なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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事件は休養所で起こっているかもしれない

 はてさて、突然大量発生した『逆憑依』ということになるわけだが、これが全く予想されなかった事態かと言えば、それは嘘になってしまう。

 

 そも、『逆憑依』とは創作世界の存在が、現実の人間を核にしてこちらの世界にやって来る……という性質のもの。

 ……それを引き起こす原理とやらが、どうやらネットゲーム的なものと相性が良いらしく、私たち『逆憑依』がネットゲームをすると(元々の筐体の種類によらず)フルダイブ状態になる、というのは有名な話だが……。

 

 

入り口(原因)出口(結果)に変わる可能性ってのは、常に付き纏い続けるんだよね……」*1

 

 

 その原因というものがはっきり判明していない以上、その逆路──フルダイブ技術が『逆憑依』の原因になる、という可能性も捨てきれないわけで。

 言うなれば、その可能性が結実した結果がここに居る彼ら、ということになるのだろう。……と、私はため息を吐いていたのだった。

 

 さて、ではここに居る面々が誰なのか、という問題だけど……。

 

 

「……一応、お名前をお伺いしても?元々の名前はわからないと思いますので、今の姿の名前で構いません」

「……ええと、俺は……そう、クライン。俺はクラインってんだ、宜しくな」*2

「はい、宜しくお願いしますね(見ればわかりますよ)

「……なんか今、発言内容とルビが別じゃなかったか?」

「あはは、いやだなー気のせいですよー?」

 

 

 さっきから率先して声を挙げていた彼、この中のメンバーでは唯一男性である人物に名前を尋ねれば、彼はこちらの予想通りの名前を知らせてくれる。

 ……クラインといえば、その見た目から察するにキリトちゃん……もとい、キリト君のところのクラインさんで間違いないだろう。

 気のいい兄貴分と言った感じの人物なので、こういった場所で率先して声を挙げているのは、ある種イメージ通りだとも言えるはずだ。

 

 では残り、先程の場面で遠巻きに──不安そうにしていた他の面々に声を掛けていく。

 

 

「ええと、貴方達は……」

「あ、はい。じゃあ私から自己紹介しますね!ええと、ルリアって言います!宜しくお願いしますね」*3

「oh……」

「え、なにか変なこと言いましたか私……?」

「ああいえ、お気になさらず……」

 

 

 まず一人目、その特徴的な青髪から「まさかなー」などと思いつつ、何故か執拗に裸足であることが多かったことを省みて、ちゃんと靴履いてるから違うかなー?……なんて希望は儚く消え。

 ぶっちゃけ予想通りな蒼の少女、ルリアちゃんが朗らかに挨拶してくれたのを見て、思わず呻き声が漏れてしまう私であったが、なんとか気合いで立ち直る私である。

 

 ……いやうん、正直約束されたトラブルの元、って感じの人物なので、心が挫けかけただけだから大丈夫大丈夫……。

 一応ほら、見た感じ『るっ!リア』じゃないっぽいから!……え?初期バージョンだと普通のストーリーでヒュゴゥしてたことがあるって?知らんなぁ……。

 まぁ、仮に『るっ!リア』でなくとも、厄介事の起点になりかねない素性持ちなので、率先して保護する必要があるわけなのだが。

 

 とまれ、気を取り直して他の面々にも声を掛けていく私である。……すっごい気は進まないんだけどね!!

 

 

「ええと、ではそちらの方は……」

「は、はい。申し遅れました、私はロドス・アイランド製薬のCEOを務めさせて頂いている、アーミヤと言います。……ええと、どうかされましたか?なにやら顔が真っ青ですが」*4

「早急に確認したいのですが、立ちくらみ以外の体調不良は有りませんね?」

「は、はい?……そういえば、なんだか体調がいいような……?」

「え、アーミヤさんお病気だったんですか!?」

「え、ええ?……そのはず、だったんですが」

 

 

 さて二番目、うさ耳(らしい)の主張が強い、この少女を私は知っている……というか、一度物真似したことがある。

 そう、彼女の名前はアーミヤ。アークナイツにおける初期キャラクター・およびヒロインポジションにあるはずの彼女は、今こうして似たようなポジションであるルリアと言葉を交わしているわけなのだが……どうやら、ここにいる彼女は鉱石病に罹患していないか、もしくはその症状が驚くほどに弱い様子。

 

 それがどういう意味を持つのか、今はまだわからないが……他者との触れあいに頓着する必要がなさそう、というのは素晴らしいことだと言えるだろう。

 ……というか、じゃないと突然出現するオペレーター、などというテロ染みたものにしかならないわけだし。

 

 ともあれ、心配そうにアーミヤの周りをちょこまかしているルリアの姿に苦笑しつつ、一先ず彼女達は放置して次のメンバーへの対応に移る私である。

 

 

「で、貴方は……」

「お初にお目にかかります。私、死塾月閃女学館所属の忍、雪泉(ゆみ)と申します。以後、お見知りおきを……」*5

「その格好恥ずかしくないんです?」

「え、ええ!?いきなりなにを仰るんですか!?」

 

 

 いやまぁ、恥ずかしくないと言えば嘘になりますが……などと言いながら両頬を抑えて身悶えする少女は、『閃乱カグラ』シリーズ不動の人気キャラクター・氷を使うくノ一である雪泉さん。

 ……前二人とはまた別タイプの人物だが、ヒロイン力という意味では負けていないかもしれない。……少なくともセクシーさでは完勝であろう。

 

 今もなんでずり落ちないんだろう、みたいな着方をしている着物をずれないように手直ししていたりするが、やっぱりそれはおかしいと私思うんですよ。

 ほらルリアちゃんも「ほら今、雪泉ちゃん意味不明の行動しましたよ」とか言ってた……いやそれはヤバイから止めようねルリアちゃん?それ『るっ!』の波動だよ??*6

 

 というか、気を効かして(かつ、犯罪者扱いされたくないので)背を向けてるクラインさんが気の毒だから、せめて制服とかにだね?……とお願いしてみたところ、最初は悪戦苦闘していたものの、どうにか忍装束から普通の服に戻すことに成功していたのであった。……なるほど、服の戻し方がわからんかったのね……。

 

 さて、四人目で予想以上に時間を食ってしまったが、次で最後である。

 この個性的なメンバー達のトリとなる、その人物とは……!!

 

 

「……なによ、言いたいことがあるならはっきり言いなさいよ」

「いやー、ええとですね?……水着、寒くありません?」

「寒いに決まってんでしょうが!!そう思うんならなにか寄越しなさいよ!!」

 

 

 同じポジション(マシュ)は既に居るから、ということなのか。……ある意味ポッと出感のある人物──水着姿のジャンヌ・オルタがこちらに怒りを叩き付けて来たのでしたとさ。

 ……うーん、久しぶりのFGO組。

 

 

 

 

 

 

「ええと、ええ……?」

 

 

 思わず困惑、みたいな態度のマシュの前には、先ほどの五人がずらりと。

 流石にこの状況で仕事には戻れんよ、ということで仕方なく代わりを寄越した(キリアを大人化して送り出した)私(シルファの方)は、休憩に入ったマシュに彼らの紹介をしたわけなのだが。

 ……まぁうん、そんな反応にもなるよねー、みたいな感じ。

 だってまぁ、いきなり五人分メンバー追加、だからねぇ。それもなんとなくメンバーに偏りを感じるし。

 

 

「偏りぃ?そりゃそこの青いのとかうさ耳とかはそうでしょうけど、そっちの男もそっちのハレンチ女も、ついでに私にしたって共通点なんかないと思うんですけど?」

「うさ耳……」

「ハレンチ……?」

 

 

 なんてことを述べれば、邪んぬから真っ先にツッコミが飛んでくる。……貴方がそれを言うの、みたいな雪泉さんの視線が突き刺さっているが、全く動じないぬは流石だと思います、はい。

 あとアーミヤさん、貴方別方向の感情抱いてない?ロバ耳って言われなかった、的なやつ。

 

 ともあれ、邪んぬの疑問ももっともな話。

 ルリアとアーミヤさんに関しては、共にゲームのパートナー役、として括れるだろうが。他の面々がそうなるか?……と言われれば疑問も生じるというもの。

 とはいえ、共通点が全くないのかと言えば、それはノーである。

 

 

「クラインさんは、キリト君にとって始めて出会った仲間だし。雪泉さんはちょっと変則的だけど、人気投票一位常連かつソシャゲの主人公は先生──即ちプレイヤーの分身だから、そういう意味では一番のヒロイン、みたいな風に解釈できる。で、ぬはぬだし」

「ちょっとぉ!?私に関しての扱い雑すぎやしないそれ!?」

 

 

 端的に言えば、「主人公の横に立つのが似合う」キャラ、というべきか。

 ……まぁ、この言い方だとプレイヤーによる個人差が出て来てしまうルリアやアーミヤ辺りが微妙なことになるが、ともかく全く繋がりがないかと言われれば違う、くらいの反論の材料にはなることだろう。

 

 ともあれ、喚くぬを宥めつつ、これからどうするかを話し合う私達である。

 

 

「とりあえず──これで打ち止めだと思う?」

「……難しいところです。体験会は佳境に入りましたが、それでも時間にしてまだ二時間ほどは続くと思われますし」

「あの、これって条件とかはわかってるんでしょうか?」

「ぜーんぜん。なーんもわからん」

「投げやりですね……」

「そりゃ投げやりにもなるっての。機械に入って出ただけで変身……とか、なにを起点にしてんのかわかったもんじゃないわいっ」

 

 

 そもそも、最近の『逆憑依』は例のサイトと関わりのないパターンも多いわけだし。

 ……言い換えればなりきりネタをしたことのない人が居る、ということになるのだが、これが微妙に語弊があり。……どうにも、演劇などのリアルななりきり、みたいなモノをしたことがある人なども区分に含まれているようなのだ。

 まぁ、そのパターンは少なめではあるのだが……少なくともその少なめのパターンに当てはまる人間がここに四人いるわけで。

 

 

「……なによその視線は」

「いや別に?邪んぬだけこっちの仲間だ、なんてことは全く思ってないよ?」

「それは思ってるって言ってるようなもんでしょうが……っ!」

 

 

 唯一別の例──即ち私達と同じくなりきりをしていたことがある、という邪んぬを見て、思わず半笑いしてしまう私と、そんな私の頬を掴んでぐりぐり引っ張り回す邪んぬ。

 そんな姿を見て、マシュが慌てて止めに入るのにそう時間は掛からないのであった。

 

 

*1
いわゆる逆流のこと

*2
『ソードアート・オンライン』のキャラクターの一人。キリトに取っては年上かつ同性の友人となる人物。気立てのいい人物で、頼りがいがある。なお実はわりとイケメンなのだが、デリカシーがないので(人間的には尊敬されても)女の子にはモテない

*3
『グランブルーファンタジー』のヒロイン。何故か大抵の服装で裸足であるという変な共通点があるが、基本的には謎を秘めたヒロイン、といったポジション

*4
ドクター、ここを読む暇があるなら仕事を終わらせましょう?

*5
『閃乱カグラ』シリーズの主人公の一人。圧倒的な人気を誇る雪使いの少女。忍装束状態ではほぼ雪女にしか見えない

*6
ギャグ漫画『ぐらぶるっ!』1216話「封印解除の合言葉編」にて登場した台詞。作中キャラの一人・ゼタがボロボロの服から胸が出てしまいそうになった時、そうならないように胸の位置を直した(『パイポジ直さなきゃ』という台詞を使った)ことに対し、『ほら今、意味不明の言語言いましたよ』と返した。なお、話の前後として、ゼタは武器の封印解除の為に合言葉を覚える必要があり、それに対して『意味不明の言語なんて急に言えないわよ』と述べていた

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