なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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リザルト画面で右下を走る

「んで、ずっと戦闘してたから確認がちょっとおざなりになってたけど……どうやらフレンズはいなかったみたいだね?」

「途中でアライさんが完全に戦場の空気にビビってたから、探すに探せてないしねー」

「びびびび、ビビってなんかないのだ!ちょっと危なくないところに隠れてただけなのだ!!」

「……あの、アライさんはなんでそんな微妙に遠いところから話を……?」

「そりゃあ、君にビビってるんだと思うよ?」

「What's!?」

「さっきまでのあれこれ、どう考えても化物の類いの動きだったしなぁ」

 

 

 はてさて、ボス戦も終了し、閉じられていた部屋が解放されて暫し。

 私たちは周囲を見渡し、そこらにある破壊痕を見て冷や汗を流しつつ、そういえばフレンズらしきモノについては見かけなかったな、ということをぼんやりと思い浮かべていたのだった。

 ……いやまぁ、あの乱戦状態で仮に保護対象のフレンズが居たとしたら、どう考えても私の刻まれる回数が更に増えることになってしまっていたので、居なくてよかったなーって気持ちしか沸いてこないのだけれど。*1

 

 こういう時、マシュという頼れる盾役が居ないのって辛いなー、と思わされる私である。

 あのハサミも、流石にマシュの盾ならば切り裂けないだろうから、それだけで戦闘が遥かに楽になってただろうし。

 まぁ、マシュは別件で出払っていたので、まさしく無い物ねだりでしかなく、私が回避盾(回避できてない)するしかなかったわけだが。*2

 

 ……話を戻して。

 あの場にフレンズが居なくて良かったなと思うと同時、若干の空振り感も味わう私たちである。

 いやまぁ、ダンジョン攻略ごとに外から集まってきた負念を晴らすことなできるわけだから、ヤらずにいるよりかはヤった方がいいっていうのは確かなんだけどね?

 ……それとアライさんから向けられる視線が、すっかりヤバいモノを見てくる目になってしまったわけだけど、これってロールバック効くかな?*3

 

 

「無理。諦めて。マシュに怒られるのも含めて甘んじて受けるべき」

「……あのー、そこをなんとか黙ってて貰うわけには……?」

「絶対にノー!だってばよ!」

「俺が言うのもなんだが、お前は素直に怒られるべきだろう」

「それは本当に君が言うべきことではないな……」*4

 

 

 なお、アスナちゃんや問題児二名にまでバッサリ切り捨てられたため、後々私が酷い目に合うことが確定しましたが問題しかありません……。

 

 

 

 

 

 

「よしよし。大丈夫だゾー、アライちゃん」

「うー、がるるる」*5

「なんか、アライグマでもない別の生き物になってない?」

 

 

 具体的には肉食系の猫科動物、みたいな?毛を逆立たせてこちらに威嚇してる感じが、まさにそういう類いの生き物っぽいというか。

 

 ……ともあれ、こちらの今さっきまでの無茶苦茶な行動っぷりに、すっかり野生動物と化してしまったアライさんを、しんちゃんがなんとか宥める姿を横目にしつつ。

 改めて、今回のラストアタック報酬*6であるハサミを掲げ見る私である。

 

 見たところ、特になにかの作品に出てくるようなハサミ、という感じではなさそうだ。

 どこぞの自殺志願(マインドレンデル)のように、二つのナイフを無理矢理ハサミの形に整えている様子もないし、断裁分離(クライムエッジ)のように実は()きバサミというわけでもない。*7

 至って普通、至って平凡なただのハサミである。

 

 

(……まぁ、どうにも切れ味に関しては非凡みたいだけれど)

 

 

 ただ、その平凡な見た目に似合わず、どうにも切れ味だけは異常の域にあるらしい。言うなれば、先程までのボス状態の時の戦闘能力をそのまま引き継いでいる、というか。

 試しに近くの小さめの瓦礫を刃に挟んでみたところ、これがまぁバターでも切るかの如くスッパリと切れてしまった。

 ……どう考えてもオーバースペックな代物である。少なくとも小学校とかにこんなもの持っていったら死傷沙汰待ったなしだろう。

 

 危なっかしいにも程があるので、虚無空間(どこでもポケット)を開いて中に放り込み、迂闊に誰かの手に渡ることの無いように封印処理。

 ……しながら、多分これエピックウェポン*8とかその辺りなのだろうなぁ、とため息を吐く私である。

 

 

「……どういうことだ?」

「やりたくてやったわけじゃないけど、言ってみれば私たちってここのリソースの大半を横取りしたわけじゃない?」

「私たちが、じゃなく()()、だけどね」

「そこは連帯責任ってことにしてくれない?……まぁともかく、ダンジョン・コアを精製できるくらいリソースをかっ浚ったわけだから、多分ここのリソースの半分くらいは減らされた、ってことになってると思うのよね」

「ふむ、それで?」

「……そんなことやらかしたやつには、防衛本能とか全開でヤベーボスを送り出すしかない、ってことにならない?」

「あー……」

 

 

 そもそもの話、ダンジョン・コアはある意味生きている、とも言える。

 

 正確にはある程度自立行動をする、というようなものなのだが、それらの仕事の中にはダンジョンの正常運用なども含まれている。……要するに、起きたことに対してある程度自身で判断して対処する機能がある、ということになるわけで。

 メンテナンスなどを簡略化するための機能の一つなわけだが、そんな機能が正常に機能している状態で、突然内部リソースの大半を掠め取られたとしたらどう判断するだろうか?

 

 ……そう、リソースを掠め取った外敵を排除するために、手段を選ばなくなるのである。

 その結果、残りのリソースを全て注ぎ込んだ大ボスを生み出すこととなり──それが倒されてしまったことにより、その()()()()()()()に見合ったドロップ品を出力することになってしまった、と。

 

 

「回りくどいな。つまり?」

「本来の適正レベルが大体二十くらいとして……無理をしてレベル五十くらいのボスを作り出した、って感じかな。で、そうして作り出したのはいいけど、負けることについては想定していなかったから、本来ならボスドロップはレベル二十相当のモノになるはずが、()()()()()()()()()()()()()()()()()──要するにレベル五十相当のドロップテーブルをそのまま使っちゃった、みたいな?」*9

「なるほど。見栄を張って高い品を用意したが、用意した時点で力尽きているから買われていってしまうと困る、というわけだね」

「言い方ぁ」

 

 

 まぁ大雑把に言ってしまうと、現在このダンジョンは潰れかけている、ということ。

 リソースを二度も大幅に削られてしまったため、最早虫の息というわけである。

 

 一応、ダンジョン・コアに関しては出口でリソースに還元するつもりではあるが……ドロップ品のハサミに関しては、既に物品としてこちらに固形化されてしまっているため、ここからリソースに分解するのはほぼ不可能。*10

 ……つまり、どう足掻いてもここのリソースの半分を持っていくことになってしまう、ということは変わらないわけで。

 

 

「……腹をかっ捌けば許して貰えるかな?」

「なんで姉ちゃんは毎度毎度、自分の命の勘定が安いんだってばよ……」

「というか、現代で打ち首獄門とかされても誰も喜ばないと思うよ?」

 

 

 っていうか、君首だけになっても動くだろう?

 というライネスのツッコミに、思わずうっと呻く羽目になる私なのであった。……もうちょっとこう、手心というかをですね……?

 

 

*1
キーアのカバーリング!ナルトを庇って即死!更にキーアのカバーリング!ゴブスレさんを庇って即死!まさに紙切れの如く吹っ飛ぶキーアのライフである

*2
受けて耐える『タンク』系に対し、相手の攻撃を回避する盾役のこと。現実的に考えると相手の攻撃を回避してなにが盾役だ?となるわけだが、敵の攻撃を自身に引き付け、結果として味方に攻撃を向けさせない……という意味では、確かに『タンク』役の一種だと言えなくもない。……でも、スパロボなどで援護防御し(庇っ)ておきながら回避するのは、やっぱり変な感じがするとも

*3
コンピューター用語の一つ。システムに問題が起きた時に、データなどを問題が起きる前の状態に復元すること。対応策としてはかなり強引、かつ強力。基本的にはこれをしないように不具合修正を行うが、どうしようもなくなった時には使われることも。なお、これで直らない不具合はかなりヤバい類いとなる(問題がもっと根本的な部分に及んでいる可能性がある為)

*4
ゴブスレさんもわりと無茶をして、神官ちゃんを心配させたりしていることから。ここには神官ちゃんは居ないが、恐らく彼女の代わりにやきもきさせられている誰かが居ると思われる

*5
こちらに心を開いていない野生動物の行動を擬音化したもの。要するに唸り声

*6
ラストアタックボーナスとも。一部のゲームなどに搭載されているシステムであり、相手にトドメを指したプレイヤーに与えられる特殊な報酬のこと。それによって得られるアイテムが良いものである場合、トドメだけを刺そうと戦闘を真面目に行わないプレイヤーが発生する可能性がある為、最近のゲームではあまり見られなくなった。……なお、だからと言って貢献度制にしてみても、一部の人が強すぎると他のプレイヤーがろくにアイテムを入手できない、なんてことが起こったりする

*7
それぞれ『戯言シリーズ』と『断裁分離のクライムエッジ』に出てくるハサミ。創作においては、ハサミを戦闘に使う人間というのは、一定の割合で存在するモノなのである

*8
エピック(epic)』とは叙事詩のこと。そこから『英雄的な』『壮大な』『最高の』などの意味の言葉として使われるようになった。ドロップ品にレアリティが設定されている時、上位のレアリティとして扱われることが多く、大抵の場合この上に『レジェンダリー(伝説的な)』というレアリティが据えられている。すなわち『エピックウェポン』とは『レアな武器』のこと。『英雄の武器』という意味で使われる場合もある(グランブルーファンタジーなど)

*9
一部のゲームで使われている仕様。モンスターとそのレベルを照らし合わせ、倒した時のドロップを変化させる……というシステム。同じモンスターでもレベル帯でドロップ品が変わる、という形。モンスターハンターシリーズなどが有名(ランクによって出てくる素材が違い、下位のクエストでは天鱗などは落ちない。部位破壊報酬などもあるので、そこまで単純な話ではないが)

*10
正確にはできなくもないが、原子配列変換じみたことをさせられる羽目になる

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