なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「そーいうわけでー!!久方ぶりの余であるー!!」
「突然ネロちゃまが空から!?」
はてさて、一色触発かと思われた邂逅が意外とそうでもなかった、ということが発覚してからしばらく経ってのこと。
愉しげ(?)なマシュ達にされるがままになっていた私だったのだが、なんの気なしにふと天井を見上げたところ、天上から釣り下がる照明の上に、何者かの影があることを確認。
いや誰だよ、そんなところに登るとか危ないなぁ、なんて呑気なことを思っていたのだが、次の瞬間その人影がバッと飛び降りてきたことに驚愕し……さらにその人影が、よくよく見るとネロちゃまであるということに気付いて、もう一回驚愕する羽目になったのであった。
……いや、なんでこの人そんなところから飛び降りてきたの???
「ふっふっふっ。あれは誰だ?美女だ?ローマだ!?もちろん、余だよ♪」*1
「いや、もちろんとか言われはっても知らんがなとしか」
なお、飛び降りてきた当人は何故かドヤ顔。
……着地時に足が痺れたのを気合いでごまかしてるっぽいが、それを差し置いても唐突過ぎて意味不明である。
いやまぁ、ここのネロちゃまが突拍子もないのは、わりといつも通りな方なのだが。
「ほほーぅ、どうやら
「……ネロさん?」
「ほわぁっマシュぅっ!!?止さぬか止さぬか、余の天上のシルクの如き金糸の髪を無茶苦茶に掻き乱すのは!?」
「はーい♡空気の読めない皇帝さんは、こうしてボッシュートしちゃいまーす♡」
「ぬぉわBB其方もか!?ええい、この機に乗じて全て総取りしようという、余のかんっぺき過ぎる計画がぁ!」
「なにを考えてやがりますのこのクソ色ボケ皇帝は」
求めるものの規模がでかすぎて、頭痛くなってくるわ(真顔)
……とまぁ、彼女達のやりとりを見ながらため息を吐いていた私はというと、そこまで考えたのちにふと気が付いてしまったのである。
──よく考えたら、この人も大概危険人物なのではないか?……と。
「──む?」
「アーケードの方ですけど、貴方の同位体みたいなビースト出てたでしょう?*2あれは確か『堕落』の理を持つ獣でしたけど……こっちではⅤ以降の獣の影は一つもない。*3──つまり、ネロちゃまが向こうと同じくⅥの座に座る可能性も……」
「いや待て!待たぬか!!余は単にあまねく民達を愛しているだけでだな……」
「なに、全部好き!?つまりカーマちゃんパターン!?クモコさん逃げて!!」
「なんかこっちに飛び火してきたッス!?」
「ええい、人の話を聞かぬかこの大馬鹿者!確かにあの娘も良いものではあるが、こういうのには順番と言うものがだな……!」
「まぁ、まるで原作の私のように、全ての人を愛し溶かすと仰るのですね……なんと恐ろしい……」
「ええい、原作関係者が集いすぎであろう!!」
程度があろう!*4……と涙目になるネロちゃまである。
……まぁ、いい加減反省しただろうから話を戻すとして。
「まぁはい。
「そ、底意地が余りにも悪すぎであろう……」
「まだなにか、仰りたいことが?」
「ぬわぁっ!!止めよ止めよわかったわかった余が悪かった!!自重するからこれ以上責め立てるのは止めよ!!泣くぞっ!?」
……うん、微妙に反省しきれてなかったみたいなので、もう一度脅しておいて。
ともかく、こうして原作通りに獣になってしまっていたキアラさんが居るように、ネロちゃまも原作をなぞって獣になる可能性、というのは普通にあるわけで。
なので、いつものノリで高らかに愛を叫ぶのは──特に、対象を一つに定めないタイプの愛を叫ぶのは止めましょう、と釘を指した私なのでしたとさ。
……え?単に口説かれるのめんどかっただけだろって?
「むぅー、余のハレムの夢がぁ」
「諦めてください皇帝陛下。いえまぁ、唯一の相手も居ない以上、手持ち無沙汰だというのは理解できますが」
「うむ、余は一所に留まるような小さな器ではないからな!……無論、奏者が居るのであれば──ちょっと独占したくなるだろうというのも間違いないのだがな!」
「うーん清々しいまでの問題発言……」
なお、当の本人は本当に反省してるのか微妙な感じなのであった。……まぁ、ネロちゃまだし仕方ないね!
「……こうしてみると、本当に危険物ばっかって感じよね……」
「
そんなわけで、突然の乱入者であるネロちゃまが去っていくのを見送り、それと入れ換わるようにやってきたゆかりんと一緒にテーブル席に着いた私である。
ジェレミアさんのとこ行かなくてもいいの?……と茶化したところ、パーティが終わったあとに時間を取っているので問題ない、とのことであった。……ふむ?
「一応忠告しておくと、青少年のなにかを破壊しないようにね?」
「そういうんじゃないってば!」
単に向こうが食事の席を取ってくれてる、ってだけだってば!……とはゆかりんの言である。
まぁ、その辺りはツッコミ過ぎるとこっちも突っ込まれるだけなのでほどほどにしとくとして。
ともあれ、長かったホワイトデーのパーティもそろそろ終わりの時間。
なにかが起こるんじゃ、なんて警戒していたけれど何事もなく終わりそうで、こちらとしてもホッと胸を撫で下ろす次第である。
「……まぁ、状況だけ見たらビースト大集合だったものね。それを思えば、よくなにも起こらないままに過ごせたものだと拍手喝采したい気分だわ」
「もうちょっとで終わりって言ってもまだ終わってはないんだから、変なフラグ立てるのは止めてねー」
まぁ、油断してると突然横合いから殴られるのがここの常なので、余裕を見せつつも警戒については怠らないわけなのだが。
そんなことをゆかりんと話しながら、運ばれてくる料理を口に入れる私である。……うん、描写はしてなかったけどマシュとBBちゃんのもてなし、実は再始動してたんだ(白目)
パーティの終わりが近付いてきたこと、及び時間帯的に夕食のタイミングということもあって、さっきまでの甘味まみれ状態とは違い、並べられているのはがっつり食事って感じのものばかり。
……そのため、私は左右から差し出されるハンバーグだのポテトだのニンジンのソテーだのを、パクパク食べさせられる羽目に陥ってたのでしたとさ。
「……いやほら、二人とも。私ばっかりに食べさせていなくていいから、君達も食べたらどう?」
「いえ、私はまだお腹が空いてないので大丈夫です」
「はいはーい、BBちゃんはそもそも食べなくても平気ですのでー!なのでこのまませんぱいのお世話、続けちゃいますねー♡」
「うへぇ……」
で、この状況に陥った一因に、後輩二人の片割れ──BBちゃんがそもそも食事の必要性がない、というものがあるのだった。
そう、彼女の本当の姿は『電脳生命体』、すなわちAIであるため、食事を一切取る必要性がないのである。
まぁ、味を楽しむことなどはできるため、一緒に料理を囲むこともたまーにあるのだが……今回の彼女は私に構うことを最優先するつもりのようで、一緒に食卓に着くつもりは更々ない様子。
で、そうなると困ってくるのがマシュである。
彼女はちゃんと肉の体を持つ生身の人間であるため、飲食は生きるために必須。
……自分は止めなければいけないのに、BBちゃんは続けても問題ない……という状況が彼女の歯止めを壊し、結果として二人のお世話合戦がエスカレートする、という悪循環に陥ってしまっているのである。
そりゃもう、やられる側からしてみれば勘弁してくれ、って気分でいっぱいいっぱいなわけでして。
そこら辺の頻度をこっちで調整するために、意図的にゆかりんとの会話を多めにしてみたのだが……会話の合間合間に食べさせてくるため、欠片も対策になってないのはご覧の通りである。
ええい、私を太らせるつもりか貴様ら!いやまぁどんだけ食っても太んないんだけどね私!
「おや衝撃の事実。まさか女神の神核持ちなんですかせんぱい?」*5
「ちゃうわい、単に【星の欠片】的に食べたもんはそのまま残機になるってだけじゃい!」
まぁ、だから幾ら食べても大丈夫ですよね?
……とかされても困るわけなのだが。
そうして二人があれこれ世話を焼いてくるのをどうにか抑えつつ、パーティが終わって行くのを眺める私たちなのでありましたとさ。
なお、このパーティが遠因となって、とある騒動が起こることとなるのだが。
今のところはまだ未来の話のため、この時の私たちにそれを知る由はなかったのであった。