なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……しかしまぁ、いっつも病院食ってのは流石に飽きてくるわね……」
「そうですか?ここの病院食意外と美味しいですよ?」
「随分と羨ましい舌してるわね、後輩……」*1
そんなわけで(?)夕食の時間である。
流石に施設生活も三日目ともなれば誰もが慣れた様子で、特に騒ぐこともなく病院食を食べ進めているわけなのだが……そこら辺どうでもいい感じのパイセン的には、幾つか不満もなくはない様子。
まぁ、大っぴらにその辺りのことを口にした途端、例の看護士二人から
……うん、あの二人に滾々切々と注意されると、それはそれでダメージが大きいからねー……。
それならいっそ『殺菌!!』とか言われてボコられてた方が、遥かにマシな気分になってくると言うか。……いややっぱボコられるのも嫌だな?
そんなことをパイセンと話しながら、デザートのプリンを開ける私である。
このプリン、とにかくカロリーやら糖分やらを少なめに抑えた特注品で、それでも味を損なわないように……とかなり気を使った製法で生産されているのだとか。
まぁ、お菓子に使う砂糖とかって、量だけ見ると思わず宇宙猫になるレベルだからねぇ……。*2
「まぁ、だからってフルーツ単体なら大丈夫か、と言われるとそれは違うってなるんだけども」
「……ああ、自然由来なら大丈夫、とかいう人間特有の意味わかんない言い訳ね」*3
「言い方ぁ」
なお、だからといってフルーツ食べてれば問題ないのか?……と言われるとそれもまた違うって話になるので、やっぱり食事はバランスよくが一番なんだろうなぁ、などと思う私である。
……そういう意味で、病院食というのはとても考えられたモノなのだなぁ……と頷く私であった。
高々食の一つでも、体調には大きな変化が出るというのだから、そりゃこういう場所では厳密に管理するべきだよなぁ、というか?
まぁ、その結果として先日の銀ちゃんや赤城さんの暴走が発生したわけでもあるのだが。
「そこら辺、大丈夫かいルリアちゃん?」
「へぁっ!?ななな、いきなりなんなんですかキーアさん?!」
「いやー、ルリアちゃんっていっぱい食べるイメージがあるから……」
「前も言いましたけど、流石に限度がありますからね?!そもそも私以外にいっぱい食べる人も居ますし!」
「ふむ?……えーと、アーミラちゃんとかだっけ?」*4
「?呼びました?」
「君はアーミ
「おおっと」
そんなわけで、微妙に(?)大食い属性を持っているルリアちゃんが心配になったため、声を掛けた私なのだけれど。……ううむ、余計な心配だったか。
それから、グラブル世界の大食いキャラを思い出す流れで、名前の似ているキャラが居たアーミヤさんが首を捻ったりしていたが、概ね和やかに夕食の時間は過ぎ去って行くのであった。
はてさて、みんな大好き身体測定も大詰めの五日目。
今まであれこれと測ってきた私たちだが、今回のそれはかなり大掛かりなモノとなっているのであった。
「……ええと、これは?」
「ハァイ、それについてはこのルビーちゃんが説明して差し上げましょー☆」
「うわでた」
だだっ広い大部屋に集められた私たちは、専用の服装に着替えさせられていた。
そう、首から下をすっぽりと覆う全身黒タイツである。……頭の部分まで覆ってたら戦隊ものとかモジモジ君*6とかだったな、これ。
ともかく、ダボっとした患者衣とは正反対の服装にチェンジさせられたわけだが、実はこれは『この状態で完成ではない』らしい。
「皆さんの目の前に、幾つかのパーツが転がってますねー?そちらはプロテクター兼、装着者の身体データを継続する特殊な機械になってまーす☆こちらをそれぞれ頭・胸・両腕・両足にセットして頂きまーす☆」
「……メダロットかな?」*7
「わかる人居るのかなそれ……」
そうして私たちの前に運び込まれて来たのは、特殊な機能を持ったプロテクター。
動きを阻害しない程度の軽さと頑丈さ、それから自分と
それを各々装着し、見た目の準備は完了である。
「はい☆それでは皆さんにはこれから、デスゲームを行って貰いまーす☆」
「「「……は?」」」
「まぁ、あくまでそういう体で、ですけどねー☆」
それから、部屋の上部や側面部にある特殊な映写機達により、一帯に映像が投射される。
次の瞬間、辺りは鬱蒼と繁る森の中へと変化していた。
……さて、勘の良い方は既に気付いているかもしれないが、これはいわゆる
部屋一つを使って特殊なフィールドを形成、その中でデスゲーム……もとい、そういう体で
「皆さんの身体スペックは正に千差万別。ゆえに、あれこれと確認するのならばやはり実際に動き回るのが大正義。……と、言うわけで。なんでもありの大乱闘、はっじまっるよー☆」
「うわぁ……」
要するに、ARを使ったサバゲーである。……『AR/MS!!』かな?*8
まぁ、あれとは微妙に違うところも多いけども。
「と、いうわけで唐突にバトル展開になったわけだけど。……実際に攻撃をぶっぱするわけじゃなく、見た目だけあれこれするって形なのは覚えておくように」
「機動力に関しては制限しないの?わりと大概な人居るけど」
「その辺りはメンバー選定の時に、戦力が均一になるように振り分けてるから大丈夫よ」
「へーい」
と、言うわけで。
突然始まったサバゲー編だが、一応身体測定の延長線上である、というのも間違いではない。
どういうことかと言えば、これは別に勝ち負けを競うものではない、というところが大きい。
「必要なデータの計測を比較的迅速に終わらせるためのものだから、逆を言うと別に勝敗でデータが良くなるってわけでもないのよね。それどころか、戦闘中の動きを分析して『貴方は左側に重心を傾ける癖があります』とか、勝った側にケチを付けることもあるでしょうし」
「なるほど。戦闘時は体の色んな部分を連動して動かすから、単純な計測とはまた違ったデータが取れるってわけね」
「そういうこと」
基本的に、戦闘というのは全身を使って行うモノである。
また、普段は使わないような筋肉を使用するモノでもあるため、単純な検査や測定では確認できないような問題を認識するのに、わりともってこいなのだ。
……あとはまぁ、長々とした病院生活への鬱屈を晴らして貰う、みたいな意図もなくはないようだが。
なおそれゆえ、下手に相手を瞬殺などすると、逆に検査期間が伸びる、なんてこともありえたりする。……まぁ、数分間全身を全力で動かせ、というのを言い換えたモノでしかないのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
因みに、脚力に関しては縛ってないが、下手に能力を使うのは禁止されている。能力を使った、という体の拡張現実を発生させるのは問題ないが。
「まぁ要するに、安全な戦闘訓練みたいなもんよね。近距離で得物を振り回す場合でも、装着したプロテクターが物理保護をしてくれるから心配ないし」
「はいせんせー」
「先生ちゃうわっ。……で、なにキーアちゃん?」
「本来戦闘向けじゃない人達はどうするんですかー?」
「そりゃまぁ、できる範囲でどつきあって貰うわよ?最初に言ったでしょ、戦力比は均一になるようにしてあるって」
「あー、言ってたねー……」
で、私とかアーミヤさんとかはいいけど、ほぼ一般人のココアちゃんとかはどうなんだろうなー?……などと思っていたのだが、彼女達の相手は同レベルになるように調整されている、とのこと。……いやまぁ、ココアちゃんだと普通にそれなりの戦績を叩き出しそうな気もするわけだが。
ともあれ、事前の確認はほどほどにして。
改めて、今回一緒になった他の面々を確認する私である。
「ふぅむ……クライン……!!雪泉……!!ルリア……!!アーミヤ……!!ジャンヌオルタ……!!うぬら……五人か……!!」
「なんで大魔王バーンなんですか……?」*9
「そりゃもう、私は魔王ですので?」
うん。……うん、これ新人達のお目付け役がそのままスライドしたやつだな???
そんなことを思う私のチームのメンバーは、いっそ笑えるくらいに最近ここに加わった人しか居ないのであった。