なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「──絶望した!もう年の暮れが迫っているという事実に、絶望した!!」
「おっとこんなところで奇遇だねロロミヤ君。後ろでりんごもぎっとけばいいかな?」
「ロロノア屋とか、がしゃどくろとかみたいな呼び方をするんじゃない!」*1
「失礼、噛みました」
「違うわざ……やめろ、そのネタをすると奴になるだろうが」
「ちぇー」
ある日のこと。
すっかり寒くなったかと思えば、なんか日中は暑いしなんじゃこりゃ?みたいな感じの日々を過ごす中で、偶然出会ったのはロー君。
この間の紅葉狩りぶりなわけだが、どうやら今日の彼は情緒不安定らしい。いつもにも増して、同じ声の別キャラクターの側面が出まくっているというか。
「……よくよく考えたら、これで【継ぎ接ぎ】じゃないってどういうことなんだろうね?」
「俺に聞くな……と言いたいところだが、まぁ確かに、他の奴らを見ていると不思議に思う、なんてこともなくはないな」
ここまで性格面に影響を及ぼしているのだから、なにかしら【継ぎ接ぎ】の兆候が見えてもおかしくないと思うのだが……生憎?と、彼にそのようなモノは見られない。
本人の言う通り、他の人ならばとっくになにかしらくっついていてもおかしくないような状況なのだから、なんとも不思議なものである。
「うーん……【継ぎ接ぎ】の判定に引っかかる人が多いから、それらが全て干渉しあって結果として無効化されてる……みたいな?」
「なんだそれは……全ての同声キャラの可能性の集合とか、有り難くもないもの過ぎるぞ」
そもそもの話、ワンピースキャラ自体がそこまで多くない(人気作品なのにも関わらず、だ)のだから、これが彼ら特有のなにかによるもの、だったとしてもこちらにはわからないわけで。
そこら辺を踏まえてみると、学術的興味がむくむく湧いてくるのも宜なるかな、というわけでですね?
「違う暇潰しだ。……結局言っちまったじゃねぇか」
「まぁまぁ♪気になることは確かめてみよう、なんて言うじゃない?確かに私は暇も暇だし、ちょっと実験に付き合って頂戴な♪」
「……絶望した!!完全にやぶ蛇だったことに絶望した!!」
そんな私の様子に、ロー君は頭を抱えて呻くのでした。
はてさて、唐突に始まったロー君の体質を研究する会。
とはいえこれは単なる暇潰しだけのもの、というわけではなく。
「実際、条件的には【継ぎ接ぎ】が起きてもおかしくないのに、その辺りの兆候がない……っていうのは、【継ぎ接ぎ】という現象の発生メカニズムなんかを確かめるのには持ってこい、ってわけでね?」
「……だからって、わざわざそいつを呼んでくる必要はなかったんじゃないのか?別にお前だけでも、計測とかくらいならできそうだが……」
「そんな滅相もない。私はしがない弱き女、研究とかに必要な数値の算出などとてもとても……」
「胡散臭ぇ……」
現状知られている条件を思えば、彼の状況は矢鱈滅多に【継ぎ接ぎ】が起きていてもおかしくないもの。
……となれば、どうにかして彼に【継ぎ接ぎ】を引き起こせれば、いまいち謎だったその辺りの発生原因とか前提条件とかを知ることも可能になるかも、なんてことになるわけで。
いやまぁ、『変身』という行為と組み合わせる、みたいな派生については結構盛んに議論されているみたいだけど、それよりももっと根幹の部分──なにを基準に判定しているのか、みたいなところについては、彼という存在一人であやふやになるものしかわかっていない、というのも間違いないわけでね?
声だろうが姿だろうが、なにかしら
……明らかにそれを満たしているロー君に、それらの兆候がないのであれば、そこにはさらに別種の基準がある、と考えられてもおかしくはない。
まぁ、さっき言ったみたいな
ともあれ、実験とあらばこの人を呼ばねば始まらない……ということで、今日も変わらずお越し頂いたのは琥珀さん。
最近自身の手に負えない事態が起きすぎているため、もうちょっと頑張ろうかな……みたいな感じにやる気に満ち溢れている彼女は、今回も一つ返事でここまでやって来てくれたのだった。
あと、一応ゆかりんには既に実験の了承を取り付けてあったりする。……報告書を持っていきなり報告に行ったら、普通に怒られるからね、仕方ないね(n敗)。*2
……話を戻して。
本来なら【継ぎ接ぎ】しててもおかしくないロー君、そんな彼に最初に試して貰うのは、これである。
「……なんだこれは」
「超巨大カッタ~」
「……言っとくが似てないからな、その物真似」
取り出したるは、特製の超巨大カッター。……無論、立体機動装置を模したモノである。
いやまぁ、冷静に考えて貰いたいのだが……あんな人の姿で
ワイヤーを使って無理やり跳ぶ、という仕様上、並大抵の肉体では耐えられず。
かといってスペックを下げると、そもそも立体機動が出来なくなる……ということで、イメージの近いカッターナイフの巨大化、という形でお茶を濁したわけである。
いやまぁ、一応理由はあるのだ。
見た目単なる巨大カッターとはいえ、
ここから新たに『逆憑依』するわけではないので、カッターが立体機動装置に変化する、みたいなことはないだろうが……地上でできる程度の体捌きくらいなら、身に付いてもおかしくはないわけで。
その場合はリヴァイさんの要素が色濃く出た、ということになるのだろうが……ともあれ、彼の人類最強っぷりは見てわかるレベル。
判別するのに、これほど楽なものもないだろう。
「なるほど、一応考えられているんだな、色々と」
「まぁ、刀とか吸血鬼の血とか、そういうのを用意する予定もなくはなかったんですけどね?」
「……おい、考慮程度にしておいて良かったな。実際に目の前に出してきてたら、これからの付き合い方を考えていたところだぞ」
「え、考えておくだけなんですか!てっきり絶交されるのかと」
「……別にお前を細切れにしてもいいんだぞマジで」
「え?」
「絶望した!!細切れにするぞと言われて、自分から細切れになるとか絶望した!!」
なお、当初の予定だと蕪木君*4への変化を期待して、その辺りのモノっぽいやつを用意する、なんて予定もあったのだが……。
彼は行間読まないと出てこない設定がボロボロあるので、逆に【継ぎ接ぎ】を誘発し辛いな、ということで没となった。……そもそもの話、吸血鬼の血が用意できないしね。
あとなんか今日は糸色先生ネタ多いですね?不安定なんです?
それから今度から私のことは、サイコロステーキ姉御と呼ぶように(適当)*5
……冗談はともかく。
瞬時に自分から細切れになった私は、まるでバギーちゃんのように元にくっつき、呆れたような顔をするロー君の前に立つ。
そして、次に彼にこう告げるのだった。
「──では再演しよう。さっ」
「……は?」
「いやだからー。……細切れにするんでしょ?やってみせて♡」
「ええ……」
なお、こっちに関しては素でドン引きされ、糸色先生は欠片も出てこないのでした。……あれー?
「むぅ、人型の巨人に対して振るうものだから、一応人間相手にやった方が再現度が上がると思ったんだけど……」
「いやお前、冗談でも言っていいことと悪いことが……あっちげぇ、こいつわりとマジだ!?」
進撃の巨人と言えば、やはり血肉吹き飛ぶバトルシーン。
だからこう、ちょっとスプラッタみのある方が再現度あがるかなー?……的な親切心?で提案したつもりだったのだけれど……見ればわかる通り、ロー君はわりと普通にドン引き状態。
さっきから声を挙げずに黙々と機械の準備をしている琥珀さんはというと、なんというかこう据わった目をしながらぶつぶつ何事かを呟いていた。……内容的に、
……むぅ、見事に場の空気が死んでしまった。そんなつもりじゃなかったのに……。
「ぬぅ、レベルアップも合わせれば、意外といい感じに【継ぎ接ぎ】されるかなー、と思ったんだけど」
「あのな、仮にお前を斬っても大丈夫だとしても、それがイコール俺に問題がない、ってわけじゃないんだよわかるか?いや確かに、俺が細切れ云々言い出したのも問題だったわけだが」
「ウフフダメデスヨトラファルガーサン、コウイウトキハチャント『マシュチャンニオコラレル』ッテイワナイトー」
「……あっ」
「あっ、てお前なぁ……あと、こいつ大丈夫なのか?滅茶苦茶片言だが」
「三徹後に呼ばれたから、かもしれないねー」
「それは寝させてやれよ……」
なお、彼らの言によれば、どうやら私に剣を向けた……ということであとからマシュになにか言われそう、みたいなところも大きかったとのこと。
いやいや、幾らなんでもマシュもその辺りはわかってると思うよ?……と私は笑ったのだが、見事に誰もノってくれないでやんの。
どんだけ恐れられてるのよマシュ……なんて感想を私が覚えたのも、無理からぬ話だと思います(小並感)。