なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「と、言うわけで。ここにホワイトデーのお返しに悩む者達の同盟が結成された、というわけなのですが……」
はてさて、場所と時を移しまして。
郷内のとある喫茶店(※ラットハウスではない)に集合した私たちは、頼んでおいた紅茶を口に付けつつ、これからどうしようかと口々に案を出しあっていたのでありました。
「無難にデート……なんて風に思ったけど、それだと常日頃と大して変わらないんだよなぁ」
「ホワイトデーを特別なものと捉えるのなら、普段通りだと文句を言われる可能性が高い……ってことか?」
「そうそう」
なお、私とキリトちゃんという『見た目は女子』な人物が混ざっていますが、その辺りは気にしないで貰いたく。……ポジション的に男性側だからいいよね、みたいな?
ともあれ、キリトちゃんがアスナさんににゃんにゃん(死語)*1されている、というのは最早周知の事実。
そのため、デートなんかも常態化していることになり、特別感が薄い……なんてことになっているのでしたとさ。
……いや、よくよく考えたら『にゃんにゃん』ってなんやねん。公序良俗とか風紀の乱れとかどうなっとんねんこれ?ハラスメントコード実装しといた方がいいのでは??
「その辺りの制限は、仮に合っても効きそうにありませんがね」
「……同性間でもセクハラは成立する、ってところから議論が必要かー」
「異性間だと幾分簡単なのですけど、ね」
そんなツッコミは、冷静なジェレミアさんに軽く寸断されてしまったのでしたとさ。……まぁうん、同性間のセクハラ云々って、線引き難しいから明文化するの難しいしねぇ……。*2
例えば、である。
修学旅行みたいな『赤の他人』が一緒に寝泊まりする環境下において、風呂場で相手の裸を見るのはセクハラか?……という話がわかりやすいか。
これが異性間であれば、あからさまに『アカーン!』となるわけなのだが……それが同性間となるとどうだろう?
ジロジロ見るのはよくない、みたいなことは言われると思うが、それをセクハラであると訴えられる……なんてことは、そうないことなのではなかろうか?
……というか、大浴場をみんなで使う……みたいなパターンだと、嫌でも見る機会ができてしまうというか。
場合によっては特定部位(女子なら上半身、男子なら下半身)の大きさを競う、なんて事態にも発展したりするわけで。
そしてそんな行為にいやらしい意味が含まれている、なんてことは早々ないだろう。
……この話がめんどくさいのは、『早々』というように場合によってはそういう意図でやっている人もいる、というところにあるわけで。
根本的に、人の意思というものは縛ることができない。
外から間接的に禁止にしたりすることはできるものの、実際に相手が脳内でなにを考えているのか?……ということを外から窺い知ることができない以上、可能性だけは常に存在し続けてしまう。
疑わしきは罰せず、としなければ幾らでも罪をでっち上げられるし、その逆も然り。
ゆえに、同性間のセクハラというものは、定義するのが難しいのである。
異性間なら状況を満たせば悪、という風に雑な決定もできるが、同性間でそんなことをすれば、あらゆることが立ち行かなくなるがゆえに。
「人の善意に頼っている、という面が少なからずありますからね。ゆえに、一欠片ほどの悪意で滅茶苦茶になる、という面もあるのですが」
「大変だねぇ。……ところで、なんの話してたんだっけ私たち?」
「……おい」
思わず「世知辛いねー」みたいなテンションになってしまったが……違った、今回こういう話をするために集まったんじゃなかったんだった。
……というわけで、軌道修正。
元はと言えばキリトちゃんがセンシティブな話をしたから悪いんだ、ということになった。
「いやなんでだよ!?」
「同性同士だと注意し辛い、というやつですね。冷静に考えて、公衆の面前でイチャイチャなどしていたら、注意されるのはある意味普通のことなのですが」
「なんかこう、百合だといいかなー?……みたいな人がオタクには多いよねー」
「……いや、だから話がずれてるっつーの」
「おおっと」
そんなわけで、ペナルティとしてみんなに一つなにかを奢る羽目になった、憐れなキリトちゃんである。
ほんのり涙目な彼女に免じ、この店で一番
……暫くして、一息吐いた私たちは、いい加減本題に戻ることになるのだった。
「で、結局なにを返すのが一番いいのかね?」
「三倍返しだっけか?……値段で考えられるもんじゃない時はどうすりゃいいんだろうな、マジで?」
「ええと、ハセヲ君はうちのリリィからだっけ?……ってことは手作りチョコかー」
「それは貴女のような、湯煎したモノを固め直したやつ……というわけではなく?」
「うん、カカオから作る本格的なやつ。……キャストリア混じってなくて良かったね、って言っとけばいい?」
「それに関してはマジで『それな!』としか言えねぇ……」
次に話題に上がったのはハセヲ君。
原作ゲームでも複数の人物から行為を寄せられていた彼にしては珍しく、ここではそこまでモテモテ……というわけでもないらしい。
具体的にはアルトリア……ここでは敢えてリリィと呼ぶが、彼女から貰った『ちょっと豪勢な』義理チョコ、くらいのものだったとか。
……まぁうん、あまりにも豪勢だったモノだから、意図せず他の人への牽制になっちゃったんじゃねーかなー、なんて気持ちも無くはなかったり。
なお、リリィ本人的には多分『お世話になっている異性への贈り物……なるほど、ハセヲさんですね!』くらいの、甘さもへったくれもない思考の果てのモノでしかないのだが。
「元が王族ですからね。結婚相手は基本政略結婚……みたいな感じの筈ですから、恋愛どうのの思考には繋がり辛いのでは?」
「うーん、普通のアルトリアとは別方向でアレ……」
なお、彼女がそんな感じなのは、恐らく貴族──その中でももっとも高貴な存在である王族だから、というのが最有力候補だったり。
……まぁ、アンリエッタとしての元ネタ側の、彼女の扱いからしてさもありなん。
ともかく、彼女自身がそんな感じなので、そこまで真剣にお返しについて考える必要もないんじゃないのかなー?……なんて思わなくもない私である。
いやまぁ、材料費だけ見ると安いけど、工賃とかまで考えたら高くなりそう……みたいなハセヲ君の懸念もわからなくはないんだけどね?
「でもさぁ、実際
「中身がスポンジケーキになっているとはいえ、総量からすると安いと言っても千そこらではないだろうからなー」
そう、なにを思ったのかこのリリィ、自身の元となった要素からチョコの着想を得てしまったのである。
それが槍のアルトリアと、アンリエッタの故郷。……即ち、チョコでトリステインの城を再現しよう、などという狂気の発想である。
無論、流石にがっちり中までチョコたっぷりだと(色々と)重い、ということもあって中身はスポンジケーキだが……寧ろそれを精巧な城として成型する、という別方向の重さを披露してしまっているわけで。
そりゃまぁ、ハセヲ君がお返しに悩むのも宜なるかな、というわけなのであった。
「……エミヤんに師事して貰って、同規模のお菓子を作る……みたいなのが実現可能なラインかな……」
「あれに対抗できるもん……だと……!?」
結果、グリーマ・レーヴ大聖堂を模したケーキでも作り返すしかないのでは?……という、大分無茶なプランが提案されることとなったわけだが、私たちは謝らない。
彼には頑張ってエミヤんに師事し、完璧なケーキを作って貰いたいものである。
というわけで、都合二人?分の議論が終わったわけだが。
……問題は寧ろ、残りの二人に掛かっているのであった。
「……見た目的にロリコンなんだよなぁ、ジェレミアさんと八雲さんって」
「実態的には逆なんだがな」
「おおっとハセヲ君、ゆかりんの年齢に触れちゃあいけないよ?何処から聞いてるかわかったもんじゃないからね。……まぁ今回はベッドで顔を埋めて足をバタバタしてるだろうから、聞かれる心配は微塵もないけども」
「怖っ」
まず第一例、ジェレミアさん。
彼のお相手はゆかりんということになるのだが……ご存じの通り、ここのゆかりんは原作のそれと比べると少女味マシマシ仕様。
つまり、ジェレミアさんと並べると良くて執事と主のご子息、下手をするとロリコン男爵になってしまうのである。
……まぁ、その実態はどちらかというとゆかりんの方が歳上であるため、概念的にはおねショタになってしまうのだが。……おねショタとは?(哲学)
「んで、大問題のキーア……と」
「寧ろアンタはいつ付き合うんだっていうか、実は俺のこと突っ込めないくらいにクズヤローだよな……」
「ええいシャラップ!まだ誰とも恋仲になぞなっておらんわ!!」
「それはそれで最低の発言では?」
そんで大詰め第二例、私ことキルフィッシュ・アーティレイヤー。
こやつ少なくともマシュとBBちゃんにお返ししなきゃいけない上、場合によってはそれ以外の数名にもお返し投げなきゃいけないクズヤロー(自虐)なのである。……違う、クリボーが勝手に!()
まぁともかく、ここに集まった面々の中で一番大変そうなのが私、ということは満場一致のようで、みんなからの視線は哀れみ混じりのモノばかり。
……言うて五十歩百歩だからなこのヤロー、などと捨て台詞を吐きつつ、どうしたものかと頭を抱える私なのでしたとさ。……いやマジでどうしようねーこの状況……。