なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「お手続きはそちらをどうぞー」
「はいはーい」
ダンジョン攻略はクリスマスの安定にも繋がる──。
なんてお題目とはまったく関係なく、もしかしたらいるかも知れないというフレンズ達を求め、迷宮へと足を踏み出した私たち。
そこで私たちが最初に出会ったものは……。
「……ジャパリまんスライム、だって」
「なにその変種」
「ちょっと前にコンビニとかで、スライムまん売ってたから……」
「先祖返り(?)してるじゃん!?」*1
頭部に『の』の字の刻まれた、不思議な姿のスライム(※ドラクエ仕様)なのでした。……なにこのコラボ!?
「ドロップ品はやっぱりジャパリまんだったねぇ」
「肉まん味なのだ!なんだかちょっと猟奇的なのだ!」
「しょ、食欲失せるってばよ……」
とりあえずボコってみたところ、相手が落としたのはジャパリまん。
……だったのだが。中身は肉まんだったため、ちょっと意気消沈する羽目にもなったのだった。いやなんかこう、敵からのドロップ品にお肉使ってあると……ね?
まぁ、成型された状態で出てきた辺り、どちらかというと元々あったジャパリまんに、なにかしらの理由で魂が宿って動き出した、とかだろうから、この時想像してしまったスプラッターなモノは見当違いだとは思うのだが。*2
ともあれ、ここはまだ一階。
こんなところでぐずぐずしていてはいつまで経っても終わりゃしないので、サクサク出てくるモンスターをぶっ飛ばし、サクサク進む私たちである。
「おっ?ねぇねぇキーアお姉さーん、これなーにー?」
「んん?……おお、【ちいさなメダル】じゃん。集めたら良いものと交換して貰えるよ」*3
「ほっほーい、わーいわーい」
「……んん?ということは……どこかに居るのかな?メダル王とかメダルおじさんとかが」*4
「多分ねー。ドロップ品はダンジョンの生成物だから、それを交換するための場所は用意しててもおかしくないと思うよ?」
そんな中、しんちゃんが持ち前の運のよさで見付けて来たのが、五百円玉くらいの大きさの小さなメダル。
これもまたドラクエ系のアイテムであり、その名も【ちいさなメダル】。収集物の一つであり、たくさん集めると良いことがある、というモノである。
本来なら、作中の武具防具やアイテムなんかと交換して貰えるはずなんだけど……、後ろの模様が店の模様になっている辺り、あくまでも使えるのはこのダンジョンのみ、余所には流用不可っぽい感じである。
「となると……ここは百貨店だから、貰えるのは食べ物類とか服とかかな?」
「武器と防具とかだと交換レート高めなことが多いから、一つのダンジョン内のみで集めるのは難しいだろうしね」
そうなると、恐らくはダンジョンを出る時に回収され、そこで数に応じた景品が貰える……という形だと見るのがいいだろう。
ならまぁ、そこまで値の張るようなものはラインナップにはない、と見た方がいいはず。なにせこの【ちいさなメダル】、わざわざ名前に『小さな』と付いている通り、わりと見付け辛いモノなので。
まぁ、あくまでもオマケ要素、ということで。
これを目的に動くわけでもなし、ついでに拾えたら帰る時にラッキーだ、くらいの認識で留め置いておこう、と声をあげようとしたところで。
「むむむ……メダル、見付からないのだ」
「ほっほーい、またいちまーい♪」
「あー!!ずるいのだずるいのだ!アライさんも自分で見つけたいのだー!!」
「……あの、もしもーし?アライさーん?……ダメだ聞こえてねぇ」
「フレンズ相手にお宝探しとか、我慢できるわけがなかったねぇ」
好奇心旺盛な彼女達にとって、宝探しというのは楽しいものの筆頭。
必然、思わず夢中になってしまう、ということになるようで……結果、しんちゃんと競うようにメダルを探すアライさん、という光景が爆誕したのだった。
なお、途中からナルト君まで参加し始めたため、収拾が付かなくなったことをここに記しておきます。……迂闊なことは言うもんじゃないね!!
「ふわー……」
「ん……?どうしたアライ。私の顔になにか付いているか?」
アライさんに正気を取り戻させ、改めてダンジョンを進み始めた私たち。
先ほどはスピード自慢のはぐれメタル……もとい、はぐれジャパイム(とろけるチーズ味)*5と遭遇したため、逃がすまいとオグリが駆けていったところである。
数秒後、彼女は頬をもごもごさせながら帰って来たため、多分きっと恐らく倒したのだろう。間違ってもモンスター状態のまま口に入れた訳ではないと思う。多分。
そうして口の中のものを嚥下したオグリを「えー……」みたいな表情で眺めていたところ、私とは別の視線が突き刺さっていることに気付いたオグリが、その視線の当人──アライさんに声を掛けたのだった。
なんというかこう、今にも「すごーい!」とか言い出しそうな表情、というか。
「オグリはすごいのだ!かけっこはやはやなのだ!」
「……ああ、私はウマ娘だからな。走るのは得意なんだ」
「そうなのだ?どうしたらそんなにかけっこ速くなるのだ?」
「そうだなー……いっぱい食べていっぱい走ること、かな?」
「ウマ娘基準のいっぱいは普通の人にはテラいっぱい、ってことを最初に説明した方がよくないかね?」
「?アライもいっぱい食べてたって聞いたんだが?」
「あれは空腹だったからだと思うんですがー?」
そうして彼女が口にしたのは、大方の予想通りオグリの速さについてのもの。
遊びが大好きなフレンズ達からしてみれば、ウマ娘の速さはどうにもびっくりして憧れるもの、ということになるらしい。
いやまぁ、フレンズの中にもチーターとかのような足の速い子は居るし、そもそもサラブレッドのフレンズ*6も居るので、そこまで珍しいモノではないような気がするけども。
ともあれ、相手が凄ければ素直に認められるのが、フレンズ達のいいところ。
オグリも褒められるのは悪い気がしないのか、いつもは仏頂面な顔が今はほんのり緩んでいるのだった。
「よーし、アライさんもかけっこ頑張るのだ!」
「む、ならばあそこまで競争だ」
「わかったのだ!よーい、ど「
「あー……」
なお、そのあとかけっこに誘われた際、競走馬としての本能とわりと負けず嫌いなところ、それから良いとこ見せたいみたいな思いが重なったらしいオグリが本気を出しすぎたため、紙切れのように吹き飛ばされるアライさんをキャッチする羽目になったが問題しかありません。
……っていうか、こんな狭いところでトップスピード出すんじゃないよ!
「?少し前に『オグリはヴァレン某みたいだなぁ』と言われたので、ちょっと真似してみたんだが?」
「ヘスティア様ー!?なに言ってんの貴女様ーっ!!?」
理由について聞いてみたら、意外な犯人が明らかとなって頭を抱える羽目になったんですけどね。……いや『リル・ラファーガ』やったんかい。*7
「おーい、そろそろ次の階に行こ……なにやってるのさ君達?」
「お説教です。出てくるモンスターが今のところ弱いとはいえ、ここは遊び場ではないのですよ、とお教えしているところです」
「こわいのだ……突然姿が変わったと思ったら、キーアがとてもこわいこわいになってしまったのだ……」
「むぅ……加速蹴りこそ戦闘の華、と聞いたから実践しただけなのに……」
その後、二人を迷宮の床に正座させて反省を促していたところ、先を見に行っていたライネスから、呆れ混じりの言葉を投げ掛けられることとなったけど私は悪くない。
その後も、ダンジョン攻略には様々な難題が待ち受けていた。
「風遁・螺旋手裏剣だってばよー!」*8
「うわぁ!?こんなところでそんな高火力技を使うなバカ!」
「んなっ、バカって言った方がバカなんだってばよ!バーカバーカ!」
「実力と中身が釣り合ってなさすぎだろう君!?」
使える技が大分あとの方になっているため、見た目は幼少期なのに火力が高過ぎるナルト君がライネスに苦言を呈したり。
「ほっほーい」
「しんちゃーん!しんちゃーん!?自分のスペックに任せて先々進むの止めてー!?みんなが追いつけなーい!!」
「お?」
基本的にスペックが高いため、本来戦闘要員でもないのにホイホイ先に進んでいくしんちゃんにみんなが振り回されたり。
「……面倒だ、まとめて薙ぎ払う」
「こらー!!こんなところで
ゴブスレさんがいつもの和マンチ*10を発揮しようとして、みんなから止められたりなど。
本当に、本当に色んなことが起きたものである。
「……それもとりあえず終わり、ってことになるんですけどね」
「一つ目が、ね。……こんなノリだと、先が思いやられるねぇ」
そうして今、私たちはこのダンジョンのボス部屋にたどり着いていたのだった。
……私一人だけ疲弊しまくってるんだけど、これはなんの嫌がらせかな?かな?