なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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なにを以て成ったとするのか

「……なんだかお腹が空いてきちゃいました」

「なに!?それは大変だ、エミヤんに至急SOSだ!」

「……ええと、普通の量しかいりませんからね?でも、エミヤさんのお料理は正直楽しみです!!」

「だよねー!」

 

 

 長々と会話していたため、ちょっとばかり小腹が空いてきた、と主張してくるルリアちゃんに合わせ、エミヤんに連絡を取った私。

 向こうもルリアちゃんの名前を聞いた時には多少警戒していたが、普通のルリアちゃんであることを知ったことで、その警戒もすぐに解除されたのであった。

 ……まぁうん、グラブルもわりと悪ノリするタイプの作品だしね、仕方ないね。*1

 

 そんなわけで、エミヤんが持ってきてくれた料理を囲み、束の間の食事タイムである。

 

 

「……ところで、向こうは大丈夫なのでしょうか……?」

(キリア)からの連絡によれば、そろそろ客足も減ってきたみたいだよ?」

 

 

 で、結果的に連続で休憩している形になってしまった私は、本来の順番であるところのマシュが気にしたこと──現状の体験会の盛況具合について、向こうの私からの連絡を受け取っていたのであった。

 ……で、そうして向こうの私のことを話題に出したため……。

 

 

「……そういえば、あの方と貴方の関係性はどうなっているのでしょう?見間違えでなければ、さっきの方は()()キリアさんですよね?」

「う゛っ!?」

「あー!そうですそういえば!あの人、あの有名なキリアさんですよね!?全国ネットの!!」

「うう゛っ!!?」

「あー、『マジカル聖裁キリアちゃん』だっけか?生憎俺は詳しく知らねぇけど……美人さんではあったなぁ」<アトコノピザウメェナ*2

「ううう゛っ!!!?」

 

 

 ……まぁ、このように話題に上がることもあるわけで。わー、人気者だなーキリアちゃんはー(棒)

 思わず白目を剥く私に、首を傾げながら不思議そうにしているのはぬである。

 

 

「……?なにアンタ白目剥いてんのよ、アレだけの有名人と知り合いなんだから、ちょっとは自慢でもするかと思ってたんだけど」

「は、ははは……いやまぁ、これには山より高く谷より深い事情がですね……?」

「はぁ?……はっ!?そういえばアンタ、どっからともなくあの女を呼び出してたわね、まさか……!?」

「んんっ!?」

 

「アンタ、どこでもドアとか持ってるのね!んで、アイツとは友達とか!」

「んー……↓?」

 

 

 思わず『ドヤッ!』という効果音が聞こえてきそうな、そんな感じの邪んぬの推理だが、正直残念感しかないわけで……。

 いやまぁうん、リアルで分身できる奴がいる……という話に思い至らないことには、解決できない話なので仕方ないのだが。

 

 とはいえ、私とキリアが同一人物である、と知られる方がややこしいので、その辺りはなぁなぁにしとくかなぁ、なんて考えていた私は。

 

 

「……?皆様、なにを仰っているのです?あれ、どう考えても影分身だとか、その類いのモノでしょう?」

「なん……だと……?!」

 

 

 思わぬ伏兵(雪泉さん)に、後ろから刺されることに。

 ……そういやこの人くノ一だから、分身とかには詳しい方だったわ!!

 

 周囲の人間達も、彼女の属性について思い至ったようで、最初は「そんな馬鹿な」みたいな反応だったのが、「え、マジで?」という視線をこちらに向けてくるようになり。

 

 

「……マジカル聖裁キリアちゃんです、宜しくね☆

「「「ほ、本物だーっ!!?」」」

 

 

 ……そんな感じで、謎のファンサービスをさせられる羽目になったのでしたとさ。……ふふふ、いっそ殺せよベ○ータ。

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでしたー!」

「うむ、お粗末様という奴だ。食後のお茶はどうかね?」

「あっ、頂きますー」

 

 

 食べた食べた、とお腹を擦るルリアちゃんに、料理を持ってきてくれたエミヤんが、食後のお茶を勧めている。

 

 店の様子とか大丈夫?……みたいな心配をする人も居るかもしれないが、そもそもそっちの営業時間は午後十時まで。

 現在の時刻はそれより後のため、エミヤんの仕事はとっくに終了済みである。

 まぁ、飲食できるところが閉まっただけであって、体験会の方はもう暫く続きそうなんだけどね!具体的には日を跨ぐまでは!

 

 

「まぁ、一通りの体験を終えようとすると、どうしても小一時間掛かるようだからな。筐体は複数用意されているとはいえ、どうしても時間は掛かってしまうというものだろう」

「そもそも、当初の予定が間に合っていない……とのことでしたしね」

「あー、本来ならコフィン型の筐体の用意もしておくはず、だったんだっけ?」

 

 

 やれやれと肩を竦めるエミヤんに対し、マシュが注釈を入れていく。

 これはこの発表会の開演前に開示された情報なのだが、実はこの発表会、予定されていた機材が間に合っていなかったとのこと。

 具体的には『FGO』においてレイシフトを行う際に使用される機械・クラインコフィン(霊子筐体)が搬入される予定だったが、トラブルのため間に合わなかったのだとか。

 

 ……うん、見るからにトラブルの元だが、こちらに関しては見た目がコフィンなだけで、中身は単なるフルダイブ筐体とのことである。

 まぁ、フルダイブする時にレイシフトをする時のアナウンスをしてくれる、というファンサービス機能付きらしいのだが。

 

 とまれ、本来より一回の体験会で捌ける人数が減ってしまっている、というのは確かな話。

 その結果、今回の体験会は大分予定がずれ込んでしまっているのであった。

 本来のこの時間帯には、社長からの二度目の発表が行われる予定だったという。……それが後日ネットでの配信になりそうな辺り、予想以上に体験会が盛況になってしまった弊害というか。

 まぁ、会社的には十分な手応えを感じた、ということになるのだろうが。

 

 

「手応え、か。……君はどう思う?()()に関しては、向こうが人為的に起こしたモノだと思うかね?」

「んー……半分くらい、かな?」

「半分?」

 

 

 そこまでの話を聞いたエミヤんが瞳をスッと細め、こちらに問いを投げ掛けてくる。

 ……周囲に増えた『逆憑依』達。それは社長の思惑によるものか?……という質問だったわけだが、これに関して私は『半分は』という風に答えを返したのだった。

 

 と、言うのも。

 そもそもの話、『逆憑依』というのはその発生件数から考えればおかしいくらいに、原理や理屈のわからない部分の多い現象である。

 なりきりをしていた、という行為に引き寄せられるのでは?……という予測こそあるものの、それが全てという訳でもない。【兆し】に突っ込んだ結果変異した、みたいな例も存在する以上、主体は【兆し】の方なのだろうという予測も立てられなくはないが……そも、【兆し】自体が研究し辛いものであるため、この辺りの確認を取ることは不可能に近い。

 

 言ってしまうと、本当に()()()()()()()()()()()()()()()()のだとしても、そこから『逆憑依』になる人とならない人が別れている以上、確実性を持ってこれらを起こしたとは言い辛いのだ。

 ……とはいえ、全くの無関係・偶然起こった事故であると嘯くには、ちょっとばかり怪しい面が多すぎる。

 

 

「だから、()()()()()()()()くらいのモノかなぁ、と」

「起これば良かった、か。……随分とはた迷惑ではないかね?」

「いやー、()()()()()()()()()に間違いがなければ、寧ろ向こうはこう思ってるかも。──()()()()()()()、って」

「……もう一つ?君は一体なにを知っている……?」

 

 

 なので、私の見解を語ったところ。

 ……どうにもちょっと語りすぎたのか、エミヤんからの視線が少し厳しいモノに変わったのを感じる私である。

 これはあれだな、ちょっと『ここで斬っとくべきか?』みたいなことを考えてるアレだな?

 

 こんなところで悪人判定されたりしてはたまったものではないので、弁明しようと口を開いた私は。

 

 

「──大丈夫ですよ、エミヤさん」

「むっ、アーミヤ君。大丈夫、とは?」

「これは勘のようなものですが……彼女にこちらを害する意思は見られません。寧ろこちらを守ろうとする意気すら感じます。そんな彼女が今回のあれこれを問題ない、という態度で受け止めているのですから……」

「……これは一本取られたな。当事者にそう言われては、私も矛を納めるよりないようだ。済まなかったな、シルファ嬢。私も少し、大人げなかったようだ」

ええー……

 

 

 すっ、と話に割り込んできたアーミヤさんによって、あれよあれよという間に話は解決してしまっていたのであった。

 

 ううむ、流石はアークナイツのヒロイン、かつロドスの司令塔。人と人との調停もお手のもの、ということだろうか?

 いやまぁ、本人にそれを言ったら、恐らく「いえ、こういうのはドクターの方が得意ですので……私はそれを真似したに過ぎません」とか言われそうなのだが。

 

 ……でもね、アーミヤさん。

 

 

「…………むぅ」

「あ、え、えと、マシュさん?私の顔に、なにか……?」

「せんぱいの!フォローは!!私がしますので!!!」

「え、ええっ!?」

 

 

 そのポジション、ドクターさんにやってあげてください。

 私にやられると、立場がない後輩が一人おるんですわ……(白目)

 役割を取られたせいで、膨れマシュになっているうちの後輩に、アーミヤさんが大層困惑する姿を見つつ、私はルリアちゃんの髪を三つ編みにしていたのであった。

 え?そんなことしてる理由?そりゃ勿論手持ち無沙汰だったからですがなにか?

 

 

「むーっ!!むーっ!!!ずるいですルリアさん!私の髪が短いからってそんなイチャイチャと!!」

「ええっ!!?わわわ、どうなってるんですシルファさーん!?」

「ははは、わかんねぇだろ、私にもわからん」

(思考を投げ捨てた!?)

(ああなるほど、こっちでのマスターちゃんポジなのね、こいつ)

 

 

 なお、周囲からは驚かれたり生暖かい目線を向けられたりしましたが、正直問題しかありません(白目)

 

 

*1
『エイプリルフール 二日目』というパワーワードが生まれたのもグラブルが切っ掛けである(正確にはその時コラボした『ボボボーボ・ボーボボ』からだが)

*2
無論、原作『ソードアート・オンライン』において、頼んだピザを食べ損ねた話からのネタである

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