なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
のたうち回ったあと動かなくなったハクさんについては、一先ず置いておくことにして。
とりあえず、この社に関しては放置。
なんか変な縁でも辿ったのか、境内は紛うことなき神気に包みこまれているため、不浄とか発生しそうもないのである。……ハクさん的には息苦しくなったりしないのかな、ここ?
そう尋ねると、彼女は地面に突っ伏したまま「同族がしれっと良妻面してるから大丈夫」などという、一見意味不明な答えをこちらに預けてくることとなるのだった。
……えーと、もしかしてどこぞの
そういえばキャットも居たし、どっかで見てる可能性はあるのかなー。……ハクさんとは属性的に近いところもあるし、なんか加護でも与えているのかも。
そうなってくると、どことなくイッスン君の反応がシビア*2だったことにも頷けてくる。
なにせ彼の大本は少彦名命、天津神の一柱ではあるものの、国津神である大国主神を手伝った者である。……どことなーく反抗心とかが出てきてしまっても、それは仕方のない話だと言えるだろう。*3
まぁ、その辺りのことを彼は認知してないだろうし、認知したら認知したで苦い顔をするのだろうが。
ともあれ、この社を移設したり壊したりするというのは、下手をすると主神様に『そんなことするとぉ~、タマモ、呪っちゃうぞ☆』とかされかねないので、とりあえず放置が一番ということになってしまうのだった。
……なので、ぐずるハクさんを引き摺って、次の場所──パオちゃんの部屋へ。
この分だと、彼女の部屋の中もすっごいことになっているんだろうなぁ、と半ば諦感を抱きながら、歩くこと数分。『私の部屋』などという、パッと見ただけだと誰の部屋なのか全然わからない表札のくっついた*4扉の前に立った私は、他の面々に合図を送ったのち、バッとその扉を開き。
「ぬわーーーーっ!!?」
「き、キーアダイーン!!……って言ってる場合ではなうおあーっ!?!?」
「部屋の中から雪が出てきたん、なだれなん」
「言うておる場合か!?逃げるぞ皆のもの!!」
中から飛び出してきた白い濁流──つまるところ雪の大群に、見事に押し流されることとなるのであった。これ死ぬやつぅーっ!!
「死ぬかと思った」
「嘘つけっ!!途中で『どうせ流れには逆らえないんだ、だったら私は乗るぜ、このビッグウェーブに!!』とかなんとか言いながら、雪の上を華麗に乗りこなしておったではないか!!」*5
「ははは、気のせい気のせい」
止めどなく部屋の中から飛び出してくる雪の多さに、このままだと良くないことになると察した私が、雪を超圧縮してホワイトホール()を作り出してから暫く。*6
ようやく一息ついた私たちは、どうにか元の位置──パオちゃんの部屋の前までたどり着くことに成功していたのだった。
なお、特殊な隔離手段で留めているものの、どうにも部屋の中にはまだまだ雪がいっぱいあるみたいで……。
「……そういえば、大量の雪を操ってその中で遊ぶ、とかなんとかすっごいはた迷惑な生態をしてるって書かれてたね君……」
「はた迷惑とは心外な。これが吾の生きる道、というやつなのだぞ?るきるきるき」
「その笑い方って、実はなにかしらごまかそうとしている時のやつだな???」
雪だけを通さないその障壁から向こうを覗き、一面の銀世界に思わず呻いた私に、パオちゃんはからからと笑みを浮かべていたのだった。……うーん流石は厄災ポケモン、やることのスケールが違う。
……まぁ、部屋の中で完結しているのなら、こっちに関しても問題はないと思う。……思うのだが、同時にどんだけ出てくるんだ、みたいな規模の雪が大量に蓄えられている部屋、というのはそのうち重力崩壊起こしそうで怖いような気持ちもあるというか。
「ん?そうなのか?」
「際限がないって言っても、物理的な力が働いてないってわけでもないからね。……いやまぁ、流石に自然と重力臨界迎えてしまう規模の雪を溜め込む、なんてことはできないと思うけども」
こちらの言葉に首を傾げるパオちゃんに、一応注意をしておく私。
……この拡張空間は、一応無限の世界というわけではない。膨大ながらも限度はあり、そこに物を詰め込んだとてブラックホールになるような質量の集中が起きることは、普通に考えてあり得ない。
……あり得ないはずなのだが、彼女はパオジアンのフレンズ。
普通の雪はとても軽いが、圧縮すればどんどん重くなるもの。それが一見無限に近い許容量の場所に詰め込まれればどうなるか、というのは想像だに難くない。
まぁ、そんなことになる前に管理システムから警告が出るだろうし、そもそも雪をブラックホールにするのに必要な質量がどれほどか、ということもわからないので杞憂に過ぎないとは思うのだけれど……。
「……逆接使いっぽいのがなぁ」
「ぎゃくせつ?」
「矛盾があるものを結びつける論法、とでも言うべきかな。服を着ている、
パオちゃんに混ざっているものが、多分恐らくきっと
──贄波生煮。
漫画『めだかボックス』に登場するキャラクターの一人であり、
そんな彼女が使うのが、逆接・ないし逆説。
これは、前半部分で言ったこととは相反する物事を引き起こす、『だからこそ』の能力である。
その能力はとかく強力であり、起こる確率の低い物事ほど引き起こしやすくなる、という無茶苦茶な性質を持っている。
……まぁ、言葉使いは本来戦闘用の技法ではないらしく、そうやって攻撃に使うのは色々と問題があるらしいのだが。
ついでに言うと、あくまでも『言葉』であるので、話を聞く気のない相手──怒っている相手だとか赤ちゃんだとか無機物だとかには通じない・ないし通じ辛いなどの問題点もあるらしい。
「そういう意味では、この間君が話してたやつ──『統一言語』だっけ?あれの下位互換的なもの、とも言えなくもないかも?」
「……いやまぁ、あれは言語系の中でも普通にトップクラスだから」
トップクラス過ぎて、ちょっとナーフされたこともあったりするから……。*7
その辺りはまぁ置いとくとして。
ともあれ、このパオちゃんに混じっているのが彼女である場合、『限界を迎えている、
そりゃもう、警戒しちゃうのも仕方ないってものなのである。
まぁ、今のところ気にする必要はないと思うんだけどね、一応ってやつよ一応。
「ふぅむ?では吾の部屋の検分はしない、ということか?」
「……その言い方だと、中になにかあったりする?」
「さぁて、どうだろうな?」
「わー!あるやつじゃんもー!!」
……そのはず、だったんだけどねぇ?
パオちゃんが意味深な笑みを浮かべているせいで、どうやらなにかしら確認を取る必要性のあるものがある、という可能性が生まれてしまったわけで。
うーん仕方ない、あんまり入りたくはないんだけど、入るしかないかー。
そんなことを呟きながら、私は部屋の中へと歩を進めたのでございます。……で、その結果……。
「……わー、ティガレックスとかポポとかが歩いてるーうふふー」*8
「キーアお姉さんがこわれてしまったん……」
「うむ、気持ちはよくわかるぞ……扉を抜けるとそこは別世界でした、みたいなことを言われれば、こういう反応にもなろうというものよ」
「なー!なー!?だから言ったであろー!?良くないってー!こやつヤバイってー!!」
このお部屋が、モンスターをハントする世界っぽい場所と繋がってる、ということを思い知り、思わず気絶しかかる羽目になるのでした。
……なんでや!!
「おや、珍しい人が。おいっすキーアさん、どうしたんすかこんなところで」
「お前かー!!これはお前かー!!!」
「はっはっはっ、なんのことだかわかりかねるっすよー」
これってどう考えても雪山マップだよなぁ、などとこちらを遠巻きに見ているブランゴの集団を眺めながら、思わず遠い目をしてしまう私。*9
そうして周囲を見て回るなか、唐突に現れたあさひさん……もといミラルーツさんに、私はこいつが諸悪の根源か、と詰め寄ることとなっていたのでありました。
いやだってさぁ!!どう考えてもこの人のせいじゃんこれ!!いやまぁトップ相当の人が居るんなら、大きな問題にはならないかもしれないけどさぁ!!?
「あー、一応言っとくっすけど、これ私達の共通認識で成り立ってる仮想空間っすよ?」
「仮想のものが既に現実に侵食しまくってるこの状況で、これは夢だって言われて安心するやつがどこに居るんですかねぇ!!?」
「あはははは」
「笑うなーっ!!?」
一応、本当にモンハン世界に繋がったわけではなく、モンハン由来のモンスターが増えたことによって、共通認識の幅が広がり仮想空間が生み出された、みたいな感じの話らしい(なので、本来肉食で狂暴なティガレックスとかも、のほほんとそこらを徘徊している)。
……まぁ、そもそも創作物であるゲームやアニメのキャラクター達が憑依してきている、というのが今の私たちの状況なので、仮想だとか空想だとかはおためごまかしにもなりやしないのだが。
なーんで神様みたいな奴らは、どいつもこいつも問題を持ってくるのかねぇ……と頭を痛める私。
なお、れんげちゃんはいつの間にかティガレックスと仲良くなって、その上に乗せて貰ったりしている。……竜騎兵の復活かな?(白目)
「……あー、とりあえずもうちょっと仔細を確認した方がいいよね、これ」
「だなぁ。一応、上の方に行けばクシャルとかも見れるよ?」
「……どっかにウカムも居る、とか言わないよねそれ?」
雪山って意外とモンスターが多いんだよなぁ……。
そんなことを愚痴りながら、私はあさひさんも加えた面々で、雪山を捜索することとなるのだった。