なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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一応悪気はない(※許されるとは言ってない)

「……やりやがった!マジかよあの野郎やりやがった!!(絶望)」*1

「言葉がフラグに、ってのはよく言ってたけど、回収速度早すぎないこれ?ねぇ?」

「おおお、落ち着いてくださいクリスさん!?」

 

 

 静かにキレ散らかしたクリスに、ネックハンギングツリー*2を受けながら、どうしてこうなった?……と現状を振り返る私。

 ……いやまぁ、百割の確率で私が悪いのは明白なのだが、正直私じゃない私が犯人なのって私のせい?……みたいな気分もなくはないというか。

 

 

「ああ??」

「あっはっはっはっ、ジョークジョーク、イッツァジョーク。本気にするのよくない、喧嘩よくない」

「煽動してるのアンタ(の一側面)でしょうがぁー!!!?」

「おおお、落ち着いてくださいクリスさん!!?せんぱいだから大丈夫ですけど、それ普通に死ぬやつ……あっ」

「あっ?」

「あっ」<コキャッ

「うひゃあ!?……あっ、だだだ大丈夫!?」

「前科一犯ですね、刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!?」*3

「……死体から告訴されるのとか初めての経験なんだが???」

「しょ、正気に戻ってくださいクリスさん!?普通は前科なんて付くような行動を起こすことはありません!?」

「……はっ?!」

 

 

 いやー、キーアの命が軽くて良かったね?(首の骨を元に戻しながら)

 

 ……冗談はともかく、元々の時点でクソザコナメクジな私が三分割されているのだから、そりゃもう今の私の耐久性能なぞ高が知れたもの。

 そりゃまぁ、そのつもりはなくても首コキャくらい頻発するというものである。

 

 なので『俺で慣れておけ』的な慰めをクリスに投げたわけだが、返ってきたのは『改めて思い返すと夢に出そう』という言葉なのであった。……やだ、微妙にトラウマになってる……。

 まぁ、例え蘇るとしても、自分が人の首を折ったという感覚が残る、というのは確かなので仕方ないのだが。

 

 ともあれ、話を現状に戻すと。

 今さっき私たちの目の前を過ぎ去って行ったのは、周囲の人々を煽動して、その不満などの負の感情を発散させようとしていた善の(キーア)と。

 衆生が文句を言う相手なぞ、そもそも限られておろう……とばかりに、ここで一番偉い人であるゆかりんをひっ捕まえ、攻撃目標となりうるものを一点に絞った悪の(キーア)

 

 ……まぁうん、こうやって解説していることからわかるかと思うけど、一応二人がなにを思ってあんなことをし始めたのか、というのは理解できていると思う。

 偏に二人とも、騒動の火種を細かく潰していくのは効率が悪い、と悟ったのだろう。

 

 

「と、言うと?」

「最初の予定だと、行き当たりばったりにみんなの様子を見て回る、みたいな感じだったけど……二人とも善悪の両極端な視座に立っている状態だから、『まどろっこしい』ってなったんだと思うんだよね」

「ええ……?」

 

 

 普段の私なら、そうやって面倒ごとを一纏めにしてしまうと、騒動の規模が指数関数的に膨れ上がってしまうと知っているがゆえにやらないが。

 今の彼女達は、視点が片方──それぞれ善性と悪性に振り切った状態となっている。

 ブレーキを掛ける倫理や理性が抜けているとも言えるため、最大効率であるのならばその過程の犠牲は付き物、くらいの思考で進んでいる可能性が大なのである。

 

 

「……バカなの死ぬの?」

「いやまぁ、普通の人でも時々思ったりすること、あるでしょ?嫌な上司に『死なねーかなー』とか。……普通、そういうのって思うだけか、最大でも聞こえない程度の音量でボソッと呟くか……くらいが関の山だけど、それも言ってしまえば倫理や理性がストップを掛けてる状態、って風に見なすことができるわけ。同じように、もしも実行できるのなら、最善の選択肢なんだろうな……みたいな物事でも、倫理や理性・他者との兼ね合いで実際には選べなくなっている……みたいな選択っていうのは、わりとそこらに転がっているもの。……それを、あの二人は躊躇なく選べる状態ってことなんだよ」

「は、はた迷惑すぎる……」

 

 

 まぁ、一応ここで起きるであろう問題に対し、各々真摯に向き合った結果だ、ということは留意して置いて欲しいものだが。……それでも迷惑なものは迷惑?それはそう()

 

 ともかく。

 このまま放っておくと、それこそとんでもないことになるのが目に見えているので、さっさとあの二人を止める必要性がある、というのは確かな話。

 無論、その過程で善の私の方に集められた問題児達も鎮圧できれば、まさに一石二鳥で万々歳というやつだ。……え?巻き込まれたゆかりん?それはご愁傷さま、ということで……。

 

 

「八雲さん、哀れすぎない……?」

「まぁ、スレ主ってそういうものだから……とりあえず、奴らの決戦場に突撃だー!」

「そういえば……先ほどから不思議に思っていたのですが、せんぱいが分割されたのが彼女達なのであれば、さほど大きなことはできないのでは?」

 

 

 とりあえず、長引けば長引くほど面倒なことになるので、さっさと現場に向かおうとしたのだが……それに待ったを掛けたのが、不思議そうな顔で首を傾げていたマシュ。

 そんな彼女が口にしたのは、元々のキーアから分裂した二人ならば、そこまで無茶苦茶なことはできないのでは?……という疑問。

 

 

「……ほら、煽動してる以上、付いてきてる人達に危ない人とか紛れてるかもしれないから」

「そ、それは確かに!こうしてはいられません、早速現場に向かいましょう!」

「おー!」

 

 

 それに一先ずの答えを与え、彼女を納得させた私はというと。

 ジーっとこっちを見てくるクリスに『余計なことは言うな』と視線で釘を刺し、走り出したマシュの後を追い掛け始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

「よくぞ来たな、善なる私よ!」

「ええ、見えましたわね、悪なる私」

 

 

 到着した時、二人はまだ()()()()()()()()()()

 そのことに一瞬安堵したものの、この流れだとこのまま()()()()ことは目に見えていたため、どうにかして二人を止める必要があったのだが……あっ、ダメだこれ、言葉で止まる段階を越してやがんの。

 

 こうなってくると、今の私が()()()()()()()はかなり限られる。後のことを思えば、ほぼなにもしてはいけないも同然。

 ゆえに、ここはどうにかしてマシュに場を治めて貰うしかない、ということになるのだが……うん、説明もせずにやって貰うのは無理だよね、これ。

 

 

「……仕方ない、か」

「……ええと、せんぱい?どうされたのですか?」

「ごめんマシュ、()()()()()()()()から、本気で頑張って?」

「……はい?それはどういう……?」

 

「竜虎相搏つ、というやつだな私!」

「それはどちらが竜でどちらが虎なのですか?」

「ふん、下らんことに拘るな。──無論、私が竜だ!」

「なるほど、竜とは悪性の象徴、確かに悪を標榜する(貴女)にはぴったり、かもしれませんね。──私も、本気を出せると言うものです」

 

「え?……は、ちょ、なにこれ!?」

「せ、せんぱい!?これは一体!?」

「ああうん、騙してて悪いんだけどさ。──私、別に分割されたからといって戦力は変わらないんだよね。ゼロであれ無限であれ、それをどう分けようとも答えは変動しない。つまり、あの二人がヤバイのは──」

 

 

 ──負担を一切省みないこと。

 元に戻った時、どれほど負担を受ける羽目になることやら。

 そんなことを思いながら、二人の私が各々光と闇を操り、大立ち回りをする姿を眺める私なのでありました。

 ……加減しろバカ!!

 

 

 

 

 

 

「根本的な話として。私が全力を出したがらないのは、負担が酷いから。……さっきも言ってたけど、あの二人は現在最善の選択肢を優先して選ぶような思考ルーチンになっている。……それはつまり、普段は負担を気にしてやらないことを、後のことなんか全部放り投げた上で無茶苦茶やらかす……ということになるわけでね?」

 

 

 それは、神話の再現であった。

 虚無という力を最大限使うのであれば、これだけのことはできる……そう主張するかのようなそれは、世界の創造から始まる一連の世界史を再現するように、強く激しくぶつかり合っている。

 ……抽象的すぎてわかり辛い?じゃあまぁ、光の奔流が闇の濁流にぶつかり、あちらこちらにビッグバン級の衝撃を発生させている、とでも思って貰えれば。

 

 周囲に欠片ほども配慮しないその全力のぶつかりあいは、なるほど巻き込まれれば塵のように吹き飛ばされて然るべき、そんな威容を周囲に撒き散らしている。

 実際、ゆかりんとマシュが周囲への影響を全力で散らしていなければ、それこそこのなりきり郷が──ともすれば世界が粉々になってもおかしくないと言えた。

 ……いやまぁ、二人が防御できてる辺り、ほぼほぼじゃれあいみたいなものというか、脳内でお人形遊びしているようなものでしかないわけだが。

 

 

「ふはははは!こういう機会でもなければ使うこともないであろう!存分に錆び落としをしてやる、有り難く思うがよい!」

「使えるものはなんでも使え、というのは本来私達が言わずともやるべきことだと思うのですけれどね」

「うるせー!!てめぇらもう二度と分裂なんかしねーからなー!!」

「ちょっ、言ってる場合か!!なんとかしなさいよこんなんじゃ止めるもなにもないわよ!!?」

「あとのこと考えると私はもうなにもできないんじゃよ」

「はぁ?!」

 

 

 なお、二人は好き勝手なこと言いながら、思う存分攻撃をぶつけ合いまくっている。……なんでコイツら仮にも私なのに、こんなに攻撃的なんです???

 というか、ゆかりんとマシュが死にそうな顔してるんだけど。この状況、どう足掻いても私にケリを付けさせようとしてるでしょふざけてる?

 

 面倒くさいのは、これらも一応私の思考の一部だ、ということ。

 ()()()()()()()()()()()()、と思っている部分があるということである。……余計なお世話過ぎる。

 

 はぁ、とため息を一つ吐き、目の前を睨むように見つめる私。

 ……よーくわかったぞ。

 

 

「こうなりゃ戦争じゃー!!」

「えっちょ、せんぱいー!!?」

「ちょっ、なんか事情があったんじゃないの貴女!?」

「うるせー!!もう知らねー!!後のことなんか知るかー!!」

「おお、そうだそうだ!あとのことなぞ気にするな思う存分やれやれ!!」

「ひゅーひゅー、ですの」

 

 

 こうなりゃ全員ぶっとばしたらぁ!!

 自棄になった私は、()()()()()()()()()()()()()、戦場に飛び込んで行くのであった。

 ……もう知らねー!!

 

 

*1
『ゴールデンカムイ』より、姉畑支遁のとある所業に対し、杉元佐一が驚きの余り感動さえ覚えながら述べた言葉。ある意味閲覧注意

*2
プロレスの技の一つ。喉元を両手で掴んで持ち上げる。なお、首を絞めているわけではない

*3
ワザップジョルノと呼ばれる、インターネット上でのネタの一つ。ポケットモンスターオメガルビーにおいて、とある裏技のネタが一因となった一連の騒動における、騙された側の怒りの叫び。その言い回しがどことなくジョジョっぽかったことから、ジョルノ・ジョバァーナ呼ばわりされるようになった。なお、細かく見ていくと他のジョジョキャラを連想させるような言動もちらほら

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