なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……まぁうん、貴女が今さらになってその喋り方をし始めた理由、ってのは痛いほどよーくわかったわ。……それで?これからどこに行くつもりなのよ?」
「んー、とりあえずはトリスタニア……は後回しにして、他の場所を回ることになるでしょうか?」
「ん?なんでトリスタニアは後回しなのよ?というか、まず初めにビジューに会いに行くんじゃないの?」
「いやー、ほぼ確実に
「あー、そういえばさっきもそんなこと言ってたわね……」
今さらになって私が喋り方を変えた理由、というものを理解して貰うためにあれこれと言い募って来たわけだが、その甲斐あってかルイズは一応の納得を見せていたようだった。
……となれば、次に出てくるのはこれからどういう行動をするつもりなのか、という話。
それに関してルイズは、すぐに王都トリスタニアに向かうものだと考えていたようだが……とんでもない。
確かに、こちらでは前回の訪問からさほど時間は経っていないのだろう。
それでも、私が
そんなわけなので、先にガリアとかロマリアに顔を出そうかなー、と思っている次第なのであった。
特にロマリアは宗教国家なので、初詣の場所としてはわりと最適というか。
「……日本の宗教とは全く関係ないし、そもそもこっちまだ年が明けてないわよ?」
「まぁ、いいじゃないですか。細かいことは言いっこなし、ですよ?」
「全然細かくないと思うんだけどなぁ……」
釈然としない様子のルイズに手を振りつつ、能力を行使して
とりあえずは各地の様子でも見ながら、ゆっくりしてくるかな……などと考えながら、私たちはゲートを潜っていくのであった。
「それで?それからどうなったのですか?」
「いやー、ははは。……怒らないで聞いてほしいんだけど、どこもかしこもちょっとしたトラブルが燻っていてね?」
さて、ビジューモードを止めてシルファモードになっている私が、どうして正座してビジューちゃんの前に居るのかと言う
ええと、いつぞやかにこちらで作ったキーアでもキリアでもない私の役目が、いわゆる『シルファ・リスティ』である。
見た目は女騎士めいた感じで、人によってはルイズの母・烈風カリンとかを思い出すかもしれない。*1……まぁ、私のキャラ造形自体、ルイズの影響が強いのだからさもありなん。
無論、中身が私なのであそこまで堅物な騎士、というわけでもないが……パッと見で私とビジューちゃんが元々同じもの、みたいな状態であるとは思わないだろう。
そういう意味で、キャラの分離にはしっかりと成功している、ということができるはずだ。
シルファとしての説明はまぁ、これくらいにしておくとして。
時間と話が飛んで、唐突に私が正座している辺り、なにが起こったのか解説してほしい、という人がほとんどであろう。
なので、その声にお答えして簡単に説明をすると……いやもう、新年早々色々と酷い目にあったというのが答えなのであった。
まず、初めの騒動はロマリアから。
さっきも言っていた通り、初詣をするのであれば宗教系国家であるここが一番だろう、という日本人的宗教ごった煮価値観*2から選んだ行き先であったが、先にトップに挨拶をしてから……などと殊勝なことを考えたのがまず間違いであった。
トリスタニアの女王代行である、虚無の魔法使いの従者として、『シルファ・リスティ』の名前はとても強い力を持つ。
そのため、特に疑われることもなくトップであるヴィットーリオへのアポを取ることができ、みんなで『順調だねぇ』だなんて笑っていたのだが……。
「丁度よいところに来てくださいました!手伝ってください正直手が回りません!」
「えっ、ちょぬぉわーっ!!?」
「せ、せんぱーい!?」
お目通しの叶った彼は、こちらの姿を確認した──すなわち本物であると認識した途端、こちらの手を引いて一方的にとある場所までの同行を強攻してきたのである。
その速度たるや、結構歳を取っている人間が出せる速度ではなく……。
慌てて追い掛けてくる他のみんなと一緒に連れてこられたのは、城の一画にあった巨大な蔵書の山が保管されている倉庫。
そこでは色んな人々が、本の表紙を見てはあーでもないこーでもないと何事かを呟いていて……。
え、なにこの異様な光景?と私が唖然としていると、ここに連れてきた時点でこちらの手を離し、何処かへと消えていたヴィットーリオ氏が、何かの本を片手にずんずんとこちらへと向かってきて……いやちょっと待った。
「いいえ待ちません。──貴女なら、この本の意味がわかるでしょう?」
「──祝え!三つの王家と一の従者の力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来を知ろしめす魔の王者!その名もキーア・ビジュー・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ!また一つ、魔法の歴史を継承した瞬間である……(ヤケクソ)」
「せんぱい!?」
彼が持っていたそれは、なんとまぁ例のあの本……逢魔降臨暦……を模した、大きな本なのであった。……そりゃまぁ、私も思わずウォズってしまうわけである。*3
それだけではない、周囲の人々がこちらの言葉に合わせて掲げて見せたのは……。
「ゲェーッ!?ワンダーライドブックぅ!?」
大きさこそ違うものの、それらは全てワンダーライドブックという、とあるライダー作品に登場したアイテムと同じ装飾を施されていたのだ。*4
……いや待て突然情報を山のように浴びせてくるんじゃねぇ!?
「それからこの印鑑と目玉みたいなアイテムとカードキー的なアイテムと……」
「うわーっ!!やめろーっ!!?これ以上問題を引き込むなァーッ!!?」*5
それからも出るわ出るわ、ライダーの変身アイテム系の物品達。
……幸いにして中身がないというか、外見だけのハリボテみたいなものばかりだったのだが……このハルケギニアで誰がこんなものを作ったのか、という疑問については首を捻らざるを得ず。
「……これ、昔の人が始祖の祈祷書を元に作ったとかなんじゃない?」
「うわーっ!そっちの方が厄物感が増すーっ!!?」
この内、逢魔降臨暦もどきに関しては逆になんの力もない、ってところが怪しすぎたため、解析のために持ち出す羽目になってしまったのであった。
で、既に満身創痍であった私たちが、癒しを求めて向かったのがガリアである。
ここではジョゼフとシャルルの二人が、こちらを歓待してくれる予定となっていたのだけれど……。
「すまないみんな!来て貰って早々悪いんだけど、ちょっと手伝って貰えるかな!?」
「え、いきなりなにが」
「ぬぅん!くらえぃ
「ぬぉわっ!?え、なになに?!?!」
「ぬぅ、流石に効かぬか!……お、これは良いところに!悪いが手伝ってくれぬか!まさかのブラキディオスでな!」
「うわーっ!モンハン成分がこんなところにもーっ!!?」
ついて早々頼まれたのが、特徴的な青い姿の巨大な竜の討伐。
……まぁうん、既に名前が出ていたことからわかるように、まさかのブラキディオスがガリア領内に沸いて出た、ということだったのだが……。*6
「……特殊個体じゃんこれ!!?」
「ぬわっはっはっ!道理で固いわけよ!仕方がない、行くぞシャルル!」
「任せて兄さん!!」
なんとこのブラキディオス、戦いの最中にその色が変わってエメラルドのようなカラーになったのである。……猛り爆ぜる方じゃねぇか!*7
いやまぁ、さっきまでのジョゼフの攻撃が爆発だったので、そのせいでなにか変な反応を起こした可能性もなくはないのだが……ともかく、こんな街中で戦わさせられるような相手では無いため、どうにかして移動させて戦闘再開、結果として多大なダメージを負いながらもどうにか討伐せしめたのであった。
正直、マシュの防御範囲が無かったら普通に負けてたと思います……。
そのあともまぁ、細かいながらも濃ゆいトラブルが目白押し。
解決せずに放置するには寝覚めが悪い……ということでそれらを解決して回り──、結果として、トリスタニアにやってくるまでの時間が大分ずれ込む、ということになったのである。
で、そうなると、だ。
ルイズから既に私たちがこっちにいることを聞いていたビジューちゃんが、こちらを待ち続けて痺れを切らす……というのもまぁ、わからないでもない話だとは思わないかな?かな?
「すいませんでした……」
「……はぁ。まぁ、いいですけどね、貴女がトラブルに巻き込まれるのは、今に始まった話ではないですし」
呆れたような声をあげるビジューちゃんに対し、平身低頭し続ける私ですが今日も元気です()