なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「腹筋背筋垂直跳びに走り幅跳び……健康診断とはなんぞや?……って感じの測定内容だなぁ」
「ほぼほぼ身体測定ですよね、これ」
パンチ力とか測る意味あるんでしょうか?……とか言いながら、パンチングマシンに腰の入ったよいパンチをぶつけているアーミヤさんである。
……源石パワーが無い分スペック下がってるかと思ったのだけれど、そこら辺はわりと普通に健在っぽい。
確か種族的には
「!アーミヤはヤブノだったのだ!?」
「ヤブノ?……と言いますと……」
「ヤブノウサギだね、フレンズの一人」*1
「ああ……どうでしょう?私、キメラでもありますので」
「きめら?」
「あー……UMA系?ゲンブが一番近いというか」*2
とまぁ、アーミヤさんの種族について一悶着ありつつも、午後の部に移行していたのであった。
午前の部が結局長距離走だけで終了し、そこからお昼御飯の時間を挟んでの追加計測、ということになるわけなのだが……現在、一部の人の様子がなんとも言えないことになっていたりする。
「…………」<ズーン
「ほ、ほら。元気を出すんだ赤城。気持ちは分かるが……」
「本当に……本当に分かってるんですかハーミーズさん!貴女に!!私の!!!今の!!!!!気持ちが!!!!!!」
「うわぁ落ち着いてくれ赤城ぃーっ!!?」
「……なにあれ」
「二次創作的な大食いキャラ成分が、彼女の場合は高級志向ってやつに変化してたんだけど……そのせいで、病院食ばっかりな今の状況が禁断症状を発生させる要因になってる赤城さんと、その怒りを宥める役になってしまったハーミーズさんとの漫才?」
「ええ……」
その一部に当たる、赤城さんについてだけど……今やあの通り、我慢が限界を越えかけている感じの危険な状態と化していた。
いやね?これが『普通の二次創作成分多めの赤城さん』だったのならば、とりあえず量を与えておけばまだマシだったのかもしれないけれど……生憎、ここの赤城さんは『良いものを食べたい欲が強い』タイプなので、現状の病院食では全然満足できないどころか不満が積もりに積もってるわけでして……。
……いやまぁ、これが普通(?)の赤城さんだったとしても、病院食ばっかりはちょっと……とか言いそうな気はするんだけどもさ?
「気持ちはわかるぜ、赤城の姉ちゃん……」
「貴方は……坂田さん!」
「俺もよぉ、もっとジャンキーでごりっごりの舌が溶けるような甘ぇもんが食いてえのによぉ……ここで出てくるのは甘さ控えめ量も控えめってもんだ。……我慢する方が体に悪いだろうがよォォォォッ!!!」
「そうですっ、我慢の方が体に悪いんですよォォォォッ!!!」
「…………なにあれ」
「ガッツリじゃなくほんのり甘いものばっかりなせいで、糖分接種率が普段のそれを遥かに下回った結果、糖分中毒の禁断症状を引き起こした銀ちゃんと、それに同調する赤城さん……と、ひたすらそれに困惑してるハーミーズさん?」
「えええ……………」
で、そんな彼女に同調しているのが、似たような感じで食に関する我慢を強いられている銀ちゃんなのであった。
彼の場合の対象は糖分だが……両者とも、本来接種している質に全然足りてない現状の食事に、とても不満足してる……という部分にさほどの違いはなく。
……ゆえに、このまま放っておくとチームサティスファクション的ななにかが爆誕しかねない……なんて状況に見えてくるわけなのだが、今回の医者達には心強い味方がいるのであった。
「殺菌!!」
「消毒!!」
「「ぐへぇっ!!?」」
「わぁ」
騒ぎ立てる二人に対し、突然室内に飛び込んできたのは、大きなベッドと警察が使うような透明なシールド。
それが騒ぎ立てる両者の後頭部を強かに強打し、結果として二人は敢えなく沈黙することとなったのであった。……で、それを見たハーミーズさんが思わず小さく悲鳴をあげた、と。
で、そんな惨状を引き起こし、室内に転がったベッドと盾を取りに現れたのが……。
「──要看護者の麻酔による沈黙を確認。これより速やかに搬送を行います」
「そちらは任せました、ナイチンゲール。私はこちらの方を」
「はい、お任せしますミス・ミネ」
「ええ。……では皆様、お騒がせしました」
「ああ、はい……はい……?」
「……なんなんですか、あれ」
「最近なりきり郷にやってきた、超頼れる看護士二人組・ナイチンゲールさんとミネさんだよ。命を助けるためには命を殺すことも厭わない、鋼鉄を纏う看護士達だよ」
「えええええ……」
そう、医者達が心待ちにしていた看護士さん。みんな大好き()ナイチンゲールさんと、その苛烈さから元ネタ多分
……うん、彼女達二人がいるならこれからの医療の未来も安心だな!!(適当)
「ハイ、ワタシハ健康ニ気ヲツケ、日々ヲ精一杯生キル事ヲ誓イマス」
「右ニ同ジク、健康ニ気ヲ遣イマス」
「はい、分かればよろしいのです」
「ではお二方、お気を付けて」
「「ハイー」」
「うわぁ…………」
そんなわけで、緊急搬送()された二人が無事()戻ってきたことを確認し、改めて身体測定に戻る私たちなのであった。……え、緊急看護を終えたさっきの二人が、そこからどうしたのかって?他のところに患者が居るよ、ってここの担当の人に言われたから、元気にそっちの方に突撃していったけど?
「まぁうん、彼女達は確かに優秀な看護士だけどね?患者達に無用な威圧感を与えることも、決して間違ってはいないからね?」
「ですよねー」
因みに、その配慮をしてくれたのはなにを隠そう、私が会ったことのない医者の内の一人・カエル顔などと呼ばれる冥土帰しさんなのであった。
……ああうん、そりゃまぁ学園都市の変人達で耐性があるこの人なら、あの二人も普通に扱えるかー。
ともあれ、彼は彼女達の監督役でしかないこともあり、そのまま後ろに下がったため、気にせず次の測定に向かう私たちなのでありましたとさ。
「それにしても……こちらの計測は、魔力や気による強化は考慮されないんですね?」
「これに関しては、それを認めちゃうと飛べる人達とかの垂直跳びの記録、みたいなのが実質記録無限とかになっちゃうからね」
「ああ……個性把握テストの時の麗日さんみたいに?」
「そうそう、個性把握テストの時のお茶子ちゃんみたいに」
こういう時に例となる人物がいる、というのは説明が省けてありがたい。
……今回の身体測定の場合、モノによっては擬似的に『記録・なし』になるパターンが存在する。
そのうちの一つが、垂直跳びなどの
短距離走や長距離走などの場合、例えその人がどれほど足が速かろうと、
それゆえ、その始点と終点の間を一つの記録として定めることができるわけなのだが。
これがこと、時間ではなく飛距離などの『長さ』を競うものとなると、話が変わってきてしまう。
……今回例に挙げたのは『僕のヒーローアカデミア』における個性把握テスト・及びその中で登場した競技の一つであるボール投げにおいて、麗日お茶子が叩き出した『記録・無限』。
これは、彼女の"個性"が『
この能力は文字通り、自身の触れたモノに掛かっている『引力』を無効化する効果を持つのだが……彼女はこれを使ってボールに常日頃掛かっている引力を無効化し、一種の無重力状態へと変化させたのである。
無重力下において物質に力を加えると、その物質は外から力を加えられない限り等速直線運動を繰り返す……というのは皆さんご存じの通り。*4
結果、投げられたボールは地球の引力圏を容易く突破し、宇宙の彼方へと飛んでいった──即ち『記録・無限』になったのであった。……冷静に考えるとわけわからんな?
個性の適用範囲的なモノがあるのか無いのかわからないけど、仮に距離に意味がないのだとすれば、わりと恐ろしい気がしてくる私である。
……まぁ、この時のボールに関しては、能力を解除したとしてもそこは
話を戻して。
能力を個人の力とみなし、それを基準にした数値を計測しようとする場合、先の例のように気軽に無限という記録がでてきたり、はたまた数値として異常に高いモノが出てきてしまう……という可能性は容易に想像できる。
そのため、そういった事態を頻発させやすいような計測項目に関しては、『能力を使わない時の数値』を基準値として測る……という対処を取っているのであった。
無論、アーミヤさんの
「そのせいというかおかげというか、動物混じりの人達は一通り記録が高水準で凄いなー、ってなるよね」
「……まぁ、ウマ娘の皆さんとか……それこそフレンズの方々とかも、結構良い数値を出したりしていますしね」
「それとは反対に、こういうの超苦手ー……みたいな人もいるわけなんだけど」
そんなことを話しながら、ふいと首を動かした先に居るのは。
「う、うぬぐぐぐ~!か、固いです~!」
「ああルリアさんっ、それはそうして使うものではなく……!」
「?どうしたのだルリア、こんなの朝飯前なのだ」<バキッ
「アライさん凄いですぅ!?」
「あ、ああっ!?それはやりすぎですよアライさん!?」
「え?あっ」
「……あーあー、またやってしまったッスねぇ、アライさん」
「ご、誤解なのだ!?アライさんは悪くないのだ!!」
「大きな物音がしましたね?大丈夫ですか?」
「ひぃっ!?ナイチンゲールなのだ!?なんでもないのだ!!アライさんは平気なのだ!!?」
「……ふむ、握力計を壊してしまったと言うのですね。……腕の一部に局所的な剛力が掛かり、複雑骨折を起こしている可能性があります。──適切な処置を」
「ひぃっ!!?病室はイヤなのだ~っ!!?」
「……ミス・ミネ」
「準備は既に完了しています。……麻酔!!」
「ぐえぇっなのだっ!!?」
「……ふっ、冷静な処置、お見事ですミス・ミネ」
「…………いや、二人ともやりすぎだからね?いやまぁ、手の様子を見ておいた方がいい、という主張に関しては認めるけどね?」
「……またもや同じパターンですが、一応聞いておきます。……なんなんですか、あれ」
「今回登場した問題の発生源が、全部一ヶ所に大集合した結果起きた見るも無惨な大惨事?」
「……もう言葉もないです」
星晶獣を召喚できる……ということ以外は、基本的にか弱い少女のスペックしかないルリアちゃんと、そんな彼女の世話を焼く雪泉さん。
そして、ほんのちょっと調子に乗ったせいで酷い目にあったアライさんと、それを煽ったせいで(裏で)密かに巻き込まれたクモコさんに、この惨事を引き起こした元凶看護士二人と、それに呆れたような反応を返す医者が一人。
それから、その様子を遠くから見つめるアーミヤさんと私……という、なんとも言えない空間が出来上がっていたのでした。
……うん、いつものことだな!(思考放棄)