なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「はい、アーミヤさんがどれほど素晴らしいのか、みんなが理解したところで……」
ほんのり顔を真っ赤にして、「なんだったんですかさっきの……」と唖然とするアーミヤさんを横に、再びシリアス()な空気に戻った私たちである。
この五人の中で重要度が一番高いのはアーミヤさん、というのは確かな話だが、だからといって他の面々の重要度が低いのかと言われれば、そういうわけでもない。
ルリアちゃんは『グランブルーファンタジー』におけるヒロイン(?)かつもっとも謎の多い人物である*1し、そうでなくとも『星晶獣』と呼ばれる特殊な存在*2を召喚できるという点からして、あれこれと検査が必要な人物だろうし。
ぬに関しても元が『本来
安定云々の話をするのであれば、雪泉さんも少し気になるところがある。……いやまぁ、彼女の場合は体質云々というよりは、時に暴走しやすいその性格的な意味合いの方が強いが。*4
あとはまぁ、わりと目の毒的なセクシーくノ一()なので、その辺りの影響も気にする必要はあるだろうけど。*5
まぁそんなわけで、諸手を広げて『君は大丈夫』と言える相手は、なんとクラインさんしか居ないということになるわけなのであります。
うーん、トラブルが大挙して来た感……。
「ふぅむ……じゃあそうねぇ、どうせだから前々から考えてたアレ、実行に移しちゃいましょ」
「む?一体なにをしようとしているので?」
「それはねー……」
そんな現状を見たゆかりん、どうやらなにか思い付いた様子。
前々から考えてた、という辺りにこの五人だけに関わってくる話、というわけではなさそうだが……?
ともあれ、その日はまだ準備に時間が掛かるとのことで、この五人達には解散の指令が出されることとなったのであった。
……え?彼らの寝るとこ?とりあえずはうちに泊めましたよ。
その日はかようちゃんとマシュが、夕食を張り切って作ってましたとさ。
「ハァイ☆そういうわけでお久しぶりのルビーちゃんですよー☆」*6
「か、かわいい……」
「正気で言ってますか雪泉さん???」
はてさて、五人がなりきり郷にやって来てから早一週間。
間にホワイトデーのパーティなどを挟みつつ、こっちの環境にも慣れ始めただろうその日に、その知らせは突然やって来たのであった。
──そう、『郷内一斉健康診断』のお知らせである。*7
前回ゆかりんが述べていたのは、まさにこの『健康診断』のことだったらしく。
医者や研究者組をかき集め、およそ一週間を掛けて全郷民の健康状態を確認しようという、わりと無謀っぽいイベントなのであった。
「まぁ、前々からやろうやろうとは思ってたのよ。……でもほら、中々タイミングが取れなくてねー。……それで私は思ったのです。ここまで時間が取れないのなら、いっそスレ主権限でみんなに強制的に休みを取らせようと」
「うわぁ、職権乱用だぁ」
なお、郷民全てを一度に確認するという、無謀以外の何物でもない暴挙が罷り通っているのは、偏に
特に子供系のキャラに多いが、健康診断である以上採血を行うのは当たり前。
……それすなわち注射を受ける必要があるということでもあるため、『やだーっ!!』と逃げだす人もいる……という、聞いてる分にはちょっと微笑ましくなるパターンだとか。
はたまた、ここでは好き勝手に生きている人が多いため、
……これらは『内』側の理由だが、それ以外にも『外』側の仕事において、
そこら辺の事情も踏まえて、関係各所に『今週中はお仕事お断り』みたいな通達をした上で、全郷民の一斉健康診断という形式に踏み切ったのだという。
まぁ、こういう無茶なことができるようになったのも、なりきり郷以外に『互助会』という競合他社みたいなものが生まれた・もとい発見されたから……という面も強いみたいだが。
こっちが抜けた穴を埋めてくれる相手がいるからこそ、こっちが休みの時にはそっちに仕事を回す、という対応が取れるようになった……みたいな?
「そういうわけだから、うちが終わったら向こうの健康診断も続けて行う予定よ」
「あー、向こうは規模がこっちに比べると小さめだけど、それに合わせて医者の数も少ないもんね……」
なお、その辺りの話の補足になるが……琥珀さんやロー君を筆頭とした医者組達は、こっちの検査が終わったらそのまま互助会の方にも出張に向かう、とのこと。
……向こうはこちらと比べると所属している人数が比較的少ないのだが、それに輪をかけて医者の数もこちらより少なめなのである。
ぶっちゃけてしまうとこっちの人数比より遥かに少ないため、健康診断を滞りなく行うためにも、医者組の出張が決まったのだとかなんとか。
因みに、そんな医者組の健康診断はそれらの仕事が終わったあとになるとのこと。……ええと、ほんとお疲れ様です……。
ともかく。
こうしてわざわざ時間を作ったのだから、きっちりさっくり済ませてしまうわよ……というゆかりんの主張に引っ張り出された郷民達は、みんなして検診衣とか患者衣とか呼ばれる『青系でダボッとした長い服』に袖を通していたのであります。*9
「……なんだか心もとないですね、この服装」
「まぁ、聴診器とか当てる時に邪魔にならないようにするためとか、あとレントゲン撮る時に映り込まないようにとか、色々考えた上での服装だからねぇ」*10
なお、一部の人の格好が凄いことになってるが、気にしてはいけない。
……件の五人の中だと特に雪泉さんがそうだが、一部が突出してるのなんの。ぬも似たようなもんだけど、その二人を見たルリアちゃんが色々ヤバいというか……。
まぁうん、持たざるものの悲哀はわからんでもないから、ツッコミを入れるのは止めといたけど。
あと、水着回の時にも言ったように、見た目が女性でも中身は男性、もしくはその逆……みたいなパターンの頻発する『逆憑依』、それゆえ区分けが微妙に難しいわけだが……今回は素直に見た目の性別で別れるように指示されている。
まぁ、それが無難だよねっていうか?
そんなわけで、クラインさんは別行動。
任せる相手に困ったが、最終的に五条さんに投げることにしたのであった。
……まぁ、「健康診断とか面倒くさーい♪」とかいってバックレようとする彼を見張る役割をクラインさんに投げた、みたいな面の方が強いかもしれないが。
後でゆかりんに雷落とされるだけなんだから、素直に参加してくれればいいものを、などと私が思ったかは秘密である。
「まぁともかく。今日からおよそ一週間、施設暮らし仲間として宜しくねー」
「はい、宜しくお願いしま……今なんと?」
「一週間以上みんな休ませる、って無茶を実現するために一階層まるまる検査用施設になってるんだよね、今回。そこでみんなで共同生活だから、まぁ宜しく……って挨拶しておくべきでしょ?」
「す、スケールが大きいのですね……」
なお今回、検査を受ける人達の食事制限なども合わせて行う必要があるため、しばらく家には戻れない仕様となっている。
まぁ、検査って長いし決まりごとも多いし、それを守らせるんならこっちの方が早いからね、仕方ないね。*11