なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「あーうん、色々とあったねホント……」
「お祭りごととなると、皆さん好き勝手し始めますからね……」
「……そこでBBちゃんを見つめられても困るんですけどぉ~?!今回私、なんにもしてませんよねぇ!?」
思わず生暖かい視線を向ける先にいるのは、普段というか原作というかでトラブルメイカーの名を欲しいままにしていたBBちゃんである。
いやまぁ、こっちのBBちゃんは向こうほど無茶苦茶はしないので、そういう意味では風評被害というのは間違ってないわけだが。……なんだろうねこの、『おまいう』*1感は。
ともあれ、そうしてBBちゃんを一通り弄ったあと、椅子から立ち上がった私たち。
束の間の休息を終え再び会場に舞い戻れば、そこでは遂に集まりきったメンバー達が、思い思いに楽しむ姿があちこちに散乱していたのでありました。
……ぶっちゃけてしまうと混沌の如き様相、というやつである。
「……そもそも、この狭い会場の中に集まりすぎなんだって、人が!」
「狭いとは言いますがせんぱい、ここの広さって確か東京ドーム三個分くらいだったような……?」
「郷の住人の三・四割近く集まってるんだから、これじゃあ全然足りないっての!!」
「ええと、確か現在の郷内部の総人口が百万人ほどの筈ですので、その三割となると……」
「単純計算で三十から四十万人。東京ドームの収容人数が確かおよそ六万人じゃから……まぁその五から八倍ともなれば、流石に無理もあるということじゃろうの」
「あ、ミラさん」
確かに、BBちゃんの言う通り、この会場そのものの広さというのは、かなり大きい部類になる。
東京ドームは観客席のみの換算なので、実際にはもっと沢山人を入れられるだろうが*2……そもそもの話、今回のパーティは互助会の面々も招き入れられているのと、立食形式となっているためにテーブルがあちこちにあることを考慮すると、そりゃまぁ人で溢れ返っている……なんて状況に陥るのも納得なのである。
そんなわけで、歩けば人にぶつかる……とまでは行かないものの、人の波を掻き分けながら進む羽目になったのでしたとさ。
「人が多い。……帰っていい?」
「まぁ、もう少し待ちましょう。キーアさん達にもまだ出会えてませんし」
「……あ、あそこ見てください、あそこっ」
「あっ、キーアさん!こっちですこっちっ」
「ええと、綾波さん達と……アーミヤさん?」
で、そうして進んでいる内に、とある一団に呼び止められたというわけである。
その一団は、互助会にて『無口組』などと呼ばれていた三人組──綾波さんに霞ちゃん、それからルリちゃんの三人と、その隣でこちらに手を振るアーミヤさんという面々だったわけなのだが……ええと、どういう集まりなので?
「あ、いえ。私はこちらでは新参者ですので、参加してみたのは良いもののどうしたものか、と悩んでいたのですが……」
「ん。そこで私達と出会った」
「……出会って?」
「…………?」
「そこで首を傾げられても困るんだけどなぁ?!」
「……相変わらず怖い。近寄らないで」
「なーんーなーのーこーのーこー!!!」
「お、落ち着いてくださいせんぱいっ?!」
アーミヤさんの言うところによれば、なりきり郷に来たばかりで勝手の掴めないままオロオロしていた彼女に、互助会からこっちにやって来ていた三人が声を掛けた、ということになるのだろうが……何故か綾波さんが説明役を買って出たため、肝心のところがわからないという事態に。
他の二人に聞けばいいのかも知れないが、こういう時の綾波さんにそれをするとわかりにくく拗ねるので、根気よく付き合わなければならないという弊害が……などと呻いていると。
「施されたのならば返すべきだ。この少女はそれに従っただけのこと」
「あ、カルナさん。えーっと……?」
「以前、互助会でキリアさんが私達に話し掛けてくれたでしょう?……それを見習った、ということなのだと思います」
「はぁ、なるほど……?」
偶然通り掛かった(?)スーツ姿のカルナさんの言葉を受け、ルリちゃんが補足を話してくれる。
……あーうん、なんか綾波さんってカルナさんと仲が良いみたいだから、彼が間に挟まれば解説も許される……ってことなんだよねこれ?
まぁともかく、その解説によるとどうやら『以前
……やってることが情緒の幼い子供みたいな感じだが、そもそもの綾波さんがわりと子供っぽいところがある人なのでまぁその延長なのかなー、などと思う私である。
ともあれ、不思議な縁によって合流した彼女たちだが、最初に聞こえてきた会話によれば、私に会いに来た様子だったのだが……?
「ああいえ、それだけを目的にしていたというわけではないんです。そもそも、此処に誘ってくださったのはカルナさんですから」
「カルナさんが?」
「バレンタインの返礼が今日の目的と聞いた。……俺が選ぶと、どうしても問題を起こしてしまうようでな。その辺りを背徳の炎に諭され、こうしてパーティに馳せ参じる形となったわけだ」
(ソルさんが……?!)
(他人の世話を焼いておる、じゃと……?!)
そうして詳しく話を聞いた所によれば、どうやら日頃の感謝の気持ちとして、バレンタインにカルナさんにチョコを渡した三名だったが、それに対してカルナさんが返礼として渡そうとしたモノにソルさんが『待った』を掛けた、ということになるらしい。
……ソルさんが冷や汗を流しながら待ったを掛けた……という辺り、恐らくFGOで彼が返したモノにちょっと劣るか、もしくは同レベルのモノを贈ろうとしたのだと思われる。
──うん、そりゃ止めるわ。
なりきりなんだから渡せるものの格は下がってるだろうけど、それでも『太陽の鎧を加工したピアス』に匹敵するようなモノをポンポン渡されてはたまらないわけだし。*3
でもやっぱりソルさんが人の面倒を見ている、という光景には驚いてしまう私とミラちゃんなわけだが。……いやまぁ、原作では後の方の作品になってから、そういうこともするようになってたけどさぁ?
……ともかく。
大仰な返礼品を渡すより、こうしてパーティにでも誘った方が何倍もありがたいだろう……的な助言をソルさんから受けたカルナさんは、三人をこのパーティにエスコートした……ということになるようだ。
で、人が多くなってきたので、最後に私に挨拶をして帰ろうとした……と。
「別に挨拶とかいいのに」
「別れの挨拶だけでなく、またこっちに来てくださいというお誘いも兼ねていますので。……その時は是非、アーミヤさんと一緒に来ていただければ、と」
「はい、是非」
……なんか、やけに仲良くなってるな、この面々。
そんな風に思いながら、改めて集まっているメンバーを眺めた私は、そこで意外な(?)共通点に気が付くこととなるのだった。
「……ウサミミ!?」
「ち、違いますよっ!?単純に若いのにあれこれと期待を抱かれて……みたいな苦労話をしていただけで!」
「ああ、お前はよくやっている。その若さで皆を纏める棟梁として頭角を現しているのだ、耳の一つや二つは大差ないと言えるだろう」
「カルナさんもなにを言ってるんですか!?」
そう、霞ちゃんのメカウサミミと、アーミヤさんの天然ウサミミでウサミミシンパシーを感じているのだろう、ということに。
……まぁ、速攻で否定されましたが。ですよねー。
こちらに手を振り、会場から互助会へと帰っていく四人を見送る私たち。
綾波さんが人波が苦手であることから、私への挨拶を済ませたらさっさと帰るつもりだったという彼女達は、此処に来た時と同じようにカルナさんにエスコートされながら帰路についた訳なのだが……。
「……あれ、絶対目立つよね」
「カルナさんのビジュアル的にもそうですし、他の方々のビジュアル的にもそうですねぇ」
「まぁ、バッジは用意しているとのことでしたから、恐らく大丈夫だと思われますが……」
あの人達、見た目が滅茶苦茶良いので目立ちそうだなー、などと思ってしまう私たち一同である。
いやまぁ、一応互助会から例のごまかしバッジを借りてる筈なので、変に話題になることは無いだろうと思うが……あれだけ顔が良い人達が集まってると、それはそれで噂になりそうというか。
まぁ、その辺りは向こうの話なので、どうにかするだろうと流すとして……。
「そういえば、アーミヤさんはなんでここに?前回のバレンタインの時はまだ居なかったはずですから、誘う人が居ないような気がするんですけど……」
「八雲さんからは『見学したかったら好きにしていいわよー』と言って頂きましたので、ここでの空気がどういうものなのかを感じるために……みたいな感じですね」
「あー、なるほど。……他の人達も同じ感じで?」
「そうですね、纏めて説明を受けましたので」
此処にいるもう一人の闖入者、アーミヤさんについての話に自然と話題はスライドしていく。
今回のパーティはホワイトデーが主目的。
その基幹となるバレンタインには、まだ彼女はここの住人ではなかったため、基本的に招待制となるこの場にいることが不思議だったのだが……よくよく考えたらさっきキリトちゃんと一緒にいたクラインさんの時点であれか、と思い直した私である。
いやまぁ、クラインさんは男性なのでまだ納得は出来る方ではあるが。……渡してもいないチョコへの返礼を貰いに来るよりかはマシだろうし。
なお、実態としてはこれから『ここで暮らすに辺り、予想されるトラブルの事前確認』の意味合いで参加を認められた、というところが強いらしいのであった。
……遠回しにこれからなにか起こるだろう、と言われているようで大変遺憾であるが、何分なりきり郷でこの規模の祭りが起きた時に、なにも起こらなかったことがあったかどうかを思い出せないため、正直なにも言い返せない私なのである。
なお、そんな私の反応を見ていたアーミヤさんはというと、「……あの人達、体よく逃げたということなのでは?」と冷静な分析力を見せ付けていたのでしたとさ。
……半分は当たっている、耳が痛い()