題はそれだけではない。

 野犬は人の管理を受けていないわけで、それゆえに健康状態などを確認することができない。……ゆえに、狂犬病などの危険な病気のキャリアになることがあるのである。

 

 日本は狂犬病の清浄国なので、基本的にはあり得ないことなのだが……それでも予防接種を受けていない犬が、たまたま狂犬病のキャリアだったりして、それが野生化してしまえば──一気に感染は広がってしまうだろう。

 

 つまり、日本は犬に噛まれてもそこまで大事にはなりにくい(=大事になりやすい野犬がほとんどいない)が、海外だと犬に噛まれるというのは死活問題、それゆえ子供が狙われた時にそれを助けた猫ちゃんが表彰されたりする、なんてことにも繋がるわけなので……え?悪質な犬ディスりしてないかって?いやいや、そんなことないですよ?

 

 ……まぁともかく。

 大したことないからスルーしなさい、みたいな意味の『犬に噛まれたと思って』という慣用句、海外じゃ通じないのでは?……という話題提供でした。

 

 

「……結局、水銀さんのことはどうするのが正解なのですか?」

「なにをしても喜ぶので手の打ちようがありません」

「えー……」

 

 

 なお、話題の元となった水銀さんについては、まさに処置なしなのでどうしようもない、としか言えない私です。

 

 

*1
なおいい笑顔だった()

*2
なお2022年の阪神はセ・リーグ三位である

*3
横か縦か、お好きな方をご想像ください。しましたね?答えは両方です()

*4
筆者も大昔(小学生くらいの時)、夜にちょっと飲み物を買いに自販機に行った時、野良犬に出くわすなんて目にあったりしている。その時は遅れてやって来た母のお陰で事なきを得たが、あれって意外と危なかったのでは?……なんてことを今更ながらに思うのであった

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