なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「えええええ、影響滅茶苦茶あった!!?!?」
「いいい言ってる場合かっ!?琥珀屋、これ本物か……って遠いっ!!?」
「いつの間にあんなに遠くに……」
突然降ってわいて出てきた純正源石っぽいなにかに、思わず焦りまくる私たち二人。
いやだってこれ、作中でのゲーム的な用途はガチャ石だの、スタミナもとい理性回復のためのアイテムだのの、比較的よくある
……これほど厄いガチャ石なんて、ソシャゲがポシャったとある神座シリーズのやつくらいしか知らんわい、ってレベルの危険物なので、そりゃもう慌てるのもしかたないってものなのだ。*2
扱いとしては放射性物質に近いところもあり、慌てて防御態勢を取ったわけだけど……いやホント、ここにいたのが私たちで良かったねマジで。
私は言わずもがなだけど、ロー君も『ROOM』*3みたいな汎用性の塊な技が使えるので、咄嗟の対処には強い方だし。
……そういうわけで、件の源石っぽいものに関しては、二人で周囲に遮断バリアーを張る、ということでどうにか封印しているのだった。
で、そこまでやったうえで、ようやく琥珀さんに『これ本当に源石?』って聞くことができたわけなのだが……当の琥珀さんはというと、いつの間にやらこちらの声が届くギリギリ位の位置にまで、さっさと退避しているのだった。
……逃げ足ってか、危機察知能力高っ!?
「あははー。……お二人には言ってませんでしたが、途中のロドスごっこで既にヤバげなデータは取れてましたからねー。わりと最初の方から、私は安全マージンを取ってましたよ?」
「早すぎる……」
「というか、その言い種だとこいつ、本当に源石なのか……?」
「はいー、まず間違いなく」
なお、次の彼女の言葉により、これがモノホンの源石であることは半ば確定。
すなわち、私たちはこの世界に源石の脅威を持ち込んだ戦犯、ということになりかねないわけで。
……今のうちに、跡形もなく粉々にしておいた方がいいかもしれない(チャキ
「うわっちょっ、ななななにをするつもりですかキーアさんっ!?」
「なにって、
「こんなところで縮退砲ぶっぱなそうとしないでくださいよ!?……ってそうじゃなく、人の話は最後まで聞いてくださいよマジで!」
「……え、ここから入れる保険があるんですか?」*4
「保険ではありませんが、安心できるデータならありますよ」
思わずこう、
その言い分によれば、この源石を破壊する必要はない、とのことなのだが……いやでも、源石だよ?
「思い出して下さい。現状は隔離されてはいますが、アークナイツ出身の方々は鉱石病を他の方に
「……可能性が否定しきれないから隔離され続けてる、ってだけで、ブラックジャック先生とかかなり高頻度で触れあってるみたいだけど感染はしてない、ね?」*6
「そういうことです。現状、そちらの源石は活動を休止していますよ」
そう言って琥珀さんが見せてくるのは、目の前の源石は確かに高エネルギーを保有しているものの、そのエネルギーは内部に留まっていて外に放出されてはいない、ということ。
こちらにいるアークナイツ出身者が他者に病気を感染させないように、どうにも源石由来の力はこの世界ではその真価を発揮できないらしい。
……まぁ逆を言えば、源石由来の力が使えない彼らは、原作ほどの戦闘力を発揮できない……ということにもなるわけなのだが。
戦えば戦うだけ病の進行が進むということを考えれば、戦う必要の薄い現代で戦闘力が低い、というのは別に悪いことばかりでもないとは思うが。
ともかく、この源石が現状は安全……もとい小康状態である、ということは間違いないらしい。
まぁ、だからといってそこら辺に転がしておく、なんて危ない真似はできないわけで。
「ご安心をー。こういうこともあろうかと、完全遮断カプセルを常備していますので☆」
「なんかまた変なもの作ってる……」
「いえいえ。使うことは恐らくあんまりないだろうなー、と思いつつ、今ある技術を使えば作れそうだから、なんとなーく作ってみた……とかではないのであしからず☆」
(絶対嘘だー!?)
結果、直接肌に触れないようにしつつ、琥珀さんが特製のカプセルの中に保管する、という形で話は終わるのだった。
「……ねーえ?貴方ってば、なにかしらトラブルを引き起こさなきゃ気が済まない質なの?」
「失礼な。なんにもない時だっていっぱいあるわよ。単になんにもなかったらここにも来ない、ってだけで」
「……言われてみればそうね」
わざわざ部屋にまで訪ねて来ている辺り、それ自体が『なにかあった』という証左だ、というのは仕方のない話というか。
ともあれ、一応実験は終わったので、その報告のためにゆかりんルームに向かった私は、報告書を読み上げる度に、青褪めたり眉を顰めたりする彼女の姿を眺めていたのだった。
……趣味が悪い?別にわざとじゃないし、あとこうやって百面相するゆかりんからしか取れない栄養素があるのが悪いんだし。
「……やっぱりわざとじゃないの?」
「ソンナコトナイヨー」
「わざとらしっ!?……まぁいいわ。それにしても源石、ねぇ?」
私は詳しくないんだけど、と前置きをして「それってどういうものなの?」とこちらに問い掛けてくるゆかりん。
……生憎と、私もそこまで詳しいわけではないのだが……。
「区分的には、毒素持ちのエネルギー、ってことになるのかな?」
「毒素持ちって……」
「運用上の注意とか、わりと放射性物質染みたとこが多いみたいよ?」*7
さっきのは純正源石と呼ばれる、いわば発掘したての鉱石みたいなもの。
前述した通り、ゲーム的にはスタミナ──理性の回復に使われたり、はたまたガチャ相当の人材発掘のために使われたりするアイテムである。
正確には、この源石を
源石は精錬したりすると感染を引き起こさなくなる、とのことなので、この『合成玉』状態だと『人と人とを繋ぐシンボル』という意味合いの方が強くなるらしい。*8
「……危ないものって聞いてたのに、なんでガチャに使うんだろうって思ってたけど……そういうことなのね」
「フレーバーとか結構多いからね、アークナイツ」
普段意識をすることは少ないが、裏設定が色々固まっている、というのはオタクにとって興味をそそるもの、というのは間違いなく。
その辺りも、かの作品が結構な人気を博している理由なのかもなぁ、なんて風に思ったり。*9
話を戻して。
扱いが放射性物質みたいなもの、というように、この源石は莫大なエネルギーを持つ代わりに、決して無視できない甚大なデメリット、というものが存在する。それが、
「鉱石病、オリパシーの誘発だね」
「体から源石が生えてくるんだったかしら?」
源石には増える、という特性がある。*10
鉱石の類いであるにも関わらず、ほっとくとそのうちまた採掘出来るようになるのだ。
その原理はまったく不明だが……莫大なエネルギーを生み出す鉱石が、時間さえ掛ければ無限に採掘できるのだから、これを利用しないというのは無理筋だろう。
だが、この『増える』という特性は、なにも鉱脈だけの中に限らない、というのが悲劇の発端であった。
……つまり、『鉱石病』とは、体内に入った微細な源石が、元の特性に従って『増える』ことで発生する病気、という風に見なすこともできるわけである。
「あと、向こうの破壊的な天災を引き起こす、みたいな性質もあるけど……」
「その性質から考えると、空気中の微細な源石が増え、莫大なエネルギーが行き場を失くした結果起きたもの……なんて風にも考察できそうね」
「だねぇ」
また、あちらには国を滅ぼすレベルの天災、というものが頻発しているが、それが引き起こされる原因も源石にある、とされている。
……天災が終わったあとには源石が現れる、なんて話もある辺り、向こうの天災が源石由来のエネルギーによるもの、というのはほぼ間違いないだろう。
そして、向こうのインフラというのは、基本的に源石に依存しきっている。
それ以外のエネルギーが存在しない、ないし発展していないらしいので、必然的に源石を使わないとまともに生活が回らないのである。*11
「で、そんな天災から逃げるのに、源石エンジンを使って都市ごと逃げるから……」
「排気的なものから源石の微細粒子が空気中に撒かれて、更なる天災の理由になる……みたいな?」
「悪循環にも程があるよねぇ……」
こちらで考えるのなら、排気ガスがエネルギー利用できるが、その排気ガスによって深刻な自然災害が起きてしまう、みたいな感じだろうか?
現実だと他のエネルギーを使おう、みたいなことになるが、向こうの世界においては源石以外のエネルギー技術が発展していない、もしくは発展できないらしく。
結果として、悪循環だとわかっていても源石に頼らざるを得ない、なんてことになってしまっているらしい。
……なんというかこう、全体的に詰んでる感が凄いというか。
そもそも源石以外にも、クトゥルフっぽい感じのヤバいのが海にいるらしい、なんて話もあるし。*12
「まぁ、今のところは活性化もしてないし、仮に活性化してもエーくんが居るからなんとかなりそう、って話だったけど」
「ああ……そういえば、微細粒子のレベルがナノサイズかも、なんて話もあったんだったかしら?」
「菌類みたいな鉱石生命体、なんて説もあるよ?」
「なんにせよ、変なパンデミックとかにならなきゃいいわよ……」
正直持て余し気味なんだし、とゆかりんが苦笑いをして、ここでの話は終わるのだった。