なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・そして白き日に貴方は

「……ええい面倒臭い!こうなりゃ自棄だ!」

「うわっ、ちょっ、どうする気だキーア!?」

 

 

 それから暫く考え込んで見たものの、上手い案が思い付くことはなく。

 ……いい加減焦れた私は、だーっ!!……と叫びながら椅子から立ち上がることに。まさにやってられるかー、という心境である。

 

 だってほら、こうして悩んだところで、結局のところ相手が納得するかどうかが主体である以上、悩み損になる可能性は無限にあるわけだしね!

 

 

「それ最悪の開き直りじゃねぇか……?」

「シャラップ!!実際私たちが悩みに悩んで答えが出てない時点で、最早この問題に解法は無いも同然よ!」

「すっげぇ主語がでけぇ!?」

 

 

 そんな私の様子に、みんなから苦言が上がるが……だったらこの場で人類に叡知を与えて見せろよおぉん?……的なことを問い返せば、みんなたじたじになるのであった。

 さもありなん、現状三時間くらいあれこれ案を出しあってみたが、なにかしら反論やら欠点やらが浮上して「いやこれ無理だな?」を繰り返して来たのだから。

 そりゃまぁ、自分の発言に自信も無くなってくるというものである。

 

 

「ゆえに!私はここに宣言する!──もうみんな集めてパーティしようぜと!!」

「解決法が乱暴すぎる!?」

 

 

 そういうわけで(?)ホワイトデーのパーティが開催される運びとなったのでしたとさ。

 

 

 

 

 

 

「……いや、これはこれで文句を言われるのではないか……?」

「全体で纏めて、ってのはそりゃまぁそうだけど、そのあと個別に時間を作る……ってなれば問題なくない?」

「…………むぅ?」

 

 

 そもそも、向こうから渡されたのはあくまでチョコである。

 それを豪華なディナーで返すのだから、単純な金額的な考え方では十二分過ぎるお返しだと言えないだろうか?

 無論、それで納得しない相手には、個別でパーティ終わったあとに対応すれば良い……。まさにパーフェクトな対応だと言えないだろうか?いや思え(脅迫)

 

 ……なお、その説得()を受けたエミヤんは、なんとも微妙な顔で唸っていたが……やがてなにやら納得した様子で頷き、こちらに綺麗な笑みを見せてきたのであった。

 

 

「(まぁ、最悪私には関係ないし)いいんじゃないか、うん」

「……おおっと、なんか副音声が聞こえた気がするから、ちょっと凛ちゃん呼んできますね?」

「止めたまえ、いや冗談ではなく止めたまえ」

 

 

 ……ルートラストのその笑みを持ち出してくるのはなんかイラッとしたので、代わりに凛ちゃんを呼びつけることで対応する私であった。

 

 ともあれ、パーティである。

 私服も可能なやつにしようか、なんて案もあったのだが……ジェレミアさんから「お返しとして開催するのですから、ちゃんとしたモノの方が宜しいかと」と助言を頂き、ドレスコード指定の本格的なパーティとなっている。

 

 ……まぁ、お陰さまで私とキリトちゃんもドレス姿になる羽目になったし、作法まで短い間に叩き込まれることとなったが……これも経験、ということで由とした。

 

 そんなわけで、現在私は招待した女性陣を待っているのだけれど……ううん、流石に早く来すぎたので時間を潰すため、厨房のエミヤんにちょっかいを掛けていた、というわけである。

 

 

「暇だから、という理由で絡んでくるのはやめて欲しいのだがね……」

「なんだよー、今回も裏方だから寂しくしてそうだなー、と思った私の優しさを拒否するのかー?」

「君のどこに優しさがあるのかね……」

 

 

 なお、当のエミヤんはすっかり憔悴気味であった。……一体誰のせいだろうね?

 

 まぁ、そんなエミヤんのことは一先ず置いておくとして。

 今回のパーティだが、主催者に関しては私たち四人だけ……というわけでもない。

 同じようにバレンタインのお返しを悩む健全な男性方を複数巻き込んだ、結構な規模のモノとなっているのだ。

 

 場所はなりきり郷地下階層の一角、イベント会場として利用される特殊空間の一つ。

 これを一日貸し切り、かなり大規模なホワイトデーイベントとして開催したのが、今回のパーティとなる。

 そのため、私たち以外にも主催者側になる面子が複数人居るのだが……。

 

 

「キーア屋」

「む、その呼び方は……おひさー、ロロロギ君」

「トラファルガー・ローだ。そんな行間が割り増しされそうなキャラの名前じゃない」*1

 

 

 その内の一人、トラファルガー君がひょっこりと姿を見せ、私はやっほーと挨拶を交わしたのだった。

 台詞から察するに、今日も絶好調()の様子である彼は、なんとも面倒臭そうにため息を吐いている。

 

 

「……まぁ、押し付けられたとはいえ貰ったものは貰ったものだ、返さないわけにもいかないしな」

「おお、律儀律儀。……まぁ、ローグライク君普通にモテモテだからねぇ」

「全部義理だがな。……あと、そんな遊ぶ度にステージが変化しそうな名前でもない」

「喋ってたらわりと色々出てくるのに?」

「…………」

 

 ふい、と顔を逸らすトラファルガー君。……どうにも図星というか、気にしていたらしい。

 まぁ、同じ声のキャラの集合体、みたいな性質をしているのはリリィと同じだが、彼女ほど割り切っているわけでもないので仕方がないと言えばそうなのだろうが。

 

 一先ず謝罪の言葉を述べれば、彼はこちらを睨んでいるような、はたまたただ見つめているかのような視線をこちらに寄越したあと、小さくため息を吐きながら一つの小包をこちらに投げて寄越したのだった。

 

 

「おおっとっ、これは?」

「……キーア屋にも貰っただろう、だからお返しだ。……ハッピーホワイトデー、だったか?」

「そりゃまた……律儀なこって」

 

 

 箱の中身はクッキーだった。

 ……確かに彼にも義理チョコは渡したので、そのお返しということになるらしい。

 いやまぁ、別に私は気にしないのだが……まぁ、こういう態度が彼のイケメンポイント、ということなのだろうと納得して有り難く頂く私なのであった。

 ……なお、実は他の男子勢からもわりとお返しを貰っており、ハセヲ君からはマシュマロを、ジェレミアさんからは紅茶の茶葉を貰ったりしている私である。……え?キリトちゃん?普通にバレンタインの時に友チョコ交換して終わりましたがなにか?

 あと、エミヤんが調理器具を渡そうとしてくるのを丁寧にお断りしたりもしたが、まぁ些細な話である。

 

 そんなわけで、貰ったクッキーをさくさくと食べていた私はというと。

 

 

「……せ、せんぱいが……」

「また他の人に粉かけてますぅー!やーんもーこのすけこましー!!」

「げふっ!?」

 

 

 後ろから聞こえてきた声に、思わずクッキーを喉に詰まらせる羽目になったのだった。……あっこの、トラファルガー君わかってて黙ってたな君!?

 

 

 

 

 

 

「これ以外にも出てくるとかないですよね……?」

 

 

 ──そんな言葉と共に、愛され過ぎて夜も眠れなさそうなヤンデレポーズ*2を披露してきたマシュの姿にたじたじになりつつ、彼女達をエスコートして会場に向かう私である。

 いやまぁ、わかりやすいヤンデレポーズしてる辺り、マシュも本気であれこれ言ってるわけじゃないんだろうけど……咄嗟にやられると心臓に悪いので止めて欲しいというか?

 

 

「止めて欲しいのでしたらぁ、そうやってあれこれと色んな人にちょっかいを掛けるのを止めれば宜しいのではぁ~?」

「あー、そこは無理かなー。人助けはやるべきだと思ってやってるから」

「……へー」

 

 

 ちょこまかと私の周囲を歩きながら捲し立てるBBちゃんに、それができれば苦労はしないと返す私である。

 できる人がやらなきゃ終わらない、なんてことはこの世に五万とあり、そして私にしかできないこともまた結構な数がある以上、人との繋がりが今より増えることはあれ、減ることはきっとないだろう。

 なので、その辺りで嫉妬とかされても困る……みたいな?

 そんなことを述べれば、BBちゃんは半目でこちらを見つめてくるのだった。……よせやい、照れるだろ?

 

 

「……はぁ。()()は変わりませんねぇー。まぁ、そういうところは()()()と思いますが。ねっ、マシュさん?」

「……はい。()()はきっと、死ぬまで変わらないのだと思います……」

「……んん?そこはかとなくバカにされてる感じ……?」

 

 

 なお、なんかよくわからんけど、二人は顔を見合わせて苦笑を浮かべていた。……死んでも変わらん云々は【星の欠片】的に洒落にならんけど、なんかそういうアレではなさそうというか。

 まぁ、不機嫌になってるよりかはいいか、と納得した私だったのだが。

 

 ……ともあれ、パーティ会場に着くまでにはもう少し時間が掛かるため、その合間に別の話題を取り出す私である。

 

 

「マシュのそれは、ディナータイムのやつであってる?」

「はい、マクモさん達にオーダーをして、今日のために誂えて頂きました」

 

 

 今日はみんなドレスかスーツを着ているわけだが、マシュのそれは礼装『カルデア・ディナータイム』に描かれている、濃い紫色のカクテルドレスであった。

 まさに夜会にピッタリ、という風情のそれはマシュによく似合っており、そこを口に出せば彼女は照れたようにはにかんでいたのであった。

 

 

「むぅー、せんぱい私もー!私も褒めてくださーい!」

「え、ああうん。BBちゃんのドレスも、中々いい感じだよね」

「でしょー!?さっすがせんぱい話がわかりますぅ~!」

 

 

 対してBBちゃんの方だが、こちらは水着BBの第三再臨を元にした、白と黒のコントラストが眩しいイブニングドレスとなっている。

 腰の後ろのリボンが悪魔の羽根を模している感じで、なんともゴージャスというか。

 

 無論二人とも甲乙着けがたい程に似合っており、見ているとなんとなく敗北感の浮かんでくる私である。

 ……いやほら、私って身長的にも年齢的にもちんちくりんだから、ドレスなんか着ても着られてる風になっちゃって、ね……。

 

 

「い、いえ!せんぱいもよくお似合いかと!」

「そ、そうですそうです!なんかウェディングドレスっぽくて良い感じというか!」

「それ私どっかに嫁いでいかない?」

 

 

 いや、誰に嫁ぐというのか。

 ……そんな言葉を返せば、二人は面白いくらいに挙動不審になるのであった。……へんなの。

 

 

*1
漫画版『化物語』シリーズ、完結しました(謎の宣伝)

*2
『ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD』の表紙のポーズのこと。左手に包丁を、右手で喉を掻きむしるかのようなポーズを取り、瞳は暗く濁って口には髪を咥えている……というもの。『髪を口に咥えている』というポーズ単体でも(ヤンデレとして)わりと成り立ったり

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