なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「よぉし、点呼ー!いちー!」
「にーだってばよー」
「さぁん~」
「し」
「ごー」
「ろくなのだー!」
「しち」
「はちだな」
「きゅうだ」
「じゅ~↑ぅ~↓♪」
「ようし全員揃ったな……一人多い!?」*1
ダンジョン突入前に点呼を取っておこう。
……そんな感じでざつーに始めたことだったが、思いもよらぬ結果にビックリの私である。
いや、ビックリで済めばいいけど、ことと次第によってはわけわかんないことになりかねないため、ちょっと警戒し始めた私は。
「……あ、トキなのだ!まさかの本物なのだ!」
「こ↑んにちわ↑~、アライさ↑~んこんなところでぇ~↑奇遇ねぇ~↑♪」
「ええ……」
私たち一行にいつの間にか紛れ込んでいたフレンズ、トキの姿を発見することとなるのだった。*2……エリちゃんの仲間が増えた!?
「あら?私のお仲間がいるのかしら?」
「あー……本来ならお仲間ではないかなー。音痴だって気付いてないか、気にしてないのが元の彼女だし」
まぁ、ある意味ドラゴンのフレンズみたいなものなので、幻獣種って括りにしてしまうのはありかもしれないけれど。
……でもこう、トキちゃんとエリちゃんが揃うのは、地獄の釜が蓋を開けるようなものでもあるので、出来れば揃えたくない感じでもあったり。
一応、今のエリちゃんは音痴を直そうとしてるから、トキちゃんと会わせてもそんなに酷いことにはならない、みたいな気もするけど……。
「……【継ぎ接ぎ】が、ね……」
「あー」
設定的に壊滅的な音痴とされる二人が揃えば、場の音痴粒子が高まり音痴力が高まる可能性はとても高い(?)。*3
ゆえに、本人達の思惑がどうあれ、この二人を迂闊に揃えるのは止めよう、という話になるのであった。
「……彼女達は、どうしたの?」
「さぁ?よくわからないのだ。とりあえず、会えて嬉しいのだー♪」
「ええ、私も嬉しいわ」
なお、そんな私たちの後ろでは、フレンズ達が再会を祝って戯れていたけど……ああうん、てぇてぇって言っとけばいいんじゃないかな、多分。
「ああ、てぇてぇなぁこれ」
「……なんで悟空さがここに?!」
「オラ、ダンジョンに挑みに来たんだぁ」
……元ネタの人が来てたけどスルーで。
この人まで混ざったら収拾付かないでしょいい加減にしろ!
とりあえず、入り口に居たのだから多分中にはフレンズは居ないだろう、ということでここの攻略は悟空さ*4に任せ、別の場所を回ることにした私たち。
……べ、別に、怖じ気付いたわけじゃないんだからね!
「なんでツンデレ風?」
「必死にごまかしてるんだから、茶々入れないでくれる?」
途中のライネスからのツッコミは流しつつ、はてさて続いてやって来たのはこれまた小さめなダンジョン。
さっきのが中小企業のダンジョンなら、こっちは個人経営のダンジョン、みたいな感じだろうか。
「……っておや、キーア達じゃないか。ダンジョン挑戦かい?」
「おおっと、ヘスティア様?ってことはここ、ヘスティア様の?」
「いやいや、僕のじゃないよ。単に見学に来たってだけさ」
その入り口に立っていたのは、いつも通り色々けしからん姿な女神、ヘスティア様。
ダンジョンの規模的に、もしかして彼女が運営するダンジョンなのかな?……と思っていたのだが、どうやら違うらしい。
まぁ、ゆくゆくはダンジョンを開いて冒険者達を眺めたい、みたいな気持ちはあるようで、わりと熱心に見学をしていたのは確からしいが。
……その場合、あの移動屋台の下にダンジョンが作られる、ってことになるのだろうか……?
「そうなるのかもしれないけれど……なんかこう、ちょっと複雑な気分になるなぁ、それはほら、僕の原作的に、ね」
「あー」
ただ、あくまでも「やってみたいなー」程度の気持ちであって、実際にやるかどうかはわからない、とのこと。
……神が迷宮を作る、ということがどういうことなのかはわからないが、今のところいい気分であるとは言えない、というのは間違いないのだろう。*5
その辺りも含め、あくまでも考えている、という程度に留まっているようだった。
「……行かないのか?」
「おおっとそうだった。んじゃまぁヘスティア様、また今度」
「うん、また今度」
そんな感じに話していると、後ろから声が。
……どうやらゴブスレさんが、みんなを代表して「さっさと入ろうぜ」と言いに来たらしい。
待たせるのもアレなので、ヘスティア様に別れを告げ、私たちはダンジョンの中へと足を運ぶのであった。
「ここはどういうダンジョンなんだい?」
「そうだねぇ……パンフレットによれば、文房具屋だから筆記用具とかのモンスターが出てくるらしい……みたいな?」
「文房具、ねぇ。だからなのかい、アレ」
「いやー、まさかねぇ……」
いや、そもそもパンフレットなんかあるんかい、みたいなツッコミを受けそうだが、そりゃまぁ企業とか店とかが運営している場所なのだから、宣伝くらいはするだろうというか?
まぁ、ダンジョン・コアの機能の一つとして存在するからこそ、こうして入り口で貰えたりするんだろうけどね、パンフレット。
ともあれ、これを読むとダンジョン内の傾向とでも言うものが、なんとなーくわかるわけで。
それにより、ここの運営が個人商店である文房具屋であること、それからその運営の属性により、内部で出てくるモンスターも文房具を元にしたタイプとなる、ということを確認できる。
……現実逃避はこれくらいにして。
私たちの目の前、元気に風遁・螺旋手裏剣しまくってるナルト君と、それに相対するモンスター。
ナルト君のやってることも大概だが、相手のモンスターの見た目も大概なのであった。
「……あれ、ケシカスくんだよね?」
「多分ね。見た目とかまんまだし。……まぁ、大きさが全然違うけど」
そう、見間違えでなければ、今ナルト君が攻撃して細かなケシカスにしてしまっているのは、消しゴムの形をしたキャラクター……通称ケシカスくん。*6
コロコロコミックで連載されているギャグ漫画の主人公であり、ともすれば『逆憑依』を疑われるような存在である。……いやまぁ、大きさも全然違うし、なんなら言葉も『カスカスー!』とかいう、お前どこの雑魚戦闘員だよ……みたいなことしか喋ってないんだけど。
ついでに言うのなら、ここでのスライム扱いなのか滅茶苦茶沸いてきてるし。
「キリがないってばよ!?ねーちゃん、助けてー!?」
「えー……正直私が手伝うと、オーバーキルにしかならんと思うんだけど……」
「それでもいいからー!」
なお、ナルト君の風遁と相性が良い……悪い?のか、攻撃されたケシカスくんは、みんな文字通りの消しカスとなって周囲に撒き散らされている。
……その状態でもなお倒せていない扱いらしく、ナルト君は無数の消しカスに纏わり付かれている最中なのであった。
ダメージがないからいいものの、凄まじく鬱陶しそうである。
……で、こういう相手をどうにかしようとする場合、本当に跡形もなく消滅させるとか、対処法は限られたモノになるわけだけど……それを私がやるとなると、どう考えてもやりすぎの部類になるため、出来ればやりたくないわけで。
いやだって、規模こそ段違いだけど、今のケシカスくん私の同類みたいなもんだからね、これ。
無数の極小の体で相手に立ち向かう様は、おおよそ真っ当な生き物の戦い方ではないというか。……まぁ、だからこそこのケシカスくんは『逆憑依』ではないな、と確信できるわけなのだけれど。
ともあれ、この状態の相手にも有効手段はあるし、私はそれを使える。けれど、それを使った場合はこのダンジョン廃業のお知らせなので、出来ればやりたくないというか。
「じゃあどうするんだってばよー!」
「んー、仕方ない。解決策になってないけど、別の方法を使うよ」
「なぁんだ、あるんじゃんか。勿体ぶってなくていいから早く……」
「──圧縮圧縮ゥ!空気を圧縮ゥッ!!」
「……へ?」
と、言うわけで。
仕方ないので別の手段、周囲の空気を一ヶ所に圧縮し、周囲に散らばった消しカスを一所に集める作戦に出る私である。
まぁこれ、最悪細かな消しカス達が集まって元のケシカスくんに戻るか、下手するとキングスライムみたいな別種のケシカスくんに変化する可能性もあるので、対処法としては下の下なのだけれど。
なので、もう一手間。
圧縮した空気にさらに重力波を加え、極小のブラックホールになるまで過圧縮する。
これにより、相手の存在を崩壊させるというわけである。
まぁ、ブラックホールって全てを呑み込むもの──いわば天然の消しゴムみたいなものでもあるので、下手すると『ブラックホールケシカスくん』などという意味不明のものが誕生する可能性も万に一つはあるけど、そうなったらそうなったでまた別の対処を考えるので無問題である、多分。
「問題しかねーってばよ!?っていうか尾獣玉?尾獣玉みたいなもんだってばよそれぇ!?」*7
「……つまり、お前が尾獣玉とやらを使えていれば、似たような問題に繋がる可能性は十分にある、ということだな」
「あ。……いいいいやでも、今の俺には使えないから、そういうのとは無関係だってばよ!」
「……いや、変な言い争いしてなくていいから、そこから離れてくれない?もうちょっと圧力高めたいんだけど」
なお、何故か問題児二人が謎の言い争いを始めたけど、正直どうでもいいからさっさと離れてほしい私であった。