なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……そこら辺を動き回ってるのって、ギアノスじゃなくてランポスなのあれ?」*1
「一応どっちも居るっすねー。ここって時系列とか無茶苦茶なんで」
「……まぁ、フルフルとかギギネブラとかも普通に寝てるしねぇ」*2
みんなを連れて雪山を見て回る度、なんじゃこりゃと叫びたくなるのを抑える羽目になっている私であります。
……ゲーム的には一種、多くて二種くらいしか一緒に出てくることのないモンスター達*3が、この幻想の雪山においては無数に姿を見ることができてしまうのだ。
ドドブランゴ*4とティガレックスが仲良さげに日向ぼっこしてるのとか、恐らくこんな場所でしか見ることのない光景だろう。
……貴重なのは貴重なのだが、なんというか違和感が凄いというか。いや、君ら生存競争的には争ってないとおかしいよね?なんで仲良さげにしてるの?
「そこはまぁ、私の影響下っすからねー。面倒な揉め事は起こさないのが一番、ってやつっすよー」
「うーんこの神様発言……」
「あ、吾の意向も幾らか入ってるぞー、争うべき、
「うーんこの天の邪鬼発言……」
そんな私の疑念は、二人のモンスター達によってたちまち瓦解するのでした。……いや無法かこいつら。モンスターだから無法だったわ()
私の頭痛が酷くなる理由については、この二人の様子から理解することができると思う。っていうかしろ()
「でもうち、ここの子達けっこう好きなん。かようにも見せてあげたいん」
「かようちゃんに?……うーん、でも普通の子がこんなの見たら、卒倒するんじゃ……ないかなと思ったけど、よーく考えたらかようちゃんは普通じゃなかったね!じゃあ大丈夫だ!今度連れてこよう!」
「やったん。わーいなん」
「喜ぶな喜ぶな。……というか大丈夫かキーア。目がぐるぐるしておるぞお主、どう考えても混乱状態じゃろお主」
あっはっはっ、こんな状況下で正気なんか保ってられるかってんだチクショーメ(涙目)。
ハクさんからの真っ当なツッコミに涙しつつ、やってらんねーやって気分バリバリで、雪道を歩いている私なのでありました。
で、そんな感じの束の間の雪山観光の結果ですがー。
「……一応存在してるのは雪山と凍土だけなんだね、ここのマップ」*5
「私達の想像力や記憶力を元に、形作られてるっすからねー。今回はそれ以外の部分には手が回らなかったんっすよ」
白々しい言葉を吐くあさひさんにジト目を向けつつ、改めて今回の探索の結果を思い起こす私。
雪山から降りると本来ならば山の麓……
……ベリオロスの主な生息地でもあるので、別に合ってもおかしくはないと思ってはいたが……いや、記憶からの再現だからって適当だな、マップの繋がりが。少なくとも隣にあるとかじゃなかったでしょ、この二つ。
いやまぁ、もし仮に
……でも凍土も雪山もミラルーツとはなんの関係もない場所なのも確かなので、なんかごまかされてるんじゃないかなー?……という気もしてくる私なのであった。
いやほら、モンスター系の『逆憑依』って、自身の領地を作る際に原作での自身の領域を再現したがる、っていう癖みたいなモノがあるってことがわかってるんだけどさ?
ここで思い返して欲しいのが、あさひさんが普段居る階層の見た目について。……うん、のどかな牧草地、みたいな見た目なんだよね、あそこ。
湖の畔に、誰が使うのかよく分からないログハウスがあったり、魚や鳥のような普通の生き物も住んでいたりするし。
……あとそういえば、モンハンにおける環境生物──黄金魚やバクレツアロワナ*8、それからあのドスヘラクレス*9さんとかも居たはずなので、あそこがモンスターなハンターの世界観に染まった場所である、ということは間違いあるまい。
多分、あの場所の参考になっているのは、ハンター達が色んなものを栽培したり繁殖させたりしている牧場、だと思うわけなのだが……牧場とミラルーツに関係があるか、と問われれば『ない』って返すしかないことは、賢明な視聴者諸君にはよーく分かって貰えることだと思われる。
……つまり、なにが言いたいのかと言うと。
あの場所、あさひさんの陣地としては、かなり不適切・もしくは出てくるはずがない場所なのである。
彼女が自身の思うままに領地を作るのなら、それは恐らく壊れた城のような場所になるか、はたまた砦の跡になるか、そうでなければ塔の上になるはずなのだ。
そんな寒々しい場所とは、全く別の場所。
日差しが温かく降り注ぎ、草木が歌い、生き物が生を謳歌する──。
それが現在の彼女の居城の様子であることに、幾ばくかの疑問を抱いていたわけなのだが……。
こうして空間拡張を悪用(?)して心証風景を作っている人がいる以上、彼女が同じ事をしていない保証がなくなった、とも言えてくるわけなのである。
……姿があさひさんだから、そっちに引っ張られているのでは?……みたいなことを思った人は、このあさひさんが別に【継ぎ接ぎ】でも【複合憑依】でもないことを思い出して頂きたい。
彼女の今のこの姿は、あくまでも単なる趣味みたいなもの。
その姿が彼女になんらかの影響を与えているわけではないので、例えばあさひさんの同僚である冬優子ちゃん辺りにぶつけたとしても、原作みたいな会話が繰り広げられるかどうかは微妙なのだということを。
……いやまぁ、このあさひさんのことだから、悪ノリしてそれっぽい対応をし始めるかもしれないが。
でもまぁ、純粋な『芹沢あさひ』とは別物だろうな、と思うからこそ、いつまでも『さん』付けなところがある、ということにも間違いはないんだけどね?
「む、なんだか他人行儀だと思ってたら、そんな理由だったんすか?酷いっすキーアさん。私は純粋に貴方のことを思っているのにー」
「嘘臭いこと言うのやめない?」
いやまぁ、まるっきり嘘ってわけでもないのかもしれないけれど。……祖龍なんて呼び方がある以上、あまねく全ての生き物を慈しみの目で見つめている、なんて可能性もなくはないわけだし。
個人的には、白系で万能系の少女、って言われるとどこぞのゾンビお姉ちゃんを思い出すので、背筋が寒くなって仕方ないのだが。
「……いや、流石にあれと一緒扱いは心外っす」
「うわぁごめんって!!だから赤雷はやめて!乙る!一乙する!!」
「こ、これはお疲れって意味じゃなくてポニーテールなんだからね、っす」
「なにその往年の掲示板でのやり取り!?」
なお、流石にあの人と一緒扱いは嫌なのか、危うく雷に打たれて死ぬところでした。……本気で嫌なのね。
はてさて、一応?とりあえず?今のところは?周辺区域に問題を引き起こすことはないかなー?
……なんて結論を出した私でございます。
「……いや、納得してない空気をバリバリに漂わせておるではないかお主」
「でもねー。正直ねー。ここって端的に言うと、パオちゃんとかあさひさんの胃袋の中……だとアレだから、彼女らの体内の中、みたいなもんだからねー。正直、本気でごまかされたら確かめようがないのよねー」
「ははは。なんのことやら」
(う、胡散臭い……)
ハクさんが思わず『なんじゃこいつ』みたいな顔でパオちゃんを見ているが……そもそもの話、【複合憑依】は単純出力においては他の追随を許さない存在である。
性質が噛み合う必要性こそあるものの、同じ方向を向いたエンジンが単純に三門あることになる彼らは、その分瞬発力に優れているのだ。
これがどういうことかというと、単純な話としてレベルが違いすぎて、相手のすることに対処し辛くなるのである。
一応、ここにいるのが
やれることに限度があるため、確認しきれない場所がどうしても出てくるのである。
そうなると、これ以上の捜索はほぼほぼ無意味だということになり、だったら『なんにもなかった』と一応の結論を出してしまう方が良い、ということになってくるのだ。
……いやまぁ、報告した時にあれこれ言われる可能性はあるが、
「……それはなにか違うのか?」
「違いますよー!!」
「これだから神様はダメだ!」*10
「……???何故某はいきなりダメ出しを受けたのだ????」
「そういうの、その場のノリっすからあんまり気にしない方がいいっすよ?」
「そ、そうか……」
そんな私の言葉に、イッスン君が疑問を呈してくるが……これが分からないとは、それでも貴様英雄か!……みたいな気分が沸いてくる私である。……あとここぞとばかりにハクさんも煽ってた。後で斬り捨てられても私知らんよ?
まぁともかく。最高峰と最高が別、というのはあまりに当たり前の話しすぎて、そこをツッコまれるとは思っていなかった私である。なので、懇切丁寧に説明してあげようと思う。
「最高峰っていうのは、頂点付近。頂点を含む一定の区画のこと。……ここまではいい?」
「……ああなるほど、最高峰と最高とは、すなわち頂点とその周辺、みたいなものということか」
「そういうこと。トップクラスじゃなくトップじゃないとダメ、って言われればことの重大さには気付いてくれるでしょう、って話よ」
……やだ、説明しようと思ったらすぐに理解されちゃったわ。これこそ無駄な時間ってやつね(ヤケクソ)
まぁともかく。
最大値か最大値付近か、というのは大分意味合いが異なってくる、というのは分かって貰えると思う。
それを踏まえた上で言うのならば、彼女達になにか後ろ暗いものがないかどうかを探るのは、恐らく悪魔の証明級の難題となるため、まともに取り合うだけ無駄だということになるわけだ。
その上で──この部屋については終わり!閉廷!
「うーん、雑」
「いいのよ、だってそもそも大掃除の途中だし、私たち」
「……そうだった」
そもそもの話、今の私たちがすべきなのは部屋の掃除であって、部屋の中身の検分ではない。……あまりの光景に目が眩んでしまったが、本来内装なぞ匙なのである。
……というようなことを述べたところ、ハクさんは納得したというように、頻りに頷いていたのだった。
……まぁ、問題の先送り、という反論は認めます、はい。