なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~   作:アークフィア

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幕間・恋人達だけの祭りってわけでもない

 わりと衝撃的なビワの話のあと、そういえばもう一つ衝撃的なことがあったのを思い出した私である。

 

 

「衝撃的……?ビワさんの話以外に、なにか気になることが?」

「いや、さっきはサッと流しちゃったけど……もう一組、此処にいるのがおかしい集まりがあったでしょ?」

「もう一組……?」

「あっ、かようさん?!」

「──その通り!」

 

 

 そう、その衝撃的な話というのが、サラッと混じっていたかようちゃん達のグループである。

 

 今回のパーティが『バレンタインに贈り物をした/された』ことを参加条件にしている、というのは前回述べた通り。

 ……ということは、ここに混じっているかようちゃん達も、誰かにチョコを贈ったと言うことに……?!

 はいそこ、多分知り合いとかお世話になった人に義理チョコを振る舞っただけ、とか言わない。もしかしたらもしかして、があるかもしれないでしょー!!

 

 

「うちの可愛いかようちゃんに近付くとはふてぇ野郎*1だ!ぶっ○してやる!!」

「完全に面白がってますね、これ」

「まぁ、さっきまでみたいにテンションが低いよりも、遥かにマシですので……」

 

 

 そんなわけで、うちのかようちゃんを誑かした(?)謎の誰かにフェードイン!……敢行である。

 え?お前のテンションがよくわからんって?わしにもわからん(真顔)

 

 まぁそれはそれとして。

 多分恐らくきっと、コナン君辺りが義理チョコを貰った……とかその辺りの話だと思われるため、それを前提としてあの子達にバレないように裏取りを始めた私たちはと言うと。

 

 

「……かようちゃんは私の母親になってくれるかもしれない存在だ?」*2

「しっかりしてくださいせんぱい!!そんな赤くて三倍になりそうなキャラになられては困ります!」

「うーん、前々からしっかりしてらっしゃると思っていましたけどぉ……」

「思った以上にオカンじゃの、あの娘」

 

 

 ここにいる男性陣、そのほとんどがかようちゃんからの義理チョコを貰っているという事実に行き当たり、思わずどこぞの三倍ファミコンさんみたいな台詞を吐く羽目になったのであった。

 ……いやまぁ、私も友チョコ交換のノリで貰ったけどさぁ?!

 よもやそれがなりきり郷全土、ともすれば互助会にまで波及するレベルのやつだとは思わねぇじゃん!?

 

 

「うむ。彼女の料理の腕は、かの紅閻魔を思い起こさせるほどのものだからな。それゆえ、その懐も相応に広いと言うことなのだろう」

「……実際そうなんだろうけど、エミヤんがそういうこと言ってるとなんかアレ(ロリコン)みたいじゃね?」

「…………何故そうなる?」

「イヤだってほら、凛ちゃんとか……」

「止めないか!私が悪かったからその辺りのことを突っつくのは止めないか!!?」

 

 

 ただでさえ、あの姿の凛にも頭が上がらないのだぞ私は、と情けない姿を見せるエミヤんの言によれば、かようちゃんの料理の腕前はかなりのもの。

 ……その勇姿にはかの紅閻魔ちゃんを思い起こすほどとのことで、ここにコヤンが居たら変なことになりそうだなー、などと思ってしまう私である。

 いやまぁ、かようちゃんは紅閻魔ちゃんほど騙されやすくはない、と思うけども。

 

 

「それって褒めてるのかな?」

「んー、子供らしくないって貶してるとも取れるかも。……まぁ、わりと肝っ玉感あるからねぇ、かようちゃんって」

 

 

 あとはどことなく古いというか。

 ……最近のげーむ?はよくわからないやとか言いながら、メンコとかコマとかで遊んでいる彼女には、なんとも言えない違和感を抱かないでもない私である。

 いやまぁ、別にゲームとかが下手ってわけでもないみたいだけどね?

 

 まぁともかく。

 まさかのかようちゃん製チョコが、区分的に『オカンからのチョコ』枠だったことに驚愕していた私たちはというと。

 

 

「……キーアお姉さん?ちょっとお話が」

「げぇっ!?関羽!!?」

 

 

 なにを裏でこそこそしているのか、と笑顔(コワイ)を浮かべたかようちゃんに詰め寄られ、大いに反省することなったのでしたとさ。

 

 

 

 

 

 

「さて、話を戻そうか!」

「ボロボロのわりに元気そうじゃの」

 

 

 お姉さんお仕置き隊、ごー!

 ……の鶴の一声により、突撃してきたれんげちゃんやら猫やら蝶やらにぼっこぼこにされた私ですが、皆さん如何お過ごしでしょうか?

 私は懸念していたビースト組の一つ・れんげちゃん達が特におかしなことになっていないことの確認をまんまと成功し、達成感から額の汗を拭っているところです()

 

 ……そのわりにボロボロじゃねえかって?安いもんさ、私の健康の一つや二つくらい……嘘です精一杯の強がりです。

 まぁうん、ついでに確認ができたので、全くのマイナスではないってことだけは本当だけどね。……でもマイナスが多いのは本当です。オレノカラダハボドボドダ!

 

 ともかく。

 なんか起きそう、ということで一番火種になりそうな元ビースト組を確認してみたけれど、特にどのメンバーもおかしな様子はなし。

 ならば原作的に厄いタイプの波旬君とか宿儺さんとかは?……と思って会場内を探してみたのだけれど。

 

 

「……うーん、居ないね二人とも」

「あー、あの二人なら非参加だよ、別に貰ってないわけじゃないみたいだけど、変に騒動になりそうだから止めとくってさ」

「おっと五条さん」

 

 

 生憎、あの二人の姿を会場内に見付けることはできなかった。

 ……どうやら、残りの六~七割の方に含まれるタイプだったらしい。こっちがあれこれしてるのを確認して近付いてきた五条さんからの発言により、合わせて裏取りも取れてしまった。

 

 しかし……なんだかんだ貰ってるんだなぁ、あの二人も。

 原作的に考えると、そんなもの貰っても嬉しがりそうもないどころか、下手するとそうして近付こうとした女の子が上下真っ二つになっていてもおかしくなさそうなのだが。

 

 

「あーうん、特に宿儺の方は夢女子駆逐しかねない暴れっぷりだったからねぇ、原作だと」

「まさかあんなことになるとはねぇ……虎杖君も、なんというかもうちょっと自分を大切にできる子だったらねぇ……」

「その辺りは、丁寧に『自分の価値』を磨り減らされていった結果じゃしのぅ」

 

 

 そこから、原作の方でのわりとお労しい流れへの言及に移行する私たちである。

 ……うん、女子供をいたぶるのが好き、みたいなのは前々から言われてたけど、彼処まで行くといっそ清々しくすらあるよね、原作の宿儺。無論皮肉だけど。

 

 ……原作は原作として、こっちの宿儺さんの話だけど。

 彼は料理人として拡大解釈された存在のため、原作のそれに比べれば遥かに接しやすい人物と化している。

 その上で、原作っぽいぞんざいな物言いも(ファンサービス的に)してくれるため、ファンからしてみると推しやすいタイプと言えないこともないだろう。

 そのため、意外と客からのチョコとかを貰うことが多いのだとか。……で、その返礼に関しては自分のとこの店で行うので、今回のパーティには出てきてない……と。

 

 まぁうん、このパーティって『お返しが思い付かない』男子組の救済措置的な要素も強いので、そりゃ自分のところで完結させられる人は利用しないよなー、と改めて納得してしまった私である。

 なお、波旬君も似たような理由だとか。

 

 

「まぁ、あの二人は一見取っつき辛いし原作的にもそんなに気軽に話し掛けて良いものかと悩むけど、見た目が彼らってだけで中身は別物に近い方だからねー。……ま、下手に原作に近付き過ぎると、こっちとしてもあれこれ考えなきゃいけないから、今くらいの方がありがたいんだけども」

「うーん、なりきりの欠点……」

 

 

 苦笑いする五条さんに、こちらも苦笑いで返す。

 ……メソッドアクターの話は何度かしているが、『狂人を演じ続けると狂人になる』というのはわりとよくあること。

 自分と役を切り離せるほど乖離している方が、なにかと危なくない……というのは確かな話であり、そしてそれゆえに『逆憑依』的にはランクが下がる……というのは、はたして良いことなのか悪いことなのか。

 

 まぁ少なくとも、悪役をやる分には『似てない』方が良いのだろうなぁ、とため息を吐いてしまうのでしたとさ。

 ……人格への影響の話をするのなら、そもそも善人だとしてもあんまりよろしくはないのも確かなのだけれど。

 

 

「まぁ、その辺りのくらーい話は置いといてー。……そーいうわけで五条さん、なんかお返しちょーだい」

「唐突に話をぶっ飛ばしたねー。いやまぁあげるけど」

 

 

 とはいえ、その辺りの話はやり始めるとどんどん底に沈むタイプなので、今は投げ捨て。

 丁度良い話題転換とばかりに、五条さんにホワイトデーの催促をする賢いキーアさんなのであった。……いやほら、義理は渡してるからね?

 

 そんなわけで半ば冗談めいた感じで返礼を求めたのだけれど、意外にも五条さんこれをナイストス。

 渡されたピンクの箱に、思わずぽかんとしてしまう私なのであったとさ。

 

 

「……いや、自分から催促しといてその反応は酷くない?」

「いやー……五条さんがその辺りちゃんとやるイメージがなかったと言うか……」

「ひっど。俺だってイベントごとを祝うくらいするさ。……まぁ、傑の方がそういうの気にしそうってのは確かだけど」

「あー、確かに」

 

 

 主に高校生時代のイメージ的に。

 ……うん、五条さんに誰かと付き合ったりしてるイメージがないのは、その辺り結構冷めてそうだからというのが大きいわけだが。

 そうなると、最終的にあんなことになった夏油君でも、そういうイベントはちゃんとこなしそうだと思ってしまうわけである。

 

 まぁ、私は彼にも渡してるので、あとで催促しに行くのだが。一応の礼儀的なあれで。

 

 

「……なにくれると思う?」

「んー、無難にクッキーとか?アイツ、わりと真面目だし」

 

 

 そんなわけで、五条さんと和気藹々な感じで夏油君のお返し品を予測していた私はというと。

 実際に貰ったものが新幹線型のケーキだったために、そういえばこの人との関係ができたのってバレンタインからだったな、と改めて思い起こす羽目になったのでしたとさ。

 ……これ絶対吐くほどに甘いやつでしょ!?

 

 

*1
ふてぶてしい・厚かましい・図々しいやつだ、の意味。『ふてぇ』は『太い』が訛ったモノとされ、いわゆる『図太い』に近い意味合いとなる

*2
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における(実質的な)シャアの遺言である『ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ』から。シャア自身はまともな家庭生活をしたことがほとんどなく、家族愛というものに餓えている節がある。それが形となった台詞であり、実際は『ロリコン』ではなく『マザコン』、もっと言えば『家族に対するコンプレックス』という意味での『ファミコン』な性質から飛び出した言葉になるのだが……後のオタク界隈において現れた『自身より年下の女性に母親を見出だす』という『バブみ』概念と結び付き、ややこしくなったような彼のキャラ造詣が分かりやすくなったような、そんな不思議なことになってしまった

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