なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
年越しも二回目となっております
「大掃除だよ!全員集合!」
「えー、掃除とかめんどくさいってばよ……」
「こらそこ、ぶつくさ言わない!こういうのはちゃっとやってちゃっと済ませるのが一番なの!ほら、終わったらおやつとか奮発するから!」
「──みんな、掃除なんて張り切って終わらせてやるんだってばよ!」
「思考があまりにも現金的すぎるん」
「やー、ナルトはまだまだお子さまだねぇ」
「……それ、貴方達が言う?」
なんだかんだとありながら、クリスマスは無事に終わりましたが、それですぐ穏やかな日々が帰ってくるか、と言うとそういうことではなく。
もうすぐ年末ですよーということもあって、とりあえず大掃除を済ませてしまおう、という話になった私たちなのでありました。
今年に入ってからうちの入居者()達も随分と増えたため、掃除しなければいけない場所も合わせて増えてしまったのでございます。
……それが人員増加に見合う手間なのか否かはまぁ、今は置いとくとして。
ともあれ、新年を気持ち良く迎えるためにも、大掃除は必須行事。
そういうわけで、各所手分けして掃除をする、ということになったのですが……。
「……これはひどい」
「わ、私の部屋が汚部屋って言ったか貴様!?」*1
「いや、まだ言うてないけど」
「それ今から言うってフリでしょうが!?」
「ねぇ、今から(君の汚点に)触れるよ」*2
「無駄に台詞をパロるなぁ!!」
早々に自分の部屋を掃除し終えた私(そもそも物が少ないので掃除も楽)は、他の面々の手伝いをすることに。
……それはいいのだけれど、一番最初の手伝い相手、クリスの時点でちょっと「うわぁ」って言う気分になってしまったといいますか。
いやだって、ねぇ?まさかまさかの独り暮らしのOLみたいな汚部屋だったんですもの。*3……君、一応まだ未成年だよね?大学の研究員だから、就業してると言えば就業してるんだろうけども。*4
でもほら、この部屋の様相は……草臥れた三十路OLのもの、って言われても仕方ないと言うか……。
「喧しい!いいからもう帰ってよぉっ!!」
「それはできない相談だ。私には、この汚部屋を人の住まうことのできる物へと回復させる義務がある」
「退去者の仕事、みたいな言い回しすなぁ!!」*5
やめてやめて入らないで、と駄々を捏ねて腰にすがり付いてくるクリスを引き摺りながら、彼女の部屋に進み入る私。
よかったねクリス、これを見るのが私だけで。もし他の面々──特にかようちゃんとかれんげちゃんとかが見てしまったら、あまりのずぼらさに今まで積み上げた尊敬とか敬意とか、全部吹っ飛ぶんでたかもだし。
「うるさいうるさい!!なんなのよもぉー!掃除するんだから帰ってよぉーっ!!」
「うーん幼児退行している。仕方ない、ここは手っ取り早く済ませるとしよう。──虚無式・解」
なお、クリス当人は絶賛崩壊中である。……既にマキセクリスは崩壊した<ボソッ*6
流石にこのまま、というのは可哀想なので、手っ取り早く済ませるためにちょっと小細工を弄する私である。
「……え、なに今の」
「始動キーみたいな?」
「ああネギまとかであるやつね。……え゛」*7
「そいじゃま、さっさと終わらせますかねぇ」
「いやちょっと待って、なにする気なのマジで!?」
「なにって……ちょっとお手伝いをね?」
「その不穏な笑みを止めなさい!……ってちょっまっ、ややややヤメロォー!?」
横合いからクリスの叫び声が聞こえるが、ははは部屋をここまで汚してしまうような人の主張なんて、聞く耳持ちませーん。
……というわけで、私はその呪文をさっくりと唱えるのでした。
「?どうしたんクリスお姉さん、なんかすっごい疲れた顔してるん」
「……いや、なんでもないのよれんげちゃん……なんというかこう、色々と凄いものを見せられただけだから……」
「?」
──数分後。
魔法によって室内の全てを文字通り綺麗さっぱり片付けた私はというと、先に外に出したクリスがれんげちゃんと話をしている光景に出くわすことに。
……まぁ、最初の十分くらいで体調不良になっていたのでさもありなん。
さっき私が使っていた魔法は、部屋の中を丸ごと洗濯機にぶちこむような感じのもの。
水ではなく虚無ですすぎ洗いとかすることで、室内の汚れやら不要物やらを全て分解して綺麗にする……という、わりと便利なものである。……虚無ですすぎ洗いとは?
まぁ問題があるとすれば、最初の方で壊れて欲しくないものや消えて欲しくないものなどに、洗浄の仕方を指定する必要があるために、結果として洗浄中の洗濯機に首を突っ込むようなことをしなければいけない……ということだろうか?
室内のモノをぐるぐると循環させながら、目視でいるものいらないもの・消えたら困るものなどを確認していかなければならないので、単純に目が疲れるのである。
……いやまぁ、流石に私は疲れたりしないんだけど、普通の人はそういうわけにもいかないからね?
三百六十度周囲を回転する物品達に忙しなく視線を向けながら、いるものいらないもの大切なものを分類していくのは、単純に疲れるのも仕方ないと言うか。
まぁ、大掃除で一番大変なのって物をわけること、ともいうから、そこら辺時間を掛けないようにするとこうなってしまう……みたいなところあるのだけれど。
……まぁそんなわけで、クリスは目を回しながらも部屋の中にあったモノの分別を終え、そのまま外に放り出されてしばらく放心していた、ということに間違いはないようで。
そのため、たまたま通り掛かったれんげちゃんの目に止まり、心配される運びとなったようだ。
「キーアお姉さん、洗濯機使ってたん?」
「まぁざっくばらんに言うとね?私以外だとどんな感じになるのか、みたいな実験の面もあったわけだけど……んー、実用性としては微妙かもねー」
「そうでしょうねー……」
相も変わらず目を回して体育座りしているクリスと、そんな彼女の様子を心配そうに眺めているれんげちゃん。
そんな二人を見ながら、私はさっきの魔法の改良案を練り始めるのであった。
「それで、一旦休みに来たの?」
「まー、れんげちゃんを見付けたから、相方であるかようちゃんのことも気になった……みたいな?」
「なるほど……」
で、私たちはそのまま小休止、ということで台所に向かったわけなのである。
そこでは換気扇やらコンロやらを掃除している、マシュとかようちゃんの姿が。
この二人は早々に自分の部屋の掃除を終えたあと、台所の掃除に移った手際のよい組だったり。
「はい、牧瀬さん。こちらお水です」
「ありがとマシュ……んくっ……んん、ちょっと落ち着いたかも」
「んー、クリスお姉さん大丈夫なん?」
「ああうん、大丈夫大丈夫」
マシュから渡されたコップを受け取り、中の水を嚥下したクリスは、ようやく人心地付いたといった感じで息を吐いている。
……うーん、この様子だとやっぱり改良点まみれだなぁ、さっきの魔法。
早さと正確さは結構なモノなのだけれど、それを最大限に活用しようとするとどうにも負担が大きいというか。
となると、なんかこう映像だけ別所から見る、みたいなタイプにするのがいいのかねぇ?
「……それ、結局酔うでしょ」
「……あー、そういえばそうか。その場にいなくても映像だけで酔う、なんてこともあるよねー」
そんな私の呟きを聞き付けたクリスが、少しテンションが戻ってきたというように声を掛けてくる。
……確かに、視界がぐちゃぐちゃになるような状況だと、その場に居ようが居まいがある程度影響は受けるか、うーむ。
「……ええと、せんぱいと牧瀬さんはなんのお話をしていらっしゃるのでしょう……?」
「部屋の中で洗濯機を使う方法なん」
「洗濯機?えっと、各部屋にそういうの設置しよう、みたいな?」
「違うん。全部洗うん」
「?」
「置いてあるもの纏めて片付けるん。これでピカピカになって綺麗に並べられるん」
「???」
なお、そうして改良案を出し始めた私たちの横では、マシュとかようちゃんがれんげちゃんからの説明を聞き、『なにを言っているのかわからない』とばかりに首を傾げる姿があるのだった。
……まぁうん、詳細を聞かないとわからないよね、部屋の中身を丸ごと洗うとか。そういうキャッチフレーズはよく聞くけど。