なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……では改めまして。お二人は、何故この列車に乗ろうと?」
「んー?それはこの列車に問題があるから、だよ?」
「……いきなり私のテンションが大ダウンしたのですけど」
「おお、デバフ音」
ドゥーン↓、みたいな重い音がしたような、そんな気がしてくるほどに露骨に肩を下げる
……まぁ、休みの日に私たちと行動を共にする必要に駆られているうえ、更にはこれから面倒事が襲ってくることが確定している状況で、高めのテンションを守れという方が難しいのも確かな話なのだが。
ともあれ、暫く一緒に行動することが確定している以上、こちらの目的を明かしておくべきというのもまた事実。
なので、この列車が本来色々と後ろ暗いというか、その辺りの事情が隠されたまま運用されているのが怪しいので調べにきた……みたいなことを述べれば、彼女ははぁ、と大きなため息を吐き始めたのでありました。
「……なんで私、そんな列車に乗り込んでしまったのでしょうね……」
「いや、こっちに聞かれても……」
「というか、普通になにか考えがあって乗ったのではないのか?」
暗に乗り込んでしまった、みたいな誰かに責任を擦り付けるかのような台詞に、ミラちゃんがしらーっとした眼差しを向けていたが……当の
……まぁ確かに?誰かに責任を擦り付けられないのであれば、それは自分の意思で乗り込んだということを肯定するのと同じ。
んでもってこのクルーズトレイン・エメは、豪華なことは当たり前としてその再現理由が特徴的。
つまり、普通に考えればそれが理由、ということになるわけで。
「……
「」<ビクッ
「姿が見えぬ辺り、断られたか他の用事が入ったか?」
「」<ビクビクッ
「ああいや、一応あとから合流する……みたいな可能性もあるかもしれぬが……」
「そそそ、そんなことあるわけないじゃないですかぁ~!!」
「都合が悪くなったからって、ドトウさんとして主張し始めたぞこの人」
……まぁ冷静に考えたら、この列車の運行理由──バレンタインを祝うため、ということにたどり着くわけなんだけど。
マッキーの相手、ということになると必然
なんてことを思いながら、私たちは目的の客室にたどり着いたのであった。
「そういえば……」
「今度はなんですの……?」
道中根掘り葉掘りあれこれ聞かれたせいで、すっかり疲れきってしまい座席に深く座り込んでいた
そんな彼女を見ながら、ふと思ったことを口にする私。それは、
「
「……そ、そんなことないと思いますよぉ~」
「だったらその喋り方はなんじゃ、その喋り方は」
普段のマッキーの喋り方と仕草だと、姿がドトウさんであるせいで色々バグって見える……ということ。
本来のドトウさんであれば、もうちょっと間延びした感じの空気を醸し出すのが普通なのだが、今の彼女はマッキーがドトウさんを被っているという状態。
そのため、周囲の視線を気にする必要がない状態──周囲に私たちのような知り合いしか居ない状態では、見た目以外にドトウさん要素が全く無くなってしまうのである。
その結果、なんだかちょっと優雅というか高貴というか、ともかく普通のドトウさんにはまず抱かないような感想が飛び出してくることとなり、どうにも違和感が強い……なんてことになってしまうのであった。
元々ドトウさんはドジっ子な面があるので、余計のこと首を捻りたくなるようになる、というか。
……え?ハロウィンの時の新規の服装での勝利ポーズが煽りにしか見えなかったり、中身がマッキーだとしてもユタカの話とかになればわりとポンコツ?まぁ、その辺りは今は見えていない要素なので……(目そらし)*2
まぁともかく、姿と仕草の差異が認知の歪みを生む、というのは確かな話。
なので、できれば私たちが居ても気を緩めず、確りとドトウさんとして過ごして欲しい……みたいな気持ちを抱いたわけなのだけれど。
「勘弁してくださいまし……これから大変なのでしょう?英気を養う時間くらい許してくださいな……」
「うーん、これは重症だ」
道中の話とこれから予想される騒動、その両者を加味した結果、彼女は今このタイミングを『気を抜くべき場所』と定めており、私たちの主張は呆気なく退けられる形となったのであった。
……うーん、これは仕方ない状況。
「ではまぁ、こやつについては一旦置いておくとしよう。……さて、これからどうするかの?」
「どうするっていうと……んー、とりあえず車掌室に向かってみる?まぁ、誰も居ないかもしれないけど」
なので、彼女のことは一先ず置いておいて、私たちは本来すべきことを考えよう、ということに。
一先ず、この列車について調べることが先決、ということになるのだけれど……正直、元となったエメとそっくり同じ、という結果しか得られないのではないかと思っている私がいたり。
差異となりうる車掌周りについても、この列車がある場所が電脳空間である、ということを思えば期待はできそうもない、というか。……事故を起こす可能性もないのだから、わざわざ車掌を置く必要性もないのだし。自動運転で全て済ませている、というのが関の山ではないだろうか?
「そうなると……道中が鍵、ということになるのかのぅ?」
「もしくは終着駅か。本来の運行を再演するって触れ込みだけど、どこまでオリジナルと同じ動きをするのかもよくわかってないわけだし」
なので、なにかが起こるとすれば運行中、もしくは運行終わりの終着駅ということになるのだろうが。……それがどこまで本来の運行予定をなぞるものか、というのも現状不明。
となると、私たちはそれを見逃さないように動かなければいけない、ということになるのだけれど。
「……人数的に足りると思う?」
「いやー、どうかのー?」
この再現というのが、
……まぁうん、私たちがここにいるのは、私たちの意思によるものだけど。それによって
そうなってくると、再度魔列車との対決をさせられたり、再現体としての夏油君が湧いてきたり……などの心配をしなければいけない、ということになってくる。
いやまぁ、普通ならそんなことはあり得ないのだけれど、この『tri-qualia』内においてのみ起こる『逆憑依』周りの特殊仕様が幾つもある、ということを思えば、警戒はしてもしたりないということになってしまうわけでして。
……最悪、あの時の登場人物が全員再現体として敵で出てくる、なんてことが起こる可能性もあるし、なんなら私も闇側しか出力が安定しない、などという半強制的なキリアモード封印を受ける可能性もあるのだ。
そうなってくると、できればあの時のメンバーと、少なくとも人数くらいは揃えておきたい気分になってくるのだが……。
「……うーん、連絡が付かない可能性が高いし……」
「そもそもログイン用の端末の用意から始まる、ということになりかねんのぅ」
一応、オ○ュラスとかP○VRとかのような、アミュスフィアとかナーヴギアには到底足りてない性能の機械でも、『tri-qualia』内で十分に動けてしまうのが私たち『逆憑依』だが。
……それがHMDの類いを持っている人がいる、という結果に繋がるのかと言えば別の話。
というか、どっちかというとその『逆憑依』周りの副作用ゆえに積極的にネトゲをさせない、なんて対処を推奨していた面が強く、それこそ持っている人は原作がネトゲ系の人、くらいになってしまうのが現状だろう。
故に、元々のメンバーを集めることはおろか、そもそも人数を揃えること自体が難しい、という話になってしまうわけで……。
「うーん、どうしようかこれ……」
「とりあえず、知り合いが近くに居るだけでも違うんじゃがのぅ」
現状、必要な人数はあの時と同数──銀ちゃんに反省を促すために集ったよろず屋メンバーと私とマシュ、それからあさひさんに暫定少年探偵団メンバー達、それからミラちゃんと夏油君が変身してた金田さん──の、即ち十四人。*3
……途中から加わったモモちゃんをどうするか、みたいなところもなくはないが……まぁ、本当に再現されるのであれば勝手に湧いてくるだろう、ということで現状は放置。
「なら、あとはあさひと銀時周りの面々、それから探偵団組か?」
「だねぇ。……あー、どこかに都合よく人が転がってな……ん?」
まぁ、そこが埋まってもまだまだ人数は足りないわけで。……都合十一人ほどをどうやって集めるのか、というかそもそもチケット一枚で本人含めて十人しか同乗できない、なんて問題もあるんだぞ……みたいなことで頭を悩ませていると、突然辺りに鳴り響く着信音。
……どうやら誰かからチャットのお誘いが来ているみたいだが、こんなタイミングで一体誰が……?
そんなことを思いながら、通信に出た私は。
『あ、やっと繋がった。おーいキーア、久しぶりにログインしてるみたいだけど、今暇かー?』
「……お前だぁ!!」
『うへぁっ!?えっ、いきなりなに!?』
その通信先の人物の姿を見て、『これはもろたで工藤!』とばかりに手を叩くのであった。