なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……んー、結局何事もなく終わりそうなのかな、これ?」
「まぁ、あと一時間程度で終わりですからねぇ、このパーティも」
「いいえBBさん、残り一時間もあるのですから油断は禁物ですよ……けど、なにも起きないのであれば、それはそれで良いのかもしれませんね」
「まぁ、ねぇ。別にトラブルが起きてほしい、ってわけでもないし」
あれからしばらく、会場内を練り歩いていた私たち。
久しぶりに会う人や、今回が初顔合わせになる人達など、様々な人々と会話を交わしてきたわけなのだが……当初の予感はどこへやら、今のところなにか騒動が起きそうな感じというものは全くなく。
そんな微妙な緊張感の中、私たちはというと。狐につままれたような*1面持ちで、ちょこんと椅子に座っていたのでした。
まぁ、なにも起きないのであればそれはそれ。
それならばということで、マシュ達へのお礼?的なものに従事しだした私なのですが……えーとうん、できれば今からでもなにか起こったりしません?
このままだと、二人からの要求がエスカレートしそうなんですけど?
……などと、ちょっと焦り始めた私なのでありましたとさ。
「ほらぁせんぱい、あーん♡」
「……いやあのね?」
「それではせんぱい、次はこちらをどうぞ」
「いや待てお前ら!!私にばっか食わせてんじゃねぇ!?というかせめて間を開けろ間を!?」
「「えー?」」
──ほら、すでにご覧の有り様だよ。
……おっかしーねー、なーんで私の方がお世話されてるんだろーねー?
そうして首を捻る私の両サイドでは、二人の後輩達が代わる代わる私にスプーンを突き出している。
そのスプーンの上に乗っているのは、テーブル上に並べられた様々な
……うん、一先ず見回りを終了し、テーブルの一角に腰を落ち着けた私が、二人になにかしたいことがあるか?……と問い掛けた結果がこれなわけだけど、なして彼女達がもてなし側になってるんでしょうね?
これ、パーティの趣旨的には私がやる方になるはず、なんだけどなー。
……いやまぁ、二人にあーんをするのはどうにも気恥ずかしいので、今からやってと言われても困るわけなんだけども。
え?自分がやられるのはいいのかって?……わーい、キーアんお菓子大好きー♪(棒読み)
「……半ば自棄っぱちじゃのぅ」
「ミラちゃんシャラップ。見た目は幼女なんだから別に良いのよきっと」
「それにしては笑顔が引き攣っておるように見えるが?」
「うるせーって言ってるでしょうがー!!」
気持ちはお子さまお姫様……とまぁ、現状の自分のこっ恥ずかしさをごまかす手段としてのお子さま気取りなわけだけど、だからといって全ての羞恥心をごまかせるかと言えばそういうわけでもなく。
……結果、同じテーブルに同席しているミラちゃんに、こうしてからかわれる羽目になっているというわけなのである。
というか、現状のミラちゃんってば特にお相手も居ないのでカウンターができないという、地味に厄介な相手になってるのが手に負えないというか。
……区分的にはかようちゃんとかと同じ、みたいな?
「まぁ、折角じゃからと義理チョコばら蒔いたりしておったからのぅ。その流れでお呼ばれした、というのがわしがここにいる理由じゃし?」
「ぐぬぬぬ……最近のTSキャラはやんちゃで困る。どいつもこいつもいたいけな青少年の純情を弄びおってからに……」
「……いや、『ミラちゃんが悪いんだぞ』とか言われるほどではないと思うんじゃがのぅ?」*2
「おいこら、原作でのトレーディングカード回のこと思い出してみろやテメェ」*3
「
「逃げるなーっ!!自分のやったことから逃げるなーっ!!」
まぁ、この人に関してはどこぞのお兄ちゃん*4と同じく、わりと確信犯的にショタ達の初恋泥棒みたいなことしてるので、正直そこら辺は全く擁護できないわけなのだが。
……あれかな?歌舞伎の女形*5みたく、男性同士だからこそ相手のツボがわかる、みたいなやつなのかな?
まぁ、わかるからといって突きに行くのは許されたもんじゃない、というのも確かなのだが。
ところで、こうして余計な話を挟むことで、そろそろトラブルが襲い掛かってくるとか……ない?そうですか……(落胆)
「なるほどねぇ、それでこうして満身創痍、ってわけだ」
「もう勘弁してくだしあ……」*6
「余りにも古い、なの」
(……!私が気遣って触らなかった部分を……流石だ高町!)
「……なんか胡乱なこと考えてますね翼さん?」
それからしばらく経過して。
そもそもそんなに食えねーよ……と声をあげた結果、それでは違うことを探して来ます、などと宣いながら散っていった後輩二人に辟易していたところ。
これまた久しぶりに顔を合わせることとなった面々に、私はあれこれ弄られていたというわけなのでございます。
……いやまぁ、半ば自業自得なんだがね?凛ちゃん呼んだの私だし。
と、言うわけで。
今回近付いてきた面々は、魔法少女組三人だったというわけである。(ライネスはそもそも来てないので除外)
「まぁ、エミヤお兄さんの様子を見るついで、だけどねー」
「私に関してはろくにチョコも渡していないわけだが……」
「にゃはは……一応、友チョコでも参加権利自体はあるみたいだから、大丈夫だと思いますよ?」
なおこの三人、特にお相手がいるというわけでもないため、本来であれば参加権利自体が微妙なところがあるのだが……条件部分に『同性相手へのお返しも可』という一文があったため、ぎりぎり参加できる感じになっているのだとかなんとか。
まぁ、じゃないと私が主催側で出る権利がなくなるしねー。
そんなわけで、一応単なる親愛としての意味合いしかないチョコ交換とはいえ、参加権利を主張することができるようになった三人がやってきたわけなのだが……凛ちゃんが言うように、これはあくまで『呼ばれたから来た』というところが強いようで。
屁理屈を言って参加ができると言っても、そこまでして参加する理由がなければ意味がない、というのはみんなの予想通り。
そういう意味で、この三人がこのパーティに参加する意義はとても薄いのである。……まぁ、ユーノ君も緒川さんも居ないし、
そういう意味では、唯一お相手とも呼べる人物がいる凛ちゃんにだけ、参加の意思を問う理由があるということになるのであった。
……いやまぁ、厳密なところを言うと彼女も微妙なわけだけども。
「そこはほら、貴女にああ言われたら……ね?」
「うむ。エミヤんは爆ぜるべきだからね、この時期は特に」
どこからか『なんでさ』の声が聞こえた気がするがスルー。
……ちょっとちっこいとはいえ、彼女はあかいあくま遠坂凛。言うなればエミヤんにとっての天敵であり、彼に対してダメージを与えたいのであれば積極的に起用すべきアタッカーの一人であることは疑いようもない。
そんなわけで、後付けの理由とはいえ参加の意義を得た凛ちゃんは、どうせだからと他の二人も誘って現れた……というわけなのである。
「まぁ、私の方にも理由ができた、という事情もあるのだがな」
「おっと、翼さんに?」
今まで語った理由からわかる通り、基本的にこの三人は冷やかし目的に近いわけなのだが……ここに来て翼さんから気になる言葉が。
ふむ、彼女にもこの集まりに参加する意義がある、とな?
何処か一点に視線を向けている翼さんの姿に、思わず首を傾げながらその視線を追ってみると。
(……なんか、滅茶苦茶見られてるんッスけどぉーっ!!?)
(ほら、クモコちゃんって今はユウキの格好だけど、確か基本形態って響ちゃんの方でしょ?)
(キェアーッ!!?絡まれる理由バリバリじゃないっすか!!?やベーッスやベーッス!このままだと胸の覚悟を構えてご覧なさい、とか言われる流れになっちまうッスーっ!!?)*8
「あー……」
エリちゃん騒動が一段落付き、テーブルに突っ伏していたクモコさんと、そんな彼女を横合いから突っついて起こし、見られてるよと伝えたアスナさん達の姿。
……現状だと単にユウキを起こしたアスナ、としか言えない状況なのだが、そういえばクモコさんってば響ちゃんの姿を使ってたなー、などと思い至る私である。
ああうん、翼さんが興味を持つのも仕方ないと言えば仕方ないのか。
仮に響ちゃんの姿でなくとも、元・ビーストって肩書きの時点で気になるとこがあるだろうし。
そんなわけで、横合いからだとなに考えてるのかわからない翼さんの鋭い視線に晒されたクモコさん達がわたわた慌てているのを眺めながら、もしかしてトラブルってこっから始まるのか?……とちょっと後悔し始めた私なのでしたとさ。
なお、この時翼さんがなにを考えていたのかというと。
(……彼女の蜘蛛形態、わりと可愛かったわね……)
などという、かなりどうでもいいようなモノであったことを、合わせてここに記しておく。
……いやマイペースか!?