なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「そうだよそうだよそうだった!なんで俺は今まで気付かなかったんだ!」
「うわっちょっ、落ち着いて落ち着いて!滅茶苦茶光ってる!感情抑制の光が出まくってるから!!」*1
基本的に動じないここのモモンガさんにしては珍しく、素のサトルとしての口調が漏れまくっている辺りに、彼の動揺が窺えるが……。
こちらとしては意味不明も意味不明、突然騒ぎ始めたようにしか見えないため、なんのこっちゃとしか言いようがない。……のだが、
「キョウスケ・ナンブもそう!見方を変えれば道満とリンボもそう!東仙要にセフィロス、魔法帝にサイクロップスだってそうだ!──彼の声優、味方ポジションにもなることのある敵役多すぎるだろう!!」*2
「あっ」
次に彼の口から放たれた言葉に、一同思わず硬直してしまうことになるのだった。
……この言葉の問題点は、『逆憑依』における設定の追加──いわゆる【継ぎ接ぎ】が、
現象の大本がなりきりであるということから、これは恐らく『返答に困った時など、ネタとして同じ声のキャラクターの台詞などを引用する』ということが結構な頻度で存在する、という事実を元にしているのだろうが……まぁその辺りは置いておいて。*3
ともあれ、『声が同じ』というのは軽い関連性に見えて、その実結構重ためなモノになるのは間違いあるまい。
それを踏まえてキョウスケ・ナンブ、ひいては彼と同じ声のキャラクター、というものについて考察して行くと……。
まずはキョウスケ・ナンブ自身だが、彼はOGシリーズにおいて『並行世界の自分』である『ベーオウルフ』というキャラクターが存在する。
厳密には別人なのだが、彼の可能性の姿として存在しうる、ということは間違いではない。
続いて挙げられた『FGO』の蘆屋道満。
これは、作中において彼がやがて『キャスター・リンボ』を名乗る怪人物へと変貌する、という可能性について語られている。
一応、安倍晴明の方を主役とする向きの強い創作界隈において、道満は最初から悪役筋では?……みたいな話もなくはないのだが。*4
少なくとも、リンボを見た道満が『ああはなりたくない』と思う程度には人格として隔絶している以上、変貌したと言い張ることはそう難しいことではない。
東仙要とサイクロップスは言わずもがな、元々味方側だがなにかしらの要因によって敵方に移動した、典型的な裏切りキャラである。……いやまぁ、サイクロップスをここに混ぜるのはどうか、と思わなくもないわけだが。実写だと声違うわけだし。*5
とはいえ、魔法帝であるユリウス、それから1stソルジャーであるセフィロスに関しては、文句無しに『味方側から敵側に移動したキャラクター』として扱ってもいいだろう。
しかも二人とも、自身に秘められた真実によって敵対したキャラ繋がり、だったりするくらいだし。*6
……まぁ、裏切らないキャラというのも、結構いるのだ。
今なら野原ひろしだって同じ声だし、Dボゥイや親方様みたいな主人公や味方キャラだってやっている。*7
……無論、そこを拾うのなら奈落やシャギアみたいな、最初から敵役のキャラについても拾う必要性がある、ということになってしまうわけだが。*8
ともあれ、総合的なイメージ、特に有名なキャラクター達のそれを集めると──、
「声が胡散臭い、って言われても仕方ないところがなくもない……!?」
流石にどこぞの
そして、それを踏まえた上で、先ほどの
「……絶対リンボ混じってない?!っていうか変貌って『ンンン』って笑うようになった、とかそういうやつじゃない?!」
「わー、ありそー……」
キョウスケさんがリンボを【継ぎ接ぎ】された、もしくは【複合憑依】のように複数の裏切り要素を付け加えられた……なんて可能性は、迂闊に否定できない世迷い言、みたいなことになってしまっているのだった。
「……でも実は一番混じってて欲しくないのは、Dボゥイだったり」
「漏れなくマイク……もとい鼓膜が破壊されるだろうからねぇ」
ガッカリウルフならぬしっかりウルフである。()*10
……冗談はともかく、前リーダーであるキョウスケさんが、なんらかの理由でリンボが混じった、というのは半ば確定的だと思われる。
じゃないと、前リーダーが同じ声集団を引き連れているヤバイやつ、ということになってしまうので。
「……それ、勝てるのか……?」
「ラスボスも主人公も多いですからねぇ、同じ声。……いやでも、ダンテさんは
でも間違いなくセフィロスがいるなら向こうだから、最低でもこっちのクラウド君が寝込むことになるのは間違いないだろう。
……まさか、
まぁ、なんだか可哀想なことになってしまったクラウド君については、一先ず置いておいて。
さっきも言ったように、一応この原石にはなんにも仕掛けはされていない、というのは確か。
これから仕掛けられる、という可能性もあるということを考慮して、さっさと仕事を始めるべきだと、改めてモモンガさんに提言する私たちである。
「……むぅ、今さらになってやめておけば、というような気分に……」
「移動が終わったら、この原石もお役御免なんでしょう?だったら、余計のことさっさと終わらせるべきですよ」
「……それもそうか。では、指輪を設置する。皆の者、なにかが起こった時に備えて準備をせよ」
「了解ー」
そもそもの話、この原石に頼りきりだとよくない、ということも含めての移設計画である。
ならば、この原石がどうとか前リーダーがどうとか、全部移設が完了してしまえば解決するわけで。
その辺りのことをもう一度強く伝え、モモンガさんをその気にさせた私たちは、彼が原石に指輪を設置する姿を、今か今かと待ち構え……。
「それで?やっぱりなにかあったんでしょ?」
「……った」
「?」
「……なにも!!!な゛かった……!!!!!」*11
「嘘ぉっ!?そこまでフラグ立てといてぇっ!?」
時間は飛んで、ゆかりんルーム……と、見せ掛けていつもの定食屋。
……ここまでフラグ立てしといてなんだけど、拍子抜けするくらいに工事は順調に進み、なんとまぁ予定より遥かに早い三日程度で終わっちゃって、みんなで顔を見合わせたりしたものである。
無論、件の原石に関しては運用を破棄、以降の隠蔽に関してはこの原石から得られたデータを使い、琥珀さんが新しいアイテムを作るという形に落ち着いたのだった。
「毎度のことながら琥珀ちゃんが便利に使われてる、ってところはスルーしておくとして……それにしても、なにもなかった、ねぇ」
「来るんなら今、だと思ったんだけどねぇ」
絶対諦めてない、ということはほぼ確実だと思われるのだが……ここで仕掛けてこなかった辺り、向こうがなにを考えているのかわからなくなった、ということは間違いなく。
はてさてどうしたものか、と二人して唸り声を挙げる羽目になったわけなのでして。
「……まぁ、今は一先ず感謝を言わせて貰えないか?」
「あー、はい。とりあえず乾杯、ということで」
「うむ。──乾杯!」
飲めないなりに楽しもう、というモモンガさんの言葉に反応して、一先ず難しいことは置いておくことになったのでした。
次からは幕間です。