なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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蝶と栗鼠は許すな

 カスカスー!……という断末魔……断末魔?と一緒に、小さな黒い塊になったケシカスくん。

 一応、これでもまだ生きているみたいだけど……少なくとも動けはしないということで撃破フラグが立ったらしく、戦闘終了判定になったためか周囲にドロップ品がぽろぽろ現れ始めていたのだった。

 

 

「……なんか、多くないか?」

「まとめて倒した扱いになってるから、かなぁ?さっきまでフロアを埋め尽くすくらいに沸いてたし」

「あー……」

 

 

 なお、そのドロップ品の数はかなりのもの。

 周囲に沸いてたケシカスくん達を一纏めにしたため、そこから相手を一網打尽にした、という扱いになっているのかもしれない。

 まぁ、それにしたってちょっとした小山のようになっている文房具(ドロップ品)達には、ちょっとばかり引き気味になるわけだけど。

 

 ……ところで、このケシカスくんの塊はどうすればいいのだろう?持っとけばいいの?それとも出口で回収してくれたり?

 

 

「……それこそ、自分で解析でもなんでもすればいいだろうに」

「おっと、そうだったそうだった」

 

 

 そうして首を捻る私に、ライネスからの呆れたようなツッコミが。

 ……言われてみれば、わざわざ鑑定して貰うのを待たずとも、自分で鑑定すればいいじゃん……となった私は、早速持っている塊を解析し、そして固まるのだった。

 

 

「……いや、どうしたんだいキーア?なんか変なところで止まってるけど」

「……ダンジョン・コアになっとる……」

「は?」

 

 

 解析結果は、この塊がダンジョン・コアになっていると示している。

 どうやら、このダンジョンのリソースを切り取って圧し固めた扱いになっているようで、そのせいかリソース・コアを飛び越えてダンジョン・コアにまで純化してしまったらしい。

 ……なに言ってるかよくわからない?要するに、ここの運営資金を掠め取ったような扱いになってるってことだよ!!

 

 

「……出口で返せば許してくれると思う?」

「そこからリソースに還元できるんなら、多分大丈夫じゃないか?」

「……うん、頑張る……」

 

 

 余計な問題引っ張り込んでどうすんねん、みたいな周囲の視線を受けつつ、私は半泣きでその塊をポッケにしまうのだった……。

 

 

 

 

 

 

「はい気を取り直して!最下層までゴーゴーゴー!!」

「ヤケクソなのだ。キーアの性格もなんとなく掴めてきたのだ」

「問題児なのはキーアも同じだからな」

「はいそこの動物(アニマル)コンビうっさい!」

 

 

 まぁ、確かにヤケクソ気味ではあるのだが()。

 ともかく、さっさと最下層まで潜ってクリアして、出口で塊をリソースに解すまでしないと私は犯罪者である。

 ……いやまぁ、正確には罰せられるような規則とかないし、こっちの気持ち的なモノでしかないし、なんならドロップ品の範疇って言い張っても良いはずなんだけど……なんというのかね、()()()()()()()()()()()()()()ような気がする、と言うか?

 

 

「……それは当たり前では?」

「ええと、原価厨?*1……は、違うか。えーと、モノの値段って、色々複合した結果のものじゃない?」

 

 

 そんな私の呟きに、ゴブスレさんからは「なに言ってんだコイツ」みたいな視線を向けられたわけだけど……実際、今の状況というのはちょっと説明が難しいのだ。

 

 モノの値段というのは、本来原価に加工費、それから運送料に販売店の利益など、様々なものが複合された結果出力されるモノだ。

 そのため、百円を払ってモノを買ったとしても、それがイコール百円の価値があるモノか、と言われると少し考える必要が出てくる……ということになる。

 

 小売や飲食業などでは、原価は三割を下回るように……と意識するのだとされている。

 これは、運送料や社員への給料などを商品販売によって回収するためには、それくらいの値段で仕入れないと赤字になるから、と言うことに基づくものらしいが……そう考えてみると、百円の商品の原価というのは三十円くらい、ということになる。

 まぁ、実際には消費者の手に渡るまでに小売を数回経由することもあるので、実際には原価の3n倍、ということになっている場合も多いようだが。

 

 ……ついでに、間にテンバイヤーが挟まるのが嫌がられる一番の理由もこれ、ってことにもなるわけだけど。

 実態はどうあれ、利益を得ようとすると前の金額から三倍になる、ということに変わりはないのだとすれば、テンバイヤー一人が間に挟まるだけで、元の金額から三倍に価格が跳ね上がるということになるのだから。

 ……いやまぁ、流石に三倍吊り上げは中々見ないけど、どっちにしろ○○(※不適切な表現のため伏せさせて頂きます)なのは間違いないわけで。*2

 

 話を戻して。

 まぁ要するに、百円を払って買うものの原価というのは、大体三十円。原価厨的な発想をすれば、それが正しいモノの価値ということになる。

 無論、そんなこと主張すれば「じゃあお前が最初から最後まで作れ」って言われるだけだが……そこは置いといて。

 

 ここで重要なのは、三割以外の部分には色んな人に払う報酬が混ざっている、ということ。

 つまり、十割持っていってしまっている今の私は、他の人の取り分を横領しているようなもの、とも判断できるというわけで。

 

 

「まぁうん、モノを買ったんじゃなくてくじを買ったんだ、とすれば賭け金より大きい額が返ってくるってのも分からないでもないけど。……ダンジョン・コアまで言っちゃうと、胴元の資本金ごと貰ってったのに近いからさ……」

「まぁ、ここのダンジョン・コアそのものを盗んだわけではなく、どっちかというとコピーを作ったって感じになるから、微妙に訴え辛いのは確かなんだよねぇ」

 

 

 これが金銭の話なら簡単なのだが、相手はダンジョン・コアである。

 内部リソースを掠め取った形になっているのは確かだが、それはいわゆる無形物に当たるため、横領云々を証明し辛いわけで。

 そもそも、ダンジョンドロップはくじとかに近いから、その辺りでもややこしいし……。

 

 そういうわけで、多分正直に言えば笑って許して貰える()けど、それが本当に許して貰えているかと言えば、決まり的に罰せられないだけで恨みは積もるだろう、みたいなことになるのである。

 

 

「……うん、よくわかんないってばよ!」

「でしょうねー……まぁいいや。とりあえず、先にボス倒さなきゃなんにもなんないし」

 

 

 そこまで説明したところで、ナルト君から返ってきたのはよくわからん、という言葉。……まぁうん、知ってた。

 

 結果的に私が別方向にやり過ぎた、というだけの話なので、彼に関わりがないといえばそりゃそうだ、というだけだし。

 なので、今は気持ちを切り換えてダンジョン攻略を優先しよう、ということに。

 

 

「……なんだってばよコイツ?」

「知らないのか、ロケットペンシル!?」

「知らないぞ、ロケットペンシル」

 

 

 なお、道中出てきた中ボスが、頭とかを切り離して飛ばしてくる鉛筆型のモンスターだったのだが……子供達からの反応が『なんだこれ』だったため、別方向でダメージを受けたということを、ついでにここに記しておきます。……ジェネレーションギャップ!*3

 

 

 

 

 

 

「ど、どうにかボス部屋にたどり着いたぞ……」

「なんやかんやと大変だったな……」

 

 

 思わぬ苦戦をし、地味にボロボロになってしまった私たち。

 それもこれも、人の懐に入っていたドロップ品をくすねていくあのクソリスどものせいである。

 ……いや、確かにあれは糸だったけど。なんで糸取られただけでマップがループし始めるねん○すぞ。*4

 

 

「挙げ句の蝶だってばよ……なんなんだってばよあいつら……」

「創作界隈で毒が嘗められていることに対する抗議、みたいなものじゃないか?」

「毒をわりと使う方の人に言われると、色々考えてしまうね……」

 

 

 あと、そのリスがフラグだったのか、こちらを毒状態にしてくる蝶とか沸いてきて酷い目にあったし。*5

 文房具だけかと思ったら、世界樹までダンジョンの構成要素に混じってるのは詐欺だと思います(怒)。

 

 ……まぁ、種が割れてしまえばその程度、ということで相手にサイコシフトして毒殺(どくさつ)し返したけども。*6

 

 ともあれ、マッピングするほど広くないが、その分色々濃かったダンジョンも次で終わり。

 意を決してボス部屋の扉を開き、その中に入った私たちは。

 

 

「……ほげぇぇええはさみぃいいぃいいっ!!?」

「え、なに?なんだってばよ?!」

 

 

 その中で待っていた相手に、思わず悲鳴をあげることとなるのだった。……ペパマリやんけ!!

 

 

*1
概ね、原材料費のみを引き合いに出して物の高い安いを語る人。なお、本来は単に原価という場合は『仕入原価』『製造原価』『売上原価』などの種類がある。基本的に、それらの原価は製造費や運送費などを含んだモノであり、そこを語る場合は(彼らの言う)原価が云々、という議論に意味はほとんどなかったり(製造費と運送料・手間賃などが無駄、と言っていることがほとんどの為)

*2
なお、この辺りの話を向こう(テンバイヤー)に都合良く解釈すると、『価格三倍になってないのだから良心的』とかいう寝言が飛んできかねないので『てめえらは小売ではねーよ』と殴ってやりましょう

*3
押し出し鉛筆、とも呼ばれる文房具の一つ。流行したのは90年代の為、今の人には馴染みがないかもしれない(なお、今でも買えるしスプラトゥーン3のブキのモチーフになったりもしている)。なお、『最初から芯が複数あること』『シャーペンが学校で使えない時代があったこと』『使い方によってはかなりエコであること』などから、当時人気だったり今でも販売される理由になったりしているそうな(一番大きいのは『シャーペン使用不可』時にシャーペンの代わりになること。そろばんの試験など、筆箱を試験中に開けない状態だと、鉛筆の芯が折れるとどうにもならなくなるので、芯を代えられるロケットペンシルに一定の需要があるのだとか。また、ロケットペンシルは芯を付け替えることで再利用できるので、鉛筆を削る→持てないほど小さくなったらホルダーに刺してさらに使う→それでも無理なら芯のみを抜いてロケットペンシルに刺す、という形で最後まで使うことができるとか)

*4
『世界樹の迷宮』シリーズより、アリアドネの糸のこと。いわゆる『あなぬけのひも』(こちらはポケモン)。ダンジョンからダッシュする為のアイテムであり、ある種の必需品。……なのだが、ダンジョン内で出会うNPCのリスは、迂闊に手を伸ばすとこの糸を盗んでいくのである。完全な害悪行為であり、なまじNPCなので殴ることもできない……。なお、後にモンスターとして登場したが、一瞬雑魚だと思わせておいて『糸を燃やす』奴がいたり、なんか名前に『超』とか付いている明らかに戦闘力のおかしい奴が居たりした。……つまり、『世界樹の迷宮』におけるリスは、明確な害獣である。(なお、現実のリスも、場所によっては害獣扱いされている)

*5
『世界樹の迷宮』におけるモンスター、毒吹きアゲハのこと。この作品での『毒』は使用者毎の固定ダメージだが、このモンスターと出会う時のパーティの体力が二桁前後なのにも関わらず、『20』のダメージを与えてくるという鬼のような火力を持つ。別の作品だと350とか与えてくることも。なお、『世界樹の迷宮』シリーズにおけるHPカンストは、一部の例外を除けば基本『999』である。……毒が強すぎる()

*6
ポケモンの技の一つ。自身の状態以上を相手に移し、自身は回復する。状態異常の仕様上、こおり状態だけは移せない(『ねむり』は『ねごと』を使えば移せる為)

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