なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「うーん、いやなことをさせるのはどうかと思うけど……」
「シルファモードではポンコツになってしまうとわかった今、せんぱいをリーダーに据えるのは憚れちゃいますねぇ」
はてさて、ここに来て浮上した新たな問題。
いつものノリならば、私がリーダー役として抜擢されるのが基本の流れというか、それが一番対応力が高い……ってことで半ば自動的に決まってしまうことが多いのだが。
BBちゃんの言う通り、今回の仕事は(時間帯&仕事の内容的に)シルファとしてやる必要があるせいで、却って適性が吹っ飛んでしまっているというのもまた事実。
……いやまぁ、これが歓待系の仕事じゃなきゃ大丈夫なんですよ?護衛とか護衛とか護衛とか得意なんですよ?
でも今回の仕事的に、そういう荒事に強い要素が必要な場面があるかどうかと言われると……まぁ、なくはないかもしれないけれど、正直本筋ではないだろうなぁ……という気分にもなるわけで。
つまり、見た目をシルファにする必要性がある以上、今回の私はリーダーとしては不適格、ということになってしまうのだった。
……え?じゃあそれ用の新しい姿を、ここで新たに創造すればいいんじゃないのかって?……いやその、これ以上姿を増やすのは正直勘弁願いたいというか。
いやほら、私のそれって要するに、今あるモノに別のキャラを被せる……みたいな感じの奴だからさ?
それな変な化学変化を起こして、別種の問題を抱えたキャラになってしまったりでもしたら、それこそ目も当てられないことになるというか。
……そも、その
まぁそういうわけで、今回の仕事用に新しくキャラを作る、というのは不許可なわけで。……そうなると、他の誰かにリーダー役を任せる必要が出てくるのだけれど。
まず、パイセンに関しては論外。
そもそも本人にやる気がゼロな上に、場合によっては先方に報告やら伝達やらする必要性がある以上、その先方こそ彼女の暴走スイッチであることを思えば、迂闊に近付けてしまうようなポジションに座らせるのは危険すぎるわけで。
……そうでなくとも『めんどい』で自爆しかねないパイセンは、間違ってもリーダー運用できるタイプの人ではないのは間違いなく。
よって、パイセンに関してはこれまで通り、壁の華を気取って貰うのが一番、という結論に至るのだった。……え?なんかスッゴい文句言ってるって?スルーだスルー。
ついで二番手三番手、アスナさんとキリトちゃんだけれど……。
「んー、アスナさんはその属性だけ考えたら、わりとリーダー適性はあるんだよねぇ」
「まぁ、元々原作だと副団長とかしてるからな」
「混ざっている頼光さんに関しても、源氏大将として実際に金時さん達を取りまとめていたでしょうから、まさに適役……という風に言えますね」
「ええと……その口ぶりだと、言ってることと反対のことを思ってるように聞こえるんだけど……?」
「「そうですがなにか?」」
「ええー……」
今でこそゆるーくやってくれているからまだマシだが、この人混ざっている属性があまりにもヤバいのだ。
そう、血盟騎士団副団長にして閃光だのバーサークヒーラーだのの異名を賜る結城明日奈と、源氏大将の一人にして坂田金時達四天王を纏める鉄の頭領・源頼光。*1
……要するに、リーダー役に据えると
一応、タイプの違うリーダー属性が混じっているため、それぞれ単体でリーダーにした時よりは融通が効くようになってはいるものの……逆を言えば、重なって更に厳しくなっている部分もあるわけで。
いやまぁ、明日奈が姉要素と妹要素を持ち*2、頼光さんが母要素と子供要素を持っている*3などの面から、色んな意味で実は属性がヤバい、みたいなところもあったりするんだけど、それは今は置いとくとして。
ともかく、彼女にリーダー役を任せるのは絶対に良くない、その結果なにが起こるかわかったもんじゃない……という結論に落ち着くのであった。
……料理上手が混じってるからか、家事系統のレベルも上がってるみたいなので、そっち方面なら普通にリーダー役にしても良いとは思うんだけどね。
「……料理の腕前って加算はされない、みたいな話がなかったか?」
「アスナさんに関しては相性が良いみたいだから別、かな」
「なるほど。……で、私の場合は?」
「やりたがらないでしょ、そもそも」
「そりゃそうだ」
で、キリトちゃんの方だけど。
彼女の場合はアスナさんとは別の意味で、リーダーとか任せられないタイプの人である。なんでかって?原作の彼が
……まぁ要するに、余計な心労を背負ってしまうタイプの人なので、そっち方面の才能?が開花するような事態は最初から弾いておきましょう、みたいな意味というか。
作品の主人公なので、あれこれとトラブルに首を突っ込んだりしているキリト君だが……彼個人の性質としては、どちらかというと『恋愛ゲームの友人A』というのが近いだろう。
ややこしいことには極力関わらず、トラブルがあっても遠巻きに見るくらいが丁度良い……みたいな感じというか。
必要に駆られてリーダーをしているが、彼本人的には気楽に遊びたいという意識の方が強いとも言えるか。
……要するに、現状の彼を取り巻く環境事態がわりと不本意であり、自分以外の誰かがやれることならわりと放り投げそうな感じもある、みたいな感じだろうか。
無論、実際に放り出すようなことはあり得ないくらいには、普通に情に厚い性格でもあるわけなのだが。*4
ともあれ、言いたいことは一つである。
キリト君ではなくちゃんであるここの世界では、余計なことは考えずに普通にしていて貰いたい、というのが大体の人間の総意だ、ということ。
そんなわけで、キリトちゃんもリーダー役からは除外。
で、四人目と五人目である桃香さんとXちゃんについては、前回語った通り。
……結果、現状のメンバーの誰一人として、リーダーとしては適さないというなんか凄いことになってしまったのだった。
「うーむ、どうしたものか……」
「どうしたもこうしたも、最悪向こうの誰かに任せればいいんじゃないのかい?」
「いやー、それもどうかなー」
「……と、いうと?」
「向こうも多分私がリーダーだと思って人を選考してる気がする」
「あー……」
むぅ、と唸る私に、ライネスが首を傾げながら問い掛けてくる。……確かに、このメンバーの中にリーダー役が居なくとも、実際の仕事先では更にメンバーが増えることが予測されるため、そちらに任せるという手もなくはないだろう。
……が、それはあくまでも『なくもない』だけであって、確実性があるわけでは決してない。
何故ならば、向こうからやって来るだろうメンバーは、恐らくこちらの面々を纏められるような人ではないだろう、とこちらも予測できてしまうからだ。
まず間違いなくやって来るのはきらりんだろうが、彼女もリーダー役としては不適格なのは見ればわかる。
……いや、実力とか性質とかを見れば確かにリーダーで良いじゃん、となるのだが……そもそも彼女自体がかの有名なシンデレラガールズ──即ち個性の塊である。
無論、真面目な態度で場を仕切ることもできるだろうが……それは同時に彼女の持ち味や個性を消して動け、というも同じ。
つまり必然的に『きらりんでなくとも良い』ということになってしまうわけで、その時点で彼女達の運用方法としては落第点だろう。
言ってしまうと、自由行動させるのが一番良い相手を、適性があるからと雁字搦めにしてしまうようなもの。
ゆえに、彼女にリーダーを任せるのはなし、ということになるのであった。……別の誰かをリーダーに据えて、その下で伸び伸び動かすのが一番だよね、というやつである。
他の面々に関しては、誰がくるのかはまだ不明だが……例えば綾波さんが来た場合彼女をリーダーに据えるやつが居るのか?……みたいな話になるし。
マッキーならまぁ、リーダー役も適任かな?……とは思うものの、向こうの最古参である彼女を高々コンパニオン業なんぞに派遣するかなー?……みたいな部分もある。……というか、ウマ娘はコンプライアンスが厳しいので、そういう意味でも出しにくいというか。変な写真でも撮られたら一発アウトでは?
……一応、私も向こうの人員の全てを知っているわけではないので、リーダー役に向いていてなおかつ問題点も少ない、みたいな人が来る可能性も否定はできないけれど……。
「そうして楽観視した挙げ句、向こうも似たような楽観視してたら目も当てられないことになるというか……」
「ああうん、ないとは言い切れないねぇ」
相手がやってくれる、と期待しすぎるのは裏切られた時が辛い、とはよく言ったもの。……この場合は微妙に話が違うが、ともかく相手の動きに全任せというのが、仕事をする上で一番やってはいけないことだ、というのは確かな話。
ゆえに、暫定でもいいのでこっちでもリーダーは決めておくべき、という元の話に戻ってしまうのだった。
「んー……でもなぁ、今のメンバーはちょっと無理があるし、こうなると追加で一枠二枠増やすしかないというか……」
「増やす?……って言っても、宛なんかあるのかい、君?」
「そこなんだよなぁ……」
こうなりゃ、リーダー役・ないし纏め役に適している人を誰か捕まえて、仕事のメンバーにねじ込むしかねぇ!
……と意気込んだのはいいものの、そんな都合のいい人が居るかと言われると微妙である。
わりと真面目にはるかさんを連れていくのが一番な気がするのだが、さっきから彼女はこっちに腕で罰印を作ってアピールしてるので、多分ダメだろう。……コスプレNGだから仕方ないね。
そも、現在ラットハウスの店内に居るのは、ライネスやミラちゃんなどのロリ組や、BBちゃんみたいな物理的に無理があるメンバーばかり。
探すとなれば外に出る必要性があるけど、それにしたって誰を誘えばいいものやら……。
そんな感じで唸る私に、
「はい、せんぱい」
「ん、ありがとうマシュ」
「いえ。とりあえず、休憩に致しませんか?あまり長い時間悩んでいますと、思考が凝り固まってしまいますよ?」
横合いから差し出されたのは、コーヒーとケーキのセット。
どうやらマシュがこちらの様子を見かねて、ティータイムにしようと気を利かしてくれたらしい。
流石うちの頼れる後輩だ、と頷きながらコーヒーに口を付け、
「居たわ最適な人!」
「ひゃいっ!?せせ、せんぱい?!いきなりなにを!?」
思わず、とばかりに席を立った私。
こちらの突然の行動にマシュは目を白黒させているが、それを気にせず私は彼女の手を取る。
彼女は
斯くして、私はここに堂々と勝利宣言をするのであった。
「マシュ!君が私たちのリーダーだ!」
「──はい?」
こちらの宣言に、マシュは更に困惑していたのであった──。