なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ 作:アークフィア
「……これは、先頭のクラインさん以外の全員が、フード付きのマントを着用しています!明らかになにか仕掛ける気満々だぁーっ!!」
「その答えは、これだ!」
「「!?」」
ノリの良い解説者達の言葉に答え、纏っていたマントを脱ぎ捨てる私たち。
そして、そのマントの下から現れたのは……!*1
「私はクライン!クラインブルー!」(※背後で上がる青い爆発)
「拙はクライン!クラインイエロー!」(※背後で上がる黄色い爆発)
「某はクライン!クラインブラック!」(※背後で上がる黒い爆発)
「我はクライン!クラインホワイト!」(※背後で上がる白い爆発)
「余はクライン!クライングリーン!」(※背後で上がる緑色の爆発)
「え、ええと……俺が!リーダーの!クライン!クラインレッドだ!!」(※背後で上がる赤い爆発)
「天に輝く六つ星!電脳戦隊・クラインジャー!!」
「ぶふぅっ!!?」*2
「は、はははははっ!!やるではないか!どうせキーアのやったことだろうが、よもや……よもや戦隊ものとはな……」
「あんれまぁ、宿儺がげらげら笑いじゃなくて本気で笑ってらぁ。……でもまぁ、ここに来てまさかの全員クラインは流石に笑うわなぁ」
「いやまぁ、インパクトは抜群だが……あれでどう勝つつもりなのだ?あ奴らは」
「んー、キーアさんのやることッスからねぇ、見た目に騙されるのだけは止めた方がいい、ってことだけは確かッス」
「「「それは確かに」」」
「……は?!なんで全員クラインさん!?いやいや全員同じ顔にすんならもっとこう……華があるのを選べば良かったんじゃねぇの?!」
「銀さん、それは開始直後にタコ殴りにあっても、決して文句を言えないような暴言だと思うんです、私」
「いやだってよぉ、例えばアーミヤさんになるとか、ルリア嬢ちゃんになるとか、はたまたオルタさんになるとか……もっとこう、色々あるじゃん?!」
「……なんで一人省いたんです?」
「そりゃもう、あの格好の人が増えるのは流石に青少年のなにかが危な……はっ!?」
「なるほどなのだ。銀ちゃんは雪泉さんみたいな服装が好きなのだ。やっぱり侍だから、着物っぽい服装の方が好きなのだ?」
「いやそういう意味じゃな……いや待て落ち着けお前ら!開始前に仲間割れしてちゃバカ見てぇ……ヌギャーッ!!?」
「あーあー、開始前から混沌ですね、これ。……まぁ、こちらの思惑通りでもありますが」
「しー、ぬったらしー!」
はてさて、まるで戦隊ものの登場シーンの如く、見た目をクラインさんに変えて登場した私たちだが……無論、これには理由がある。
単純に、見た目が同じ人間が複数いる、ということ自体が相手の動揺を誘うモノであるし、なにより
「……ええと、よくわかりませんが!これにて参加チームが出揃いました!よって、これより第二回戦・最終戦を開始致します!」
気を取り直した榊君の言葉により、会場が沸き上がる。
一時変な空気になったものの、参加者達は既に息を整え、戦闘開始の時を今か今かと待ち構えている。
そんな中、視線が集まるのはやはり私たち。
見た目がクラインさんになっているとはいえ、
ルリアちゃんの身長は百五十二センチ。
その他は雪泉さんが百六十七、邪ンヌが百五十九、アーミヤさんが百四十二、それから基本のクラインさんが百八十ほど。
私が百三十ちょいで一番下なことを考えれば、自ずとルリアちゃんはクラインズの中で三番目に背が低い奴、ということになる。
「……いや、そこまで単純なことをするか?あいつが?」
「どうしたッスか宿儺さん。なにか考え事ッスかー?」
「いやなに……この勝負、思った以上に荒れるかもしれんと思ってな」
「ふーん?……ま、でしょうねー」
「それでは参りましょう!戦いの殿堂に集いしプレイヤー達が!」
「見よ!これぞ、サバゲーの最強進化形!!」
アクションデュエルの口上を改変した台詞により、火蓋が切られたわけだが。
案の定(特に銀ちゃんが二人の追求から逃れるため)他のチーム達はうちのメンバーの一人──背丈が三番目に低いクライングリーンに突撃していく。
宿儺さんなどの一部が向かってきてないため、何人かには気付かれたようだが……問題はない。そっちはそっちで残ったメンバーでボコれば良いのだ。
と、言うわけで……。
「……申し訳ありません!暫し凍っていて頂きます!虚空刃・雪風!」*3
「えっ!?ちょっ、ぬわぁーっ!!?なんか必要以上に寒気がするぅーっ!!?」
「……え、そそそ、そんなつもりでは……?」
「いいからグリーン!次来るよ!」
「は、はい!えー、ええと……余の刃にて、氷獄の中に沈むがいい!」
「……な、なんということだー!ルリア選手かと思われたクライングリーン、台詞を聞く限り恐らくは雪泉選手だぁーっ!!?」
「おっと解説のゴコさん、その心は?」
「な、なるほど、言われてみれば……となるとこれは」
「ええと……はい、そうですね。大会規定には『初期登録メンバーは必ず全員参加』と明記されています。いやまぁ、元々が健康診断なんですから当たり前と言えば当たり前なんですが」
向かって来た銀ちゃんをカウンターで迎え撃ち、見事に氷の彫像に変化させたグリーン……もとい雪泉さんである。
氷王モードの時の剣ではなく、あえて刀を使って技を繰り出しているのは……まぁ偏に単なるカモフラージュなのだが、良い感じにゴコちゃんが深読み解説して下さったので、有り難く作戦に使わせて貰う私である。
そうこうしているうちに、他の面々も次々と戦闘行動に移っていた。
外見以外の全ての情報がシャットアウトされているようなこの状況、最早とにかく当たってみるしかないと判断されたのだろうが……。
「拙の攻撃を受けきれますか!」
「凄いのだ、あからさまに魔法攻撃っぽいエフェクトなのだ」
「え?……ええと、前衛してるんですけど、一応」
「そもそもアーミヤさんは前衛でも術士なのだ。語るに落ちたのだ」
「あっ。……拙の謀を見抜いた程度で勝てると思うな!」
「凄い勢いでごまかし始めたのだ……」
クラインイエローことアーミヤさんは、刀と術を交えた攻撃でゴジハム君と切り結んでいたし。
「あっちがアーミヤさん!?ってことはこっちは……!?」
「我の一撃はそう甘くないぞ!!」
「くっ、この攻撃方法……ジャンヌオルタさんですね!?」
「……ねぇちょっとレッド!?滅茶苦茶簡単にバレてるんだけど!?」
「俺に振らないでくれよ!?ぬぉ危なっ!?」
「危な、という割りに的確に避けるではないか。ほらほら、更に速度を上げるぞ?」
「この人戦闘始まってから危険度爆上がりなんだが!?」
クラインホワイト──邪ンヌは竜やら槍やらを刀と一緒に振り回していたため、あっさりとその正体がバレていた。
流石にカラーリング真反対にした程度では、色々と隠しきれなかったらしい。
「んんんんん、皆様早々に中身がバレてしまうとは、まだまだ精進が足りませぬなぁwww某はそんなことはありませんぞー、そぉれほいほいほーいっとな!」
「黒髭ぇっ!?いやでも黒髭なんて居ないはずですが?!」
「んんんんん、いやーX殿の姿はまさに眼福ですなぁ、絶景という奴ですなぁ」
「……ルリア、慣れないことはするものではないですよ」
「なんでバレたんですかぁ!?」
「いやだって、明らかに気持ち悪さが足りませんでしたし……クラインやキーアならもっと寄せられるでしょう。そうなればまぁ、あとは消去法と言いますか……」
「なんなんですかそれぇ!!?」
さて、残る片方──クラインブラックだが、キャラの元にしたのが黒髭だったせいで、
……まぁうん、付け焼き刃だからさもありなん。
さて、これで残るはクラインブルー。
冷静に考えれば、これの中身は未だに名前の出てない
「(あれが外れ、ということは……)ならばまずはお前からだ、リーダー!!」
「ひぇっ!?流石に領域展開は反則……っ!?」
「安心しろ峰打ちだ!」
「領域に峰もなにもねぇだろぉっ!?」
それを確かめた宿儺さんは、容赦なくレッドに向かって凶刃を奮う。
誰もが取った、と思ったその交差は。
「……なん、だと?」
「…………いやー、はっはっはっ。ダメだぜ宿儺さん。さっきゴコちゃんも言ってたじゃん。それっぽいからといって、本当にそれが正解だとは限らないってさ」
「……なるほど、
滅茶苦茶ノリノリで倒れ込む宿儺さんに、にやりと微笑む
──そう、ブルーの中身は私ではない。
「れ、レッドはキーア選手です!キーア選手がファーストアタック!宿儺選手を沈めましたーっ!!」
さっきホワイトに答えたレッドこそ、私キーアなのであった。……はっはっはっ、まんまと騙されたな!