なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
アルクェイド・ブリュンスタッドと言えば、どこかで特定の人が大騒ぎしていそうな存在だが……ともあれ、ここで語るべきことと言えば、彼女は月のお姫様である……ということになるだろう。
いやまぁ、他にも語るべきことは色々あるのだが、正直現実逃避したい今の状況では語るに能わず、というか。
ともあれ、彼女は月を象徴とするキャラクターであり、同時にその月の世界を統べる存在でもある。彼女の登場する作品『月姫』の名前が示すのも、基本的には彼女のことだ。
……正直、私が語っても解釈違いとかが酷くなりそうだし、余り触れたくはないのだが……触れなきゃ始まらないので一つだけ。
彼女は、星が生み出した最強種。……そう、一介の大星晶獣でしかなかったはずのゆぐゆぐは、ことここに至って唐突に
「大袈裟じゃない?私、あくまでもユグドラシルなんですけど」
「……いや、ゆぐゆぐってそんなキャラじゃなかったでしょ間違いなく」
「んー?そうだったっけ?まぁ、細かいことは言いっこなし、ってことで♪」
性格の基盤は、完全にアルクになってるよなぁ、これ。
……そんなことを私たちに思わせる今の彼女は、確かに存在の根幹としてはゆぐゆぐになるのだろう。
姿形は確かに彼女のモノだし、属性的にもそのまんま。……ただ、全体を確かめた時、どうしてもかの月のお姫様が頭にちらついてくる、というか。
そうしてちらつく幻影が、彼女のアルクェイド成分を高めていく……という悪循環。
っていうか、さっきの『統一言語』も最後の一押しだったのかも、というか?
「……おい」
「怒らんといて頂戴なライネス。私だってこの状況を招くために、あんなことしたってわけじゃないんだから」
寧ろ、彼女のことをちゃんと理解していなかったがゆえに起きたこと、というか。
睨んでくるライネスに話すのは、さっきの会話がゆぐゆぐになにをもたらしたのか、という部分。
真実、あの時点では
それが決定的となったのは、彼女が統一言語を耳にしたこと。これは、何度も言う通り神秘としては根源級の存在である。
……つまり、相手が根源に繋がる資格を持ちつつ、それを忘れているような状態である場合、これはそれを
これは、ゆぐゆぐが星晶獣という種族である、ということが密接に関わってくる。
かの存在達は、かつて星の民達によって創造されたものであるが、同時に元素や事象を司る、あの世界においての
アルクェイドはかつて、とある世界において『神』であると誤解されたことがあった。その事実が、両者を繋ぐ一つの要素となっていることは間違いあるまい。
最後の一押しになった理由はまだある。
先程の彼女は、五人の少女達が一つになったものであった。……これに関しては、恐らく元となっているのは『五等分の花嫁』であろう。
三玖と五月の髪型を混ぜ、髪の色を調整すればゆぐゆぐに見えなくもないかもしれない……くらいの雑な連想だと思われるが、ともあれそれだけであれば、彼女がアルクェイドに繋がる理由というものは薄かったはずだ。
なにせ、アルクェイドが作中で受けたのは
なので、ここで重要視されたのはあくまでも
つまり、その事実を型月的な世界観に繋げるきっかけとなったのが、もろにそちらの技術である『統一言語』だった、というわけだ。
「いやー、私が使ってるのってあくまでも私が再現したものだから、そこまで変なことにはならないかなーって思ってたんだけど……」
「あら、そんなこともわからなかったの?だって
「ごもっとも……」
やり方が違うのだから大丈夫、だと思っていたのだが。
類似した事象を起こせるのなら、それは近似していると見なせるこの世界において、やり方が違うだなんてのは些末事でしかなかった……というか。
まぁ要するに、これすらも【継ぎ接ぎ】めいたことになっていた、というだけの話。
ともあれ、『統一言語』を聞いたによって、ゆぐゆぐはその存在を大きく変容させることとなった。
初めてそれを聞いた時には、言葉を知ったばかりの片言のやり取りしかできなかった彼女は、急速に知識を得て思考を得て、そうして天真爛漫なお姫様となった。
……その姿は、まるで運命に出会って
──そうして、彼女の存在は確立した。
本来はただ、ダンジョンの最奥にて待ち受ける、一介のボスモンスターでしかなかったはずの彼女は。
ギミックとして発生した五つ子達がオグリに追われることで、そうしたやり取りこそが親しきものへの会話であると知り。
「……あれ、私も関わってくるのか?」
「ELSとかみたいに、初手のコミュニケーション間違ったってやつだね」
「嬉々として攻撃してきていたのはそれか……」*1
五つ子達が同一のなにかである、とこちらが認識したことで鍵としての役目を終え、元の一つの存在に回帰し。
星の獣、その一柱として大地を司る者の権能を得て。
そこに、世界の深奥に迫る言の葉を得て、彼女は新生したのだ。
そう、アルトリア達のような【顕象】として。
「実感はないんだけどねー。あ、でもでも!流石にさっきまでのが遊びじゃなかった、ってことはよく分かったわよ?」
「でしょうねー……」
じゃなきゃこうしてお茶会なんて開かないでしょうし。
そんな言葉をお茶と一緒に飲み干した私は、はてさてこれからどうしたものかとため息を吐くのでありました。
「結局、フレンズはトキとパオしか見付からなかったのだ……」
「あーうん、それは仕方ない」
とりあえず今日のところはこれくらいにしよう、ということで現地解散となった私たち。
それぞれの家へと帰るみんなを見送ったのち、ユグクェイドと化したゆぐゆぐとナルト君・アライさんを伴って移動を始める私である。
向かうのはもちろん、琥珀さんのところ。……トキちゃんとパオちゃんと入れ換える形で、ユグクェイドを検査室に放り込むためだというのはわかって貰えると思う。
……まぁ、琥珀さんからしてみれば、寝耳に水もいいところだろうが。唐突に月姫組が増えたうえ、それが真祖の姫君だというのだから。
ところで、今アライさんは『フレンズが見付からなかった』と言ったが、それもそのはず。
アルクェイドそのものではないにしても、その要素を持った存在が顕現するとなれば、必要な力というのは途方もないモノになる。……そもそも星晶獣を再現する時点で大概なのだから、消費された【兆し】は恐らくエグい量になっていることだろう。
つまり、彼女が現れた時点で、他のフレンズ達の登場の余地はほとんどなくなっていたのである。
「そうなのだ!?」
「あー……なんかごめんね?他のお友達の出番を奪っちゃったみたいで。代わりと言ってはなんだけど、私とお友達になってくれる?」
「む、そんなことならお安いご用なのだ!アライさんはいつでも誰でも大歓迎なのだ!」
「ホント?ありがとね、アライちゃん♪」
「どういたしましてなのだ!」
「……なんか、変な繋がりができた件について」
「変だなんだって言うんなら、そもそもゆぐねーちゃんの区分自体も意味不明だってばよ」
「あーうん、カテゴリ的には単なる【顕象】っぽいからねー……」
なんだか仲良くなっている二人に唖然としつつ、横合いから投げられたナルト君の言葉に渋い顔をする私。
……そう、このゆぐゆぐ、区分的には単なる【顕象】、ということになるらしい。
似通っているのはアルトリア……もといアンリエッタだろうか?彼女はアンリエッタという器にアルトリアの要素をこれでもかと注ぎ込んだモノだが、扱いとしては【継ぎ接ぎ】のようで【継ぎ接ぎ】ではない、ということになっている。
いやまぁ、複数のアルトリアが【継ぎ接ぎ】された存在、という認識の仕方でもそう間違いではないが、同時に
なにがおかしいかというと、彼女の魂のラベルはアンリエッタのままなのである。
似たような存在である【複合憑依】や、同じ【顕象】で同じように【継ぎ接ぎ】されているハクさんなどは、魂のラベルはそれらの要素によって変化を起こしている。
……が、アルトリアに関しては違う。彼女は確かにアルトリアとも呼ばれるが、それはあくまでも愛称。彼女の名前はどこまで行っても『アンリエッタ・ド・トリステイン』なのである。
それと似たようなことが、このゆぐゆぐにも起こっているのだ。
彼女に含まれる要素は『五等分の花嫁』や『アルクェイド』など、多岐に渡るが──その核としてはゆぐゆぐのまま。
性格はかなりアルクェイドに近付いているし、恐らくはできることも彼女に近いのだろうが……それは様々な要素が重なった結果、アルクェイドに近くなるような流れができた、というのが近い。
なので、実は彼女はアルクェイドが【継ぎ接ぎ】されているわけではなく、要素を纏めた結果彼女に近くなった、という方が近いということになるのであった。
「いわゆる収斂進化、ってやつ?」
「私は月に跳ねる兎じゃなくて、太陽で微睡む猫みたいなモノだもの。……あ、でもでも。こういう風になった理由、もう一つあるわよ?」
たまたま似てしまった結果、固定された……というのは、正直なに言ってるんだこいつ感が凄いが、実際になってしまっている以上は仕方あるまい。
そんな風に唸る私に、ゆぐゆぐは楽しげに笑いながら、彼女が
「ほら、もうすぐクリスマスでしょ?」
「……あー、アルクェイドの誕生日……」
そりゃ強いわ、という思いを込めて、私はがくりと肩を落とすのであった。