なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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どうして逃げられると思ったのか()

「あれこれ言ってましたけどー」

「そろそろ君自身についても反省をするべきでは?」

「ぬぅ、じりじりと近寄ってくるんじゃないっ」

 

 

 はてさて、ここまで都合五人分の反省会を行ってきたわけなのだけれど。

 ……ここで終わりとはさせてくれないようで、逃げようとした私を取り囲むみんなに、思わず口元がひくついてしまう私である。

 

 いやだって、ねぇ?さっきの私、特に問題行動はしてないじゃん?マシュが勝手にダウンしただけで<ボソッ

 

 

「いいでしゅか!?せんぱいはですね、誰かに服を無理矢理着せられたりしないし、媚びたりしないし、やることなすこと滅茶苦茶じゃなきゃいけないんでしゅ!」*1

「ほら、お前のせいで後輩がおかしくなってるじゃない。そこに関しては責任持つべきでしょ?」

「それ私のせいかなぁ!?」

 

 

 というかなんか別方向に吹っ飛んどるやんけ!……的なツッコミをしたくなる様相のマシュに関しては、正直私のせいとは言い辛いような、言ってもいいような。

 ……一先ず彼女のことは置いとくとして、さっきまでの私の接客には問題はなかったはず。普通に接してるだけで勝手にガチ恋勢になる相手は、そも本人のせいではないはずだ。*2

 

 

「ああ、そうだな。()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()の話だが」

…………((;「「))

「目を逸らすんじゃないわよ、往生際の悪い」

 

 

 ……まぁうん、ちゃんと私が当日仕様(シルファの姿)で接客していれば、の話なわけだが。

 そう、今回の私の姿は、なんの捻りもなく普通のキーアの姿。

 言い換えれば、()()()()()()()()姿()()()()()()()()、ということになる。

 

 そも、マシュが(言い方は悪いが)興奮するのはキーアの姿の時。……元の俺の時にどうなるか?……という疑問はあれど、それ以外の──例えばキリアの姿の時などは、わりと普通の対応を取るのである。……いや、キリアはキリアでもビジューちゃん寄りの時だと、なんか騎士みたいな感じになるんだけども。

 

 それと似たようなもので、同じ『従者』ポジションになるシルファの時は、彼女も同僚に接するかのような気さくな態度になるのだ。

 ……要するに、さっきみたいに興奮して倒れてる時点で、私の姿が当日仕様でないことは察せられた、というわけになるのだ。

 じゃあなんで、今日はシルファの姿じゃなかったのか?……みたいな疑問が生まれてくると思う。それは何故かと言うと……。

 

 

「仕方ないでしょ!あっちの姿でメイドとかウェイトレスとか、恥ずかしくてやってらんないっての!」

「それをここで言うのか……」

「ええい、黙れ上条!貴様も巻き込んでやっても、こっちは一向に構わんのだぞ!?」

「なんでそんなおぞましいことを言い出すのこの人!?」

 

 

 まぁ、端的に言わせて貰うと、シルファの時は微妙に羞恥心を感じる部分が違う、みたいな感じというか。

 

 前も述べた通り、シルファは大人としての立場や背丈が必要になったために新しく作った、基本的にはハルケギニア産の新形態の一つである。

 ……まぁ、これも実は例の黒歴史からの引用なので、色々隠された設定とかもあったりはするのだが……今は関係ないので割愛。

 ここで必要なのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()ということの方である。

 

 元々のシルファというキャラクターは、今の私よりももっと騎士というか、どちらかと言えば生真面目の塊みたいな性格をしていた。

 ……それを私に被せるという形で運用しているため、ある程度取っつきやすくはなっているが……逆を言えば、シルファとしての要素は別に立ち消えたわけではない、ということにもなる。

 

 これがなにをもたらすのかと言うと、変身中は彼女のパーソナリティが私の()()として幾つか適用されてしまう、ということになってしまうのだ。

 具体的には、堅物系キャラなのでヒラヒラした服とかが大層苦手になる、とか。

 

 つまり、非常に申し上げにくいのだけれど……この姿でコンパニオンとかやるの、普通に無理では?みたいな結論になるわけでしてね?

 まぁ一応これにも裏があって、ちゃんとした仕事とか依頼されたことであるのであれば、堅物属性が「仕事はちゃんとしないといけない」と妥協してくれるのだけれど。

 ……逆を言うと、ぶっつけ本番以外の練習中は、羞恥心がいつもの倍以上になってろくに動けたもんじゃなくなる……みたいな?

 

 え?じゃあここで練習する意味、なかったんじゃないのかって?

 ははは、うるさい逆らうんじゃねぇ、そこの上条君みたいに可愛くすっぞこのヤロー。

 ……なお、件の上条君は現在右手封じの上で、時限性転換を食らってゴスロリ美少女になってますのであしからず。……不幸だ?知らんなぁ。*3

 

 

「ふむふむ、せんぱいは()()()()()()()シルファさんになっていないと。ふーん、へーえ?」

「な、なによBBちゃん。私、別に間違ったこと言ってないわよ?」

 

 

 そうしてみんなを納得させようとする中、意味深な笑みを浮かべながら近付いてくるのは、明らかになにかを企んでいる様子のBBちゃん。

 

 こっちのBBちゃんがあまりしない、けれど普通のBBちゃんならよくやっている悪い笑みに、思わず身構える私であったが。よくよく考えたら()()()()()()()()()()()()()()()()()ので、別に恐れる必要もないと悟り。

 

 

「いーえ、別にー?実はシルファさんの時は料理とか掃除とか接客とか総じて下手で、その辺りを察して欲しくなくて隠してるんだろうなぁ~、なんてことは全然全くこれっぽっちもBBちゃんは考えてなんかいませんよぉ~?」

「なんでそれを!?……あっ

 

 

 続いて彼女の告げた言葉──実はシルファ状態だと家事とか接客とかにマイナス補正が付いてしまう、というある種の設定を知っているかのような発言に、思わず驚愕してしまうことに。*4

 いわゆるキャラ付けとして元のシルファに設定しておいたものが、私の変身でも採用されてしまうことに密かに慌てていたのは確かなのだが、何故それをBBちゃんが知っているのか?

 

 ……と、そこまで考えて、そういえばBBちゃんの中の人には、その昔私の黒歴史帳の一部を見せたことがある……という事実に思い至り、思わず声が漏れてしまう。

 無論、そんな迂闊な行動を周囲の人々が見逃すはずもなく。

 

 

「……へーぇ?ほーぅ?人にはあれこれ言ってた癖に、自分も本来は出来てないと?下手をすると私よりも露骨に?」

「いや、あの、その、け、決してできないわけじゃなくてですね?その、ほらその、まだ私は本気を出してないだけと言いますか……」*5

「──確保ォー!!」

「みぎゃあああぁあぁっ!!?」

 

 

 結果、私はお仕置きのために取っ捕まる羽目になるのでした。とほほ……。

 

 

 

 

 

 

「しかし……こうなるとやっぱり、リーダー役はキーアではなく桃香かXのどちらか、ということにした方がいいのかな?」

「ええと、そうなるのかも知れませんねぇ」

 

 

 はてさて、『お前も口ほどにないじゃないの!』的なツッコミを全身に受けた私が死んでいる間に話は進み、一先ずの進行役となったライネスの提言により、桃香さんかXちゃんのどちらかをリーダー役に据えよう、という議論が開始しようとしていた。

 実際、今回集まった面々の中では一番まともに仕事ができるタイプなので、この二人のどちらかをリーダーに据えるということに異論はないわけだが……。

 当の二人がどうにも乗り気ではない、というか?

 

 

「いえその、個人的にはあまりリーダー役は好きではないと言いますか……」

「私も、他人を率いるのはちょっと……」

「あー(察し)」

 

 

 なんでそんなことに?

 ……と思った私は、そういえばこの二人には共通点みたいなものがある、ということに思い至る。

 

 Xちゃんは元々アルトリアを基盤とした別キャラだが、その過去というものはあまり語られていない。

 だがしかし、察することのできるものもある。──彼女のクローンとして生み出された謎のヒロインXオルタ(えっちゃん)が、向こうの世界の円卓である『ダークラウンズ』の首領であった、という部分だ。

 そも、クローンが作られるほどに重要な人物であると目されるXちゃん。……その過去は不明点が多いが、もしかしたら普通のアルトリアのように、かつては円卓を纏めあげていた、なんてこともあったのかもしれない。

 

 そして桃香さんに関しては、そもそも劉備にならなかった・なれなかったもしも(if)の存在である。

 

 ……両者が誰かを率いる、ということになんとも言えない忌避感を抱いていても、そうおかしくはないのではないだろうか?

 

 

「……え、どうするのこれ?」

「さあ?」

 

 

 つまり、二人には実質リーダーは不可能、ということになるわけで。

 ……え?マジでどうするのこれ?

 

 

*1
漫画『チェンソーマン』より、マキマのチェンソーマンに対する(ある意味)ラブコールのようなもの。正確には『チェンソーマンはね、服なんて着ないし、言葉を喋らないし、やる事全部がめちゃくちゃでなきゃいけないの』。……大分拗らせていると言える

*2
ガチ恋営業してるんだから、やっぱり君の責任もあるのでは?……というカウンターもある。疑似恋愛って難しい

*3
ここの上条さんの右手は正式な『幻想殺し』ではなく【星の欠片】の応用で生み出されているものなので、こっちも【星の欠片】を使えば『幻想殺し』をすり抜けて効果を発揮することができる。なお、その場合でも右手で触れれば戻るのは戻るので、ここでは右手を自由に動かせないようにして対処している

*4
なお、実態は『家事下手』レベルの模様(具体的には皿洗いをさせると九割割るし、掃除をさせると部屋の中の花瓶はまず助からない……くらいのレベル)

*5
なお、上記の通り真っ赤な嘘である。そういう意味でラットハウスは本来出禁級の場所だったり

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