なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……折角ちょっと覗きに来たというのに、辺りに誰も居ないのですが……?」
「ンンンンン、暫しお待ちを。……ンンー、どうやら皆様方、揃いも揃って地下に集まっておられるご様子」
「地下に?……なにかしら、もしかしてこちらへの対策会議でも行っている……とかですか?」
「それがですねェ、どうやら現在皆様方が行っているのは、いわゆる健康診断……と言うものののようでございまして……」
「……は?健康診断?健康診断って、あの健康診断?」
「ええ、その健康診断です。それも何故か『さばげぇ』なるものを用いて行っているご様子。いやぁ、正直さっぱり意味がわかりかねますなァ」
「…………は?サバゲー?サバゲーで健康診断?……どういうことなの?」
「……???」
「あれ、どうしたんですかキーアさん?もしかしてちょっと肌寒かったり……?」
「いや、なんか一瞬寒気がしたような……?」
「もしかして風邪ですか?この後対戦ですけど、大丈夫ですか?」
「……いや、多分風邪ではないと思う。気のせい……かな?」
「はぁ、気のせい……ですか?」
試合の順番を待つ最中、突然肌寒くなった気がした私であるが、その感覚も一瞬のこと。
……ならば誰かに噂でもされていたとかだろうと納得して、蘇そくと準備に戻るのであった。
はてさて、第二回戦も次で最終戦となるわけだが、その対戦カードの片方に組み込まれた私たちは現在、目の前の試合に勝つために気合いを入れている最中である。
……一回戦目は最初の試合だったのに、二回戦目では最後に回されてしまったのは、偏に初戦でやり過ぎたため。
ゆえに、この試合ではそれなりに加減することが必要になってくるわけなのだけれど……。
「それだと、さっきのシャナの試合みたいなことが起きた時に困るんだよねぇ」
「まぁ、赤城さんは私たちみたいに、暫くベッド行きみたいですが」
「あっ、やっぱり?」
手加減すると言っても、加減しすぎるとそれはそれで問題がある……というのは、さっきのシャナのチームが証明済み。
いやまぁ、あれは正確には『上から火力高過ぎるので抑えて』と予めお達しがあったせいでもあるので、微妙にケースとしては違ったりするのだが。
ともあれ、初戦でやったことの幾つかが制限されているというのは私たちも同じなので、気にすべきことも似ているというのは間違いではない。
「……前衛禁止と言われてしまいました……」
「まぁうん、単純な火力もそうだけど、対面した時の圧が凄かったからねぇ……」
例えばアーミヤさん。
彼女の場合はわかりやすく、前衛モードの実質的な禁止が言い渡されていた。
……単純な火力職としてもさることながら、対面した相手に威圧による弛緩状態を強制してしまうのが重く見られた、という形になる。
一応体に装着したプロテクターにより、体にダメージが入らないように配慮はされているが……それも相手の攻撃に対して準備が出来てこそ。
弛緩状態への攻撃は不意打ちのようなものであり、思わぬ怪我を発生させる可能性があるので安全面から禁止されたわけである。
……まぁ、緊張で凝り固まっていても怪我はしやすくなるので、要するに体の状態を弛緩か緊張か、どちらかの状態に硬直させてしまうのが悪い、ということになるのだろうが。*1
なお、似たような理由で他の参加者のうちアーボック君が『へびにらみ』を規制されていたりもする。*2
「あううー、バハムートもアルバコアも禁止されてしまいました……」
「前者は火力、後者は暴走の可能性を極力削るため……かなぁ?」
その他、ルリアちゃんの場合は火力が高い星晶獣の召喚の制限と、名指しでアルバコア・サタンの召喚の禁止が申し渡されていた。
……前者に関してはわりと緩いが、後者に関しては召喚時点でアウト判定になる念の入れようである。
まぁ、周囲を巻き込む形になるギャグ時空展開の発端となる召喚なので、禁止されるのはある意味当然とも言えるわけなのだが。
あと、雪泉さんが可愛いもの布教禁止を言い渡されたり、ぬが宝具使用回数の制限を受けたりもしてたっけ。
「……そういえば、クラインさんはなんにも受けてないねぇ、制限」
「ははは……まぁ、俺ってばそこまで派手なこととかできないからな……ははは……」
「あっ、こらキーア!クラインさんにわざわざ暗い顔させてんじゃないわよ!」
「わわわ、そんなつもりで言ったわけじゃなくてですね!?」
なお、私とクラインさんに関しては、特になにも言われてなかったりする。
……まぁ、私の場合は『言わんでもわかるよな?』的な意味合いもあるため、正確にはクラインさんだけがなんの制限も受けてない、ということになるのだが。
ただ、その辺りの事実を確認した結果、クラインさんが微妙に凹んでしまったのは困り者であった。……ああいや、別にクラインさんが地味とかそういうことを言いたかったわけではなく……。
ぬの旗にザクザク刺されながら、私はすっかり意気消沈したクラインさんに声を掛ける。
「次の回、メインアタッカーになってみませんか?」
「…………はぁ?」
そう、なんの制限もない彼だからこそ、できることがあるのだと、私は伝えたかったのであった。
「さて第二回戦・最終試合!対決するのは以下のチーム達!──優勝したら甘いものいっぱい食べられると聞いて!『ネオよろず屋』チーム!」
「健康診断の後に食べるパフェはうめーんだ。これは仕方のないことなんだ」
「銀さん?程度がありますからね?そもそも今回、血糖値やら血圧やらヤバかったの忘れたんですか?」
「んだよかてーこと言うなよ。テメーは俺のカーチャンかっつーの」
「か、カーチャン!?……は、はわわ!これはもしかしてプロポーズ!?」
「いやなんでそうなるんだよ、つーか『はわわ』はお前じゃなくてお前んところの軍師の口癖だろうが。*3……ったく、Xもなんとか言ってや
「ふふふふふ……いいえいいえ、全然気にしてませんよー、銀ちゃんが特段意識してその辺りのことを喋ってるわけではない、ってことは十二分に理解してますからー。……けど後でちょっとひみつカリバーしちゃいますねー☆」
「なんにも大丈夫じゃねぇんだけどォォォォッ!!?これあれじゃん!?カナシミノーとか流れて俺の頭がスポーンと胴体と泣き別れするやつ!!Niceboat.とかって書き込まれるやつぅぅぅぅっ!!!」*4
「大丈夫なのだ銀ちゃん。その時はボクが銀ちゃんの頭を胴体と縫い付けてあげるのだ、へけっ」
「さらっとスプラッタ度数をあげようとしてんじゃねぇ!!?」
はてさて、最終戦は三組による対決となるわけだが、その一つめ……銀ちゃんのところの『ネオよろず屋』が堂々と?会場内に入ってくる。
いつも通りのコント空間だが、中々どうして侮れない。
そもそも身体能力の高い銀ちゃんに、宝具使用回数がぬと同じように縛られているとはいえ、通常軌道でも他の追従を許さないXちゃんに、守勢に回った時の技巧はエミヤん譲りの桃香さん。
そして実はなにをしてくるのかが一番わからないゴジハム君と、実は結構な強敵なのである。
実際、一回戦目はゴジハム君のゴジラ部分が目からビームなど発射したりするわからん殺しを多発させ、意外なほどに圧勝して見せていたのだから。
……無論、一番目立っていたのがゴジハム君というだけで、他の面々も大概な活躍を見せていたのは言うまでもない。
「ここで言うことではないかも知れないが、一応述べておく。……
「なので不平不満などのお便りは止してくれ、というわけだな。……いやはや、人気者は辛いなぁ、宿儺?」
「止めんか貴様、ただでさえ今の俺は『あーん、伏黒君が器にされたぁ~!』状態なんだぞ……!!」*7
「んー、それってある意味人によっては煽りになるような気がするんだが……まぁ、いいか!吾しーらぬ!」
「(先が思いやられる、という顔)」
そして二組目、チーム名から漂う可愛らしさとは裏腹に、所属している面々が悉く『悪』な感じで固められている『御食事処・はな』。
……名前の由来は読んで字の如く
ただ、見た目とは違ってこの二人は普通に温厚な人物である。
例え原作でどんな鬼畜な所業を行ったとて、ここの二人には全く一切これっぽっちも関係ないので安心して欲しい。
……なお、それに付随する残りのメンバーも、元が『白面の者』であるハクさんと中身がミラルーツなあさひさんであるため、わりと大概である。
というか、あさひさんはなんでこの人達と組んでるんです……?口調同盟組んでたクモコさんは?……え?そこの二人にビビって逃げた?ええー……。
「それから三組目!初戦では無茶苦茶やってくれましたが、今回はどうなるでしょうか!?『ニュービーと魔王』チーム!」*8
「はい?いやそんなわけは……あれ!?ホントだクラインさんしか居ません!?これは一体どうしたことかー!?」
「……それ、俺のネタじゃないかな!?」*9
そして、私たちのチーム・『ニュービーと魔王』。
わりとそのまんまなネーミングの私たちは、クラインさんを先頭にして、その背に隠れるように会場入りしたのであった。
……ふふふ、勝負はすでに始まっているのさ……!!