なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「危うく焼きキーアになるところだった……」
「んー、キーアお姉さんがやってるそれ、オラができてもおかしくない気がするんだけどなぁ~」
「やめてくれたまえしんのすけ、変な変形はキーアだけで間に合ってるよ」
「変なとはなんだ、変なとは。そのおかげで助かってるのわかってるのか貴様ー!」
「いや、変なことは事実だろう」
「……確かに!」
「そこで納得するのはどうかと思うゾ……」
炎で赤く染まった大地から、間一髪飛び立った私たちは、空中でわいのわいの言いながら、一先ずゆぐゆぐの周りを旋回飛行している最中なのであった。
……久方ぶりの登場であるヘリコプターキーアさんなわけだが、ゲームによっては似たような変形ができてしまう*1しんちゃんが、羨ましそうにこちらを見つめていたため、ちょっとばかり危機感とか恐怖感とかを覚えないでもない私である。
コスプレすると使える能力が変わる、っていうのも大概な要素だと思うけど、そこから更にモーフィング変形*2染みたことまで会得してしまうとなると、最早まともな幼稚園児だとは言えないんよ。
それ、お姉さんが言う?……みたいなしんちゃんの視線を華麗にスルーしつつ、時々ゆぐゆぐから飛んでくるレーザーを躱す私である。
このレーザー、元のブラウザゲーで出てきた時にはなかったような気がするが……つまるところ、格ゲーになった時に増えた技の一つなのであった。*3
……つまりこのゆぐゆぐはセイバーだ、ということになるな!(?)*4
「
「へいへーい。……そういえば、他の面々は大丈夫だったのかな?」
ライネスのツッコミを受け流しつつ、ふとみんなはどうなったのか、と気になった私。
っていうかそもそもの話、
なんてことを思いながら、周囲を見渡すと。
「あっぶな!いきなりようがんはどうかとおもうよ!?」
「た、助かった、礼を言う」
「ん、ありがとさやか」
「いいってことよー!」
咄嗟に魔女化して車輪を放ったらしいさやかちゃんが、それらを乗りこなしながらゴブスレさんとアスナちゃんをその手の平に乗せていたり。
「まさか
「待ってほしいのだ!アライさんはあんなところに突っ込んだら、焼けアライグマになってしまうのだ!?」
「……俺、チャクラを使えるようになってて、本当によかったって思うってばよ」
空を駆けながら、こちらと同じようにゆぐゆぐの周囲を回るオグリとアライさん、それから壁にチャクラで張り付くナルト君の姿が見えたりしていた。
……ここにいたのは九人なので、一応全員の安否が確認できた、ということになるわけだ。
ただまぁ、だからといって状況が好転するかと言われれば、別にそういうわけではない。
木々を統べる者であるがゆえに、火には弱そうな気が一瞬するゆぐゆぐだが……ちょっと前に述べた通り、木とは本来燃え辛いもの。
……いやまぁ、流石に溶岩みたいな超高温の物体ぶっかけられてもなお燃えない、なんてハチャメチャなことは流石に無いはずだが……そもそもの話、グラブルに『木属性』なんていうものは存在しない。
木行に相当する青龍が『風属性』にされている*5辺り、植物はそちらに纏められるのでは?……みたいな疑問もあるかもしれないが、そもそもの話ゆぐゆぐは『地属性』である。……いや、『風属性』バージョンもあるにはあるけど。
ともあれ、彼女が司るのは、本来大地そのもの。
言うなれば人々が足を付ける地面自体を操ることができる、という風にも解釈できてしまうわけで。
その結果ということなのか、現在眼下に広がる床部分は、その全てが真っ赤に染まってしまっているのであった。……ぶっちゃけると燃えてます、どんだけー。
「……ううむ、ネザーマントルをずっと展開している、ということだろうか?」
「ゲームならそこまででもなかったけど、リアルでやられると殺意高過ぎ、ってなるよねこれ」
実質的に下に降りるのを禁止されたようなものであり、このまま慣れない空中戦を強要されるというのは、正直死ぬほどめんどくさい。
いやまぁ、厳密にはさやかちゃんは大地を爆走してる、ってことになるわけだけども。
それにしたって彼女も車輪を使って移動することで、大地から伝わってくる熱を直接受けないように注意している、ということには間違いないわけで。
……そもそもの話、魔女状態のさやかちゃんって人魚モチーフだから、ずっと熱いところにいると茹で上がりかねないという懸念もあるというか。
なので、彼女に関してもずっと地面にいる、ということは難しいだろうと言わざるを得ず。
「となると……四の五の言わずに彼女を倒すしかない、ってことになるのかな?」
「少なくとも、足下のこれは止めさせないと、おちおち話もできやしないね」
炎が煌々と燃え盛る状況というものがもたらす、熱による継続ダメージのことも思えば、早急にゆぐゆぐを無力化するしかないという結論に至ったとしても、なんら不可思議ではない状況なのだった。
……問題があるとすれば、当のゆぐゆぐはこっちがその気になったことを、『やっと遊んでくれる』とでも言わんばかりの笑顔で迎えている、ということだろうか。……さっきまでオグリにしか目が行ってなかったことを思えば、正確には『こんなに遊んでくれる人がいたんだ』だろうか?
いや、こんな好戦的なゆぐゆぐに誰がした?!
「うわぁっ!?岩盤ぶん投げてきたんだけどこのゆぐゆぐ?!」
「さっきまでより殺意が高過ぎる!?」
一瞬の膠着状態ののち、先に動いたのはゆぐゆぐの方。
彼女はおもむろに地面に手を突っ込むと、そこから床を剥がして持ち上げ、なんとこちらに向けて投げ付けて来たのである。あまりに原始的過ぎる攻撃!
とはいえ、見た目の馬鹿馬鹿しさに反して、この攻撃の脅威度というのはとても高い。なにせ視界いっぱいの燃える大地がこっちに飛来する、としか言い様の無い光景となっているのだから。
岩盤と称したように、この飛んでくる床の面積というのは、相応に広い。ついでに飛来する速度も相応に速いため、避けようとするとかなり大きな回避行動を強いられるのである。
空中という方向転換し辛い状態で、この範囲の面攻撃がバンバン飛んでくるというのは、正直どこの弾幕ゲーだ、というツッコミを入れたくなる気分になるというか。
今のところ、さっきまで使っていたレーザーは飛んできていないが、下手するとそれも交えた波状攻撃が飛んでくる危険性もあり、先程にも増して早急に彼女を押さえなければいけない、という気分が沸いてくるわけなのだが……。
「あっちちち!?むり!!ぜったいむり!!したからはむりだよこれ!」
「むー、流石に魔法の炎とかじゃないみたい。私じゃ消せない」
「俺も俺も、炎相手じゃちょっと分が悪いってばよ!」
下の方で、どうにかゆぐゆぐに近付こうとしているさやかちゃん達は、中心に近付くごとに勢いの増す炎達に大苦戦していた。
彼女達の進行を手伝おうとしているナルト君も、使える忍術が基本風属性ということもあり、手を出しあぐねている。
……五行ではない別の属性表現の仕方である五大においては、風とは火が燃えることを助けるものとされる。*6
実際、生半可な風では火の勢いを助けるだけなので、無力化を狙っている現状では、彼にできる対処というのはほとんどないのである。……螺旋手裏剣は明らかに威力過剰だが、それくらいしないと消し飛ばせなさそう、みたいな。
なので、迂闊に手を出せず嘆いている……と。
……どうでもいいけど、すっかりナルト君だな、あの子。
「言ってる場合かってばよ!どうすんだよこれぇ!?」
「んー仕方ない。この手は使いたくなかったけど、ことここまで来て使わずに通す、というのもアレだから……」
「え、なにか対策が?」
ともあれ、このままだとじり貧である。
じっくり焼け焦がされるか、岩盤で押し潰されるか、はたまた別の技が飛んでくるか。
どっちにしろ全滅フラグでしかないので、いい加減わがままを言っている場合ではない、と覚悟を決める私。
……いやまぁ、対応策は最初から持っていたのだ。できれば使いたくなかった、というだけで。
でもまぁ、ここまで相手が無茶苦茶だとなると、こっちも無茶をしなけりゃいかんだろう、というわけで……。
「話【を】聞いて?」
その一言を、私は軽く挨拶をするように、相手に告げるのであった。