なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「なんで貴方は毎度毎度問題を引き連れて来るんですか?」
「自分で問題を作るタイプの人には言われたくないなぁ」
「ええい正論をっ」
「琥珀姉ちゃんはいつも通りだってばよ……」
クリスマスという時期そのものが、アルクェイド誘致の最大の理由……なんてことを聞かされて、そりゃそうだと天を仰いで暫し。
私たち一行は、おっとり刀*1で琥珀さんの居住区に足を運んでいたのであった。
部屋の中を見れば、既に検査は終わったのか、ゆったりとソファーで寛ぐフレンズ二人の姿が見て取れる。
そんな二人の様子を見たアライさんが、彼女達の元に駆け寄って行くのを見た上で。
「まぁともかく、彼女の方も検査お願いします」
「はいはい、承りましたー。……まったく、皆さん人使いが荒いんですから……」
「……ん、皆さん?」
「あ、いえ。こちらの話です」
ずずいっ、とゆぐゆぐの背中を押して、琥珀さんの前に引き出していく私である。「ちょっとー、押さないでよー」と声をあげるゆぐゆぐには悪いが、今までのあれこれは全て私たちの予想。
……ゆえに、もっと状況がこんがらがっている可能性を鑑みて、早急な検査をお願いしたいというのが総意なのであった。
特に、さっき脳裏に響かせていた念話的なものとは声質を変えた、現在の彼女の声が別の繋がりを誘発しないか、みたいなところも含めて。鮮血女王とかブルボンとかバニーで時代を席巻した一之瀬さんとか。*2
というか、仮にアルク単体だとしても、ネコアルクならぬネコゆぐゆぐ……みたいなナマモノを生み出しかねないので、気が気ではないところがあるというか。
……ついこの間、別件でちびシャナ(シャナたんではないやつ)を見付けた辺り、このなりきり郷にもミニキャラの波が押し寄せて来ている気配が云々。*3
「んー?なになに、もしかしてみんなに向けて、中指を立てれば良かったりする?」
「それ公式では人差し指ゆーとったやんけ」
悪ノリするんじゃないよまったく。*4
……まぁわざわざ口で言う辺り、実際には変な【継ぎ接ぎ】は起こっていない、ということでいいのだろうとは思うのだが。
ともあれ、色々と気になることが多いので、彼女に関してはいつもよりも念入りに、色々な調査を行って貰えるようにお願いをして──……。
「……はい、結論から言いますと、御想像の通りこちらのユグドラシルさん、アルクェイドさんそのものが【継ぎ接ぎ】されたのではなく、持ち合わせている要素を纏めていくとアルクェイドさん
「やっぱり?」
「ええ。そもそもの話、原作におけるユグドラシルさんは言葉を発しません。……それは即ち、声繋がりの引っ掛かりをそもそも持たないということ。そしてそれゆえに、現状ではあらゆる声帯を受け入れる余地がある、ということにもなります」
返ってきた検査結果は、彼女は
なので、彼女のカテゴリは最初から変わらず星晶獣、ということで変わりないようだ。……まぁ、ランクだけはアルティメットバハムートとかと同ラインになっているわけだが。*6
「その辺り、元々のユグドラシルさんが、他者からの影響によって変化した姿を持っている……ということも、この変化に関係しているとも言えるのかも?」
「あー、マリスのこと?
その辺りの受け入れ余地の大きさは、彼女達星晶獣が原作において他形態を持つことに大きく影響されているのかも、とは琥珀さんの言。……え?一部マリス化してないやつがいる?知らんなぁ……。*8
まぁともかく、変化を受け入れやすい土壌があれば、【継ぎ接ぎ】めいたことが起きやすいとは周知の通り。
ゆえに、彼女は後天的にアルクェイドっぽくなったゆぐゆぐ、という奇妙な存在に変化したのであった。
「まぁ、こうなった決め手はやはり、キーアさんの『統一言語』だったみたいですが」
「……あ、やっぱり?」
なお、彼女がアルクェイドっぽくなった最後の決め手は、やはりそれらの要素を集めた上で、それを纏めるモノがあると知らせることとなった『統一言語』になるらしいのだが。
彼女がアルクェイドっぽくなっていながら、その実性質的にはアルクェイドではない……というのは、さながら私の性質に近いものがある。
本来のアルクェイドが星に作られたものであるのならば、今ここにいる彼女は予め材料を用意したのち、
料理に例えるのなら、本来のアルクェイドは最初っからカレーを作ろうとして生まれたものだが、ここにいる彼女はじゃがいも・人参・玉ねぎなどなど、単に材料のみを用意した状態で、『さてこれからなにを作ろうか』と思案した時に、私という人間が『
本来ならば
「カレーで例えるのはどうかと思うけど……でも私、この姿が素敵だなって思ったからこうなったのよ?別にそこまで気にする必要、ないと思うんだけど」*9
「まぁ、一つの存在の行く末を左右したんだから、そこについては気にしないと嘘……みたいなやつよ、うん」
「ふーん……貴方って、結構損な性格してるのね」
「よく言われまーす」
「……ええと、話を戻してもいいですか?お二方とも」
「おおっと、すいません琥珀さん。どうぞどうぞ」
当のゆぐゆぐからは、そこまで気にしなくても……というような声があがったが、正直こんな活発お転婆姫なゆぐゆぐを作り出してしまった責任は、間違いなく私にあるわけで。
……世の中のゆぐゆぐファンの皆様には、深くお詫びを申し上げますというかなんというか。
まぁ、その辺りの話ばかりしていても仕方ないので、話を戻して。
「それでですね、彼女は『統一言語』を
「?それってどういうことだってばよ?」
次いで彼女が話したのは、先程までのそれと、ほぼ同じような言葉。……焼き増しのようなそれに、傍らでアライさん達から逃げてきたナルト君が、疑問の声をあげるが……。
「……」
「うわぁ!?どうしたんだってばよキーア姉ちゃん!?」
「ふ、ふふふ……今回ダメージしか受けてねぇ……」
「はぁ?」
「あー、ですよねぇ」
突然ぶっ倒れた私に、ビックリした彼は思わず跳び跳ねることとなったのだった。
……なんで倒れたのかって?またリソース掠め取ってることに気が付いたからだよ!!
「はぁ?」
「考えても見てくださいナルトさん。今まで幾つかのダンジョンを踏破してきたみたいですが、その時とユグドラシルさんの時、なにか違うことがあると思いませんか?」
「え?ん、んーと……あっ、俺達俺達、ボスを倒してないってばよ!」
「その通り。ここにいるユグドラシルさんは、かのダンジョンのボスでしたが……結局のところ、相手を打倒してはいません。それなのに何故、貴方達はボス部屋から脱出することができたのでしょう?」
「ええっ?えーとえーと、んんー……ボスを倒し……てはないってばよ。だってゆぐ姉ちゃんここにいるし」
「吾と同じ、ということか?」
首を捻るナルト君に、琥珀さんが次々問題を投げ掛けていく。
それらは現状を把握するために必要なもので、ナルト君は周囲の助けを借りながら、それらの問題を解いていく。
そうして最後にパオちゃんが告げたのが、ゆぐゆぐが彼女と同じようなモノなのではないか、という話だ。
今はしまいこんでいるハサミもそうだが、ダンジョンクリア時にはなにかしらの報酬が渡される、というのが普通である。
今回はクリスマスシーズンということもあり、外からの想念をエネルギーに変えることで、普段のそれよりも豪華な報酬が貰えるようになっている、とのことだったが……。
「吾はあのダンジョンのクリア報酬みたいなものだ。……まぁ、正確には吾は【複合……】もとい『逆憑依』なわけなのだが……」
「あーなるほど、パオちゃんって中身ありだったのねー。……いやちょっと待った、なんか今変なこと言わなかった?」
「気のせいだろう。まぁともかく、ユグドラシルとやらも私と同じく、ダンジョンクリア報酬扱いなのだろう」
「ん、んー?でも俺達ってば、パオ姉ちゃんの時みたいになにかをしたってわけじゃ」
「『統一言語』を教えたこと、それそのものがラストアタックだったんだよ」
「……んん?どういうこと?」
今回の場合、他のダンジョンでのラストアタックに相当するのが、私が『統一言語』を話したこと。
これにより、ゆぐゆぐは大いなる言葉を知り、そこから自身が模すべき相手を知り──その時点で、彼女は
これは、パオちゃんがギミックに囚われていたのとは、明確に違う部分である。
「……囚われてたの、姉ちゃん?」
「まぁ、そうなるな。私の一形態が
「え、えー……」
あの場所のクリア条件は、実際は『一定数ジャパイムを殲滅する』だった。
無限湧きする彼らを倒し続けることで、そのうち合体して巨大化するのが本当の流れだったのである。
……が、そこに明らかにモンスターであるパオちゃんが紛れ込んだことにより、システムが誤動作を起こして彼女をボス扱いしてしまった。
無論、彼女は迷宮が生んだモンスターではなく、【兆し】が勝手に形を持ったモノでしかないため、勝利判定やドロップ判定がおかしくなり、結果として『ボスが戦利品』という、わけのわからない状態を引き起こした。
……ところで、ダンジョン・コア達は独自のネットワークを持っているのだという。
彼らは他のダンジョンで起きたイベントを記録し、他のダンジョン運営のための参考にしているのだとか。
つまり、ボスが戦利品という状況を、全てのダンジョン・コア達は認知していた、ということになり……。
「ユグドラシルの場合は勘違いでも成り行きでもなく、本当の意味で
「……えーっ!?」
「いやー、照れちゃうなー」
今ここにいる彼女は、正真正銘
……いやゆぐゆぐ、ここ照れるとこちゃう。